2020年2月27日

プロとアマ

2020.2.27

折田翔吾さんが将棋のプロになった。すごいことだ。こんなことがあるんだな。

プロとアマチュアで絶対的な壁がある競技として、相撲と将棋がよく挙げられる。
相撲の学生チャンピオンは、大相撲の十両にも勝てないという。
逆に、野球はアマとプロの壁が比較的低いと言われる。
甲子園で活躍した高校生が、そのままプロに行ってすぐに活躍する例は多い。
桑田、清原を擁し無敵を誇ったPL学園は、当時万年最下位だった阪神タイガースよりも強いのではないか、とまことしやかに言われたものだ^^

アマとプロの力量差が圧倒的と長らく言われてきた将棋だが、しかし最近は風向きが変わってきた。アマチュア参加枠のある棋戦(竜王戦、棋王戦)で、近年アマチュアの善戦が目立つ。アマチュアがプロにワンパン入れることも珍しくなくなってきた。
これは将棋ソフトの出現が大きい。かつては、局面の最善手を導き出すのはプロ棋士だった。しかもその真偽は「神のみぞ知る」だった。しかし今は、ソフトがあっさりと最善手を提示する。
プロ棋士を将棋の家庭教師として1時間でも授業をお願いするとなれば、本来ン万円の授業料がいるところだろう。それが今や、プロ棋士よりも強い将棋ソフトを使って自分の棋譜を解析して、家で一人で研究できてしまうのだから、これを”革命”と言わずして何と言おう。
奨励会(プロ棋士の養成機関)を年齢制限で退会した瀬川晶司さんや今泉健司さんがプロ棋士になれたのも、ソフトを上手に活用していたことが大きいと思う。もともとムチャクチャ強い人が、ソフトを使って検討すれば、鬼に金棒に違いない。

日本将棋連盟の会長を務めた米長邦雄という人は、本とか言動を見ていると、なんて下品な俗物だろうと思う。本人もそういう下品なふるまいを、確信犯的にやっていた。
週刊誌に自分のヌード写真を撮らせて掲載させるぐらいなのだから、頭のねじが一本とんでいることは自他ともに知っている。女関係の放埓さは、隠すどころか、むしろ誇っていた。升田幸三や藤沢秀行への憧れがあったというから、無頼派を気取っていたところもあるのだろう。
金、地位、名誉。どれに対しても貪欲で、ある意味、実に人間らしい、愛すべき俗物だったということもできるだろう。
ただ、桐谷広人とか弟子は米長にいいように使われて気の毒だったな。ああいうところは全然笑えない。最低の人だったと思う。

米長が将棋界に残した、唯一のすばらしい精神的遺産は、勝負にまつわる”米長イズム”だと思う。
これは「自分にとっては”消化試合”、つまり、勝っても負けてもどちらでもいいような勝負だが、相手にとっては”人生がかかっている”ほどの大きな勝負であるときには、相手を全力で叩き潰せ」という勝負哲学である。
将棋界は狭い世界だから、互いが互いのことをよく知っていて、プライベートでも付き合いがあったりする。
順位戦とかで、自分は残留確定で特に昇級も降格もかかってない安定の立場、相手があと一敗で降格する立場であった場合、相手としては「まぁここでちょっと花を持たせてくれよ」という気持ちである。あからさまに八百長を要求するわけにもいかないが、ちょっと「抜く」ぐらいはしてくれないか。
しかし米長イズムは、ここで一切の恩情なく「相手を突き落とせ」と教える。
米長はその理由を「こういう状況で相手に恩情をかけることは、究極的には、自分にとっても相手にとっても、メリットがないから」としている。もう少し詳しい解説が欲しいところで、僕にもその真意はわからない。
ただ、この米長イズムは将棋界に広く浸透した。
相撲界に八百長が多いことと比べて、将棋界ではそういう話は聞かない。これを米長イズムのおかげとする人もいる。
もともとプロ棋士という人種は、ムチャクチャに頭の回転がはやく、かつ、猛烈に負けず嫌い、という二つの特性を持っているものである。そして、そういう人種の集合体が将棋界である。そこに、大御所米長が「棋士同士の縁故とか上下関係とか忖度せず、重要な対局では相手を叩き潰せ」という米長イズムを注入した。このイズムは、彼らの勝ちにこだわる姿勢と絶妙に調和し、将棋界にいまだに根強く残っている。

さて、折田翔吾アマにとって、プロ棋士になれるかどうか、運命を賭けた五番勝負である。
試験管を務めるプロ棋士5人にとっては、結局のところ、勝っても負けてもどっちでもいい。マスコミの注目度が高いことはわかっている。しかし勝敗は彼らの人生に何ら影響しない。
しかし「こういうときこそ、全力で勝ちに行かねばならない」と教えるのが米長イズムである。
世間は「ユーチューバーからプロ棋士に」という物語を求めている。ここでその夢を阻むことは、いわば世間の目からは、悪役になるだろう。彼らも当然そういうことは意識している。しかし、それにもかかわらず、彼らは折田アマを全力で潰しにかかるだろう。この五番勝負、八百長はあり得ない。

そういうプロ棋士心理を知っていたから、さすがの折田アマもプロ入りは難しいのではないかと、個人的には思っていた。ところが見事に勝ち越し、プロ入りを決めた。
本当にすごいことで、胸が熱くなった。

