2020.2.13
以前のブログに書いたように、スタチンを抗癌剤として利用できるのではないか、と考えて、研究が行われていたことがある。
一体どのような機序によってか?
「スタチンは細胞周期を停止させる。ということは、リダクターゼをブロックするスタチン(およびその他のカビ毒)を使えば、癌細胞の増殖も防ぐことができるのではないか」
この考え方に基づいて実験を行うと、実際確かに、癌細胞の増殖を止めることができた。ただし、ごく一時的に。
実験期間を長くすると、スタチンの投与によって、細胞はますます多くのリダクターゼを産生するようになり、Rasタンパクが阻害され、細胞周期が狂い始める。
現在流通しているスタチンは可逆性があり、citrinin(遠藤先生が研究していたカビ毒)やcerivastatin(バイエル社から販売されたスタチン)ほどの強い毒性がないため、癌を発症するまでには年単位の時間がかかる可能性がある。このあたりは、アフラトキシンの毒性が数週間で出るのと対照的である。
短期間の研究だけを見れば、スタチンは見かけ上、癌細胞の細胞周期をブロックしている。一見癌に効くように思えるが、それは全体像とは言えない。
短期的にではなく、本当の意味でリダクターゼを減少させるのは、植物性イソプレノイドである。
『イソプレノイドを介したメバロン酸合成の抑制~癌に適応できる可能性』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10460692
要約部分をざっと訳してみよう。
「植物性メバロン酸代謝物のイソプレノイド終末産物は、3-ヒドロキシ3-メチルグルタリルコエンザイムA(HMG CoA)リダクターゼの活性を抑制する作用がある。この作用は、HMG CoAリダクターゼによるmRNA転写とHMG CoAリダクターゼのタンパク分解を調整している。そのような転写後作用は、直接的には非環式イソプレノイドによって、間接的には環式イソプレノイドによって、活性化される。
イソプレノイドは、ステロイド産生の支配的転写エフェクターに二次的に作用して、コレステロールを軽度に低下させる。ただしその作用が現れるのは、食事由来のコレステロールが豊富にあることによって、コレステロール産生が抑制されていないときだけである。腫瘍増殖に関連した異常(ステロールのフィードバックに対して抵抗性のあるHMG CoAリダクターゼの活性化)によって、ステロール産生経路の中間産物が蓄積する。そうした中間代謝物が、成長ホルモン受容体、核内ラミンA、B、発癌性rasが膜に接着したり、生物活性を持ったりするための脂溶性アンカーとなる。腫瘍のHMG CoAリダクターゼは、イソプレノイドによって仲介される二次的調整に対して、感受性は高いままである。
植物由来のイソプレノイドによってメバロン酸経路を抑制すると、rasやラミンBのプロセシングが減少し、細胞がG1期で停止し、アポトーシス(細胞死)が始まる。この腫瘍特異的感受性をうまく使えば、イソプレノイドを癌治療に利用することも可能である。スタチンの作用に似ているようでありながら、副作用がまったくないのである。一般的な食事から摂取できる程度の量で検証しても、イソプレノイドの単剤投与ではコレステロール合成や腫瘍増殖に対して、まったく作用しない。しかし、イソプレノイドを介した活性は相加的であり、ときには相乗的である。植物を豊富に含む食事では癌リスクが低いことが分かっている。この理由は、植物体を構成する23000とも推定されるイソプレノイドの組み合わせや、他のフィトケミカルとの相乗作用によって、説明できるかもしれない。ただし癌リスクは、食事(果物や野菜、穀物)の代わりにサプリ(つまり、食物繊維、βカロテン、ビタミンC、E、葉酸のサプリ)を摂っても、低下しない。」
重要なのは要約の後半部分。
イソプレノイドには癌の抑制効果があるが、一種類のイソプレノイドだけを投与しても、食事から摂取できる程度の量では、癌には無効だった。たとえばコエンザイムQ10(イソプレノイドの一種)のサプリは、癌の予防の一助にはなっても、恐らく癌の治療には効かないだろう。
以前のブログで内海聡先生の”精製物質毒”の話を紹介したが、結局サプリメントは天然の野菜のパワーにはかなわない、ということかもしれない。
野菜の摂取量が多いほど癌の発症リスクが低いという研究は無数にあるから、今さら論文を紹介するまでもないだろう。逆に、肉の摂取量が多いほど癌の発症リスクが高いという研究も多いが、近年日本では高タンパク(肉食励行)がブームで、癌の増加にますます拍車がかかるのではないかと心配だ(個人的には、肉が悪いというよりは、粗悪な畜肉が癌の原因だと思っている)。
