ナカムラクリニック

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旧院長ブログ

トラネキサム酸

2019.3.16

風邪の人には、「水分摂って布団にくるまって温かくしていっぱい汗かいてください。あ、水分って言っても、ポカリとか甘いのはダメですよ。水かお茶ね」で終わり。
僕のほうでやってあげられることは、基本的にはない。
だって、風邪というのは治癒反応そのものであって、抑え込むべき『病気』じゃないから。
でも、患者のほうでは物足りない顔をする。
「病院というのは病気を治すところであって、病気を治すには薬でしょ?薬、何か出してよ」と顔に書いてある。
医者もサービス業。
患者の要望に応えることも重要だから、こういうときには極力害にならない薬を出してあげる。
まず、シナール。風邪にビタミンCは鉄則だ。
抗酸化を強める意味で、プロマック(亜鉛)もいい。適応外処方だけどね。
咳や痰とか呼吸器系の症状があるなら、ムコフィリン、ムコダインあたりが無難。Nアセチルシステイン、カルボシステイン、いずれも抗炎症作用、抗酸化作用があるから、風邪の治癒を早めてくれるだろう。
あるいは、トランサミン(トラネキサム酸)もいい。のどが痛い、という人にはテキメンに効く。
抗酸化作用があるのはもちろん、シミを消す美白作用もあるから、風邪が治ると同時にお肌がキレイになっちゃうかもよ^^

勤務医の頃、深夜当直してたときに来院した患者。どう見ても、ただの風邪。「病院来る必要ないよ。家で寝てることが一番の薬だろう」って本音では思うけど、上級医の指示に従って、ルーチン通りに採血したり抗生剤出したりしてた。風邪に抗生剤なんて、こんな有害無益な医療行為はないんだけどね。罪なことをしてたなぁ。

まず害をなすなかれ、が医者の基本。
そういう意味で、トランサミンなんてすごく使い勝手がいい。
薬の処方っていう、何か「仕事してる感」を出せて、しかも無害だから^^;
しかしこの薬は、調べれば調べるほど、いい薬だと思う。
トランサミンは、あえてざっくりいうと、必須アミノ酸のリジンみたいなもので、要するにサプリみたいなものだから、副作用はまずない。
肝斑(顔にできる茶色いシミ。ピルを服用する女性に多い)にも適応があって、美容系のクリニックに勤めている先生なら、使ったことのない人はいないだろう。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4235096/
肝斑患者50人に、1日2回、顔の半分にトランサミン3%溶液を塗り、もう半分にハイドロキノン3%溶液と0.01%のデキサメサゾンの混合液を塗ることを12週間続けてもらった、っていう研究(すげぇ実験だな^^;)。本文に比較写真があがってるけど、トランサミンで本当に改善しているね。
美容だけでなく、マジメ(?)な使い方としては、止血作用があるから、救急現場とかの重度の外傷、外科手術、重度の月経などに投与されている。

トランサミンを作ったのは岡本彰祐博士。
なんとこの先生、トランサミンだけでなく、イプシロン(抗プラスミン剤)、アルガトロバン(抗トロンビン剤)の発明者でもあるというんだから、血液内科医はこの先生に足向けて寝れへんぞー笑
日本よりもむしろ外国で適切に評価されている人で、「抗プラスミンの研究」でフランスの学者からの推薦でノーベル賞にノミネートされたことさえある。

「戦前、慶応大学医学部で生理学の講師をしているときに、召集令状が来ました。北支派遣軍に入り、河南省で栄養失調の研究に従事していました。
ところが当時、大陸で急性熱性ライ病が発生し、兵士らがライ性肺炎で死亡する事態が起こりました。私は血液生理学が専門でしたから、急遽、東京の第七陸軍技術研究所での勤務を命じられ、帰国しました。
ここでの研究で、ある酵素をブロックすれば結節ライは治るのではないかと仮説を立て、様々な実験をしていました。そのときに、東大薬学部の落合英二教授が合成したクリプトシアニン(虹波)という色素に、コリンエステラーぜ抑制作用を発見しました。つまり、虹波がハンセン病の筋麻痺をも改善することになるということを発見したのです。
この成果がきっかけで、私は酵素阻害剤の研究に目を向けるようになりました」