ここ数年、僕は将棋のネット対局をするのが日課になっている。勝ったり負けたりだが、ときどき、あまりにも不甲斐ない負け方をして、ふと、自分でも思いがけず、涙がこみ上げるときがある。
そういうときは、ソッコーで将棋アプリを終了して、バックギャモンを始める。

僕は、頭の回転自体はそれほど悪いほうではないかもしれない。でも、プロになんか、絶対になれない。そんなに強くなるはずがないんだ。その理由は、僕自身にもわかっている。
自分の感情から逃げている。将棋に負けて泣きそうになるほど悔しいときにさえ、その悔しさに向かい合わない。
折田アマ、いや、折田四段はじめ、プロ棋士になった人は皆、子供のときからそういう悔しさから目をそらさず、研究に打ち込み、強くなってきた。
そう、プロというのは、自分の気持ちから逃げない人のことをいうんだよね。

真菌、コレステロール、癌19

2020.2.27

どの医者でもいいから捕まえて、「マイコプラズマってどういう病気を起こしますか?」と聞いてみるといい。
捕まえたのが整形外科医なら「うーん、学生のときに勉強して以来そういう知識はご無沙汰で、もうすっかり忘れちゃったなぁ」と遠い目で言うだろう^^
捕まえたのが消化器内科医なら、かろうじて「肺炎かなぁ」くらいの答えは絞り出すはずだ。自戒を込めて言うけど、医者なんて、自分の専門以外の知識はすっかり忘れているものだよ^^
しかし捕まえたのが呼吸器内科の先生なら、もうちょっと気の利いた答えが返ってくるかもしれない。「マイコプラズマは肺炎の起炎菌のひとつです。特徴としては、痰を伴わない乾咳ですね。風邪様症状と同時に、下痢などの消化器症状を併発することもあります。一応細菌に分類されていますが細胞壁がなく、自前のエネルギー産生系を持ちません。しかもサイズが細菌よりはるかに小さくてナノのオーダーで、かといってウイルスかというとそうではありません」

そう、細菌のようでもあればウイルスのようでもあり、同時にどちらでもない。
現代医学がCWDs(あるいはソマチッド)の概念を認めていれば、「マイコプラズマはCWDsそのものじゃないか」となって、病気の本質をより深く、統一的に把握できるのだが、パスツール医学(『病因は外部にあり』)に囚われた現代医学が、いまさらCWDsを認めることはないだろう。
もう医者に妙な期待をするのはやめておくことだ。本当の知識を仕入れて、我が身は自分で守るようにしよう。

マイコプラズマが関わっている病気は、何も肺炎に限らない。というか、あらゆる慢性疾患(自己免疫疾患、炎症性疾患、癌、慢性疲労症候群など)に関係している。呼吸器内科の先生でさえ、案外このことを知らない。マイコプラズマは、すべての診療科の疾患に関与していると言っても過言ではない。
これは何も特殊な主張ではない。一般的な医学もこの可能性を認めている。論文を挙げればキリがないが、あえて一部を列挙すると、、、
『炎症性腸疾患とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11713965
『クローン病とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11872112
『ムズムズ脚症候群とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15301831
『心筋梗塞とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12528760
『脳神経障害、脊髄神経根障害、筋炎とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/116630
『関節リウマチとマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10402069
『多発性関節炎とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3128197
『炎症性疾患、癌とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9716980
『癌とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11819772
『心炎とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3083673
『神経疾患とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC490708/
『神経症状とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11170938
『脳卒中とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3614676
『多発性神経根炎、脳幹脳炎とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12220390
『脳幹脳炎とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14676065
『不明熱とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7149873
『胆汁うっ滞性肝硬変とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC149592/
『肺外疾患とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6433568
『横紋筋融解症とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10654971
『腎炎とマイコプラズマ』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10100287

さすがにこれらの論文すべてを訳すことはしません^^;
ただわかって欲しいのは、「病原性を持ったCWDs(マイコプラズマ)が万病のもと」というライフやネサンの主張を、主流派医学(少なくとも研究部門)も認識し始めている、ということだ。
しかしかえすがえすも悲しいのは、現代医学がパスツールの呪縛から逃れられず、「体内環境の悪化によってCWDsが病原性マイコプラズマに変化した」つまり「病気は体の内側から来る」という説を決して認めないことである。
それどころか、上記のような知見に対して「ほう!リウマチにも細菌(マイコプラズマ)感染という側面があるのか!真の原因見つけたり!」となって、マクロライド系やテトラサイクリン系などの抗生剤を投与したりすることにもなりかねない(さすがにβラクタム系を使う医者はいない(はず)。細胞壁がないから)。
もっと話がややこしくなるのは、こういうマクロライド系の投与によって、一瞬確かに症状が改善し得ることだ。
たとえば、アトピー性皮膚炎の背景にも当然CWDsが絡んでいる。そこにタクロリムス(23員環マクロライド)を投与すると、改善する可能性は確かにある。悪化した体内環境の清掃に努めるCWDsがマクロライド系によって追い出される格好になるからだ。しかしこれは、決して治癒ではない。単なる「掃除の中断」である。体内環境の根本的な改善(これについてはまたいずれ説明します)に取り組まない限り、真の治癒があろうはずがない。

参考
“Proof for the cancer-fungus connection”(James Yoseph 著)