植物性イソプレノイドの大量摂取によって癌が治癒可能であるということは、野菜ジュースの積極的摂取を勧めるゲルソン療法がやっぱり正しかった、ということだろう。ゲルソン療法についてはまた改めて紹介したい。
参考
“Proof for the cancer-fungus connection”(James Yoseph著)
2020.2.12
前回紹介した論文の続きです。
「HPVワクチンには有害なアルミが含まれている。
ワクチンにはアジュバンドが含まれていることが多い。アジュバンドとは、ワクチンに対する免疫反応を引き起こすために添加されている化学物質のことである。
HPVワクチンにはアルミ化合物(非晶質水酸化アルミニウム硫酸塩(AAHS))から構成されるアジュバンドが含まれている。
現在の研究知見は、ヒトにおいても動物においても、様々な炎症性の神経障害や自己免疫疾患の発症にアルミニウムのアジュバンドが関与していることを、強く示唆している。
たとえば、ある論文によれば、アルミニウムアジュバンドのようなナノサイズの物質は、まず最初に免疫細胞によって血中に入り、さらにリンパ節や脾臓に運ばれる。ある症例では、脳内への移行も確認された。
ナノサイズのアルミ化合物がこのように全身に運ばれることは、致命的な事態にもなりかねない。脳症状が出ることは一番最後のことが多いものである。これは血中のアルミ化合物がBBB(血液脳関門)を通過して脳内に侵入するのに時間がかかるためである。
脳内の神経細胞に蓄積したアルミは、その毒性によって様々な症状を引き起こす。ドーパミンやセロトニン(脳内の重要な神経伝達物質である)の取り込みが阻害される。アルミはアルツハイマー病の一因であることが知られているが、パーキンソン病の発症にも関わっている可能性がある。
腎臓透析に起因する認知症(透析脳症)はその発症機転にアルミが関与しており、記憶喪失、協調運動障害、錯乱、見当識障害を生じる。動物実験では、アルミを投与されたウサギに、記憶障害、学習障害が確認されている。
HPVワクチンの副作用に対する有効な治療
プロトコール1
ビタミンC、グルタチオンカクテルの点滴静注(柳澤による)
・滅菌水 250ml
・ビタミンC 12.5~25g(12500~25000㎎)
・グルタチオン 800~1200㎎
・0.5M 硫酸マグネシウム 10~20ml
・8.5%グルコン酸カルシウム 2ml
・ビタミンB群(B1、B2、B3、B5、B6、B12)
【症例】17歳女性
2014年5月23日当院受診。来院時、介助なしには歩行できず。
主訴は、全身の疲労感、関節痛、頻回の不随意運動であった。
この患者に対して、マイヤーズカクテルにビタミンC12.5gとグルタチオン1200㎎を追加して静脈投与を行った。さらに、経口で各種栄養サプリメント(ビタミンC、ビタミンB、クルクミン、SAMeなど)をも併せて投与した。
このようにして10日間ビタミンCとグルタチオンによる治療を行ったところ、介助なしに歩けるようになった。
2014年12月にはテニスをプレーできるまでに回復した。不随意運動の頻度と持続時間は次第に減少し、疲労感と痛みも劇的に改善した」
論文はもっと続くんだけど、このあたりにしておこう。
上記のような症例報告に対して、以下のような反論が当然あり得ると思う。
「自然に回復した可能性が排除できない。ビタミンの投与が有効だったと考える特段の理由がない」
こういう反論をする人は、ただ黙って『全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会』のホームページを見て欲しい。
普通の日常を過ごしていた女子中学生が、HPVワクチンの接種によって日常生活を送ることもできなくなった。数年たった今も後遺症に苦しんでいる。そんな人が全国にたくさんいる。
こういう女性たちに対して国がやるべきことは、カウンセリングを勧めることではない。ビタミンの投与を励行することだ。
いや、そもそも、女性の人生を破壊する可能性のあるこんな危険なワクチンを、接種させないことだ。
しかし日本産科婦人科学会はこうした流れとは真逆に、HPVワクチンの定期接種を復活しようとして活動している。
http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
若い女性は、国の未来だよ。
