院長ブログ

精神疾患とゲルマニウム

2019.4.2

栄養療法の実践者は、ビタミンやミネラルについて一通り精通しているものだけど、自分の臨床経験を通じて、特に思い入れの深いビタミンがあるものだ。
たとえばポーリングはビタミンCのすばらしさを実感していたし、ホッファーはナイアシンに強い愛着を持っていた。
自分がその有効性を科学的に実証し、多くの患者の命を救い、彼ら自身その栄養素の効果を実感していたのだから、それだけの思い入れを抱くのも当然だろう。
最近、Sandra Goodman博士の”Germanium The health and life enhancer”という本を読んだ。
この著者の「押し」はゲルマニウムだ。
著者はゲルマニウムが様々な疾患に効くことを知り、その有効性に魅了された。本の中で、その効果を絶賛している。
上記の本から、ゲルマニウムと精神疾患についての記述を、一部引用しよう。

「精神疾患は、単一の原因により引き起こされる単独の病態というわけではない。遺伝、生化学、栄養、心理など、様々な原因に由来する体全体の不調、それが精神症状として現れたのが精神疾患である。
だから、この病態に対するアプローチは、全身のバランスを回復させることを意図して、多方面から取り組んでいく必要がある。すべての精神疾患に対して、劇的に改善する奥義や裏技があるわけではないのだ。
最近数十年の研究によると、様々な精神障害(たとえばうつ病や統合失調症など)において、生化学と栄養が関与していることが明らかになっている。
たとえば、体内の過剰な銅(原因は銅の水道管、銅の調理器具、経口避妊薬、ビタミンC・B3不足など)は幻覚や妄想の原因となる。
また、多くのうつ病や統合失調症の患者は、亜鉛やビタミンB6が欠乏しており、ひどい頭痛、神経疲労、光や音への過敏といった多くの症状がある。
自閉症の子供に亜鉛やビタミンB6を投与すると非常に改善し、ついでにニキビ、発疹、ヘルペスまで一緒に治ってしまった、なんて話もある。
ある種の統合失調症のタイプとして、脳アレルギーを原因とするものは、メチオニン、カルシウム、亜鉛、マンガン、ビタミンB6、ビタミンCで改善する。
気分障害は、一般的な食物(小麦など)に対するアレルギーや、血糖値のアンバランスに対するアレルギーによって引き起こされることがある。こうしたアレルギーは栄養面の改善によって緩和することができる。
多くの破壊行動や衝動的な粗暴行為は、その背景に栄養的・生化学的な側面がある可能性がある。
有機ゲルマニウムは、慢性的な精神病、うつ病、てんかんなどの治療に成果を上げており、浅井研究クリニックによると以下のような改善例がある。

(1)統合失調症の診断を受けた15歳女児。自閉症の傾向が出現し、あらゆるものに対して不信を感じ始め、学校にも行かなくなった。
有機ゲルマニウムの摂取を開始して1か月後、月経痛が消失し、表情が明るくなり、性格も快活になった。1年後には、再び学校に通えるようになった。
(2)虫垂切除術後にうつ病を発症した27歳女性。目はうつろで、急に涙を流すこともあった。有機ゲルマニウムを1日80mg摂取し始めてから2日以内に、どんよりした目つきが消え機敏な目が戻った。2日後には表情が普通に戻り、言葉がほとんど普通に話せるようになった。10日後には大学の入試試験を受けた。25日後、治療を中止。その後7年経過するも、症状の再発はない。
(3)二度目のうつ病にかかった38歳男性。目はうつろで、話すことさえできなかった。トフラニール(抗うつ薬)を服用していた。有機ゲルマニウム100㎎を1日2回摂取し始めて1週間後、目が明るくなった。しかし、「まだいまいち気力がわかなくて」とこぼした。トフラニールの用量を半減した。2週間後彼の表情はほぼ正常に戻り、1か月後には職場復帰を果たした。その後ほぼ1年、有機ゲルマニウムの摂取を続けた。3年間、症状の再発は見られていない。
(4)58歳女性。半年おきに消長を繰り返すうつ病をわずらっていた。最初の3か月ほど一定のうつ状態が続き、それから徐々に増悪し、ついには自殺未遂を起こすほどに症状が悪化するのだった。有機ゲルマニウム10㎎を1日2回摂り始めてから2,3日すると、持病の不眠症が消えた。やがて、うつ病の症状もほぼ消失した。その後3年間、有機ゲルマニウムの摂取を続けた。それから8年が経過したが、症状の再発はない。
(5)30年来のうつ病の既往のある69歳女性。病状は冬になると悪化する季節性のものだった。有機ゲルマニウム70㎎を1日2回摂り始めた。3年服用を続けた。うつ病の症状がまったくないため、有機ゲルマニウムの摂取を中止した。
白内障の手術を受けた後、またうつ病の症状がぶり返した。およそ5か月後、有機ゲルマニウムの摂取を再開した。症状はすぐに改善した。寝ている途中で覚醒することもなくなり、よく眠れるようになった。今も体調良好である。

