2020年3月2日

見えないもの6

2020.3.2

深夜に部屋で一人、電気を消して布団に入り、ユーチューブのホラー系動画を見ている。
怖くなければ「全然おもんないな」と吐き捨てるくせに、ときどきマジで怖いやつがあって、そういうときは一人でトイレに行くのもきつくなる^^;

そう、ときどき本当に怖いやつがある。ああいうときに体の内側から立ち上がってくる恐怖感って、何なんだろう。
一人でいるはずの部屋に、誰かもう一人いるような、何かの気配がする。でも後ろを振り返るのが怖い。その「何か」を認識してしまったら、、、

こういうとき、その予感は正しくて、「本当に幽霊がいる」とするのがニーチェの立場である。
つまり、「君が深淵をのぞくとき、深淵もまた君をのぞいているのだ」(…when you gaze long into the abyss, the abyss gazes also into you…)

『医師が語る霊障』(橋本和哉 著)を読んで、この感覚が何なのか、一応の説明がつくように思った。
百物語、という日本伝統の怪談スタイルがある。複数人が寄り集まって、各人が怪談を披露していき、全部で百個の怪談をすべて語り終えたときに、本当に奇妙な現象が起きる、とされる。
橋本氏の考えによれば、これは当然起こり得ることである。
夏場などに怪談イベントなどが行われると、そこには意識体やゴーストが集まりやすくなる。人々がゴーストに意識を向けることによって、共鳴が起こるためである。
「意識が、引き寄せる」のである。これは波動という言葉で説明してもいい。
多くの人は、「現象が意識を作る」と思っている。なるほど、確かにそういう場合もあるだろう。
しかし、同じ頻度で「意識が現象を作る」のだということに、多くの人は気付いていない。中にはこの考え方を非科学的だとしてあざ笑う人さえいる。
笑いたい人には、笑わせておけばいい。ただ、事実として「意識することで、引き寄せてしまう」。
このことは、普段からゴーストを意識して生活していると、さらにゴーストを呼び込んで、下手をすれば憑依されることをも意味する。
ホラー系動画を見ているときの僕は、”そういう波動”にチューニングが合っているせいで、本当に変なものを呼んでいるわけだ。

ゴーストは、天界に成仏できず、行き場なくこの世をさまよっている。そういうゴーストにとって、ある種の波動は”助けの灯り”のように見える。
蛾が光に引き寄せられるように、ゴーストはそういう波動の持ち主のもとへ向かう。尤も、多くの場合、実害はない。守護霊がすぐ追い払ってくれるから。
しかし、ときには憑依を受け、現実的な症状として出現することになる。

事実かそうでないかは別として、考え方としてはおもしろい。
引き寄せとか波動という現象は、僕もないわけではないと思う。
人生という荒海を渡っていくときに「意識が現象を作るのだ」という認識でいたほうが、人生に対して受け身ではなくて能動的になれると思う。
霊的現象もこの引き寄せや波動の考え方で説明がつく、というところに、新味を感じるんだな。

橋本先生のクリニックは、一応標榜している科としては、内科、外科、神経内科、整形外科だけど、明らかに「心霊科」とでも呼ぶべき診療を行っていると思う^^;
病気治療のために、マジで除霊をやってくれる先生なんて、他にいないでしょ?しかも本当にそれで治る症例があるのだから、おもしろい。
この本を読んで、不明熱とか倦怠感の鑑別に、霊障、というのを挙げないといけないと思った^^

もちろん、本の真偽は分からない。ただ、こんなぶっ飛んだ内容の本は、他にない。
霊障に効能のある良質食品として、
ぬちまーす(塩)、ショウガ、銀河高原ビール(飲んだことあるけど、そんな効用があったとは!^^)、魔王(焼酎。森伊蔵と村尾と合わせて3Mって言うんだね)が挙げられていたり、
霊障に対する防御として、
アイヌ帯、ジン(タンカレー)、シーサー(沖縄の獅子舞みたいな置物)、漢方薬(桂枝加竜骨牡蛎湯、半夏厚朴湯。別にツムラのでいいんだね^^;)が挙げられている。
先生が地道に、手探りで効果のあるものを探している感じがよく伝わってきて、おもしろいと思った。
アイヌ帯は確かに、僕も不思議な力を感じる。
岡本太郎が、縄文土器の造形や模様に呪術的なものを感じてインスピレーションを得たというけど(確かに、太陽の塔とか、縄文っぽい雰囲気がある)、アイヌの模様にも何かそういうパワーを感じる。

