2020年3月5日

真菌、コレステロール、癌23

2020.3.5

タマネギにカビが生えたとして、そのカビの生え方を、よく見て欲しい。

オレンジ色の皮の部分は無傷で、白い可食部分にカビが生えている。
もちろん、タマネギの皮にはカビが生えない、というわけではない。真菌の繁殖条件(湿度、温度、pHなど)を整えてやれば、皮もきっちり分解する。「形あるもの(有機物)は、確実に葬り去り、次なる命への肥やしとする」これが真菌の仕事である。カビこそ真の、必殺仕事人、である。
真菌は、決して手抜きをしない。「この世向きでない有機物」があれば、それがどこにあろうとも(それがたとえ、生きている人間の体であろうとも)、土に還そうと試みる。
僕らはこの状態を、僕らの都合上、「病気」と呼んでいる。仕事熱心な真菌としては、実に心外な表現である。彼らは自分の仕事をしているに過ぎない。

しかし、なぜだろう?
なぜ、タマネギの皮はカビが生えにくいのだろうか?
誰に頼まれずとも黙々と仕事をこなすカビである。そのカビさえも、タマネギの皮の分解がやや苦手だというのは、よほどのことである。
これは皮に含まれるケルセチンの作用による。

ケルセチンには抗酸化作用がある。
カビは酸性環境下(アシドーシス)で働きが高まるから、酸化を抑制する成分に対しては、分解作業が難渋する。
ところでそもそも、生理学的な意味でいうところの酸化とは、「活性酸素の産生が抗酸化防御能を上回った状態」である。火消しの量よりも可燃物のほうが多くあるということで、酸化と炎症はおおむね同義語だと考えてよい。
慢性的な炎症が癌や動脈硬化のもととなり、動脈硬化は万病(たとえば高血圧)のもとになる。
さて、ここでケルセチンを投与するとどうなるか?火消しを投入するのだから、効果はお察しの通りである。
『食品中のポリフェノールが、アポリポタンパクEノックアウトマウスの動脈硬化に対して、炎症および血管内皮細胞の機能不全を緩和することにより、改善効果を示した』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20093625

要するに、抗酸化作用とは抗炎症作用であり、さらに網羅的に述べるなら、抗動脈硬化作用、抗脳疾患作用、降圧作用、抗腫瘍作用、血管弛緩作用などである。

ケルセチンは、分子としては、こういう形をしている。

ところで、ルチンやヘスペリジンという言葉を聞いたことがあるだろうか。
ルチンはソバに、ヘスペリジンは柑橘類の皮に含まれている成分として有名だ。
実はケルセチン、ルチン、ヘスペリジンは、いずれもビタミン様物質(厳密にはビタミンではないが、ビタミンのような働きをする物質)である。
ルチンもヘスペリジンも、分子的には、ケルセチンに配糖体がくっついた形をしている。
具体的には以下のようである。

ルチン↓

ヘスペリジン↓

ケルセチンに、オリオン座みたいな鼓形のやつが2つくっついて、ルチンやヘスペリジンができる。くっつく場所が違うだけだから、働きはおおむね同じ(根っこは抗酸化作用)だと思ってよろしい。(もちろん、サリドマイド(光学異性体)の例を考えれば、「形が似てれば、生理的作用もだいたい同じ」とは必ずしも言えないが。)

さらに、ケルセチンの摂取によって、血中グルタチオン濃度が上がったという報告もある。
『ケルセチンはヒト動脈血管内皮細胞におけるグルタチオン濃度と酸化還元反応に影響するが、これはケルセチン-グルタチオン結合体の細胞内輸送とグルタミン酸-システインリガーゼのアップレギュレーションによるものである』(長いタイトルやのぉ)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5011167/
グルタチオンというのは、要するに、解毒酵素である。これが体内で誘導されるということは、まず、吉兆である。