有機ゲルマニウムが、なぜこんなにも効くのか。その生理学的・生化学的メカニズムは十分には分かっていない。
しかし、有機ゲルマニウムの特性を調べることで、なぜ精神疾患に効くのか、その理由を推測することは可能である。
(1)まず第一に(そしてこれが最も大きな理由だが)、有機ゲルマニウムによる酸素充足作用である。生命にとって酸素が必要なのはもちろんだが、脳細胞にとって特に不可欠である。脳はたった3分間酸素供給が途絶えるだけで、死滅する。だから、有機ゲルマニウムが精神疾患の治療に大きな成果を上げている最大の理由は、有機ゲルマニウムによる脳への酸素供給の増加によるものだろう。
(2)また、有機ゲルマニウムは強力な抗酸化物質でもある。このおかげで、有害なフリーラジカルが無毒化され、結果、脂質膜の過酸化によるダメージを防ぎ、血液の性状を健康に保つことができる。つまり、毒物の除去に加えて、こうした血液の浄化作用によって、多くのいわゆる「メンタル」面の不調が改善すると考えられる。
(3)さらに、有機ゲルマニウムには重金属(水銀、カドミウムなど)を捕捉、排出する働きがある。こうした重金属には神経系への毒性が知られているが、有機ゲルマニウムはこれらの重金属の排出を促すことで、精神疾患を改善させているものと考えられる。
(4)有機ゲルマニウムによるもう一つの大きな効果として、免疫賦活作用がある。免疫系は、各臓器やホルモンが複雑に絡み合って成立している。有機ゲルマニウムは体の自然免疫を刺激し、そのことで免疫機能の向上(インターフェロン、NK細胞、マクロファージ、サプレッサーT細胞などは全身の生化学的・神経化学的物質に大きな影響を与える)が起こる。
有機ゲルマニウムによる治療効果は根本的な生命力を高めることにあるため、精神症状を来す自己免疫疾患(たとえば全身性エリテマトーデス、あるいはAIDSも)の治療にも有効である。ホルモン状態および免疫機能の改善は、患者の精神状態に確かにプラスの影響を与えるだろう。
有機ゲルマニウムの代謝、生化学、そして体への必須性については、今後もっと研究されなくてはならないだろう。有機ゲルマニウム自身の栄養特性やその他の栄養素との組み合わせについて、精神疾患にどのように影響するのかの研究が進めば、有機ゲルマニウムの治療効果がもっと明らかになるはずだ。」

