院長ブログ

真菌、コレステロール、癌10

2020.2.14

そう、FDAは製薬会社を信用している。
しかしFDAは製薬会社に対して、スタチン製剤が”コンタミフリー”(異物混入なし)であることを証明する試験を課しているわけではない。
「カビ毒を成分ごとに分離する技術はすでに開発済み」と製薬会社は主張する。「そもそも適切な分離ができないと、スタチン製剤を作る工場で職員がcitrininに曝露してしまう。職場環境保全のためにも、そのあたりの技術は当然しっかりしている」と。
しかし本当だろうか。
カビ毒の分子量は、おおよそ1モルあたり200~500 gである。
しかしたとえば、ロバスタチン(メルク社)の分子量は404.54であり、citreoviridin(強力なカビ毒)の分子量は402.48である。
混入の可能性は、本当に、ないのだろうか。

ヒトに投与すると、citreoviridinは中枢神経系に蓄積し、上行性麻痺、けいれん、呼吸停止を引き起こす。
よく勉強している医者なら、これらの症状を見て、ピンとくる。「すべてALS(筋萎縮性側索硬化症)の症状じゃないか」と。
スタチン誘発性のニューロパチー(神経損傷)とALSについて、報告は数多い。
・『コレステロール降下薬との関連が疑わしいALS様症状~カリフォルニア大学サンディエゴ校のスタチン効果研究への症例報告分析』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19591530
・『薬剤誘発性神経障害のリスク評価~スタチンとニューロパチー』
https://n.neurology.org/content/58/9/1321
・『スタチン療法は中枢神経系の髄鞘再生を阻害する』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2671276/
・『プラバスタチン投与と関連した多発性単神経炎(モノニューロパチー)』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17133326
・『スタチンと神経筋変性疾患と筋萎縮性側索硬化症様症候群について~VigiBaseからの症例報告の分析』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17536877

citrininを含め多くのマイコトキシン(カビ毒)は神経毒である。
スタチンを飲むということは、神経毒を飲むということであり、さらに、その錠剤のなかに製造プロセスで他の神経毒が含まれている可能性は否定できない。
最初のスタチン製剤(メルク社のロバスタチン)の承認に際して、なんと、FDAさえそれがカビ毒由来であることを知らないままに承認した。
FDAでさえ知らないのだから、一般の医者はもちろん知らない(僕もこの本を読むまで、正直知らなかった)。
当局自身が自分たちが何を承認したのか認識していない、そんなデタラメな品質検査が行われている。それがFDAの実態なんだ。

1979年、米に寄生するカビの一種Aspergillus terreusから新たなカビ毒が単離された。この毒は実験動物に震顫(tremors)を起こすことから、territremsと名付けられた。
territremsは、citrininやスタチンと同じように、ラクトン環を含むポリケチドのひとつである。
実験動物にこれを投与すると、震顫、けいれん、ひきつけ、筋消失(筋委縮)が起きる。これらはすべて、ALSの症状である。また同時に、すべてスタチンの副作用として報告されている症状である。

こうした症状を呈する患者を臨床で診察し除外診断をしていくなかで、たとえ熟練の内科医でも、スタチンが神経毒であることを知らなければ、せいぜい多発性硬化症かパーキンソン病かALSと診断するのがオチだろう。
つまり、お薬手帳に書かれているスタチンの服用歴を見落として、territrems誘発性ニューロパチーであると正しく診断できない、ということだ。

このように、薬の副作用について医者が無知である状態は、患者にとって不幸であることはもちろん、医者や製薬会社にとっても、不幸なことではないかと思う。
医者だって人間である。自分の仕事に誇りを持ちたい。自分の処方する薬が患者の健康を高めて、患者の人生をよりよくするものであって欲しいと思っている。なかには金に魂を売った医者もいるかもしれないが、そういうのはごく一部だろう(と信じたい)。
製薬会社で働いている人(研究職であれ営業職であれ)も、医者と同じ気持ちだろう。
しかし、このような毒みたいな薬を飲まされて健康を害した患者のなかには、大げさではなく、文字通り人生を失った人がいる。そういう人は、遠慮なく医者や製薬会社を訴える。

