院長ブログ

HPVワクチンの副作用に対するオーソモレキュラー治療1

2020.2.12

前回、ワクチン接種後に起こる様々な症状は、”ワクチン後遺症”という疾患概念として認識すべき、という内海先生の話を紹介した。
しかしこの話には、具体的な対策(「もし自分や自分の子供がワクチンのせいでひどい後遺症が残ったら、どうしたらいいか」)が含まれていなかった。
内海先生はオーソモレキュラー療法に対して、どちらかといえば懐疑的なようである(あるいはそもそも、何々療法支持、という固定のスタンスを採られていないようだ)。

栄養療法が”代替療法原病”という薬害を生み出している、との指摘を受け、新たに気付かされる点もあったが、僕もオーソモレキュラー療法実践医の端くれである。もう少し、オーソモレキュラーの弁護がしたい。このままでは、言われっ放しの感がある(内海塾に参加するということは、「言われに行っている」わけだからそれでいいんだけど^^;)。懇親会で内海先生に直接言えばいいようなものだけど、酒の席でする話としては固すぎる。
そこで今回のブログでは、ワクチンの後遺症に対して、オーソモレキュラー療法が著効した症例について紹介することにしよう。

以下、国際オーソモレキュラー医学会会長の柳澤厚生氏(僕の大親分にあたる人です^^)の論文『HPVワクチンの副作用に対するオーソモレキュラー治療』(The Orthomolecular Medicine News Service, May 7, 2015)から。もとは英語論文なので、翻訳が変だとすれば僕の責任です^^;
「思春期の女性へのヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)ワクチン接種は、子宮癌および子宮頸癌を予防するために開始された。
最初のHPVワクチン(ガーダシル(メルク社))は2006年に承認され、続いて二番目のワクチン(サーバリックス(グラクソ・スミスクライン社))が2007年に承認された。2013年末までに、およそ1億3千万本のガーダシルと4千4百万本のサーバリックスが世界中に供給された。いずれのワクチンも、日本では2010年から接種が行われ、2013年4月より、両HPVワクチンは厚労省推奨ワクチンとして接種スケジュールに加えられることになった。

高い有害事象発生率
2013年6月(HPVワクチンの接種推奨に関する法律が発行してわずか2か月後のことである)、日本政府はこれらのワクチン接種の推奨を停止した。研究報告によると、ガーダシルやサーバリックスによる有害事象は、その他のワクチンよりも1.7~3.6倍高かったためである。
政府の特別委員会がHPVワクチンによる副作用の報告を分析したところ、症例数は2500人で、うち617人(25%)では症状が”重篤”であると判明した。
驚いたことに、この特別委員会は、以下のように表明した。
『ワクチン接種を受けた女性において、ワクチンの副作用といわれるような身体的原因は見いだされなかったため、我々としては何らかの特別な治療法を推奨することはできない。
彼女らに見られるいわゆる副作用は、心身相関によるものだというのが我々の結論である。彼女らが心身相関反応による症状から解放されるよう、政府は彼女らにカウンセリングを行うべきである』」

『驚いたことに(Amazingly)』という表現(あまり論文に出てくる言葉ではない)に、柳澤先生の抑制した怒りがこもっているように感じる。
確かに、とんでもない話だ。
特別委員会は、HPVワクチン接種後に症状が現れた原因は、『心身相関(psychomatic)』だとしている。これは、平たく言えば、「気のせい」ということだ。
症状が現れたのは一人二人じゃない。2500人が、明らかな体調不良を訴えたんだよ?「何となく体調が悪いけど、気のせいかな」って特に症状を申告しなかった人を含めれば、潜在的被害者はもっと多いに違いない。
それなのに特別委員会は、ワクチン接種は副作用の身体的原因ではない、としている。原因は、気のせい(精神的影響が体に現れている)、だから、政府はカウンセリングを行って彼女らの心のケアにあたる、という(原因とそのケア、という意味では筋が通っている笑)。
もうね、文明国の対応じゃない。正気の沙汰じゃない。
特別委員会(the official task force)ってバカの集まりなの?ワクチンが原因で、心が傷つき、その結果、体にも影響が出た、だって?
こんなデタラメがまかり通るのが、日本の医療行政なんだよなぁ。
論文はさらに続きます。