漢方薬がなぜ体にいいのか?
有機ゲルマニウムの合成に世界で初めて成功した浅井一彦先生によると、この問いに対する答えは、「ゲルマニウムを含んでいるから」だ。
朝鮮人参、クコの実、さるのこしかけなどにゲルマニウムの含有量が多かったという。
一般のオーソモレキュラー栄養療法が、有機ゲルマニウムを治療に積極的に取り入れていないのが不思議だ。
個人的には、方法論にとらわれる必要なんてなくて、とにかく「患者をさっさと治したもん勝ち」だと思っている。
だから、このゲルマニウムのように有効性が明らかになっているものに関して、僕はすぐに治療に取り入れる。
方法論に対する義理堅さ、なんて何の自慢にもならなくて、患者の利益こそがプライオリティなんだから、こういう「節操のなさ」は大事だと思うんだよね。

令和

2019.4.1

レーワ、という年号を初めて聞いて、「何かカッコよくていいんじゃない?」というのが第一印象。
「令和元年生まれ」とか、何かしぶい感じがする。
しかしネットのライブ中継を一緒に見ていた看護師の第一声は、「何か冷たい感じがする」。
確かに、霊話とも聞こえるし、レイから「冷」をイメージしなくもない。
零和と考えれば、ゼロサムゲーム、取ったり取られたり(だけど全体的な収支はトントン)、平成時代に続き令和時代も経済戦争が続くのだな、という感じもする。
「1話、2話じゃない。0話なのだ」と考えれば、これから語られる物語の新たな序幕、だという雰囲気もある。
でもこんなふうに、言葉の感じをいじくりまわして吟味するのは最初のうちだけで、そのうちすっかりなじんで、別段何も感じなくなるのだと思う。
いままで平成が何ら違和感なくフィットしていたみたいに、令和もなじむに違いない。

今頃、お役所は行政文書の書式の改変に大忙しだろう。
たとえば僕の仕事に関係している分野でいうと、死亡診断書。
死亡者の生年月日の欄が、西暦じゃなくて元号を使っているから、明治、大正、昭和、平成に続き、令和を書き加えないといけない。
死亡するのは高齢者ばかりじゃない。令和生まれの新生児が亡くなった場合に、「令和」の項目がないと困ってしまうからだ。
しかしこういう手間が敬遠されて、この改元を期に、そもそも元号を使うこと自体が、すっかり廃れてしまう可能性があるな。
めんどくさいから、いっそ西暦で統一してしまおう、というのはあり得る話だと思う。

個人的には、西暦一色じゃなくて、和暦も共存して欲しいな。
時代をまとめて語るときに、元号があったほうが便利だと思う。
「将棋界、昭和は大山、平成は羽生の時代だった」「野球界、昭和は長嶋、平成はイチローの時代だった」
みたいに、ざっくりした時代区分の呼称として、元号は使い勝手がいい。
「これだから平成生まれのゆとりは、、、」みたいにディスるときにも便利だし笑

小学校二年生、8歳のときに平成を迎えた。
そして今、38歳。
平成の30年は、僕という人間の形成期で、青春時代そのものだった。
5月1日に即位する徳仁親王は現在59歳。
新天皇が日本人の平均寿命まで生きるとすれば、令和は20年以上は続くはずだから、僕にとって令和は中年から初老を過ごす時代ということになりそうだ。
いい時代になるといいなぁ。

カフェイン

2019.3.31

カフェインは病院でも普通に処方されている、れっきとした薬だ。
眠気、倦怠感、頭痛(カフェイン禁断性頭痛など)に対して適用がある。
カフェインが気分、集中力、単純計算のパフォーマンスを高めることには複数の研究があって、エビデンスとしては固い。
たとえば以下のような研究。
https://link.springer.com/article/10.1007/BF00210835
『低用量カフェインの作業能率および気分に対する効果』
要約
カフェインは気分やパフォーマンスに対して刺激物質様の効果があると考えられている。しかし、食品やOTC薬品(ドラッグストアで誰でも買えるような薬)に含まれている程度の低用量カフェインの処方によって、どのような急性の影響が出るかを調べた研究はほとんどない。
そこで我々は、健康な20人の男性ボランティアに対して、様々な用量のカフェイン(32mg、64mg、128mg、256mg)を単回投与し、血中カフェイン濃度、様々なパフォーマンス項目、自己報告式の気分スコアを評価した。
結果、たったの32mgで(これはコーラ1杯に含まれているカフェインの量であり、コーヒー1杯やOTC薬品に含まれているカフェイン量よりも少ない。また、この量による血中カフェイン濃度の上昇は1μg/mlにも満たない)、聴覚および視覚の反応時間が有意に高まった。
他の投与量でも、これらのテスト項目のパフォーマンスが有意に高まった。
不安感の増大や運動パフォーマンスの低下など、行動面への悪影響は、最大用量の投与でも観察されなかった。