さらに興味深い指摘として、本からマイナスエネルギーを受けることもあるという。
「文字(およびその組み合わせからなる文章)とは、デジタルな記号である」と思っている僕にとっては、まったく異質な考え方である。
異質ではあるけれど、わからなくはない。
「すべて読書とは、著者との対話である」という言葉がある。著者にマイナスの気が宿っていた場合、その読者にも好ましくない影響が出るということは、当然あり得るだろう、という気もする。
翻って、僕のブログはどうなんだろう?
波動とか気とか、”そっち系”の目線で見たとき、僕の文章にはどのようなエネルギーが宿っているのだろうか?
僕の訳書『オーソモレキュラー医学入門』も含め、僕の情報発信にはプラスの気がこもっていると信じたいのだけど、こればっかりは祈るしかありません^^;

真菌、コレステロール、癌22

2020.3.2

「もともと健康で、何ら体に問題はありませんでした。
仕事もバリバリできるし、妻や子供との関係性も良好。ジョギングをして、食事にも気を遣って、毎日充実した生活を送っていました。
状況が変わったのは、会社の健康診断でコレステロールが高いことを指摘されたこと。医師から、コレステロール降下薬を処方されました。
飲み始めてしばらくは、何も異常は出ませんでした。ただ、半年ほど経った頃から、何ともいえない体のだるさを感じるようになりました。
もちろん薬が原因だなんて、思いもしません。体にいいと信じて飲んでいますから。
寝起きがだるくなり、毎日のジョギングに行くのも差し支えるようになってきました。
それどころか、体を動かすこと自体がおっくうになって、トイレに行くのも面倒だとさえ思うようになりました。
一日中ぼーっとして、仕事のパフォーマンスが低下したのはもちろん、休日だって何もしたくありません。体を思い切って動かすと、妙な立ちくらみもある。
薬を1年半ほど飲み続け、全身の倦怠感は病的なレベルに達しました。異常さは、自分の体感としても家族の目からも、明らかでした。
食事、生活習慣を徹底的に見直しました。そしてようやく、原因として突き止めたのが、コレステロール降下薬でした。

なぜこんなことになったんだろう、と思います。繰り返す言うようですが、本当に、体調は絶好調でした。
健康診断は何も問題のない優等生でした。ただ、コレステロールが高いという、その一点だけを除いて。
それで、医者の勧めるがままに、コレステロール降下薬を飲みました。
僕がしたのは、それだけなんです。それだけで、仕事も続けられないくらいの症状になりました。

何だかやるせない気持ちです。
薬の処方前に、医者から特に副作用の説明はありませんでした。あとで知ったのですが、グレープフルーツと一緒に摂取してはいけない、とか、いろいろ禁忌があるんですよね。
そういう説明はなかったです。ただ、「筋肉痛がでるかもしれません」とだけは聞いていましたが、薬のせいでこれほどひどい副作用が出るとは思ってもいませんでした。

薬はやめました。でも、もう薬をやめて3か月が経ちましたが、まだ倦怠感は治っていません。
何とかならないでしょうか?
治療法を模索していくなかで、ネットでオーソモレキュラー療法のことを知りました。
プロテインを飲み始めましたが、いまいち効果は実感していません。というか、これまで調子の悪い日と小康状態を繰り返すようなリズムだったのが、プロテインを始めてから、ずっと調子が悪いように感じているのですが、気のせいでしょうか?」

僕のブログを読んでくれている人で、今日、当院を受診された。
スタチン(カビ毒)に対する解毒法は、いずれブログで紹介するつもりでいたが、この患者のように「何を飲めばいいのか、どうすればいいのか、とにかく早く教えて欲しい」という人がいることを思い知らされた。
手順を踏んで、と思っていたが、予定を前倒しして、下記参考文献の著者James Yoseph氏の勧める食事法を紹介しよう。

ただ、まず最初に、上記患者の誤解を解いておきたい。
オーソモレキュラー療法とプロテインの服用を混同されているところがあるが、オーソモレキュラー栄養療法の創始者(主にはホッファーとポーリング)は、別にプロテインパウダーを勧めていない。
このことは拙訳『オーソモレキュラー医学入門』(A.ホッファー、A.ソウル共著)を読んでもらえればわかる。「高タンパク(肉、卵、乳製品、プロテインパウダーなども含め)が体によい」という旨の記述はどこにも見出すことができないだろう。
それもそのはずで、著者のソール先生自身、”ゆるやかな”ベジタリアンなんだ。ゆるやかな、というのは、「動物性食品を食べないと決めているわけではなく、食べたいときや食べる機会があるときに、良質の肉を少量食べるスタイル」ぐらいの意味である。