「なるほど、カビ毒にはケルセチン、ルチン、ヘスペリジンのサプリだな!」と飛びつかないこと。
もちろん、科学の導き出した興味深い知見であるから、それを実生活に生かそうとすることは、基本的に賢明な姿勢である。ただ同時に、どのようにしてその成分を摂るのか、という視点も持ちたい。
ビタミンCやナイアシン、有機ゲルマニウムを高用量で摂りたいときには、さすがに食品では無理があるから、上手にサプリを利用すればいい。
しかし、基本は食品からの摂取である。
玉ねぎを料理するとき、食べるのは実の部分ばかりで、皮は捨てているだろう。ミカンを食べるときも、皮は捨てるだろう。今回のブログは、要するに「ゴミが薬だった」という話である。
玉ねぎの皮や、乾燥させたミカンの皮を、ブレンダーで砕く。それを瓶に保存し、適量飲む(1日小さじ3杯とか)。成分を抽出・精製したサプリには含まれていない様々なバイオフラボノイドが生きていて、サプリ以上に有効だろう。
そんな手間は省きたい、という向きには、玉ねぎの皮の粉末が売っている。興味のある人は検索してみるといい。

カビ毒に効く栄養素の話は、次回にも続きます。

参考
“Proof for the cancer-fungus connection”(James Yoseph著)

奇跡のリンゴ

2020.3.5

『奇跡のリンゴ』で有名な木村秋則さんは、これまで不可能と考えられていたリンゴの有機栽培(無農薬、無肥料栽培)に世界で初めて成功した。
きっかけは、リンゴに散布する農薬によって妻の体調が悪化することだった。「人の体をこんなにダメにする農薬を撒いたリンゴが、果たして健康的と言えるのか」
そこから、リンゴの有機栽培目指す木村さんの挑戦が始まった。
数年間あらゆることを試みたが、しかし、何をやってもうまくいかない。
憔悴しきった木村さんは、真剣に自殺を考えて、地元の山に登った。
首をくくるのに手頃な太さの木を探しているとき、ふと、立派なリンゴを実らせる木が目についた。
奇妙だ。山奥の、誰も世話をしていない木である。農薬は肥料はもちろん、下草さえ刈っていない。それなのに、なぜ虫に食われないのだろう。
そこで木村さん、ハタとひらめいた。
「誰も世話をしていないのに、ではない。誰も世話をしないおかげで、農薬もなしにこんなに育つんだ」
結局、人為の卑小さこそ、すべての元凶だった。
収穫量を上げるために、化学肥料をまく。なるほど数年のうちは、それでうまく行くだろう。しかし結局土は瘦せ衰え、もはや肥料なしでは立ち行かなくなる。肥料の”毒”を吸った果実は、病害虫にも弱い。結果、大量の農薬が必要になる。
そう、まず根本は、土からだ。
土の回復を待つこと数年。ついに、リンゴの有機栽培に成功した。

この話は極めて示唆に富む。何もリンゴ栽培に限ったことではないだろう。
よく実る健康的なリンゴの木を育てることと、生き生きと健康的な体を育むことは、相似図形のような照応がある。
リンゴに散布する農薬や化学肥料は、人間でいうところの、抗菌薬などの様々な薬剤である。どちらも対症療法に過ぎず、根本的な原因に何らアプローチしていない。

勤務医時代の先輩のことを思い出す。娘がひどいアトピーで、同じ病院の皮膚科に通わせていた。ステロイド、プロトピック、ヒルドイドなど、何を塗っても全然よくならない。内服のステロイド、抗ヒスタミン薬も飲むが、効かない。皮膚を一日中搔きむしる。寝ているときさえ、掻いている。学校なんてとても行けない。
「ステロイドなんて塗ってても一生治らないですよ」と、言ってあげるべきだっただろうか。しかし、そんな”本当のこと”を言って、西洋医学の誇りを不用意に傷つけるのもはばかられる。他ならぬ自分の娘から、自分の実践する医療の矛盾を突きつけられることを、彼はどう受け止めるだろう。
結局、僕は無視を決め込んだ。わざわざ言うてあげるほど、優しくないんよね。