「副作用の重症度
副作用を訴える女性らに対して、他の専門家が再度診察したところ、1112人(44%)が重症であると診断された。
初発症状はHPVワクチン接種から数週後から1年後に起こっていた。具体的には、頭痛、めまい、筋肉の虚弱および疼痛、嘔気、過眠、学習困難、書字障害、羞明、震顫(手、足、指)、関節痛、月経不順、歩行障害、記憶喪失、皮疹、にきび、といった症状である。
医療機関を受診した彼女たちは、様々な診断名をつけられていた。たとえば、以下のような病名である。
1.高次脳機能障害
2.ギランバレー症候群
3.多発性硬化症
4.ADEM(急性散在性脳脊髄炎)
5.SSPE(亜急性硬化性全脳炎)
6.CRPS(複合性局所疼痛症候群)
7.POTS(体位性頻脈症候群)
8.抗リン脂質抗体症候群
9.SLE(エリテマトーデス)
10.リウマチ性関節炎
11.慢性疲労症候群
12.線維筋痛症
13.クッシング症候群
14.橋本病
15.高プロラクチン血症

また、各種検査データでは、以下のような所見が見られた。
1.採血の生化学データでは著変なし。
2.血中の炎症マーカーには異常なし。
3.ただし、髄液中の炎症性サイトカイン(IL-2、IL-10、TNF-α)は上昇していた。
4.血流シンチグラフィーでは脳血流が減少していた。
5.アルミに対する白血球の過敏性が高まっていた。」

病院が好きで、病気予防のためにワクチンをよく打つという人は、上記の症状を覚えておくといい。
HPVワクチンに限らず、一般にワクチンにはアジュバンドとしてアルミや水銀などが入っているもので、これが様々な病気の原因になり得る。
ただ、HPVワクチンのように、接種後すぐに症状が現れればわかりやすいが、接種から1年ほど経って症状が現れたのであれば、因果関係がぼやけてしまって、患者本人もまさかワクチンが原因の症状とは思わない。
だからこそ、上記に挙げたような起こり得る副作用について、事前に知っておくべきだ。知っておいて、ワクチンの副作用ではないかと疑えるようにしておくべきだ。
というかそもそも、医者に言われるがままにワクチンを打っている時点で、相当な情報弱者だというより他ないんだけど^^;

論文はまだまだ続きます。
肝心の、オーソモレキュラー療法による回復症例のことにまだ言及してないし^^;
ただ、長くなりそうなので次回に。

内海塾2

2020.2.11

前回に続き、内海先生の講演で聞いた言葉から。
「あくまで私の感覚だが、患者のうち、医原病、つまり医療のせいで病気になっている人が3割はいると思う。
栄養の偏りが原因の人は15~20%程度、体の構造に起因する病気の人が同じ程度で、精神が原因の人は3割くらいだと感じている。
もちろん、これはあくまで目安で、たとえば、もともとは栄養の偏りが原因で症状が出たのに、病院で出される薬を飲むうちに症状がかえって複雑化し、ほとんど別の病気になるような人もいる。
”医猟”の犠牲がどれほど多いことか。
たとえばワクチン。
ワクチンを接種した子供では、そうでない子供と比較して、
・ぜんそく罹患率が120%増加
・男児でADHD罹患率が317%増加
・男児で神経疾患罹患率が185%増加
・男児で自閉症罹患率が146%増加
という疫学研究がある。
要するに、”打つと病気になる”。未熟な免疫系に妙な異物を注入するのだから、当然のことだろう。
しかし患者(およびその家族)のほうでは、ワクチンが原因だとは思っていない。だから、たとえば自分の子供がぜんそくにかかったとしても、普通に病院を受診する。ちょっと気の利いた親なら、病院の危険性に気付いていて、栄養療法のクリニックなどいわゆる代替療法に頼るかもしれない。
いずれにせよ、共通するのは、症状しか見ていない、ということだ。ぜんそく、ADHDなど、表面に出ているものだけを見て、根本的な原因を見ていない。そもそも、病名が違う。まず、ワクチン後遺症だと認識することだ。