福田実という人がいる。
大学時代は応援団とワンダーフォーゲル部に所属して若いエネルギーを発散し、就職してからは会社と愛する家族のためにバリバリと働いていた。
たまたま受けた会社の健康診断で高脂血症と診断され、コレステロール降下薬を飲み始めたことから、地獄が始まった。
「不整脈から始まり、やがて突然の腰痛に襲われた。尻の筋肉が痛くて力が入らなくなった。それでも、薬を飲み続けた。飲み始めて半年後には、顔のむくみ、喉の渇き、喉の筋肉のつり、血尿、胃痛、じんましん、脱毛、排尿困難、皮膚が薄くなって熱いものや冷たいものが掴めない、全身の筋肉が柔らかくなる、治療済みの虫歯が歯髄炎に、水虫、結膜炎、背中にヘルペス、喉は咽頭炎など、ありとあらゆる症状が出た。身体中の毛が抜け、皮膚が痛くてカミソリが使えず、顎が外れそうになり、少しの辛さや酸っぱさでも胃にしみるようになり、排尿時には尿道が痛み、もはや普通の生活はできないほどになった。
二年ほど経ってようやく薬をやめたが、時すでに遅く、もう症状が改善することはなかった」
「医療過誤、そんなものは他人事だと思っていた。会社の健康診断で高脂血症と診断された際には、食事などの生活習慣も変え、積極的に健康になるために医師のアドバイスも受けた。すべては健康で元気よく働き、幸せに長生きするために。そのささやかな願いはすべて壊されてしまった。医者から出された中性脂肪とコレステロールの薬のせいで、二度と治らぬ体にされ、俺は今、死にかかっている。元気で働くために、家族で幸せになるために、そして長生きするために飲んだ薬のせいで」
この人は、薬のせいで人生を破壊された。その怒りは察するに余りある。
薬害被害者として、医者と製薬会社を相手に訴えた。通常こういう裁判は、よほどのことがない限り、患者が勝てないようになっている。しかし2010年、裁判で全面勝訴となった。
勝訴は意味のあることだろう。しかし勝訴によって、失った健康が戻ってくるわけではない。
僕らがこの人から学ぶべきは、医者と製薬会社の危険性である。
医者自身が、スタチンが危険なカビ毒だと認識していないんだよ?
運転手が目隠ししながら運転する車に同乗すれば、怖いでしょう?医者に頼るというのは、それと同じようなものだよ。

参考
“Proof for the cancer-fungus connection”(James Yoseph著)
『私は薬に殺される』(福田実 著)

真菌、コレステロール、癌9

2020.2.14

アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)は地球上で最も毒性の高いカビのひとつである。
その芽胞は、ヒトに対して、他のどのアスペルギルス属よりも致死的な感染症を引き起こす。
数種類のカビ毒を産生するが、これらの多くにはコレステロール低下作用、細胞破壊作用、発癌作用がある。その有毒性のために、生物兵器として軍事的にも用いられている。
有毒な活性成分として、具体的には以下のものが含まれている。
Citreoviridin (Franck and Gehrken 1980)
Patulin (Draughon and Ayres 1980)
Emojin (Fujii 1982)
Terretonin (Springer 1979; Li 2005)
Geodin (Kiriyama 1977; Ronnest 2011)
Territrems (Ling 1979)
Gliotoxin (Lewis 2005; Kupfahl 2008)
Cytochalasin E (Fujishima 1979)
Citrinin (Sankawa 1983)
Statin:Compactin/Monacolin-K/ML-236B (Endo 1978)

発見者の名前を見てわかるように、日本人研究者が多い。食文化として発酵の恩恵に預かってきた国民性もあるのかもしれない。
ただ、彼らの研究成果が日本の軍事力に貢献しているならまだしも、外国の軍隊に吸い上げられているわけだし、それどころか、日本はスタチンを売りたい製薬会社の格好の標的になっている。
何ともやるせない気持ちだ。