一方、ベジタリアンとは真逆のアプローチとして、動物性タンパク質の積極的摂取を勧める考え方に、アトキンス・ダイエットやパレオ・ダイエットがある。
これらの源流はいずれも、1930年代のウェストン・プライス博士の仕事に行きつく。
世界中の原住民を実地調査した結果、プライス博士は「精製した糖質、穀物、加工食品の摂取こそが現代病の元凶である」と考えた。ここから多くの治療家が示唆を得て、”食における原住民への回帰”が説かれるようになった。この流れは、現代日本の高タンパク・低糖質食ブームにも脈々とつながっている。
1972年にロバート・アトキンス医師が提唱したアトキンス・ダイエットは世界中で一大ブームを引き起こし、イギリスでは300万人以上が、アメリカでは11人に1人が、この食事法を試したと推定されている。
なぜ、こんなに流行するのか?
答えは簡単で、「効果をすぐに実感するから」である。
特にアメリカにおいて、肥満は国民病である。精製糖質の習慣的な過剰摂取によって肥満に陥っている人がアトキンスダイエットを行うと、みるみる体重が落ちる。スリムになるばかりでなく、頭の働きもクリアになるだろう。体験者は、こんなに素晴らしい食事法はない、と喜ぶ。
しかし、である。
しかし、何らかの改善したい不調があってその改善を目指して行う治療食が、通常の維持食としてふさわしいかというと、また別の話である。
『体脂肪を減らすための高タンパク食~その機序と危険性』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4258944/
「高タンパク食には、満腹感をもたらし、かつ、体脂肪が減少するというメリットがあって、減量法として最近ますます人気が出ている。
では、なぜ、高タンパク食によって体重が減少するのだろうか?その機序は?
それは高タンパク食によって、以下のような変化が起こるためである。
・満腹ホルモン(GIP, GLP-1)の分泌増加
・食欲増進ホルモン(グレリン)の分泌減少
・食事の熱作用の増加
・タンパク質誘発性の糖新生による血糖値の安定化
しかし、いいことばかりかというと、そうではない。高タンパク食に取り組む際には、注意しておくべきこともある。
一般的な西洋食と並行して高用量の分枝鎖アミノ酸を摂取すれば、代謝性疾患を発症する可能性がある。
また、高タンパク食は体を酸性にするため、腎臓への負荷も増大する。さらに、エネルギー需要量が低い状態(ろくに運動しない状態)で過剰にタンパク質を摂取しては、余剰分はグルコールかケトン体に変換され(糖新生の働き)、エネルギー代謝が正に傾く。これは、高タンパク食の目的が体重減少にあるのなら、好ましくないことである」

どの食事法も人によって合う合わないがあるし、目的によって、ある状況では適切でも、長期的に続けるには不適切、ということは普通にあり得る。
万人に共通して勧められるのは、とりあえず「精製糖質(砂糖菓子や小麦など)を控える」ことぐらいで、そこから先は個々人の状況に合わせてベストな方法を模索する、ということになるんじゃないかな。
上記患者について言えば、スタチンはカビ毒である。このカビ毒が筋肉にアポトーシスを起こして、筋炎が起きているはずである。
一方、プロテイン(のみならず、乳製品全般)は、カビ毒汚染のリスクが極めて高い加工食品である(パウダー製造過程の加熱によって真菌本体は死んでも、カビ毒は失活しない)。プロテインが症状の緩和に効かないところか悪化させた可能性は、説明がつくと考えている。

長文になってしまった。
肝心のJames Yoseph氏の勧める食事法は次回こそ^^;

参考
“Proof for the cancer-fungus connection”(James Yoseph著)

コロナウイルス対策8

2020.3.2

新型ウイルスに対する不安から、デマが広がりやすい状況になっている。
ネットやスマホを通じて情報がすばやく得られることはありがたいことだが、デマも広がりやすいことには気をつけたい。
きのう、こんな情報を見つけた。