社会毒のあふれるこの時代、我が身、我が家族をどう守るのか。
まずは知ることからだ。ワクチンだけではない。最悪の合法ドラッグである砂糖中毒や、農薬や食品添加物の危険性をきちんと認識しないといけない。
それは私の情報発信を見ている人なら、すでに知っていることだと思う。
『医学不要論』を読んだ人でさえ、誤解していることがあるのだが、私は西洋医学を全否定しているわけではないし、代替療法を持ち上げているわけでもない。
癌で腸閉塞を起こした人に対してはオペが必要だろう。急性外傷に対しては救急医療が人命を救うこともあるだろう。
西洋医学はもともとは戦場の医学である。緊急性を要する症状に対しては西洋医学の独壇場で、私はこの有効性を当然認めている。
一方、慢性疾患に対していかに西洋医学が無力であり、かつ、有害であるかを著書のなかで書いたわけだが、かといってそのアンチテーゼとしての代替療法が絶対的な善かといえば、まったくそうではない。
昨今はやりのメガビタミン療法で症状をこじらせた患者が、うちのクリニックにたくさん流れてくる。サプリは医薬品ではなくて食品扱いで、誰もが買えるものだが、使い方を誤れば害も起こり得る。
サプリによる害は、もはや医原病のようなもので、私はこれを特に、”代替療法原病”と呼んでいる。
そう、代替療法でさえ薬害を起こす。この点をほとんどの人がわかっていないと思う。

ネットの時代であり、病気を治そうとして誰もが情報を検索する。自分で何も考えていない。そこにあるのは「助けてくれ」という依存だけ。
代替療法であっても、依存ではダメなんだ。サプリがいい、プロテインがいい、何がいい、様々な情報があるが、これらは結局、依存症者の群れを作っているに過ぎない。
そもそも、病気とは、”あるがまま”なんだ。
体の反応は、いつも正しい。ただ、愚かな人間はいつも、浅知恵で状況をかき乱している。
風邪を引けば、咳や鼻水が出て、熱が出る。そこに、咳止め薬やら抗アレルギー薬やら解熱薬やらを投与する。
症状を悪だと思っている。この考え方のままでは、どの治療法に頼っても結局同じことだ。
なぜ、治りたいのか。治す必要があるのか。
この問いを突き詰めることは、結局生きる意味にもつながってくる。
病気からの回復が、単なる回復であっては意味がないとさえ思う。依存から自立へという、内面の変化が伴わないようであれば、結局また病気になるだろう」

内海先生が講演で文字通り、上記のような発言をされたわけではない。僕なりのアレンジが入っているところもあります^^;
先生の言いたいことを正確に知りたい人は、著作にあたるか、講演会に行ってください。

なるほどと思ったのは、患者の依存と自立の話。確かに、依存的な患者は多い。
僕は内海先生ほど優しくないので、患者に面と向かって「死ね」と突き放すことはないけど^^(患者を突き放して自立を促すのは、優しさなんだよ)、サプリで治すのは難しいだろうなという人はいる。
こういう人をよくよく問診してみると、成育史に根本的な問題があって(たとえば幼少期の虐待とか)、症状が自己表現になっている場合もある。いわば、症状に依存しているわけだ。精神的問題が原因の、本当の意味での精神科患者だね。
もちろん、サプリの投与を含めた栄養指導で、治る患者もいる。なかには賢い患者がいるもので、こんなふうに言う。
「ありがとうございます。ずいぶんよくなりました。このサプリ、確かに効いてると思います。ただ、これをいつまで飲まないといけませんか」
形を変えた依存じゃないか、って患者自身、気付いてるんだね。
オーソモレキュラー栄養療法の大御所ホッファーも、患者から同様の質問を受けたことがある。そのときホッファーは、このように答えた。
「あなたが健康でいたい限り、ずっと、です」
ホッファーはナイアシンの有効性に絶対の自信を持っていたから、こういうふうに言えるんだね。
僕自身はまだまだ勉強中の身で、自分のスタイルを模索している段階なので、内海流に「死ね」とも言えず、ホッファー流に「ずっと飲み続けてください」とも言えず、何となくぼやかして答えています^^;

内海塾

2020.2.10

内海聡先生の講演会”内海塾”に参加してきた。
先生のフェイスブックはフォローしているし著作も何冊か読んだことがあるが、先生の肉声に接するのは初めてのことだった。
先生は、フェイスブックや著作において、強烈な”毒”を吐くことで有名である。キチガイ医を自称し、「日本人全員死ね」とか言うことは、多くの人がご存知かと思う。
で、実際に会った先生も、イメージ通りの人でした^^;
いや、ある意味それ以上だった。奇をてらうポーズとして言っているわけでもなく、挑発的な意味を込めて言っているわけでもなく、本当に軽蔑をこめて「死ね」と言っている。
講演でこのように言っていた。
「うちのスタッフは知っていることだけど、『死ね』というのは私の患者相手にも普通に言います。1日に5回くらいは言ってるんじゃないかな、
『〇〇先生の提唱する理論でサプリを飲んでいるんだけど、治りません。何を飲めばいいですか』みたいな、依存的な患者ばかりだよ。もうね、『死ね」っていうしかない笑」
どつき漫才のような雰囲気があると思った。
先生は、いわば、”言葉でどついている”。先生の毒舌で笑いが起こるのは、鋭い言葉の底に、一応の愛があるからだと思う。
ただ、こういうことを先生に指摘すれば、照れて「いや、愛情なんて1ミリもない。本気で『死ね』と思っている」と否定するだろうけど^^