最初のスタチンはcitrininを産生するカビ(Penicillium citrinum)から発見されたことは先述した。
citrininは細胞毒性、発癌性が強すぎたためヒトに対する医薬品として実用化できなかったが、代わりに構造的には類似したプラバスタチン(プラバコ―ル)がコレステロール降下薬として売り出された。
しかし、citrininとその他のスタチン製剤は、分子量としてはほぼ同じである。スタチン製剤から有毒なカビ毒成分が正確に分離されているという主張には、相当無理がある。
実際、最近の研究によると、自然発酵した赤米の酵母から精製したとされるスタチン製剤の3分の1から、citrininの混入が確認された。

citrininが毒性を発揮する機序(リダクターゼ阻害)は、不可逆である。このせいで毒性が強すぎて、遠藤先生はcitrininの商品化をあきらめざるを得なかった。
現在一般に処方されているスタチン製剤はリダクターゼに対して可逆的で、それほど毒性がないとされているが、ある報告によると、スタチンの服用を中止した後にも筋細胞の損傷が続いていたという。
たとえば、この症例報告。
『フルバスタチンによって生じた致死的ループス様症候群と急性呼吸窮迫症候群』
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(98)85019-8/fulltext
「67歳女性。
8週間続く多発性の関節痛と筋肉痛および全身の発疹のため入院した。
既往症として高血圧があり、アテノロール(50 mg/day)を服用していた。また、入院の2年前から網膜の静脈塞栓を指摘されていて、以来アスピリン(75 mg/day)も服用していた。
入院の6か月前に定期健診を受け、そこで血中コレステロール高値(278 mg/dl)を指摘された。食事の改善を指導されたが、数値が低下しなかったため、フルバスタチン(20 mg/day)を処方された。
服用開始から1週間後、全身の掻痒感を伴うエリテマトーデス様の皮疹が出現し、さらに右膝関節と両手関節に腫脹と痛みが出始めた。約10週間後にフルバスタチンの服用を中止したが、中止から1か月以上経っても症状が改善しないため、入院となった。」

膠原病の専門医でなくとも、医学生でもわかるくらいの明らかなSLE症状である。
軍事関係者ならば「経口投与でこれだけのダメージを与えられるのなら、食品に混入させるなどして敵軍の兵力を大幅にそぐことができるのではないか」と発想するだろう。
もはや因果関係は明らかである。しかしなぜ薬の服用をやめても改善しなかったのだろう?
可逆性のカビ毒だけを使っているのなら、このような症例はあり得ないのではないか?citrininあるいは類似のカビ毒が混入していた可能性は?

誰にも確かなことは分からない。
現代は、医療の闇の時代(the Dark Age of Medicine)なのだ。莫大な金が、盲目の信頼の上を行き来している。
FDAは、製薬会社を信用している。
現場の医者は、FDAを信用している。
患者は、医者を信用している。
しかし、信用と金は、本来混じり合ってはならないものだ。

参考
“Proof for the cancer-fungus connection”(James Yoseph著)

ユーチューバー

2020.2.14

何を隠そう、僕はかつて、ユーチューバーだった。
そもそもユーチューバーの定義って知らないんだけど、「自分で動画を撮って、ユーチューブにアップする人のこと」ぐらいの認識でいいよね?「ユーチューブで生計を立てている」までいかなくてもいいよね?
そう、だとすれば、僕は確かにユーチューバーだった^^

開業当初、クリニックの宣伝を兼ねて、栄養に関する情報発信をしようと思い立った。
ビタミンCやらナイアシンやらについて、10分くらいの短い動画を作って、毎日のようにアップしていた。
編集はほとんどしない。気のきいたBGMも字幕もないし、サムネイルもない(そもそも、編集のスキルがない^^;)
自分が録音ボタンをタップした瞬間がスタートで、録音ボタンを切ったところが動画の終了。言葉につまったり言いよどんだりかんだり、っていうのも編集せず、そのまま流していた。
今思えば、メンタリストDaigoがやってるスタイルそのままで、あれはあれで全然ありだったのかな。
チャンネル登録者も順調に増えていたし、あのまま続けていればよかったような気もする。