クリプトシアニンは、ルミンAという商品名で現在も販売されている。第三類医薬品だから誰でも買えるんだけど、下手な処方薬よりいい薬だと思う。値段が高いのが難点だけどね^^;ルミンAには抗アレルギー作用があって、この時期、花粉症の人には助けになるだろう。この抗アレルギー作用はヘルパーT2細胞を介したものだということが、最近論文で発表された。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0199666

プラスミンはタンパク分解酵素のひとつで、岡本博士はその阻害物質を追求した。
注射器で血を抜いて、それを試験管に移して放置すると、ゼリー状に凝固する。このときに働く主役が、フィブリノーゲンというタンパク質だ。
普通の血液では、その濃度は0.2〜0.4%であるが、非常に変動しやすく、細菌感染などの炎症が起きると数倍になる。
なぜだろうか。その生理的な意味は?
このタンパク質が、細菌の封じ込めに役立っているのではないか。
1946年にイギリスの研究者がフィブリノーゲンを急速に分解する酵素を発見し、これをプラスミンと名付けた。プラスミンの作用によりフィブリノーゲンが著しく減少すると、致死的な大出血が起きる。これを避けるために、「プラスミンの抑制物質」を探すのが、岡本博士の目標だった。
こうして精力的に研究を続けた岡本博士は、2系列3種類の新薬を世に出すことに成功した。
それも、そこらへんの取るに足りない薬ではなく、3種類の合計で年商100億円の売り上げを持続している薬だ。特にトランサミンは、WHOの必須医薬品モデルリストに収載されているし、イギリス軍や米軍でも常備薬として採用されている(軍隊で使われているということは、有効性の何より雄弁な証拠なんだよ)。

岡本博士は東京出身の慶応ボーイなんだけど、戦後は神戸大学の教授に招聘されて、そのまま神戸を終の住処とされた。
研究者として超一流だったことはもちろんだけど、教育にも非常に熱心だった。インドネシアの教育委員会のお偉いさんたちが、日本の教育モデルを学びたいと岡本博士にお願いしたとき、博士は彼らを連れて、灘高校や神戸大学附属中学校へ連れて行き、教育現場を案内した。
岡本博士が神戸大学附属中学校に来たとき、僕はそこの生徒だった。当時、「探究」という自由課題の授業があって、それを視察に来た岡本博士と、僕はすれ違っている。でももちろん、僕は博士を認識していない。
すれ違った25年後の今、博士が生前書いた本を読んで、彼の歩んだ人生の足取りを追いかけている。人生の縁の糸は、どこでどんなふうに交差してるか、わからないものだね。

参考:『岡本彰祐アンソロジー』岡本歌子編 築地書館

子供の体力低下と栄養

2019.3.15

読売新聞の記事から。
『50M走で骨折、片足で立てず…子どもの体に何が?』https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/20190311-OYT8T50009/
「走っただけで、骨折してしまう」「片足立ちでフラつく」「雑巾がけで腕を骨折した」「跳び箱に手をついた際に骨が折れた」「うまくしゃがめない」
昔の子供にはほとんど見られなかった症状が、最近子供たちの間で増加しているという。
なぜ、こんな子供たちが増えているのか。
記事の答えをざっくり要約すると、
「スマホやケータイゲームなど遊びの質が変わり、外で活動的に遊ぶことが少なくなった。そのせいで、骨が弱くなったり運動能力が低下したから」ということになる。
確かにそれはあるだろう。でもそれだけではないと思う。

まず指摘したいのは、血中ビタミンD濃度の低下。
外で活動的に遊ぶことが少なくなった、ということに関して、「活動的に遊ぶこと」、つまり筋骨格系への物理的負荷により骨が刺激を受け、骨形成が促進されることについては記事中でも言及されているが、なぜ「外で」なのかという点に触れていない。
外には太陽がある。これがすばらしいんだ。
日光に当たることによって、皮膚でビタミンDが生成される。
ビタミンDは胃腸からのカルシウムの吸収量や、腎臓でのカルシウムの再吸収量を調整し、骨にカルシウムを沈着させる。
カルシウムだけ摂っても、ビタミンDがなければ骨の強化にはつながらない(さらに言えば、マグネシウムやビタミンKも必要)。
また、血中のビタミンDは、食事由来よりも自分の皮膚由来のほうが多いというから、ビタミンDの補給には太陽に当たることが一番手っ取り早い。
一般の医学は、紫外線による害を不必要に強調していると思う。
日光に当たることによる恩恵(抗ストレス作用、抗うつ作用、抗癌作用、集中力アップなど)も忘れるべきじゃない。
ADHDの子供では血中ビタミンD濃度が低いことが分かっている。2ヶ月ほど前に出た論文で、ビタミンDのサプリでADHDの症状が軽快するというのがあった。参考にあげておこう。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1876382018301975