講演会のあとの懇親会にも参加した。そこで内海先生と直接話す機会があったから、率直に疑問をぶつけてみた。
「先生は『ありがとうボトル』を販売されていますね。『水からの伝言』のような、言霊の力を信じておられるということですよね。
でも、先生、『死ね』と口癖のように言われる。そういう言葉の毒に、先生自身、当たってしまいませんか」
この質問をしたとき、僕はすでにかなり酒を飲んでせいもあって、先生がどのように答えてくれたのか、残念ながら正確には覚えていません^^;
おおよそ、「優しいウソのオブラートで包んだ言葉では患者は真に治癒しない、結局ズバリと言ってあげることが必要なんだ」という意味のことを言われたと思う。

こういうノリは大阪なら受け入れられると思う。
「アホやなぁ」というのが、罵倒どころか、愛情表現であったりする。
病人に対して「あんた、まだ生きとったんか。はよ死ねや」とちょっと突き放して言うほうが、「頑張って長生きしてよ」という嘘くさい言葉よりも、よほど本人の奮起を促したりする。
東京でもこの毒舌スタイルで通していて、かつ、受け入れられているというのは、先生がすでに”タレント”になっているからじゃないかな。
フェイスブックや著作の情報発信を通じて、僕らは内海聡のことを知っていて、その”キャラ”のイメージが、ちゃんとある。その先生から「死ね」と言われたところで、「待ってました!」てなもんで、本当に傷つく人なんてもはやいない、ということだろう。
上沼恵美子の番組を見ていると、東京から来たゲストが、容赦なく”関西の洗礼”を浴びている。どのゲストも笑って受け流す。大人げなくキレる人はいない。
同じ意味で、内海先生のスタイルも、ちょっとした”プロレス”なんだな。

講演内容は、『医学不要論~「彼ら」にだまされないために』と『食毒~現代の食の危険性』についてだった。
すでに先生のフェイスブックなどを見ているから、別段真新しい情報はなかったけど、先生の声を通じて直接聞くことで、見えてきたものもあった。
これは僕の解釈が入ってるかもしれないけど、先生の食に関する基本スタンスは、「先住民や野生動物に学べ」と「バランス」、この二点だと思う。
どういうことか、説明しよう。

エネルギー代謝の図をわざわざ持ち出すまでもなく、グルコースは生命にとって必須、というのが生化学の教えるところである。
また、たとえば栄養療法を実践している人は、このような図を見たことがあるだろう。