健康を害することがわかっているワクチンを是が非でも打たそうとするなんてさ、もうこの国は、本当に終わるんじゃないかな。
内海先生じゃないけど、僕もニヒルになって、つぶやきたくなるよ。「もうアホンジン全員死ね」と。
2020.2.12
前回、ワクチン接種後に起こる様々な症状は、”ワクチン後遺症”という疾患概念として認識すべき、という内海先生の話を紹介した。
しかしこの話には、具体的な対策(「もし自分や自分の子供がワクチンのせいでひどい後遺症が残ったら、どうしたらいいか」)が含まれていなかった。
内海先生はオーソモレキュラー療法に対して、どちらかといえば懐疑的なようである(あるいはそもそも、何々療法支持、という固定のスタンスを採られていないようだ)。
栄養療法が”代替療法原病”という薬害を生み出している、との指摘を受け、新たに気付かされる点もあったが、僕もオーソモレキュラー療法実践医の端くれである。もう少し、オーソモレキュラーの弁護がしたい。このままでは、言われっ放しの感がある(内海塾に参加するということは、「言われに行っている」わけだからそれでいいんだけど^^;)。懇親会で内海先生に直接言えばいいようなものだけど、酒の席でする話としては固すぎる。
そこで今回のブログでは、ワクチンの後遺症に対して、オーソモレキュラー療法が著効した症例について紹介することにしよう。
以下、国際オーソモレキュラー医学会会長の柳澤厚生氏(僕の大親分にあたる人です^^)の論文『HPVワクチンの副作用に対するオーソモレキュラー治療』(The Orthomolecular Medicine News Service, May 7, 2015)から。もとは英語論文なので、翻訳が変だとすれば僕の責任です^^;
「思春期の女性へのヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)ワクチン接種は、子宮癌および子宮頸癌を予防するために開始された。
最初のHPVワクチン(ガーダシル(メルク社))は2006年に承認され、続いて二番目のワクチン(サーバリックス(グラクソ・スミスクライン社))が2007年に承認された。2013年末までに、およそ1億3千万本のガーダシルと4千4百万本のサーバリックスが世界中に供給された。いずれのワクチンも、日本では2010年から接種が行われ、2013年4月より、両HPVワクチンは厚労省推奨ワクチンとして接種スケジュールに加えられることになった。
高い有害事象発生率
2013年6月(HPVワクチンの接種推奨に関する法律が発行してわずか2か月後のことである)、日本政府はこれらのワクチン接種の推奨を停止した。研究報告によると、ガーダシルやサーバリックスによる有害事象は、その他のワクチンよりも1.7~3.6倍高かったためである。
政府の特別委員会がHPVワクチンによる副作用の報告を分析したところ、症例数は2500人で、うち617人(25%)では症状が”重篤”であると判明した。
驚いたことに、この特別委員会は、以下のように表明した。
『ワクチン接種を受けた女性において、ワクチンの副作用といわれるような身体的原因は見いだされなかったため、我々としては何らかの特別な治療法を推奨することはできない。
彼女らに見られるいわゆる副作用は、心身相関によるものだというのが我々の結論である。彼女らが心身相関反応による症状から解放されるよう、政府は彼女らにカウンセリングを行うべきである』」
『驚いたことに(Amazingly)』という表現(あまり論文に出てくる言葉ではない)に、柳澤先生の抑制した怒りがこもっているように感じる。
確かに、とんでもない話だ。
特別委員会は、HPVワクチン接種後に症状が現れた原因は、『心身相関(psychomatic)』だとしている。これは、平たく言えば、「気のせい」ということだ。
症状が現れたのは一人二人じゃない。2500人が、明らかな体調不良を訴えたんだよ?「何となく体調が悪いけど、気のせいかな」って特に症状を申告しなかった人を含めれば、潜在的被害者はもっと多いに違いない。
それなのに特別委員会は、ワクチン接種は副作用の身体的原因ではない、としている。原因は、気のせい(精神的影響が体に現れている)、だから、政府はカウンセリングを行って彼女らの心のケアにあたる、という(原因とそのケア、という意味では筋が通っている笑)。
もうね、文明国の対応じゃない。正気の沙汰じゃない。
特別委員会(the official task force)ってバカの集まりなの?ワクチンが原因で、心が傷つき、その結果、体にも影響が出た、だって?