最近出たレビューで、カフェインがサッカー選手のパフォーマンスにどのような影響を及ぼすかを調べたものがある。
https://res.mdpi.com/nutrients/nutrients-11-00440/article_deploy/nutrients-11-00440.pdf?filename=&attachment=1
『サッカー選手におけるカフェイン摂取と身体パフォーマンス、筋肉のダメージおよび疲労の知覚:系統的レビュー』
サッカーは複雑なチームスポーツであり、この競技における成功は、身体能力、選手の技術、チーム戦術など、様々な要因が左右している。過去数年、カフェインの摂取によってサッカーの身体パフォーマンスにどのような影響が出るかを調べた研究が複数あったが、これらの研究結果は適切にレビューされていない。このレビューの主な目的は、カフェインの適量摂取によるサッカーの身体パフォーマンスへの影響を適切に評価することである。
2007年1月から2018年11月までのMedline/PubMedおよびWeb of Scienceのデータベースにおける『系統的レビューとメタ分析のための選好報告項目』(PRISMA)のガイドラインに従って、文献検索を行なった。検索した文献には、カフェインの無作為化比較試験(カフェイン含有の飲料あるいは錠剤)が含まれている。サッカー選手のレベル、性別、年齢による調整は行なっていない。
このレビューは17本の論文を対象としており、このうち12本はカフェインのサッカー特有の能力に対する影響を、5本はカフェインの筋肉損傷に対する影響を、調査したものである。ジャンプ力、頻回ダッシュ能力、試合中の走行距離で、身体能力が高まっていた、というのがこのレビューの結論である。
カフェインによって筋肉の損傷を示す血中マーカーが増加することを見出した論文が1本あった。カフェインによってサッカー後の疲労感が減少したとする報告はなかった。結論として、サッカーをする5〜60分前のカフェイン単回適量投与は、サッカーの身体パフォーマンスに関連したある種の能力を高める可能性がある。しかし、筋肉損傷を示すマーカーの増加を引き起こす可能性は低いと思われる。

カフェインがどのようにして薬理作用を発揮しているのか。
この機序にアデノシン(催疲労物質・睡眠物質)の抑制が関与しているのではないか、という仮説を提唱しているのが以下の論文だ。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12399249
『疲労に対するカフェインとアデノシンの影響』
カフェインは運動中の疲労を遅らせるが、この機序は不明である。
本研究は、カフェインの抗疲労効果は中枢神経系(CNS)のアデノシン受容体の阻害によるのではないか、という仮説を検証するものである。
まず、自発的歩行活動に対するカフェインおよびアデノシンA1/A2受容体作動薬5Nエチルカルボキサミドアデノシン(NECA)の効果を確認した。自発的活動あるいはトレッドミル・ランニングの30分前に、ラットにカフェイン、NECA、あるいはその両方(カフェインとNECA)を投与した。
結果、カフェインは自発的活動の増加、NECAは自発的活動の減少と関係していたが、カフェインとNECAの同時投与では、NECAにより誘導される活動減少が見られなかった。またカフェインは、コントロール群に比べて、疲れるまでの走行時間が60%伸び、NECAは疲れるまでの走行時間が68%短くなった。
この結果は、カフェインによるCNSを通じた疲労遅延作用の少なくとも一部には、アデノシン受容体の阻害が関与していることを示している。

