院長ブログ

千島学説

2018.12.15

最近1ヶ月、これまでの科学の常識に反する発見が相次いでいる印象を受ける。

まずはこれ。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/12/post-11376.php
「血球は腸でも作られることがわかった」というコロンビア大学の研究チームの発見。
すでの半世紀以上前に千島喜久男博士が腸造血について報告していることを思えば、こんな発見はニュースでも何でもない。
旧弊な日本の学界は、千島博士のこの大発見の価値を理解しなかった。のみならず、千島学説を嘲弄し攻撃した。
革新的な説を唱える天才が現れても、寄ってたかって袋叩きにして潰してしまう日本の学界。
学界の重鎮にちょっとでも科学的な精神があれば、千島博士のいう現象が確認できて、その事実を基にして新たな研究分野が進展して、世界をリードできたのにね。
アメリカにやられっぱなしだなぁ。

次にこのニュース。
「父親由来のミトコンドリアが発見される」
https://gigazine.net/news/20181130-mitochondrial-dna-passed-through-fathers/
これは驚いた。
ミトコンドリアは精子には少なく、卵子には多く含まれている。また、受精後、精子由来のミトコンドリアはアポトーシスを起こして、受精卵には卵子由来のミトコンドリアだけが残る、というのが一般的な説だった。
ところが今回の論文を読んでみると、精子由来のミトコンドリアも次世代にきっちり受け継がれているし、その遺伝形式は常染色体優性のようだという。
人類の起源は一人の女性に行き着くという『ミトコンドリア・イブ』仮説は、ミトコンドリアが母系遺伝であることが根拠だったから、今回の発見が事実なら、この仮説はもちろん、ミトコンドリア・イブやY染色体アダムを根拠にする『人類のアフリカ起源説』も見直す必要が出てくるかもしれない。
千島博士は、卵子も精子も赤血球由来だとしている。
細胞内共生説によればミトコンドリアはある種の細菌で、細胞質と融合して共生関係にあるわけだが、父親由来のミトコンドリアの存在について、博士ならどう説明しただろうか。

「脳内に『腸内細菌』が発見される」
https://tocana.jp/2018/12/post_19064_entry.html?fbclid=IwAR0VPuqRK4LJDI65SZI_L6T8Ar2ysTusMjvosSt3Zi9F7RjAA0epAawazUY
これもアメリカ発のニュース。
今回、細菌が密集していることが確認された星状膠細胞というのは、一般的にはマクロファージが分化したものだと言われている。
安保徹先生によると、星状膠細胞に限らず、中胚葉由来の細胞(血管内皮細胞、筋細胞、線維細胞、クッパー細胞、赤血球、顆粒球、リンパ球、血小板など)はほとんどマクロファージ由来だという。
千島博士は白血球よりは赤血球推しで、すべての体細胞は赤血球に由来するとする『赤血球一元論』だ。さらに、『バクテリアの自然発生説』と『細胞新生説』も唱えていて、このあたりはガストン・ネサンのソマチッドの考え方と似ている。
今回発見された現象は、脳内で自然発生したバクテリアをマクロファージ(星状膠細胞)が抑えている姿、ということではないだろうか。
となれば、やはりこの発見も、千島博士の手のひらの中、ということになる。

現象をよりよく説明する理論が、よい理論だと思う。
千島学説という、現象を非常にうまく説明してくれる理論があるのに、日本の学界はこれを完全に黙殺している。
もったいない話だね。せっかく同じ日本の先人が偉大な理論を提唱してくれたのに、バカな学者には豚に真珠だ。
今後も、千島学説の正当性を裏付けるような発見が次々出てくると思う。

TPP

2018.12.13

どこかのページ内容を丸ごとごっそり頂くというのは、何だか能がないような気がして、引用するにしても一部にとどめる、みたいな気遣いを一応するようにしてるんだけど、、
名スピーチだ。
今後の日本の問題点が、簡潔にまとまっている。
僕が何か足したり引いたりしては蛇足以外の何でもないと思う。
で、そういうページは、自分のところに引用するんじゃなくて、リンクを張っておけば事足りるようなもんなんだけど、それでも、何か自分が一枚噛みたい、この名スピーチに直接コメントしたい、そういう思いで、ごそっと引用させてもらいます。