こんなデタラメがまかり通るのが、日本の医療行政なんだよなぁ。
論文はさらに続きます。
「副作用の重症度
副作用を訴える女性らに対して、他の専門家が再度診察したところ、1112人(44%)が重症であると診断された。
初発症状はHPVワクチン接種から数週後から1年後に起こっていた。具体的には、頭痛、めまい、筋肉の虚弱および疼痛、嘔気、過眠、学習困難、書字障害、羞明、震顫(手、足、指)、関節痛、月経不順、歩行障害、記憶喪失、皮疹、にきび、といった症状である。
医療機関を受診した彼女たちは、様々な診断名をつけられていた。たとえば、以下のような病名である。
1.高次脳機能障害
2.ギランバレー症候群
3.多発性硬化症
4.ADEM(急性散在性脳脊髄炎)
5.SSPE(亜急性硬化性全脳炎)
6.CRPS(複合性局所疼痛症候群)
7.POTS(体位性頻脈症候群)
8.抗リン脂質抗体症候群
9.SLE(エリテマトーデス)
10.リウマチ性関節炎
11.慢性疲労症候群
12.線維筋痛症
13.クッシング症候群
14.橋本病
15.高プロラクチン血症
また、各種検査データでは、以下のような所見が見られた。
1.採血の生化学データでは著変なし。
2.血中の炎症マーカーには異常なし。
3.ただし、髄液中の炎症性サイトカイン(IL-2、IL-10、TNF-α)は上昇していた。
4.血流シンチグラフィーでは脳血流が減少していた。
5.アルミに対する白血球の過敏性が高まっていた。」
病院が好きで、病気予防のためにワクチンをよく打つという人は、上記の症状を覚えておくといい。
HPVワクチンに限らず、一般にワクチンにはアジュバンドとしてアルミや水銀などが入っているもので、これが様々な病気の原因になり得る。
ただ、HPVワクチンのように、接種後すぐに症状が現れればわかりやすいが、接種から1年ほど経って症状が現れたのであれば、因果関係がぼやけてしまって、患者本人もまさかワクチンが原因の症状とは思わない。
だからこそ、上記に挙げたような起こり得る副作用について、事前に知っておくべきだ。知っておいて、ワクチンの副作用ではないかと疑えるようにしておくべきだ。
というかそもそも、医者に言われるがままにワクチンを打っている時点で、相当な情報弱者だというより他ないんだけど^^;
論文はまだまだ続きます。
肝心の、オーソモレキュラー療法による回復症例のことにまだ言及してないし^^;
ただ、長くなりそうなので次回に。
2020.2.11
前回に続き、内海先生の講演で聞いた言葉から。
「あくまで私の感覚だが、患者のうち、医原病、つまり医療のせいで病気になっている人が3割はいると思う。
栄養の偏りが原因の人は15~20%程度、体の構造に起因する病気の人が同じ程度で、精神が原因の人は3割くらいだと感じている。
もちろん、これはあくまで目安で、たとえば、もともとは栄養の偏りが原因で症状が出たのに、病院で出される薬を飲むうちに症状がかえって複雑化し、ほとんど別の病気になるような人もいる。
”医猟”の犠牲がどれほど多いことか。
たとえばワクチン。
ワクチンを接種した子供では、そうでない子供と比較して、
・ぜんそく罹患率が120%増加
・男児でADHD罹患率が317%増加
・男児で神経疾患罹患率が185%増加
・男児で自閉症罹患率が146%増加
という疫学研究がある。
要するに、”打つと病気になる”。未熟な免疫系に妙な異物を注入するのだから、当然のことだろう。
しかし患者(およびその家族)のほうでは、ワクチンが原因だとは思っていない。だから、たとえば自分の子供がぜんそくにかかったとしても、普通に病院を受診する。ちょっと気の利いた親なら、病院の危険性に気付いていて、栄養療法のクリニックなどいわゆる代替療法に頼るかもしれない。
いずれにせよ、共通するのは、症状しか見ていない、ということだ。ぜんそく、ADHDなど、表面に出ているものだけを見て、根本的な原因を見ていない。そもそも、病名が違う。まず、ワクチン後遺症だと認識することだ。
社会毒のあふれるこの時代、我が身、我が家族をどう守るのか。