しかしあるとき、アップしている動画をすべて消してしまった。ほとんど衝動的に。
なぜだろう?
いろいろ思うところがあって、簡単に言葉にしにくいんだけど、一番大きいのは、恥、という感覚じゃないかな。
撮りっぱなしでろくに編集していない、というところが恥ずかしいんじゃない。
内容勝負だと思っているから、言葉につまるとか、白衣の下に着てるTシャツがダサいとか、そういうのは全然気にしていない^^

僕が恥ずかしいと思ったのは、動画がずっと残っていく、というところ。
自分でいうのも何だけど、僕はずっと勉強している。全然自慢してるんじゃないよ。ギター少年が一日中ずっとギター弾いてるでしょ。彼は楽しんでやっているのであって、別に、努力している、なんて意識、彼にはないよね。それと同じで、僕もずっと論文読んだり、なんやかんや勉強している。
で、勉強すれば、新たな治療論や方法論を知って、知識が増えていって、僕自身が変わっていくんだよね。

動画は手を抜いて作ったわけじゃない。ちゃんと下調べして、どうやって伝えようかと事前に考えを巡らして、自分なりのベストを尽くして作っていた。
でもあくまで、その時点でのベスト、なんだな。
成長を続けていれば、過去は常に未熟で、その未熟な自分が得々と語っている姿というのは、もうたまらない。”未熟”が服を着てしゃべっている、という感じだ。
他の誰がどれだけイイねをくれようが、僕自身は恥ずかしくて動画を見れない^^;

十代の頃に書いた日記を読み返したときの感じに似ている。若書きの勢い、とぃうのは確かにあって、それはそれで、おもしろい。そのときにしか放てない輝き、というのは確かにあるだろう。
しかしそれは、私的な日記だから許せるんだ。誰もが自由に、半永久的に(YouTube がいつまで存在するのか知らんけど)閲覧できる半ば公的な場に、未熟な自分を置き続けることが、僕は耐えられなくなってしまった。

最近は、猫も杓子もユーチューブ、で、ブログはもうオワコン、みたいに言われてる。
本当にそうかな?
誰もがユーチューブに参入すれば、それだけ競争が激化して、勝てるのも結局一握り、っていう状況は今後も変わらないと思う。
栄養療法、というのはニッチな分野だけど、一定数の需要はあるだろうから、本気で頑張って固定ファンをしっかり掴めば、毎月生きていくくらいのお金は稼げるかもしれない、という思いはある。
でも、さっき言ったような理由で、僕には不向きなようだし^^;、それに、ブログがもうオワコン、とも思えないんよね。
ブログを始めた当初は、「こんなもん、誰も読んでへんやろう」という気持ちがあった。でももちろん、「わかる人には、わかるだろう」という希望も。
たとえば、みんなの前で講義をする先生は、生徒の理解力を信用する、という大前提がある思う。「どうせお前ら、わからへんやろう」という思いでは、いい講義はできないし、そもそもそんな気持ちでは先生自身の身が持たないだろう。

ブログを続けてみてわかったことは、世の中にはちゃんとした読解力のある人がいる、ということ。そういう人には、活字表現でも充分、伝わっている。
むしろ、情報伝達のスピードと能率では、一般に伝聞よりも文字のほうが早いものだから、活字に強い人にとっては、ユーチューブで学ぶことは冗長でもどかしいんじゃないかな。
本は、欲しい情報のところだけを拾い読みができるけど、動画は見るとなれば一本丸々、ということが多くて、そこも不便だな。
僕はユーチューブを見るときは、2倍速にして見るのが基本になっている。普通のスピードでは、まどろっこしくて見ていられない。
ただし、音楽とお笑いだけは例外。音楽を2倍速で聞くと、音楽の意味がまったく変わってしまうし、お笑いの2倍速も、緊張と緩和がズレて、笑えなくなってしまう^^;

最近、自分がかつてユーチューバーとして活動していた痕跡を、思いもかけないところで見つけた。
『アルツハイマー病〜真実と終焉』のレビューを読んでいるときに、たまたま僕のことに言及されている記事を見つけた。