2016年12月2日参議院TPP特別参考人質疑

参考人:西尾正道
「かつて自民党は、ウソはつかない!TPP断固反対と言っていました。稲田防衛大臣はかつて、TPPのバスの終着駅は日本文明の墓場だ!という発言をしてるんですけれども、コロッと個人がウソをつくとかいうレベルではなく党としてウソをついてる!180度態度を変えちゃう。
国民は一体誰に投票したらいいんですか!これはウソとしか言いようがない。恥ずかしくないんですか!このように息を吐くようにウソをつかれたら、国民はやってられません」

「そもそも6千ページにも渡る内容を、みなさん読んでるんですか?情報出して下さいといっても海苔弁当の段階です。赤信号みんなで渡れば怖くないと言って、みなさん賛成しようとしているわけです。
冗談じゃない!
条文をまともにチェックもしてないわけですから、実際には赤信号も見ないで渡ろうとしているんだ。TPPってのは基本的には、『昔戦争、今TPP』です。
昔は戦争を仕掛けて国益を取りました。ところが公然と核兵器を持つ時代になったら、お互い面と向かって戦争は出来ない。地域紛争はもちろん起こりますけども、国家として国同士がぶつかり合えないですから、国益を取る、むしろグローバル企業ですけれども、国を動かしているグローバル企業の利益を取るために、貿易上の仕組みを変えて利益を取ろうってのがまさにTPPなんです。これがTPPの本質です」

「米国の医療はとんでもなく高い。日本のGDPの20%以上占めてますし、日本の7倍の医療費が使われてる。TPPに入るということは、アメリカナイズされた医療になるということです。
もうお互いに助け合うとかですね、共に生きる何ていう発想はないんです。医療も完全に金儲けの道具になるということです。
米国のロビー活動費見たら、何がターゲットですか?農業とかそういうものじゃないです。最大のターゲットは保険も含めた医療業界なんです。
2013年の3月4日付けのタイムスに28ページに渡る、米国医療の驚愕・医療ビジネスという特集号が出てました。まさにその中から取った記事であります。こういうことによって日本の医療はかなり大幅に変わると思います。
ちなみに米韓FTAが2012年に締結されましたけど、韓国の医療費は2年間で2倍になりました。日本は韓国の医療規模の4倍ほどありますから、恐らく膨大にお金が飛び上がる。今オプシーボで、半額にしようなんて議論やってますが、そんな話じゃ全然なくなります。本当に深刻です」

「1985年以来、とにかく日本の医療市場を解放するように、アメリカはずっと働きかけてきました。最近では新薬創出加算のようなものを作ったりして、一様に製薬会社が有利な形で日本市場に参入してきました。
しかしTPPがまさにですね、米国の日本の医療産業の解放を行う最後の仕上げがTPPだと考えております。ちなみに米国業界と保険業界の標的は日本市場であるということは、全国保険団体連合会の寺尾さんの論文からサマリーを取ったものです」

「私が医者になった頃は、一ヶ月の抗癌剤は数千円でした。90年代になって数万円になりました。21世紀になって数十万円になりました。
そして3年前の免疫チェックポイント阻害剤が出たら数百万になりました。桁三つ違ってますけども、TPPが締結されればどうなるか?アメリカの製薬会社の殆ど言いなりの値段になりかねない。
中医協ではチェック出来ません。中医協のやってる事が透明性を欠くとISD条項で訴えられたらできませんので、かなり製薬会社の意向を汲んだ価格になる。ダントツで日本の医療費は飛び抜けます。
最終的にはですね、皆保険も実質的に崩壊するというふうに考えております」

「このままでは日本の医療は崩壊し、日本人の健康は守られません。新技術が保険診療にできない事態が考えられますし、外科手術の術式にさえ、特許料を取るというような事態になります。
医療費も高くなるので、国民はみんな医療保険に入らざるを得ない社会にもなりかねない。TPPの本質とはグローバル企業が一般国民を犠牲にした金儲けでございまして、自由貿易は善であるという前提なんですけど、国の状況とかですね、経済格差を考えてやるべきであって、これ自体良いかどうかは話が別ですね。産業革命以来、富の源泉ってのは労働力でした。今はロボットも使える、そしたら何が富の源泉かっていったら科学技術なんです。
科学技術の負の側面は隠蔽するということになりますし、そういうことが金儲けになっちゃうと、とんでもない格差が出来ます。それをどういうふうに再配分するかっていうのが本当の意味での政治家の仕事だと思います。
そういうことをやらないで、企業がどんどん儲る世界に誘導していくってのはとんでもないことだと思います」