まずは知ることからだ。ワクチンだけではない。最悪の合法ドラッグである砂糖中毒や、農薬や食品添加物の危険性をきちんと認識しないといけない。
それは私の情報発信を見ている人なら、すでに知っていることだと思う。
『医学不要論』を読んだ人でさえ、誤解していることがあるのだが、私は西洋医学を全否定しているわけではないし、代替療法を持ち上げているわけでもない。
癌で腸閉塞を起こした人に対してはオペが必要だろう。急性外傷に対しては救急医療が人命を救うこともあるだろう。
西洋医学はもともとは戦場の医学である。緊急性を要する症状に対しては西洋医学の独壇場で、私はこの有効性を当然認めている。
一方、慢性疾患に対していかに西洋医学が無力であり、かつ、有害であるかを著書のなかで書いたわけだが、かといってそのアンチテーゼとしての代替療法が絶対的な善かといえば、まったくそうではない。
昨今はやりのメガビタミン療法で症状をこじらせた患者が、うちのクリニックにたくさん流れてくる。サプリは医薬品ではなくて食品扱いで、誰もが買えるものだが、使い方を誤れば害も起こり得る。
サプリによる害は、もはや医原病のようなもので、私はこれを特に、”代替療法原病”と呼んでいる。
そう、代替療法でさえ薬害を起こす。この点をほとんどの人がわかっていないと思う。
ネットの時代であり、病気を治そうとして誰もが情報を検索する。自分で何も考えていない。そこにあるのは「助けてくれ」という依存だけ。
代替療法であっても、依存ではダメなんだ。サプリがいい、プロテインがいい、何がいい、様々な情報があるが、これらは結局、依存症者の群れを作っているに過ぎない。
そもそも、病気とは、”あるがまま”なんだ。
体の反応は、いつも正しい。ただ、愚かな人間はいつも、浅知恵で状況をかき乱している。
風邪を引けば、咳や鼻水が出て、熱が出る。そこに、咳止め薬やら抗アレルギー薬やら解熱薬やらを投与する。
症状を悪だと思っている。この考え方のままでは、どの治療法に頼っても結局同じことだ。
なぜ、治りたいのか。治す必要があるのか。
この問いを突き詰めることは、結局生きる意味にもつながってくる。
病気からの回復が、単なる回復であっては意味がないとさえ思う。依存から自立へという、内面の変化が伴わないようであれば、結局また病気になるだろう」
内海先生が講演で文字通り、上記のような発言をされたわけではない。僕なりのアレンジが入っているところもあります^^;
先生の言いたいことを正確に知りたい人は、著作にあたるか、講演会に行ってください。
なるほどと思ったのは、患者の依存と自立の話。確かに、依存的な患者は多い。
僕は内海先生ほど優しくないので、患者に面と向かって「死ね」と突き放すことはないけど^^(患者を突き放して自立を促すのは、優しさなんだよ)、サプリで治すのは難しいだろうなという人はいる。
こういう人をよくよく問診してみると、成育史に根本的な問題があって(たとえば幼少期の虐待とか)、症状が自己表現になっている場合もある。いわば、症状に依存しているわけだ。精神的問題が原因の、本当の意味での精神科患者だね。
もちろん、サプリの投与を含めた栄養指導で、治る患者もいる。なかには賢い患者がいるもので、こんなふうに言う。
「ありがとうございます。ずいぶんよくなりました。このサプリ、確かに効いてると思います。ただ、これをいつまで飲まないといけませんか」
形を変えた依存じゃないか、って患者自身、気付いてるんだね。
オーソモレキュラー栄養療法の大御所ホッファーも、患者から同様の質問を受けたことがある。そのときホッファーは、このように答えた。
「あなたが健康でいたい限り、ずっと、です」
ホッファーはナイアシンの有効性に絶対の自信を持っていたから、こういうふうに言えるんだね。
僕自身はまだまだ勉強中の身で、自分のスタイルを模索している段階なので、内海流に「死ね」とも言えず、ホッファー流に「ずっと飲み続けてください」とも言えず、何となくぼやかして答えています^^;
2020.2.10
内海聡先生の講演会”内海塾”に参加してきた。
