2020年2月20日

Rh negative

2020.2.20

血液型といえば、普通はABO式血液型のことを指すが、Rh式の分類もある。
このRhというのは、Rhesus macaque(アカゲザル)の頭文字に由来している。
1901年ランドシュタイナーはアカゲザルとウサギの血液を混ぜて凝集反応の有無を見る実験を繰り返し、ついに、血液型(A、B、O、AB)の着想を得た。
輸血が”バクチ”であった当時(「なんでか知らんけど輸血でうまくいく人もいれば死ぬ人もいる」)、この発見は輸血の成功率を高める大発見だった。
しかし、やはり失敗する輸血がある。ランドシュタイナーはさらに研究を続け、29年後の1930年、ヒトとアカゲザルの血液の間に共通の因子を見つけ、その因子をRh因子と名付けた。
ヒトの約85%はRh因子を有するRh+である。これは赤血球膜の表面にD抗原を持っているということである。しかしその他15%ではRh−、つまり、Rh因子を持たない(日本人のRh−は0.5%)。
ランドシュタイナーは輸血の成功率には、このRhの適合性も関係していることを突き止めたのだった。

さて、その後、様々な生物種の血液が調べられたが、現在地球上に存在する612種類の霊長類そのすべてが、Rh+であることがわかった。
霊長類とは、原猿、類人猿、ヒト、すべて(絶滅したネアンデルタール人をも含めて)を合わせたグループのことである。
Rh−の個体が見られる霊長類は存在しない。ヒトの一部個体を除いて。

ダーウィンの進化論が説くように、ヒトが猿から進化したとすれば、ヒトの一部個体にRh−が見られる現象はどのように説明できるのか?
人類学的な目線で調べてみると、北米・南米大陸の原住民やアジア人にはRh−は存在しない。Rh−はほとんどがヨーロッパ人である。
そのヨーロッパのなかでも、特にスペインに多い。さらに詳細に調べてみると、スペインのバスク地方に集中していることがわかった。
バスク地方はスペインとフランスを分断するピレネー山脈のふもとに位置する、ヨーロッパの”田舎”である。
この地域に、Rh−が集中している。人口の35%が表現型としてRh−である。遺伝型を含めればその割合は60%にもなる。一体なぜなのか?
奇妙なのはそれだけではない。
バスク地方で話されている言葉は、インド・ヨーロッパ語族とは異なっている(というか、世界中のどの民族系統の言語とも似ていない)。言語学者や歴史家はこの謎にいまだに答えを出せずにいる。
すべての霊長類が共通して保有するD抗原である。突然変異によってD抗原を失ったということは、極めて考えにくい。

輸血などの医療において、Rh−の人は不利である。Rh+の人はRh+でも−でもどちらの血液を輸血されても問題ないが、Rh−の人が+の血液を輸血された場合、抗原抗体反応から溶血を起こすことになる。
Rh−の女性がRh+の男性の子供を妊娠した場合、胎児がRh+であったなら抗体を生じる可能性があり、これは胎児にとって、致命的になり得る。

免疫の働きを見た場合、Rh−の母体は、Rh+の胎児を破壊しようとしている、ということである。
これは一体、どういうことか。
Rh+とRh−は、生物種として本来、まったく異質のものであった、と考えるよりほかない。この異質な両者が、歴史のどこかのタイミングで、混血した、ということである。

さらに、近年の研究は、Rh−の人に共通して見られる性質として、以下の傾向を発見した。
・IQが高い
・低体温、低血圧、徐脈(爬虫類的?)
・脊椎の数が1個多い
・赤毛かブロンド
・クローン化できない

かつてはバスク地方に限局していたRh−だったが、15世紀以降、大航海時代の始まりとともに、アメリカやアジアなど、世界中に広まっていくことになった。
人類アフリカ起源説では、アフリカから世界中に人が移動していったことになるが、こうした系列の人はすべて、Rh+である。
一体、Rh−はどこから来たのか?

さて、近年、UFOにより誘拐(abduct)される人(abductee)が増えているという(僕もソースは知りません^^;)。
アブダクティーのほとんどが、Rh−だという。なぜだろう?

【これらの情報から導き出されるひとつの結論】
Rh−は、宇宙人の証拠(あるいは少なくとも地球外生命体の痕跡)である。

【実感】
僕の大学時代の同級生にもRh−の人がいたけど、全然宇宙人って感じ(どんな感じ?)ではなかった^^;
ブラマヨの吉田がRh−って聞くと、宇宙人はずいぶんマイナス思考なのかもしれない^^;

ベンゾ依存

2020.2.20

眠れないから、と病院に行けば、睡眠薬を処方される。
その睡眠薬は、多くの場合、ベンゾジアゼピン系(俗に”ベンゾ”)というタイプの薬である。
この薬を飲めば、きっと寝れるようになるだろう。めでたしめでたし、これでお悩み解決、といきたいところだが、「クスリはリスク」である。
薬には副作用があることも、きちんと認識しておかなくてはいけない。
ベンゾを服用するにあたって、事前に知っておくべきは、依存性と耐性である。
依存性というのは、”ハマってしまう”こと。「その薬で寝れている」という状態から、次第に「その薬なしでは眠れない」という症状が自覚されていく。
しかも、長く続けているうちに、「前は1錠で寝れたのに、今はそれでは寝付けない」となっていく。これを耐性という。同じ効果を得るためには、薬の量を増やすしかない。
こうして薬に次第にからめとられていくわけだけど、その他にも、物忘れ、幻覚・幻聴、頭痛、吐き気、発疹などの症状が出たりする。
「これではいけない。こんな恐ろしい薬は、やめないといけない」と思って急にやめると、眠れなくなるのはもちろん、不安・パニック、手の震え、発汗、食欲不振といった症状も出るかもしれない。これを離脱症状(断薬や減薬によって生じる症状)という。