「一人の人間として、共に生きる社会をどう作るかっていうことを本当に真剣に考えて頂きたい。生命を脅かすTPPの2つの大きな問題がございます。医療問題を言いました。もう一つは健康問題です。
例えばこの40年間、ホルモン異常性の癌、女性は、僕が医者になった頃、乳癌1万5千人でした。今9万人です。前立腺癌もほとんどいなかったけど、今9万人で、男性の罹患者数のトップになりました。卵巣癌もどんどん増えてる、子宮体癌も増えてる。ホルモン依存性の癌が5倍になってるんですよ。
この40年間でアメリカの牛肉消費量は5倍になりました。まさにエストロゲン入りのエサを与えて1割生産性を高めて、そういう肉を食べている日本人もアメリカ人も5倍になってるんです、ホルモン依存性の癌が。
それから耐性菌もそうですね。豚や鶏には抗生物質入りのエサを与えて生産を高めてる。そのため人間が肺炎になっても薬がなかなか効かないという問題もあります。
それから残留農薬が世界一緩和されてる。とんでもない話だ。今一番使われてるネオニコチノイド系の農薬が自閉症の原因であることがつきとめられてます。WHOでは発癌にも影響しているとBランクにランキングされました。このままいくとアメリカの子供の二人に一人が自閉症になるよという論文が、去年ハーバード大学から出ました。本当にこういうことが深刻なんですね」

「遺伝子組換えを日本人が一番食べてる。アメリカにとって、大豆やトウモロコシは単なる家畜のエサです。ところが日本人は納豆で大豆食べます。味噌や醤油の原材料です。一番食生活で、遺伝子組み換えの影響を受けるのは日本人の食生活なんです。こういうことが全くチェックされないで、世界一遺伝子組み換え食品が普及してる。日本人の健康そのものが保てません。
癌の患者が増えてるのは高齢者だけじゃないです。食生活を含めて増えてるし、更にもっと深刻なのは、昔60代で癌になってたのが今は40代はざらです。約20年間若年化して癌になってます。これが現実です、僕の実感として。
自分達の国で農薬を規制したり、遺伝子組み換えを表示したりすることが、TPPに入った場合にできなくなっちゃうんです。日本の決まりよりもTPPの決まりの方が上位にあるわけです。こういう現実を冷静に考えて頂きたい」

「最近では遺伝子組み換えで鮭も5倍位になってますよね。これも規制しなくていいの?ってことです。本当に何があるか分かりませんよ。
子宮頸癌ワクチンだって、今まで不活化ワクチンか弱毒化ワクチンで作ってたんです。だから大きな問題起きなかった。子宮頸癌ワクチンは遺伝子組み換えで作ってるんです。更に効果を高めるために、アルミニウムのようなアジュバントを加えて作ってるから、ああいう予期しない問題が起こっちゃうわけです。もう少し冷静に命を重視する。お金よりも命を大事にするっていう発想に切り替えるべきだと思います。
最後に、大変深刻なのは今福島から出ている放射性物質、これは微粒子として浮遊してます。残念ながら。そういうものと化学物質が人間の身体に入った場合、相乗的に発癌するということが動物実験で分かってます。こういう多重複合汚染の社会になってきて、恐らく二人に一人が癌になるといわれてますけれども、多分2〜30年経ったら三人のうち二人は癌になります。本当に癌がどんどん増える社会になります。自分達の国でキチッと法律で規制できるような体制を作るためには、決してTPPに加入すべきではないと思っております」
西尾正道(北海道がんセンター名誉院長、北海道医薬専門学校学校長)  参考人2006年12月2日参院・TPP特別委員会

そこらの一般人の与太話ではない。
それ相応の地位のある人が、批判されること覚悟で堂々と公の場で述べたんだ。
2年前の発言だけど、状況は彼の危惧したとおりに進んでいる。