グリホサート(商品名:ラウンドアップ)という除草剤がある。
発癌性、遺伝毒性などが言われている。
ラウンドアップのせいで癌になったとして販売元のモンサントを提訴した裁判では、モンサントが敗訴して、約2億9000万ドルの支払いを命じる判決が出た。
人間への毒性のみならず、生態系への悪影響もあって、世界中で禁止の方向に進んでいるが、なぜか日本では使用量の規制を緩和する方向に進んでいる。
グリホサートは植物が土から栄養分やミネラルを吸収するのを阻害することで、除草作用を発揮しているわけだけど、この除草剤をまいた畑で育った野菜は、栄養分、特にミネラルの含有量が少ないことが分かっている。
つまり、上記記事に見られるようなひ弱な子供が増えている背景には、食品中に含まれている栄養分の低下があるのではないか、というのが僕の意見だ。
ただでさえ栄養分が低下してる上に、お菓子やジュースなどの糖質を過剰摂取し、さらにそこにアスパルテームなどの人工甘味料が含まれていれば、骨の劣化はますます進むだろう。
さらに言えば、野菜には化学肥料由来の硝酸体窒素が大量に蓄積しているし、おまけにその野菜は雄性不捻(食べ続けたマウスが無精子症になることが示されている)だし、遺伝子組み換え食品もすでに僕らのテーブルに上がっている。
栄養素が低下しているばかりか、毒入りの食物を成長期の子供が食べているわけだから、発育に影響が出ないはずがない。
たかが食事、じゃない。子供の健康こそが、日本の未来だ。
食事をおろそかにする国は早晩滅びる、といっても過言じゃない。
日本の政治は、モンサントなどの多国籍企業の利益を優先し、自国民の方向を向いていない。
となれば、僕らができることはひとつ。
知識を身につけ、自衛に努めるしかない。

最後に、グリホサートの影響(植物中のミネラルの減少)について考察した論文があったので、紹介しよう。
https://core.ac.uk/download/pdf/11741277.pdf
『グリホサートは、非グリホサート耐性大豆の種子や葉に含まれるカルシウム、マンガン、マグネシウム、鉄の濃度を減少させる』
要約
グリホサートが、植物の成長にどのような影響を与えるか、また、非グリホサート耐性大豆(Glycine max, L.)の葉と種子の中のミネラル栄養素にどのような影響を与えるかを研究するため、温室で実験を行なった。
グリホサートを苗条にスプレーで散布した。除草のために推奨されている使用割合の0.06から1.2%の間で、徐々に使用量を増やしていきながら散布した。
3週齢の植物を使った実験で、苗条に散布するグリホサートを増やしていくと、若葉のクロロフィル濃度および苗条の乾燥重量が有意に減少した。減少は特に植物の若い部分で著しかった。
グリホサートの散布量の増加に応じて、シキミ酸の濃度が、グリホサート散布のないコントロール群と比べて、古い葉では約2倍に、若い葉では16倍に増加した。
ミネラルを分析すると、葉に含まれるカリウム、リン、銅、亜鉛については影響を受けていなかった(むしろ、リンと銅についてはグリホサート投与群の若い葉では有意な増加さえ見られた)。カルシウム、マンガン、マグネシウムについては減少しており、特に若い葉での減少が顕著だった。
鉄については、グリホサートによって葉に含まれる濃度が減少する傾向が見られた。
次の実験は、成熟した実を収穫して行なった。
種子中の窒素、カリウム、リン、亜鉛、銅の濃度については、グリホサート散布によって減少していなかった。窒素、カリウム、亜鉛、銅については、グリホサートの散布量が最大のときに、むしろ増加していた。対照的に、種子中のカルシウム、マグネシウム、鉄、マンガンの濃度は、グリホサート散布によって有意に減少していた。
これらの結果は、グリホサートがカルシウム、マグネシウム、鉄、マンガンの吸収および輸送を阻害したことを示唆している。グリホサートがこれらのミネラルに結合したために可動性を失ったためだと思われる。
グリホサートによる種子中の鉄、マンガン、カルシウム、マグネシウム濃度の減少は極めて特異的であり、種子の質に影響を及ぼしている可能性がある。