高校で生物の授業をとった人は、生物はエネルギーの媒介物としてATP(アデノシン三リン酸)を利用している、と習っただろう。
ATPは暖炉にくべる薪で、アデノシンはその燃えカスのようなものだ。
上記の実験では、ラットにアデノシンを投与すると自発的運動が減少していたが、カフェインの同時投与でそれがキャンセルされた。
アデノシンは身体・精神活動の燃えカスで、その投与で自発的運動が減少するのは理にかなっている。疲れてグッタリするのだろう。そこにカフェインを入れると元気になるというのは、カフェインがアデノシンの作用に干渉するからだ。
コーヒーを飲みすぎると夜寝られなくなるのは多くの人が経験済みのことだが、その機序の一端が解明された格好だ。
休憩時間にコーヒーを1杯飲んで、さて、午後の仕事も頑張ろう、という人は多いと思う。ただ、上記の研究からわかるように、コーヒー(カフェイン)によって疲労物質(アデノシン)が消滅したわけではない。アデノシンはしっかり残っていて、カフェインはそれが受容体にくっつくのを邪魔しているだけのことだ。
カフェインはあくまで適量摂取にとどめて、夜にはしっかり休息することが大事だ。

筋トレ

2019.3.30

大学受験で医学部を受験することが特殊なのは、それが職業選択にそのまま直結している、ということだ。医学部医学科に合格するということは、ほぼそのまま、医者になるということを意味する(合格したものの、途中でドロップアウトしてしまう人や、医者以外の職業につく人も少数ながら存在するが)。
こんな学部は他にない。
法学部だから弁護士を目指すとか、理学部だから研究者を目指す、みたいに、学部によって将来の職種がやんわりと決まる学部もないわけではないが、それは本当に「やんわり」であって、法学部卒業でも弁護士じゃない人、理学部出身でも研究職じゃない人というのはたくさんいる。
将来の職業は、就職活動を通じて決める。これが普通の大学生の姿だ。
就活中の学生の話を聞いていると、ずいぶんしんどそうだ。
医学部はテストばかりで、大量の知識を頭に詰め込まないといけない大変さはある。でも、就職活動で自分を企業に売り込まないといけない、みたいな大変さはない。
何社も落ち続けてる学生が、こぼしている。
「就活してみて気付いたのは、意外に体育会系の運動部が優遇されていること。『営業は体力が資本だから、部活で体を鍛えたタフな学生が欲しい』と新卒採用の担当者が言っていた。
運動部は一般に上下関係が厳しいから、そういうなかで揉まれてきた学生のほうがコミュニケーション能力も高い、と思われているところもある。オタクっぽい文化系サークルに入っていても、採用担当者にはまったくアピールにならない。いまさらだけど、運動部に入っているべきだった」
こういう声を聞けば、文化系サークルに対する差別だなぁ、なんて以前は思っていたものだけど、今はそうは思わない。採用担当者が運動部出身の学生を優遇するのは、一理あると思っている。
これは確率の問題で、運動習慣のある人とない人で比較すれば、単純に、前者のほうが後者よりも優秀である可能性が高いんだ。
もっと言えば、前者のほうが後者よりも、活動的でポジティブなアイデアマンである可能性が高いし、風邪などの身体疾患の罹患率が低いし、うつ病含め精神疾患になりにくい(企業にとって社員がうつ病に罹患することは大きな損失)。
こういう統計があるから、企業としては少しでも有能な可能性の高い運動部出身者を採ろうとする。
企業はボランティア団体じゃなくて営利活動を目標とする集団だから、これは仕方ないと思う。