要するに、日本は敗戦国で、いまだに延々宗主国に搾取され続けている、ということなんだね。
見せかけだけは独立国ということになっているけど、実は全然そうじゃない。
日本の政治家は、アメリカ様の要求の前に、ノーと言えない。
頭を垂れて国の金を、国民の健康を、差し出す。
「アメリカ産牛肉はやばい」「遺伝子組み換え食品は危険」「ワクチンは有害無益」
みんな科学的に明らかになっている。省庁の責任者や学会のトップは、そんなこと、百も承知だ。
でも、止められない。
現場で心を痛めている官僚や医者はいると思う。(そう信じたい)
でも、止められない。
結局政治なんだよ。そしてこの国の政治は、決して国民の利益を代弁してくれやしないんだ。

だとしたらどうするか?
自分で知識を仕入れて、自分の身は自分で守るしかない。
スーパーに普通にアメリカ産牛肉が売っている。でも買わない。
遺伝子組み換え食品が身近にあふれている。でも食わない。
ワクチンを打つように役所から通知が届く。でも打たない。
「お上が言ってるから、きっと大丈夫だろう」はもう通じる時代じゃない。
なんて悲しいことだろう。
でも、それが、現実なんだ。

ジプレキサ

2018.12.12

「薬はできれば飲みたくないです」
「なぜですか」
「太りたくないから」
抗精神病薬の副作用のひとつに肥満があって、これは体型を気にする若い女性には大きな問題だ。
ただ、肥満の起こしやすさには違いがあって、クロザピン、ジプレキサは特に影響が強い。
中程度のものとしては、セロクエル、リスペリドン。影響が少ないものとしては、エビリファイ、ロナセンあたり。

では、なぜ太るのか。
精神科医でも「糖代謝に影響するから」ぐらいの答えしか持っていないと思う。
もう少し突っ込んで考えてみよう。
たとえばこの論文。https://www.jstage.jst.go.jp/article/csf/38/2/38_13012/_article/-char/ja/
タイトルは『オランザピン(ジプレキサ)はPERKを介したmRNAの翻訳減衰を阻害することで膵β細胞のアポトーシスを誘導する』。
ざっと訳すと、、、
第二世代抗精神病薬のなかでも特にオランザピンは、肥満、高脂血症、糖尿病を引き起こすことがある。一般的には、まず肥満が起こり、ついでインスリン抵抗性が生じることによって糖尿病が発症すると考えられている。
本研究では、オランザピンとリスペリドンがネズミの膵β細胞にどのような影響を与えるかを調べた。
両者とも、小胞体にストレスを引き起こしていることがPERK(ストレスの指標となる分子)の活性化によって示されたが、オランザピンはそればかりでなく、著明にアポトーシス(細胞の自殺)を引き起こしていた。
オランザピンで処置した細胞では、eIF2のαサブユニットのリン酸化(PERK活性化の直後に起こる現象)が観察されなかった。PERKが活性化しているにもかかわらずタンパク合成が止まらず、従って小胞体のストレスが続いていた。
オランザピンで処置した細胞では、インスリンを細胞外に分泌することができず、プロインスリンおよびインスリンが細胞内に蓄積していた。タンパク合成を抑制したり、インスリンを作るmRNAをノックダウンすると、タンパクの負荷が少なくなり、オランザピンによるその後のアポトーシスが軽減していた。
オランザピンを服用した患者のなかには体重増加なしに高脂血症や高血糖をきたす者がいるが、これはオランザピンによる膵β細胞へのダメージがこうした代謝に影響していることが原因かもしれない。

要するに、オランザピンは細胞にとってストレスなんだ。こういうストレス下では本来細胞内でのタンパク合成が低下するんだけど、延々合成を続けてしまう。こうして膵β細胞内ではインスリンが無数に作られるんだけど、かといって細胞外に分泌もできず、内部にどんどんたまっていく。で、やがて耐えきれなくなって細胞が死んでしまう、という話。
つまり、オランザピンを飲んでいる人が糖尿病になるのは、インスリン抵抗性というよりも、インスリン分泌能力自体が破壊されるのが原因ではないか、ということだ。