何をやってもリンゴが虫に食われる木村さんと、何をやっても娘のアトピーが治らない僕の先輩の姿は、似通っている。
人為の浅はかさに気づき、自然の力を信じることが、まず第一歩である。
西洋医学は、人間の自然治癒力を信じない。体を「救いようのないバカ」と考える。ステロイドで痒みを抑えてやらなくてはいけない。抗菌薬で細菌を殺してやらねばならない。糖尿病薬で血糖を、降圧薬で血圧を、スタチンでコレステロールを、下げてやらなくてはならない。
こういうアプローチでは、健康という果実は永遠に実らないだろう。

そう、木村さんはリンゴの有機栽培に成功した。この成功は書籍化され、映画化され、一応世間にも知られている。しかし、恐らく世間一般の人の認識は「ふーん、すごいね」程度だろう。
木村さんの成し遂げた功績の偉大さを一番認識しているのは、ロックフェラーである。彼らは木村さんの提唱する農業スタイルが普及することを、大げさではなく脅威だと思っている。
農業への介入。それこそが、彼らの世界支配のとっかかりである。農薬のみならず、医薬をはじめとする石油製品が不要であることが露見しては、彼らの計画が頓挫しかねない。木村さんの提唱する自然農法は、手法としても、また、その思想としても、彼らにとって看過するわけにはいかない。

さて、ロックフェラーが危険視する当の木村さんは、実に、飾らない人柄である。別段偉ぶるわけでもない、自然体の人である。
嘘のない人だから、自分の経験したことは素直に、さらりと言う。
高校生のとき、時間が止まり、巨大な龍が現れ、その龍と会話を交わした。
しょっちゅうUFOを目撃し、そればかりか、宇宙人にUFOの中へ連れて行かれ、そこで宇宙人から、UFOの動力源のこと(ボブ・ラザーの証言と一致する)や、もうすぐ世界が終わることなど、様々なことを聞いた。

自然農法に成功し、その普及を目指す人である。その木村さんが、そういう”トンデモ”系の話をすることには、メリットがない。それどころか、下手をすれば、自然農法の評判自体にも傷がつきかねない。「リンゴの有機栽培に成功した人って、頭おかしい人らしいじゃない」と。

木村さんはUFOのなかで、カレンダーの整理をしている人(人というか、神かもしれない)を見た。そのカレンダーは、1年あたり畳一枚ほどの大きさで、木村さんはその整理作業を手伝った。ふと、ある年代以降のカレンダーがないことに気付いた。「これ以降のカレンダーはないんですか?」と尋ねると、「ああ、もう必要ないからね。人類が終わるから」

あけすけに何でも語る木村さんだが、この終末年、カレンダーがいつ終わるのかについては、決して語らない。「2、3年ということはない。ただ、決して遠い先というわけでもない」と言葉を濁すのみである。
柔らかい人柄の木村さんだが、芯の強さは常人離れしている。言わないと決めたことは、どんな脅しをかけられたって絶対言わない。
ところが最近、高野誠鮮さんらと一緒に酒を飲んでいるときに、酔った勢いでポロッと言ってしまったという(ちょっと!木村さん!^^;)。

残り12年。
干支が一周するほどの時間である。
農業肥料による亜酸化窒素が気球温暖化を推し進め、結果、各地で異常気象が続発し、食料をめぐって紛争が勃発する。
自然農法は日本生まれである。岡田茂吉に始まり、福岡正信が継承し、木村秋則が再度復活させた。龍の国日本が、今こそ立ち上がらないといけない。
「もう時間がない」木村さんもそういう危機感があって、あえて意図的にポロッと漏らしたのかな。

『地球カレンダーの残りの枚数 温暖化の本当の原因 』