先生のフェイスブックはフォローしているし著作も何冊か読んだことがあるが、先生の肉声に接するのは初めてのことだった。
先生は、フェイスブックや著作において、強烈な”毒”を吐くことで有名である。キチガイ医を自称し、「日本人全員死ね」とか言うことは、多くの人がご存知かと思う。
で、実際に会った先生も、イメージ通りの人でした^^;
いや、ある意味それ以上だった。奇をてらうポーズとして言っているわけでもなく、挑発的な意味を込めて言っているわけでもなく、本当に軽蔑をこめて「死ね」と言っている。
講演でこのように言っていた。
「うちのスタッフは知っていることだけど、『死ね』というのは私の患者相手にも普通に言います。1日に5回くらいは言ってるんじゃないかな、
『〇〇先生の提唱する理論でサプリを飲んでいるんだけど、治りません。何を飲めばいいですか』みたいな、依存的な患者ばかりだよ。もうね、『死ね」っていうしかない笑」
どつき漫才のような雰囲気があると思った。
先生は、いわば、”言葉でどついている”。先生の毒舌で笑いが起こるのは、鋭い言葉の底に、一応の愛があるからだと思う。
ただ、こういうことを先生に指摘すれば、照れて「いや、愛情なんて1ミリもない。本気で『死ね』と思っている」と否定するだろうけど^^
講演会のあとの懇親会にも参加した。そこで内海先生と直接話す機会があったから、率直に疑問をぶつけてみた。
「先生は『ありがとうボトル』を販売されていますね。『水からの伝言』のような、言霊の力を信じておられるということですよね。
でも、先生、『死ね』と口癖のように言われる。そういう言葉の毒に、先生自身、当たってしまいませんか」
この質問をしたとき、僕はすでにかなり酒を飲んでせいもあって、先生がどのように答えてくれたのか、残念ながら正確には覚えていません^^;
おおよそ、「優しいウソのオブラートで包んだ言葉では患者は真に治癒しない、結局ズバリと言ってあげることが必要なんだ」という意味のことを言われたと思う。
こういうノリは大阪なら受け入れられると思う。
「アホやなぁ」というのが、罵倒どころか、愛情表現であったりする。
病人に対して「あんた、まだ生きとったんか。はよ死ねや」とちょっと突き放して言うほうが、「頑張って長生きしてよ」という嘘くさい言葉よりも、よほど本人の奮起を促したりする。
東京でもこの毒舌スタイルで通していて、かつ、受け入れられているというのは、先生がすでに”タレント”になっているからじゃないかな。
フェイスブックや著作の情報発信を通じて、僕らは内海聡のことを知っていて、その”キャラ”のイメージが、ちゃんとある。その先生から「死ね」と言われたところで、「待ってました!」てなもんで、本当に傷つく人なんてもはやいない、ということだろう。
上沼恵美子の番組を見ていると、東京から来たゲストが、容赦なく”関西の洗礼”を浴びている。どのゲストも笑って受け流す。大人げなくキレる人はいない。
同じ意味で、内海先生のスタイルも、ちょっとした”プロレス”なんだな。
講演内容は、『医学不要論~「彼ら」にだまされないために』と『食毒~現代の食の危険性』についてだった。
すでに先生のフェイスブックなどを見ているから、別段真新しい情報はなかったけど、先生の声を通じて直接聞くことで、見えてきたものもあった。
これは僕の解釈が入ってるかもしれないけど、先生の食に関する基本スタンスは、「先住民や野生動物に学べ」と「バランス」、この二点だと思う。
どういうことか、説明しよう。
エネルギー代謝の図をわざわざ持ち出すまでもなく、グルコースは生命にとって必須、というのが生化学の教えるところである。
また、たとえば栄養療法を実践している人は、このような図を見たことがあるだろう。
神経伝達物質を作るためには、グルタミン、フェニルアラニン、トリプトファンがなくては始まらないし、それぞれの代謝カスケードをまわすために、各種のビタミンやミネラルが欠かせない、だからサプリメントなどで栄養を補いましょう、という文脈で、この図がしばしば引用される。
本当にそうだろうか?