もう少しオランザピンの副作用の話を続けよう。
「抗精神病薬の服用によって、脳が萎縮するのではないか」という指摘はかなり昔からあった。
統合失調症者とそうではない人で脳の容積を比較すると、前者のほうが有意に萎縮していることを示した研究とか、統合失調症者の死後の脳解剖の所見から、そういう主張がされていた。
でも、こうした主張に対して、薬を売りたい人たちは当然反論するわけ。
「違う。脳の萎縮は薬のせいではなくて、統合失調症という病気自体の影響によるものだ」と。
この反論に反論しているのが、この論文。https://www.nature.com/articles/1300710
マカク猿を三つの群(ハロペリドール投与群、オランザピン投与群、プラセボ投与群)に各6匹ずつ振り分け、17~27カ月間投薬した。
投薬期間終了後、両実薬群ではプラセボ群と比較して、平均脳重量で8~11%減少していた。
脳容量の減少は、すべての脳領域(前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉、小脳)で起こっていたが、特に前頭葉と頭頂葉で顕著だった。
カバリエリの原理を用いて頭頂葉の立体構造分析をしたところ、白質および灰白質の容量を減少していることがわかった。
結論としては、霊長類(人ではないが)への抗精神病薬投与は、脳容積の減少と関連している。

この研究結果を見て、さすがに「サルの結果じゃないか。人間には大丈夫だろう」と反論する人はいないと思う。
マカクサルの尊い犠牲のもと、抗精神病薬が脳の萎縮を引き起こすということが明らかになったわけ。
膵臓の細胞でアポトーシスが起こっていたように、同様の機序で脳の細胞でもアポトーシスが起こってるんじゃないかな。

「太るから、薬はイヤ」というのは、なかなか乙女チックな理由だけど笑、動機はともかく、薬を拒否する行為は、実に正しい。
とはいえ、薬のおかげで何とか幻覚妄想が治まっていて、平穏な日常を過ごせている人にとっては、簡単に薬をやめることはできない。
そこで、栄養療法の出番だ。
患者のお母さんが言う。
「一番ひどいときは、ジプレキサを20ミリとインヴェガを12ミリ飲んでいました。どちらも処方量の上限です。
栄養療法を開始して、明らかに調子が良くなりました。笑顔が戻り、読書したり散歩したりすることができるまでに回復しました。
薬も徐々に減らすことができ、今はジプレキサを2.5ミリだけで、穏やかに過ごせています」
こういう話を聞くと、みなさんは「なんだ、栄養療法を使ってもせいぜい減薬までで、断薬できないのか。結局薬はやめられないんだな」と思うかもしれない。
でも一般的な精神科専門医に言わせれば、ジプレキサ2.5ミリというのは通常量の四分の一で、「そんな量で幻覚妄想が抑えられるわけがない」と鼻で笑われるぐらいの量なんだ。
長く飲み続けてきた人だから、再発しておじゃんにならないよう、慎重を期してこの量で継続しているわけ。
薬の毒性は明らかなんだから、できるだけその使用量を減らすような工夫が必要で、そういうときに栄養療法はすばらしいサポートになるよ。

ウナギイヌ

2018.12.11

今ルミナリエの開催期間中で、夜の元町駅周辺は大変な人だかりだ。
近辺は車の通行が規制されているし、歩行者の通行も警備員が規制している。
ジムに行く通りがまさにルミナリエのルートにあたっているものだから、ジムにたどり着くのも一苦労だ。
それにしても、歩いているのはカップルばっかり。
光に誘い出される蛾のように、神戸中のカップルがこのイベントにふらふらと引き寄せられている。
こんなにたくさんのカップルがいるのか、と感心する。
少子化を心配するのは杞憂だな笑

でも今日は夕方から雨が降り始めたから、いつもより落ち着いている。

僕の目の前を、一つの傘を二人で分け合う高校生のカップルが歩いていた。
男の子のカバンにウナギイヌのキーホルダーがついていた。
ウナギイヌ?
40年前の小学生がこのグッズを持っていたとしたら、それはまさしく、人気マンガの人気キャラクターであり、その子には誇らしいキーホルダーだっただろう。
しかしバカボンをリアルタイムで見てないことはもちろん、再放送でも見てないかもしれない今の高校生が、ウナギイヌのキーホルダーをカバンにぶら下げる感覚は?
一周まわっておもしろい、といったところか。