さらに言うと、運動する人は記憶力が高いというデータさえある。
これは、高校生の頃の同級生を思い出せば、みんな同意するんじゃないかな。
つまり、何も部活していない子のほうが勉強時間がある分、運動部の子よりも成績がいいかと思いきや、実際には運動部の子のほうがはるかに成績がいい、という例は、みんな見ているだろう。

https://core.ac.uk/download/pdf/85221708.pdf
『高齢ボランティアにおけるレジスタンス・トレーニングの健康および記憶力に対する効果』
目的:健常高齢者において、レジスタンス・トレーニングによる筋力、心理的幸福感、自己制御感、認識スピード、記憶力に対する短期的・長期的な効果を決定すること。
方法:46人の高齢者(平均73.2歳。女性18人、男性28人)をトレーニング群と対照群(各々23人ずつ)に無作為に振り分けた。トレーニング介入は8週にわたって行われたが、介入の1週間前に事前テストを、介入の1週間後に事後テストを行った。トレーニングは週に1回行い、10分間のウォームアップと、マシンを使った8種類のレジスタンス運動で構成されていた。
結果:トレーニング群において、最大筋力の有意な増加が見られた。このトレーニング効果は、自意識過剰の有意な減少と関連していた。これによって、心理的な幸福感が高まったものと考えられる。自己制御感については、有意な変化は見られなかった。
トレーニングの経過とともに、認識機能に対して適度な効果が見られた。認識のスピードについては変化しなかったが、トレーニング群では自由想起や認識力において、事前テストと事後テストの間で有意な変化があった。トレーニング群と対照群で事後テストを比較すると、認識力に軽度の効果があったが、自由想起については有意差はなかった。長期的な効果については、トレーニング群での筋力および記憶力(自由想起)が、1年後も有意に高かった。
結論:8週間のレジスタンス・トレーニング・プログラムによって、不安および自意識過剰が軽減し、筋力が向上した。

この研究がおもしろいのは、被験者が高齢者だということだ。
高齢者でさえ、筋トレによって脳の力が高まったんだよ。若い人が運動をして、プラスの効果が出ないはずがない。しかも、たった週1回だけで効果が出ている。
これはもう、今日からでも筋トレを始めるしかないでしょう!