神経伝達物質を作るためには、グルタミン、フェニルアラニン、トリプトファンがなくては始まらないし、それぞれの代謝カスケードをまわすために、各種のビタミンやミネラルが欠かせない、だからサプリメントなどで栄養を補いましょう、という文脈で、この図がしばしば引用される。
本当にそうだろうか?
グルコースが必要というのなら、砂糖を補えばいい。グルタミン、フェニルアラニン、トリプトファンが必要なら、それぞれ補えばいい。味の素はグルタミン酸そのものだし、アスパルテームはフェニルアラニンとアスパラギン酸の結合体だ。いま流行のアミノ酸だから、摂って悪いはずがない。
理屈の上ではそのはずである。しかし実際摂取すれば、体にいいどころか、毒性物質として作用することになる。
これを内海先生は、”精製物質毒”という言葉で説明していた。
「サプリメントは、全否定はしない。しかし現実問題として、メガビタミン療法でよくならず、うちに流れてくる患者は山ほどいる。精製物質毒による症状そのものだ」
内海先生の結論は、こうである。
「必要なものは、与えてはいけない。与えると狂ってしまう」
具体的には、たとえば、
「糖は必要である。しかし、与えると狂う」
「ドーパミンは必要である。しかし、与えると狂う」という具合である。
もっと言えば、やや抽象的な話になるが、
「愛は必要である。しかし、与えると狂う」
外から何かを求めている限りは、先生のいわゆる”クレクレ君”であることから逃れられない。依存を脱して、真に自立することだ。
「筋肉は破壊により、一層強さを増す。同様に、心も逆境に揉まれてこそ、強くなる。
逆に、与えることは、堕落を招く。
病院でもそうなんだ。老人はできるだけ早く退院させないといけない。はたが世話を焼いては、自分で何もできなくなって、衰弱に拍車がかかるだろう。
だから勤務医時代、私はできるだけ早く患者を病院から追い払おうとしていた。しかし患者は私を恨む。何て冷たい医者なんだ、と。まったく何もわかっていない。『死ね』と思う。
同様に、サプリは人を弱くする。もちろん、私も臨床で使うことはある。しかし、メガビタミン療法のように多くの種類のサプリを長期間大量に飲ませることなど、決してしない。
私は東洋医学も実践しているが、サプリと漢方薬には似たところがある。
一般に漢方薬は、調合する生薬の種類が増えれば増えるほど、効果が減弱する。これを漢方医は『切れ味が鈍る』と表現する。逆に、ひとつの生薬だけ服用すると『切れ味が鋭い』。
要は、使い方だ。
サプリメントやプロテインなどの精製物質を無条件に礼賛する医師は、万死に値する。どれほど多くの人に毒を垂れ流していることか。心から願う。『早く死ね』と」

こう言われると、オーソモレキュラー療法を標榜して翻訳本まで出している僕としては、立つ瀬がないんだけど^^;
でも、いい刺激になる。
オーソモレキュラー療法の学会に参加して、同じような考え方の人たちと交流するのも楽しいけど、内海先生のような違う考え方の人と接するのも、物事を別の角度から見る視座を与えられるようだ。考え方が広がって、こういうのってすごくいいものだね。

真菌、コレステロール、癌5

2020.2.9

8種類の異なるタイプの癌すべてで、血中コレステロールが低下している(逆に組織内部のコレステロールは増加している)ことを確認したSipersteinは、これを初期癌のスクリーニングに使えないかと考えた。
つまり、血中コレステロールが高い人は癌にかかっているはずがないし、逆に低い人に対しては「黄色信号ですよ!」と警告できるのではないか、と。
ところが現代の医療は、Sipersteinの発想と真逆の方向に突っ走っている。幸いにもコレステロールが高い人に対して、スタチン(発癌物質)を使って無理やり下げて癌体質に誘導している。こんなデタラメをしているんだから、医療費の高騰が止まらないのも当然だよね^^;

以前のブログの繰り返しになるようだけど、確認しておくと、
ある種のカビ毒(スタチンも含めて)は、LDL受容体のある細胞に対してコレステロールの流入を引き起こし、結果、血中コレステロールが低下する。
Sipersteinは癌細胞と正常細胞の比較から、次のような結論にたどり着いた。
・正常細胞では、食事由来のコレステロールを吸収すると、細胞内のリダクターゼが減少し、コレステロール産生が減少する。
・癌細胞では、食事由来のコレステロールを吸収すると、リダクターゼが増加し、細胞内のコレステロール濃度が高まる(血中コレステロールは低下する)。
・スタチンを投与した細胞では、食事由来のコレステロールを吸収すると、リダクターゼが増加し、細胞内のコレステロール濃度が高まる(血中コレステロールは低下する)。

スタチンの投与によって、正常細胞がまるで癌細胞のようにふるまう。カビ毒によって癌が生じるのだから、スタチンを投与された細胞は、いわば、”カビ毒に当たった”ような状態である。

スタチンの投与と癌の関係について、以前のブログで紹介したのは動物実験レベルの研究が多かったと思う。
それだけではなくて、大規模疫学研究(PROSPER、SEAS、Chang et al.2011(台湾の前立腺癌研究)、CARE(乳癌研究)など)でもこの関係性は示されている。
PROSPER研究では、スタチンを4年以上服用すると癌の発症率が25%増加していた。
CARE研究では、スタチン投与群のうち12人の女性が乳癌を発症した(プラセボ投与群の発癌は1人だけだった)。
Chang et al.2011では、男性のスタチン服用者では前立腺癌の発症率が有意に高かった。