一周まわって、ではなくて、赤塚不二夫作品はどれもおもしろいんだけどね。
バカボンもおそ松くんも、ユーモアがあるのはもちろん、優しさが根底に流れてる。
暴力シーンはいっぱいあるけど、弱虫のハタ坊もいじめられたりしない。ケンカにしても、チビ太が一人で六つ子に向かうような、弱い者が強い者と戦う場面しかない。
ああいうのは赤塚不二夫の人間観がそのまま出ている。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09408606

満州から引き揚げてくるときの船内は地獄だった。
大人たちは食べ物の奪い合いで殺伐としていた。皆、生きるために必死だった。
船内の片隅に横たわり、ただ痩せ衰えていく妹。何も食べさせてやることができない。希望を持たせようと、明るくふるまう。笑顔を見たくて、冗談を言う。
最初のうちは笑っていた妹だが、次第に笑う元気もなくなっていき、やがて餓死した。
見るのもつらい。でも、目を背けなかった。
衰弱していく妹の姿は、彼の心に一生深く焼きついた。

60年代は赤塚不二夫の時代だった。
おそ松くん、ひみつのアッコちゃん、天才バカボン、もーれつア太郎。
出すマンガがことごとく大ヒットした。
彼が生み出す斬新なキャラクターたち。キャラクターの滑稽な言動。(しかしギャグの下に一貫して流れる一抹のペーソスに、気付く人は少なかった。)
子供たちは彼の画き出す作品世界に夢中になった。
マンガは飛ぶように売れ、テレビアニメにもなった。
気が付いてみれば、使い切れないほどの大きな財産ができていた。

こんな金が何になる。
高い酒、高い女、高いスポーツカー。何を買ったって、満たされやしない。
今じゃないんだよ。あのときだよ。
引き揚げのときの、あの船内で、今の何百分の一でいいから金があって、食い物を買ってやれれば。
悔やんでも意味のない悔いに身を悶えさせながら、すべて忘れようとして、次第に酒の魔力に溺れていく。
「酒が傑作を生み、酒が赤塚不二夫を生んだのだ」と豪語したが、病的なレベルに達した酒量は、着実に彼の創作能力を枯渇させていった。

作品を生み出す力がなくなっても、彼には楽しみがあった。若い芸術家を支援することだ。
唐十郎、寺山修司など、食うに困っている劇団に惜しみなく資金援助した。
福岡から飛び込んできたタモリに衣食住を提供した。
将来のある若手を助けてやることこそ、彼にとってほとんど唯一、意味のある金の使い方だった。
こうして後進には大いに慕われることになったが、彼の健康はますます酒に蝕まれていった。

アルコール依存症の治療のために、何度も入退院を繰り返している。
退院後、報道陣の前で、これでやっと飲める、と記者らの前で酒をあおって見せた。
どこまでも露悪的な人で、破滅型の人で、繊細な人だった。

僕が彼の主治医だったなら、、、
救えただろうか。
ナイアシンなりビタミンCなりで、アルコールの霧のなかから彼を救い出すことができただろうか。
それとも、少年時に刻まれた餓死する妹を看取った記憶はあまりにも鮮烈で、裕福になればなるほど強くなる自己の破滅願望は、もはやビタミンでどうにかなるものではなかったか。
酒の悲劇は、適切な栄養摂取で防ぐことができると僕は信じている。
こんな才能のある人が、酒で潰れてしまってはいけない。何としても助けたい。
しかしそんな僕の思いをよそに、赤塚不二夫は笑いながら言うだろう。
これでいいのだ、と。

AI

2018.12.11

去年オンエアされたNHKの番組『AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン』で、AIに「健康になるには」と尋ねたところ、「病院を減らせ」という回答が出たという。
これには驚いた。
「健康になるためには病院を減らせ」という主張に驚いたのではない。
こんな主張には、何の新味もない。
人々が救いをもたらすと信じている医学こそ、実は最も健康を害する原因になっているというのは、すでに多くの人が気付き始めている。
僕が驚いたのは、こういう主張が堂々とNHKで放送されたことと、あと、「AIって案外ちゃんとしてるじゃないか」ということだ。