コカインとNアセチルシステイン

2019.3.14

俳優がコカインで逮捕された。
特にファンというわけでもないからどうでもいいニュースなんだけど、彼の出演作品を回収すべきだ、なんて声まであって、これはさすがに行き過ぎだろう。
「作品に罪はない」って誰かが言ってて、その通りだと思う。
誰しも、仕事とプライベートがある。
学者としては超一級でノーベル賞までとったけど女性関係がすごくだらしなかった人もいれば、歌人としての才能は素晴らしかったけど借金しては踏み倒してばかりの人もいた。
プライベートの奔放さにもかかわらず、彼らの仕事に傷はついていない。
学者の論文は引用され続け、歌人の句集はいまだに売れ続けている。
プライベートと仕事は別だからだ。
腐った人間精神が輝かしい業績をあげることもあれば、崇高な理念が大惨事をもたらすこともあって、この予測のつかなさが、人間のおもしろいところだと思う。
味のある演技をする人で、出演するドラマや映画をいい感じで引き立てる役者だったと思う。この人が裏で何してようが、出演作品の評価と関係ないじゃないの。
しかも人に危害を加えたわけじゃない。クスリで自分の健康を害してただけでしょ。
麻薬取締法という法律に抵触したことがこの人の罪なわけだけど、それに対してどこかに一定期間閉じ込めることが、本人を更生させる罰として機能しているのか、疑問だね。
「麻薬の使用に対する最大の刑罰は、使用によって失う本人の健康であって、国家はそれ以上の刑罰を科すことはできない」みたいなことをレーガン大統領が言ってたけど、本当、その通りだよね。

この人にとって、これから、が重要だと思う。
薬物犯罪は再犯率が高い。きっちりクスリと縁を切れるかどうか。
田代まさしがダルクの講演で「今目の前にシャブがあれば、間違いなくやると思う」って言ってた。正直な人だね^^;
芸能界での地位、人気、財産、愛する家族、ぜんぶクスリで失った。それでも、また機会があればやってしまうだろうっていうんだから、クスリの恐ろしさは底なしだ。

一般の病院はもちろん、ダルクのような更生施設も、依存症の治療にビタミンを使っていない。
薬物依存症に対するビタミンの有効性に関しては、充分なエビデンスがある。
患者の苦しみを癒す有効な手立てがあるのに、それが使われていないんだ。
医療側の無知、不作為を訴える裁判になってもおかしくないくらいの話だと思う。
薬物依存症にビタミンCやナイアシンが有効だという話は以前のブログに書いたから、ここでは繰り返さない。
最近注目されつつあるのは、Nアセチルシステインだ。
薬物依存、強迫性障害、統合失調症など精神科領域での有効性が言われていて、レビューも出ている。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3044191/
勤務医のときはムコフィリンをやたら出してたから、他の医者は僕のことを頭のおかしいヤブだと思っていたよ^^;

『コカイン依存症におけるNアセチルシステインのプラセボ対照二重盲検』という文献を紹介します。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23952889
要約
コカイン依存症に対するFDAに承認された投薬治療は未だ存在しないままである。
前臨床研究や初期のパイロット臨床研究では、Nアセチルシステイン(NAC)が本症の治療に有効である可能性が示唆されている。
コカイン依存症のボランティア111人を、無作為に3群(NACを1日1200mg服用する群、2400mg服用する群、プラセボ群)に振り分けた。
8週間にわたって参加者をフォローした(週に3回来院してもらった)。
来院のたびに、コカイン使用の自己報告を聴取し、さらに尿サンプルを採取した。
尿サンプルはベンゾイルエクゴニン(コカインの代謝物)の量的レベルを評価した。
この臨床治験の主な結果は、有意差が出ず、否定的となった。しかし、本治験の参加者のうち、すでにコカイン使用を我慢できている人のみを対象に分析すると、NAC2400mg 服用群ではプラセボ群よりコカイン再摂取までの期間が有意に長く、また、コカインへの渇望を示すスコアも低かった。
結論として、本治験において、NACはコカイン依存症患者(使用を継続中の患者)ではコカインの使用を減らすことを証明できなかったが、我慢している人に対しては、コカイン再使用を抑制することが明らかになった。
つまり、Nアセチルシステインはコカインを我慢しているコカイン依存症者の再発予防に有効な手段である。