なぜ、スタチンによって癌を発症するのか。これには2つの機序がある。
やはり繰り返しになるが、まとめると、
・間接的には、スタチンは細胞内のリダクターゼの増加を誘導することで、癌細胞様状態を作り出す。
・直接的には、スタチンは他の発癌性カビ毒と同様の機序(rasタンパクの機能をかく乱させる)で癌を誘導する。

癌細胞の内部ではリダクターゼの濃度が上昇しているが、これは癌の結果であり、また、原因でもある。
癌細胞はターンオーバー(代謝回転)のスピードが速くなっているから、リダクターゼが増加しているのは当然のことだ。
さらに問題を追及しよう。
なぜ、スタチンの投与でリダクターゼが増加するのか。
いよいよ核心部分である。
この問いに対する答えこそ、癌の発生メカニズムの根本である。この秘密を解明すれば、世界から癌を根絶することさえ夢物語ではない。
実は科学者は、すでにこの答えを知っている。
ノーベル賞をもらったBrownとGoldsteinはもちろん、ノーベル賞候補のEndoも知っているし、製薬会社のMerckも知っている。
しかし、この知識は科学者の頭脳にとどまっているだけで、残念ながら一般の癌治療に生かされていない。

答えはこうである。
スタチン投与によるリダクターゼの増加は、イソプレノイドの枯渇(isoprenoid starvation)によるものである。
リダクターゼの増加が、癌の単なる症状ではなく、癌の根本的な原因であるならば、イソプレノイドの投与によって細胞の癌化を防いだり、癌を正常細胞に戻すことも可能なのではないか?
この仮説を検証してみたところ、実際その通りだった。
『食事由来のイソプレノイドによるメバロン酸経路活性の抑制~癌および心血管疾患における予防的役割』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7782923
単純にコレステロールを投与しても、癌細胞の暴走は止まらない。しかし、植物性イソプレノイド(モノテルペン、セスキテルペン、カロテノイド、トコトリエノール)の投与によって、HMG-CoAレダクターゼの活性が抑制され、結果、癌を抑制することに成功した。

この知見を実用にどのように生かすことができるだろうか?何らかのサプリで癌を予防したり治療したりできるのだろうか。
このあたりについては、また稿を改めてお伝えするようにしよう。

参考
“Proof for the cancer-fungus connection”(James Yoseph)

真菌、コレステロール、癌4

2020.2.8

カビ(真菌)と癌の関係性を示すデータは多い。ざっと列挙すると、
・パツリン(ペニシリウム属、アスペルギルス属の産生するマイコトキシン(カビ毒))をマウスに投与したところ、乳房腺腫が生じた(Dickens and Jones 1965, 1967)。
・腐敗した米から抽出したカビ毒をマウスに投与すると乳癌が生じた(Saito 1971、Corrado 1971)。ちなみに遠藤先生が最初に作ったスタチンも米にわいたカビが原材料である。
・T-2トキシン(カビの一種であるフザリウムが産生するマイコトキシン)をラットに投与すると乳癌が生じた(Schoental 1979)。
・メスのマウスにオクラトキシン(アオカビ属、コウジカビ属の産生するカビ毒)を経口投与すると、半数以上に乳房線維腺腫が生じた(Boorman 1988)。乳房線維腺腫はヒトにおいて乳癌のリスクを増加させることがわかっている(Dupont 1994)。

なるほど、癌は近年増加中で、今や2人に一人が癌に罹患し、3人に一人が癌で死亡する、とも言われている。
しかし、たとえば江戸時代とか明治時代に癌の患者がいなかったかというと、そうではない。
たとえば華岡青洲が1804年世界で初めて全身麻酔下の外科手術を行ったが、これは乳癌に対して行ったものである。
これは僕の推測だけど、食品添加物も原子力発電所(人為的放射線)もない時代の癌患者というのは、ほとんどがカビ毒に起因する発癌だったんじゃないかな。

カビのはえたナッツをエサとして与えられていた七面鳥が肝臓癌にかかり大量死した事件については、以前のブログで書いた。集団大量死の原因が呼吸器感染症などではなく、意外にも癌であったことが、世間にショックを与えた。
カビ毒が原因の集団癌発生は、鳥だけに起こるものではないし、過去のものでもない。
2004年にスウェーデンの高校で教員20人が癌を発症した。2006年アメリカのウィスコンシン州の小学校で、102人の職員のうち28人が、さらに生徒2人が、癌の診断を受けた。いずれのケースも、カビが繁殖したままで使用されたエアコンのフィルターが原因であったと見られる。
これらの事件をきっかけに、シックビルディング症候群(sick building syndrome)という疾患概念が提出され、カビと癌の関係が一時注目された。
しかし今ではほとんど忘れられているようだ。肺癌の原因として、タバコやアスペスト、PM2.5などの大気汚染物質が挙げられることがあっても、カビ毒はほとんど見過ごされている。