雑誌の特集なんかで、「この先、AIに取って代わられる可能性のある職業」がいろいろ挙げられているが、医者も例外ではない。
これまでの診断、治療成績などの膨大なデータをもとにして、AIは最善の治療方法を提示する。
それは、そんじょそこらの医師よりも遥かに正確無比だ。多くの医師はお払い箱となって、失業することになる。

本当だろうか。
本当であっても、かまわない。
ほとんどの医者は製薬会社の思うがままに薬をバンバン出す機械みたいなもんなんだから、機械が別の機械に代わるだけのことだからね笑
ただ、僕が疑問なのは、そのAIに取り込まれたデータに、栄養療法による治療成績は含まれているのだろうか、ということだ。
あるいは、鍼灸、漢方などの東洋医学による治療成績や、アーユルヴェーダやホメオパシーなど、代替医学といわれる医学の治療成績は含まれているのか。
たとえば癌の患者がいるとして、西洋医学による治療(手術、抗癌剤、放射線)、代替医学による治療、どちらが有効か(患者の真の利益につながるか)をAIに判断させれば、代替医学がダブルスコアで圧勝することは目に見えている。
アロパシー(対症療法)の得意分野はせいぜい救急医学だけで、慢性疾患にまでしゃしゃり出てきてその方法論を適用しようとすることは根本的に間違っている。
そういうことが、白日の下に明らかになるだろう。
だとすれば、、、
製薬会社がそんなAIが世に出ることを許すだろうか。
許すはずがない。
医療行為を代替させるコンピューターを作るにせよ、製薬業界にとって不利なデータは取り込ませない。
薬の売り上げが下がるようなデータは、極力排除する。
AIが医療現場で使われるとしても、そういう「偏向AI」が使われることになるだろう。

僕はそんなふうに思っている。
だから、今回、上記番組でAIが「健康になるためには病院を減らせ」という、至極まっとうな結論を出したことが、僕には大いに意外だった。
取り込むデータに偏向がなければ、正しい事実を提示してくれるんだな、ちゃんとしてるじゃないか、と。

「医者がストライキを起こせば、患者の死亡率が低下する」ということは、レビューでも示されている。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18849101
レビューというのは、いわば「論文の論文」とでも言うべきもので、一番エビデンスレベルが高いとされているものだよ。
内容をざっと説明すると、、、
医者のストライキに関して、逆説的な結果が示されている。つまり、医療産業従事者がストライキに入ると、患者の死亡率は横ばいか、あるいは減少する、ということだ。
この逆説を検証するために、過去40年分の文献のレビューを行った。156の文献があり、そのうち7つが我々の基準を満たしていた。1976年から2003年まで、世界で起こった医者のストライキ5件を分析した。
ストライキは最短で9日、最長のもので17週。どの文献でも、ストライキ期間中(なかにはストライキ後も)死亡率は不変か、あるいは減少していた。ストライキ期間中に死亡率が増加した報告はなかった。
「医者がストライキをすれば、患者の死亡率が下がる」この逆説には、いくつかの要因がある。
一番大きいのは、ストライキ中には待機手術がなくなることだ。(やってもやらんでもいいような手術をして、患者の死期を早めてる、ってことだよ)
また、ストライキ中にも、病院は乏しい人材を救急部門にだけは回してたこと。最後に、どのストライキもそんなに長期ではないわけだから、長期間医者にかからなかった場合の影響が評価できていないのではないか、ということ。

個人的には、最後の理由は違うと思う。ストライキがもっと長期にわたっても、患者の死亡率は相変わらず低いままだったと思う。
日本には夕張市の実例がある。
財政破綻のために、公立の病院がなくなった。「病院がなくなった。大変なことになるぞ」って言われていたけど、ふたを開けてみれば、人々の健康寿命は大幅に向上した。
「病気になっても、病院にかかることはできない。自分でちゃんと健康管理しないと」という意識が芽生えたおかげで、結果的に住民のみんなが健康になって、本当に医者いらずになった、というわけ。
すばらしい話だ。
やはりAIは真実を示している。
人々の健康を本当に願うのなら、病院や医者は極力減らさないといけないんだな。