Nアセチルシステインは、コカインにどハマりしててキメ続けている依存症者には効かなかったけど、我慢しててある程度やめれてる依存症者には再発予防になった、という話。
前者はある意味当然で、コカインを継続中でやめる気もない人に対しては、どんな方法を使ったところでやめようとしないだろう。
上記の研究の要点は、後者にある。やめようと頑張っている人に対して、Nアセチルシステインはお助けになりますよ、という結論が出たわけだから、何とかして更生したいと願っている依存症者にとっては希望の持てる話だ。
前にも書いたけど、アセチルシステインはグルタチオンの前駆体で、グルタチオンといえば、グルタチオン・アスコルビン酸回路で抗酸化に関わっているわけだから、依存症の治療に際しては、抗酸化こそがポイントだと言えるだろう。

ビタミンC〜経口と静注

2019.3.10

特に病気のない人が、毎日の健康維持のためにビタミンCを摂るということであれば、サプリの経口摂取で充分だろう。たとえば1錠1000㎎を朝昼夕食後に摂るとか。
しかし、すでにある何らかの症状(疲労感や風邪から癌まで)に対する効果を期待してビタミンCを摂るのであれば、経口よりも点滴が効率的だ。
たとえばこんな文献がある。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15068981
『ビタミンCの薬物動態~経口投与および静脈投与の影響』というタイトル。
要約
高濃度ビタミンCは試験管内で癌細胞に対する毒性が示されている。末期癌患者に対するビタミンCの臨床研究は、当初、臨床的有用性が示されていたが、その後に行われた2件のプラセボ対照二重盲検では有効性が示されなかった。
しかしこれらの研究では、当初の研究とビタミンCの投与経路が異なっていた。
血中ビタミンC濃度が投与経路の違いによって変動するかどうかを見極めるために、17人の健康なボランティアを対象に研究を行った。
ビタミンC(用量は0.015~1.25g)を経口あるいは静脈から投与し、その後のビタミンCの血中および尿中の濃度を計測した。また、1~100gのビタミンC投与により血中濃度がどう変化するかを計算した。
結果、経口よりも静脈注射のほうがビタミンCの血中ピーク濃度が高かった。その差は投与量が増えるにつれて大きくなった。
ビタミンC1.25gの投与によって、平均の血中ピーク濃度は、経口では134.8 +/- 20.6 micromol/Lとなり、静脈注射では、885 +/- 201.2 micromol/Lとなった(+/-は標準偏差)。
薬物動態モデルでは、4時間おきに3gを経口投与(最大許容量)すると、ビタミンCの血中ピーク濃度は220 micromol/L、50gの静脈注射では13400 micromol/Lになる予測であった。また、薬物動態モデルによる予測では、静脈注射したときのビタミンCの尿中ピーク濃度は、経口で最大用量を投与したときの尿中ピーク濃度の140倍高かった。
結論としては、ビタミンCの経口投与では、血中濃度は厳密にコントロールされている。ビタミンCの静脈投与の場合にだけ、血中および尿中のビタミンC濃度が高かった。これによって抗腫瘍効果が生じている可能性がある。
ビタミンC治療の有効性は、経口投与だけを行った臨床研究では判断することはできない。癌治療に対するビタミンCの効能は再評価されるべきである。

経口よりも静脈から入れたほうが血中濃度が上がるという、当たり前といえば当たり前の話なんだけど、こういうことをデータできっちり示しておくのは意味のあることだ。
これを当たり前だとは思っていない医者がいるからだ。
1979年ポーリングとキャメロンがビタミンCの抗癌作用を明確に示したが、すぐにこれを否定する研究が出た。
この研究はびっくりするほどデタラメだった。
ポーリングの研究はビタミンCの静脈投与なのに、経口で投与していたり(同じ10gなら静注でも経口でも効果は同じ、とでも思ったか)、すでに抗癌剤も効かなくなったような末期癌患者を意図的に入れていたり、プラセボ群がこっそりビタミンCを飲んでいたりした。
これはネズミ相手の研究と人間相手の研究は当然違う。ネズミは無口だが、患者には口がある。「ビタミンCが癌に効くらしい」というウワサが広まるのを、研究者は止められない。末期癌患者も生きようとして必死だから、効くものは何でも試す。
こんな具合に、ほとんどRCTの体をなしてない研究だった。当然ポーリングたちも反論した。
しかし医学界はこの研究を有効として、ポーリングのビタミンCに関する仕事は闇に葬られることになった。
どういう方面から手が回ったのか、おおよそ予想がつく。安いビタミンCで癌が治っては、困ってしまう人たちがいる。抗癌剤という高価な毒物を売って儲けている人たちだ。
こういう現状には気が滅入る。でも僕の仕事は世直しじゃない。
医者として目の前の患者に向き合い、必要に応じてビタミンを使っていくだけだ。