製薬会社の商魂には、まったく感心する。ある研究者はベンゾの離脱症状の観察から、こういう着想を得た。
「ベンゾをやめたせいで食欲不振が起こるのなら、裏を返せば、ベンゾには食欲増進作用があるのでは?摂食障害治療薬、という名目で売り出せるのでは?」
こんな論文がある。
『食欲増進剤としてのベンゾジアゼピン』
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0195666380800055
「ベンゾジアゼピンに食欲を高める作用があることには一貫したエビデンスがある。しかし、ベンゾジアゼピンによって偏食症を治療したり、摂食量を増やす効果があるかどうかに関しては、有効性のエビデンスはない。
しかし近年の研究では、ベンゾジアゼピンには二つの作用が示唆されている。それは、低用量では空腹感を増加させ、高用量では偏食症を軽減させる作用である。これらの研究から、ベンゾジアゼピンの食欲への作用は、抗不安作用とは異なる機序によるものである可能性が示唆される。摂食障害の治療にベンゾジアゼピンが有効な可能性がある」

こんな研究がうまくいかないことは、臨床でベンゾ患者を見ている医者なら誰でもわかる。
ベンゾの多剤服用に陥っている人は、食が進んで太っているどころか、必ずやせている。もうこれが「答え」でしょう?

ベンゾ依存(およびベンゾの離脱症状)をどう治療すればいいのか、というのは、当ブログでも以前に書いてきたが、今回はまた別の角度から。
実はそもそも、ある種の食品中には「ベンゾジアゼピン様分子」(benzodiazepine-like molecules)が含まれている。かといって、健常者がそういう食品をたくさん食べたからといって、ベンゾを服用したような症状が現れるかというと、そんなことはない。ただ、問題になるのは、たとえば、肝硬変の末期のような患者である。肝臓の解毒力が極限まで落ちている患者では、普通なら何ら問題のない食品中のベンゾジアゼピン様分子でさえ、肝性脳症に拍車をかけることになりかねない。
では、どんな食品にベンゾジアゼピン様分子が多いのだろうか。これを調べた論文がある。
『食品中のベンゾジアゼピン様分子の存在と肝硬変患者の栄養におけるその意義』
https://www.researchgate.net/publication/222675344_Presence_of_benzodiazepine-like_molecules_in_food_and_their_implication_in_the_nutrition_of_cirrhotic_patients
「ベンゾジアゼピン(BDZ)様化合物は一般の食品にも痕跡量含まれているが、肝硬変患者ではその血中濃度が上昇する。
この化合物が何にどれくらい含まれているのかは不明であるが、医療に用いられる植物(ハーブ)や食品に含まれている。本研究では、我々は果物、野菜、穀物、肉、牛乳、チーズ、またさらに、ジャガイモ、トマト、ニンジンのいくつかの異なる栽培品種について、ベンゾ様分子がどの程度含まれているかを調べた。
食品からの抽出物を、高速液体クロマトグラフィ精製によって分離し、集めた分画を放射性受容体測定によって調べ、ベンゾ受容体との結合能を評価した。
結果、ジアゼパム等量換算(DE)/gで、それぞれの平均値は、果物は14.80 ngDE/g、野菜は4.34 ng DE/g、穀物は6.35、肉は4.09だった。 チーズにはほとんど含まれておらず。オリーブ油やその他種子油にはまったく含まれていなかった。これらの知見は肝硬変患者における肝性脳症予防のための食事プラン作成に有用なものである」

この論文の知識は、肝硬変患者のためだけでなく、ベンゾ依存に悩む患者にも生かせるのではないか。
というのは、ベンゾ依存から立ち直ろうと苦しんでいる患者は「もっとベンゾが欲しい。でもやめないと」という状況である。そこで「ベンゾ様分子を含む食品」の出番である。
上記論文によると、果物、野菜、穀物、肉にはけっこう多く含まれているということだから、これらを積極的にとればいいのでは?ということになる。
要するに、結局のところ「栄養に配慮して、バランスよく食べましょう」という、当たり前のところに落ち着くことになるんだけど。

以前のブログで、「タバコ依存はケイ素不足が原因」ということを書いた。
実はタバコに限らず、あらゆる薬物依存(アルコール、砂糖、カフェイン、コカインなど)は、ある種の栄養素(ビタミン、ミネラルなど)の不足が原因ではないか、という説がある。
たとえば、アルコールや砂糖を摂取すると、その代謝プロセスで様々なビタミンやミネラルが消耗される。消耗してしまったのだから、アルコールや砂糖はもう摂らないでおこう、となるかと思いきや、体はむしろ、これらの物質に耽溺する。ビタミンやミネラルの欠乏を必死になって埋めようとして、アルコールや砂糖をますます摂取する。「この奇妙な悪循環こそ、依存の本質である」と説くのだから、なかなかおもしろい説じゃないか。
僕はこの考え方を”Healing The Gerson Way”(Charlotte Gerson著)を読んで知った。
適切な栄養素(リンゴ・ニンジンジュースなど)の摂取を励行するゲルソン療法によって、様々な依存症から回復した症例が紹介されていて、説得力を感じた。
以前の当ブログでも、依存症治療に高用量のビタミンCやナイアシン、マグネシウムなどが有効だと紹介したが、意味合いとしてはゲルソン療法と同じだった。つまり「不足を補うことで、薬物欲求の軽減をはかる」ということである。
ただ、補うにしても、サプリからではなく食品から補えればそれに越したことはない。たっぷりの新鮮な野菜ジュースを飲むことを毎日続けられるのなら、そのほうがきっと回復が早いだろう。
サプリはそういうことができない人のための、次善策ということだな。