「緑茶、紅茶、ウーロン茶のコロナウイルスに対する効果を調べたところ、緑茶に最も強い抗ウイルス活性が見られた」という記事である。
まずは、「緑茶を売りたい業者のステマではないか?」という目線を持ちたいところ。
しかし事実であれば、デマでも何でもない。予防的な意味で推奨できる(スーパーの棚から急にお茶っ葉が消える現象は勘弁して欲しいけど^^;)。
真偽を確認するため、論文をちゃんと読んでみたいところだが、中国語なので読めない^^;
そこで、英語論文を調べたところ、上記画像と同じものではないかもしれないが、SARS-コロナウイルスに対する緑茶成分の有効性を検証した論文が見つかったので、紹介しよう。
『テアフラビン-3,3′-ジガレート(TF3)によるSARS-コロナウイルス3C様プロテアーゼ活性の抑制』
https://www.researchgate.net/publication/7803904_Inhibition_of_SARS-CoV_3C-like_protease_activity_by_theaflavin-33_’-_digallate_TF3
「SARS-コロナウイルスは重症急性呼吸器症候群(SARS)の病因因子である。SARS-コロナウイルスが感染した宿主細胞において、ウイルス内コードされた3C様プロテアーゼ(3CL(Pro))がウイルス増殖のために必須であると考えられている。
本研究において、我々は3CL(Pro)に対する抑制効果について、ナチュラルプロダクトライブラリー所収の化合物720種類を検証した。
これらのうち、3CL(Pro)に対して抑制作用を示した化合物は二つあった。タンニン酸(IC(50) = 3μモル) と3-イソテアフラビン-3-ガレート(TF2B) (IC(50) = 7μモル)である。
これらは茶に含まれる天然ポリフェノールである。我々はさらに、いくつかの異なる種類の茶葉を用意し、3CL(Pro)の抑制効果を検証した。その茶葉は、緑茶、ウーロン茶、プーアル茶、紅茶である。
その結果、プーアル茶と紅茶は、緑茶やウーロン茶よりも、3CL(Pro)に対する抑制効果が強かった。
さらに、茶に含まれている他の成分の3CL(Pro)抑制効果を検証した。その結果、カフェイン、エピガロカテキン・ガレート(EGCG)、エピカテキン(EC)、テオフィリン(TP)、カテキン(C)、エピカテキン・ガレート(ECG)、エピガロカテキン(EGC)には3CL(Pro)抑制効果は認められなかった。唯一、テアフラビン-3,3′-ジガレート(TF3)にだけ、3CL(Pro)抑制効果が確認された」

2005年の研究。SARSの流行(2003年)を受けて、その対策として書かれた論文だろう。SARSの原因ウイルスは、分類的にはコロナウイルスに属するから、上記の研究は現在流行している新型コロナウイルスにも有効である可能性は充分にある。
この研究では、上記画像とは違って、緑茶やウーロン茶よりも、プーアル茶と紅茶を推している^^;
ただ、あくまで3CL(Pro)抑制効果、という点にフォーカスした結論であることに注意しよう。SARS-コロナウイルスに対してどの茶葉が一番効くか、を直接(マウスレベルとかで)示したものではない。

コロナウイルスではなく、インフルエンザウイルスに対する緑茶の効果、という点では他にもこんな論文がヒットする。
『緑茶に含まれるカテキンのインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス効果』
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0166354205001440
やはり、2005年の論文。
緑茶から抽出したEGCG、ECG、EGCのインフルエンザウイルス増殖抑制作用と殺ウイルス作用について検証している。結果、EGCGとECGにウイルス増殖抑制効果が見られた。その機序(MDCK細胞におけるRNA合成阻害がどうのこうの、とか)についても検証しているが、わからへんので省略しまーす^^

「緑茶が体にいい」なんてことはとっくの昔、千年前からわかっていることで、最近になって科学のメスが入り、「なぜいいのか」のメカニズムが科学の言葉で語られ始めた、というだけのことだ。
たとえばきのうのブログで言及した岡澤美江子先生の著書『天の配慮』のなかでも緑茶の健康効果について考察されている。
唾液のORP(酸化還元電位)を調べると、緑茶を飲む前では+40mVだったのが、緑茶を飲んだ後では-50から-30mVになった。つまり、唾液抗酸化力(還元力)が大幅に高まった、ということである。この効果は70度以下で沸かした緑茶で最も高く、高温で沸騰させると低下した(低下したといっても、還元力がないわけではない)。個人的に最も驚いたのは、市販のペットボトル入りの緑茶にも還元力がある商品があったこと(ただし、むしろ酸化させる商品のほうが多かったが)。いい商品を作っているメーカーもいるんだな。
総じて言えることは、水にこだわり、無農薬の茶葉から抽出した緑茶では、「確実に」抗酸化力が高まった、ということ。
唾液を使った研究というのは、採血でやる研究より、結果がスピーディーで勝負が早くて、いいよねぇ。

【まとめ】
新型コロナ対策にはコーヒー(カフェイン)を飲んでも、効かない^^同じ飲むなら、お茶(できれば無農薬のもの)を飲もう。緑茶がいいと言われているけど、プーアル茶でも紅茶でも一応の効果はあるんじゃないかな。