ブログ

2019.3.10

「あのさ、そもそもなんだけど、何のためのブログなの?目的がいまいち見えないんだよね。
自分のブログだから自分の好きなことを書けばいいようなものだけど、それにしたって、医学と関係ないネタが多すぎる。
売り込みたいんでしょ。クリニックを知って欲しいんだよね。
じゃ、もっと戦略的にやらないと。
文章の内容的には、一応見るべきものはあると思う。でも、見せ方がまったくなってない。
まず、長いよ。
せめて、スマホの画面で1スクロール分に抑えないと。
あと、誰に向かって書いているの?
専門的な内容で、医者相手に書いてるみたいだね。
だとしたらそんなブログ、今すぐやめなよ。
クリニックのお客さんになってくれないのはもちろん、知識とノウハウだけパクられて終わり。バカみたいじゃないの。
一般の素人さんを想定して書いているのだとしたら、あっちゃん、素人を買いかぶりすぎだよ。
内容が難しすぎる。俺も含め、素人ってもっとバカだよ。
論文を訳すのとか大変だろうけど、はっきり言っとくけどあんなの、誰も読んでないからね。みんな学者を目指してるわけじゃないんだから。
みんなこう思ってる。
『長い。結論は?』って。
あんな長い文を通読するほど、みんな暇じゃないんだよ。
あと、あっちゃんのスタイルで多いのが、
『一方にこういう考え方があって、他方にこういう考え方があって、学者の間でも議論があります。さて、何がベストでしょうか、みんなで考えていきましょう』みたいな文章ね。
素人からすれば、『そんなん知らんがな』の一言で終わりだよ。
作用機序がどうのこうのとか、泥沼の議論とか、いらない。
みんなが欲しいのは、洗練された結論だ。
何が体にいいのか、何を食べてどのサプリを飲めばいいのか、結局どうすればいいのか。
わかりやすいのが欲しいんだ。
たとえば『ビタミンCがいい!』この一点だけでいい。
正確さを期してかもしれないけど、あっちゃんのブログは条件やら留保やら但し書きが、ムダに多すぎるよ」

ふむー、親身の意見。ありがたく受け取っておこう。
確かに、どういう人を読者に想定するかは難しい問題だ。
たとえばミトコンドリアという言葉を聞いて、「水戸コーンドリア?どんな味のドリアなんだい?」となってしまう人は、僕のブログを読めないかもしれない^^;
そういう意味で、ある程度の知識や教養を前提にしているところはある。
基本的には、分かる人にだけ分かればいい、と思っている。
大衆ウケを狙って媚びた文章を書くのは、ちょっとね。

ノウハウを同業者にパクられて、バカみたいだって?
とんでもない。
本望だよ。パクられてこそ、本物だろう。
そうして栄養療法がどんどん広まって、既存のデタラメな医療が少しでも駆逐されればいい。
僕がブログで紹介している知識は、一部は僕の臨床経験から得たものだけど、ほとんどは過去の偉大な学者の方法論や学術論文を下敷きにしたものだ。僕がすべて編み出したものでは決してない。
より良きものを求めて試行錯誤しながら、先人の知恵を少しアレンジしたりバージョンアップしたりする。そういうふうに進歩していくのが、知識のあるべき形だと思う。

医学と関係ないネタが多すぎる?
確かに。でもそれは僕の趣味だから、勘弁してほしい^^;
人と話したり、何かを読んだりして、ふと、心が揺さぶられるときがある。
「人間って、こういうことか」という本質が、垣間見える瞬間がある。
その瞬間を保存して、できれば広くシェアしたい。
僕が文章を書くのは、そういうときなんだな。