選好基準

2019.3.29

独身時代の福山雅治、あるインタビューで『結婚したい女の条件』を聞かれた。
それに対して、彼、どう答えたと思う?
「知らんよ。男前の考えてることなんてわからん」
ちょっとは予想してみなよ。
「うーん、やっぱり、美人?きれいな人が好きなんじゃない?自分と釣り合うだけのルックスを女性にも求める、みたいな」
遊びなら、ルックスだけでいいかもしれない。でも結婚となれば、外見は条件から外れるものだ。美しさなんて若いときだけの消耗品だから。
彼、見た目のことは何も言っていない。あえていくつかに絞るのなら、と前置きしながら、
・心身ともに健康であること
・感情の起伏が少ないこと
・料理が好きであること、この三つを挙げている。
「意外に普通だね」
そうかもしれない。しかし稀代のモテ男がたどり着いた究極の結論がこの三つなんだと思えば、なかなか深いものがあるじゃないか。
すごい美人だけど精神的に病んでる女とか、生理前に猛烈に不機嫌になる女とか、いろいろ見てきたはずで、そういう経験を踏まえての、心の健康とか感情の安定、なんだと思う。
料理が好きっていうのは、『あなたのために作ったの』みたいな妙に肩肘張った押しつけがましさではなくて、料理好きだから作ってるっていう、自然なスタンスで料理している人が好ましいということだ。
こういう自然体で料理に向き合える人は、結果的に料理上手でもあるだろう。
「確かに料理は重要だよね。毎日食べるものだから、料理が下手な嫁さんって他の面が満点でも、しんどいなぁ」
そう、食べ物は生きていく上での根本だ。俳優であれどんな職業の人であれ、毎日の食事をおろそかにして成功している人はいない。だから食事面できっちりバックアップしてくれる人は、伴侶として理想的だ。
「しかしまた、何の話?」
俺も伴侶の選択の際には、この『福山基準』を参考にしよう思って。
「まぁ、モテ男みたいなこと言うやんか!」
俺がモテるモテないの話じゃない。洗練された結論だから、俺みたいな素人にとっても参考になるところがあるはずだっていう、ただそれだけの話だよ。
「いや、君は最近調子に乗ってるところ、あると思う。
あのさ、誰も言ってくれないだろうから、俺が言ってあげよう。
君がモテてるんじゃないよ。モテてるのは君の医師免許だ。勘違いしちゃいけない」
勘違いするも何も、女が男の職業を見るのは当然だろう。素っ寒貧のニートに惚れる女がどこにいる。
「職業を見てあっちゃんに近付いてくるような女は、何とも認めがたいな。露骨だよ」
言ってることはわかる。わかるけど、そんなもんだろう。
逆に、伴侶の選択基準が愛情だけで、男の経済力を一切見ない女がいるとしたら、どれだけ幼いんだって思う。中学生の恋愛じゃないんだから。
医者の肩書きに釣られて寄ってきた?全然けっこうじゃないか。わかりやすくていい。むしろ、医者という仕事は今や俺のアイデンティティと不可分になっているから、そこを見ないで俺に近付いてきた女性に対しては、逆に警戒するところさえある。
「あっちゃん、朗報があるよ。
https://www.excite.co.jp/news/article/Ovo_1277168/
約8割の女性が「貧乏なイケメン」より「金持ちのハゲ」を結婚相手に選んだ。多くの女性にとって結婚相手選びで大切なのは、ルックスよりも経済力、とのことだ」
まだハゲてへんわい!しかし将来どうなるかは約束できないけど^^;
「しかし、女性を選ぶときに考えるのは、福山基準だけ?顔とかスタイルは見ないの?」
個人的な好みはさておき、男性が女性の容姿のどこを見ているのか、こんな研究がある。
『女性のウェスト・ヒップ比および胸のサイズに対する男性の選好の視線追跡研究』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19688590
要約
人間の身体的特徴と配偶者の選好の研究に際して、しばしば用いられるのは、参加者に写真の魅力度を格付けしてもらうアンケートである。女性のウェストとヒップの比率、胸のサイズ、顔の見た目はすべて、男性が女性の魅力を評価するときに関係していることがわかっている。
しかし、男性がそうした写真をどのようにしてきめ細かく評価するのか、詳しいことはほとんどわかっていない。
我々は『視線追跡法』を用いて、固視(visual fixation)の回数、視線の滞留時間、固視の変化(同じ女性の写真のウェスト・ヒップ比(0.7か0.9)と胸のサイズ(小、中、大)をコンピューター・モーフィングで連続的に変化させる)を測定した。また、男性はこれらの写真の魅力度を格付けした。
結果、最初の固視(毎回5秒のテストを行うが、その開始から200ミリ秒以内に起こる)には胸かウェストのいずれかが関与していることがわかった。これらの体の部位はいずれも、顔や下半身(恥部や脚部)よりも多くの固視を受けた。
男性はより高頻度に、かつ、より長時間、胸を見ていたが、これは写真のウェスト・ヒップ比と無関係だった。
しかし男性は、砂時計状の体型で、かつ、スリムなウェスト(ウェスト・ヒップ比が0.7)の写真を最も魅力的だと評価した。胸のサイズはこの評価に影響しなかった。
これらの結果は、男性が女性の写真の魅力度を判断している間に起こる目の動きに関する量的データを提供するものであり、男性は女性の砂時計型体型を非常にすばやく評価するということを示している。

男性も動物だからやっぱり生殖に適した体型が好みで、しかも理想的な体型を一瞬にして見抜く眼力が生得的に備わっているものらしいんだ。
しかし砂時計型体型(hourglass shape)って、すごい表現だ^^;
欧米の研究だからこそ出てくる表現で、こういうところにもお国柄が現れる。