カビ毒(スタチンも含め)が毒性を発揮するメカニズムは複数あるが、ひとつには、免疫抑制である。
シクロスポリンという薬がある。
これはもともとは、抗生剤である。真菌と細菌、と聞けば「どちらも同じようなバイ菌だろう」と思われるかもしれないが、全然別物だ。細菌は原核生物だが、真菌は真核生物である。
つまり、細菌はその内部に染色体DNAがむき出しで存在するが、真菌はその内部に核、ミトコンドリア、小胞体などの細胞内小器官を備えている。真菌は細菌よりも、格段に進歩した生物だ。
シクロスポリンは、この高等な真菌の武器である。シクロスポリンを注入して細菌を殺し、エサとして頂くわけだ。
フレミングがアオカビのマイコトキシンから作った抗生剤(ペニシリン)と、基本的には同じようなものである。
ただ若干の分子構造や作用の違いから、免疫抑制剤として使われたり、コレステロール降下薬(スタチン)として使われたりする。ただ根本は同じで、「カビ毒による細胞機能のかく乱」である。

これはすごい話だと思いませんか?
抗生剤、免疫抑制剤、コレステロール降下薬。
どれもまったく別の薬だと思いきや、どれも要するに、カビ毒だという。
カビは、まったく、製薬会社にとってカビ様(神様)だね^^
このカビ毒の製品化でどれほど莫大な利益をあげ、かつ、どれほど多くの人命を奪ったことか。

さて、シクロスポリンの話である。事実上、抗生剤ではあるが、医学部では免疫抑制剤だと教わる。
たとえば臓器移植を受けた患者の免疫系を抑制するために、シクロスポリンが長期間投与されたりする。
ただ、もともとの素性は結局カビ毒である。長期間こんな薬を服用して、体に異常が起こらないはずがない。
そもそもこの薬は、免疫を抑制しているというか、カビ毒で細胞機能が破綻して免疫が適切に機能しなくなっている、というだけのことなんだ。
臓器移植後にシクロスポリン投与を受けた患者88人中87人が癌を発症したという報告がある(First and Penn 1986)。具体的には、ほとんどの癌が、乳癌、卵巣癌、精巣癌だった。
なぜだと思いますか?
乳房、卵巣、精巣、これらはいずれも、ホルモンの産生器官だ。つまり、コレステロール代謝が活発だからカビ毒の影響を受けやすく、だからこそ、癌化のリスクも高いんだな。
シクロスポリンのせいで癌になったのではないか、という報告は他にも、Vogt(1990)、Escribano-Patino(1995)など数多い。
特にHarrison(1993)は乳癌患者の標本中にアフラトキシンのDNAを見出した。

ついでに、悲しいお知らせをしてもいいですか?
フランスの研究(Le 1986)によると、乳癌の発生率と青カビチーズの消費量には正の相関がある。「青カビチーズを食べれば食べるほど、乳癌のリスクが増えますよ」ということだ。
チーズ好きにはショッキングな話だね( ゚Д゚)でもこういう疫学研究は上手に活用することが大事で、結論だけ見て「今後チーズは一切食べません!」と極端に振り切るのはよくないよ^^;
人類は大昔から発酵という現象を利用してきた。デメリットだけではなくて、きっとメリットもあると思うんだよね。
たとえば日本の食文化と切っても切り離せない酒と醤油。これ、どちらもAspergillus flavusという、アフラトキシンを産生するカビによって作られていますから^^;でも「明日から酒と醤油を使うのはやめよう」とはならないよね。
学問が提供するのはあくまで”一面の事実”に過ぎないことが多いもので、あまり右往左往するもんじゃないよ。
「納豆がいい!」となれば納豆ばかり食べたり、「肉がいい!」となれば肉ばかり食べたり、世間には情報にブンブン振り回される人がいるものだ。
「一番大事なのは、バランス」っていうセンスが、ごっそり抜け落ちてるよねぇ^^;

参考
“Proof for the cancer-fungus connection”(Jamaes Yoseph)