グルコースが必要というのなら、砂糖を補えばいい。グルタミン、フェニルアラニン、トリプトファンが必要なら、それぞれ補えばいい。味の素はグルタミン酸そのものだし、アスパルテームはフェニルアラニンとアスパラギン酸の結合体だ。いま流行のアミノ酸だから、摂って悪いはずがない。
理屈の上ではそのはずである。しかし実際摂取すれば、体にいいどころか、毒性物質として作用することになる。
これを内海先生は、”精製物質毒”という言葉で説明していた。
「サプリメントは、全否定はしない。しかし現実問題として、メガビタミン療法でよくならず、うちに流れてくる患者は山ほどいる。精製物質毒による症状そのものだ」
内海先生の結論は、こうである。
「必要なものは、与えてはいけない。与えると狂ってしまう」
具体的には、たとえば、
「糖は必要である。しかし、与えると狂う」
「ドーパミンは必要である。しかし、与えると狂う」という具合である。
もっと言えば、やや抽象的な話になるが、
「愛は必要である。しかし、与えると狂う」
外から何かを求めている限りは、先生のいわゆる”クレクレ君”であることから逃れられない。依存を脱して、真に自立することだ。
「筋肉は破壊により、一層強さを増す。同様に、心も逆境に揉まれてこそ、強くなる。
逆に、与えることは、堕落を招く。
病院でもそうなんだ。老人はできるだけ早く退院させないといけない。はたが世話を焼いては、自分で何もできなくなって、衰弱に拍車がかかるだろう。
だから勤務医時代、私はできるだけ早く患者を病院から追い払おうとしていた。しかし患者は私を恨む。何て冷たい医者なんだ、と。まったく何もわかっていない。『死ね』と思う。
同様に、サプリは人を弱くする。もちろん、私も臨床で使うことはある。しかし、メガビタミン療法のように多くの種類のサプリを長期間大量に飲ませることなど、決してしない。
私は東洋医学も実践しているが、サプリと漢方薬には似たところがある。
一般に漢方薬は、調合する生薬の種類が増えれば増えるほど、効果が減弱する。これを漢方医は『切れ味が鈍る』と表現する。逆に、ひとつの生薬だけ服用すると『切れ味が鋭い』。
要は、使い方だ。
サプリメントやプロテインなどの精製物質を無条件に礼賛する医師は、万死に値する。どれほど多くの人に毒を垂れ流していることか。心から願う。『早く死ね』と」
こう言われると、オーソモレキュラー療法を標榜して翻訳本まで出している僕としては、立つ瀬がないんだけど^^;
でも、いい刺激になる。
オーソモレキュラー療法の学会に参加して、同じような考え方の人たちと交流するのも楽しいけど、内海先生のような違う考え方の人と接するのも、物事を別の角度から見る視座を与えられるようだ。考え方が広がって、こういうのってすごくいいものだね。