長文のレビューなので、抜粋すると、
「あと、最近知ったのですが、この本(日本語版)のレビューを解りやすくされている医療関係者の動画(19分)がYoutubeにアップされています。日本語に関しては、先述の「世界一受けたい授業」や本書のイントロ(序章)よりも、このレビュー動画の方がずっと解りやすかったです。本書を読まれる前に、この動画を観る事を是非お勧めします。URLは以下の通りです。
https://www.youtube.com/watch?v=VbwgfsFMQXM
レビュー動画を作って頂いた方(中村先生というお名前ですか?)、どうも有難うございました。先に動画を観るよう、知り合いにも勧めます」

URLを検索しても、もう動画は見れません^^
かつての自分の情報発信が誰かの心に届いていた、ということを、時間差で知って、何だか胸があたたかくなるような気持ちになった。
このレビューを書いたのが誰か知らないけど、僕のほうが「ありがとう」って言いたいよ。

真菌、コレステロール、癌8

2020.2.13

マイコトキシコーシス(mycotoxicosis;真菌中毒症)という言葉は医学部ではほとんど習わなくて、むしろ獣医のほうがこの病気について詳しい。
獣医学科では真菌中毒症の診断と治療について、1セメスターかけてみっちり勉強している。動物が罹患する病気にはカビ毒由来のことが多いから、獣医としてやっていく上で必須の知識なんだ。

一方、医者は真菌中毒症についてほとんど知らない。抗生剤やスタチンがカビ毒から作られていることも知らない。もちろん「最初の抗生剤ペニシリンがアオカビから作られた」ということは、医学史としては知っている(国家試験に出たりするので^^;)。しかし臨床現場で抗生剤を処方するとして、「自分はカビ毒を投与している」という意識のある人はまずいない。
コレステロールの高い患者にスタチンを長期間投与して、「コレステロールは下がってきましたが、血糖値が上がってきましたね。糖尿病です。糖尿病のお薬も始めましょう」という医者は、自分が薬害(薬剤性真菌中毒症)を垂れ流していることに気付いていない。
逆に、コレステロールの低い人に対して、「何か薬飲んでいませんか?抗生剤とか」と疑ったり、住環境や食習慣におけるカビ曝露がないかを疑うことも大事だ。

『海綿由来真菌ペニシリウム・クリソゲナムE01-10/3のポリケチド産生に関する遺伝的ポテンシャルの分析』
http://hss.ulb.uni-bonn.de/2011/2454/2454.pdf
255ページにわたる大論文がpdfの形で丸々アップされている。この論文の一節『Fungal mycotoxin』(14ページ)にカビ毒の何たるかがよくまとまっているので、紹介しよう。
「カビ毒(マイコトキシン)は、糸状真菌の二次代謝産物として産生される低分子量の天然物質である。これらの代謝物は化学的に構成は異なるが、共通するのは、どれも毒性を持っていることである。
そもそもカビ毒の定義は、『糸状真菌により産生され、脊椎動物(およびその他の動物群)に対して極めて低濃度(マイクログラム単位)で毒性を発揮する』ことである。
これらの真菌代謝物が食品中に存在するときには、急性症状(たとえば肝機能や腎機能の悪化)として、あるいは慢性症状(たとえば肝臓癌)として毒性を生じる。
突然変異原性や催奇形性があるため、真菌代謝物への曝露によって、皮疹、免疫抑制、先天性奇形、神経毒性、死といった症状を起こす。
二次代謝産物のうち、特にスタチン系は3ヒドロキシ-3メチルグルタリル-コエンザイムAリダクターゼ(ヒトにおけるコレステロール産生の中心酵素)を強力に抑制する」

麦角菌(Claviceps purpurea)もカビ毒のひとつである。これは、ライ麦、小麦、大麦に寄生する真菌で、中世ヨーロッパで猛威を振るった。
麦角中毒(ergotism)にかかると、神経系には手足の燃えるような灼熱感、循環器系には血管収縮を引き起こす。脳の血流が低下することで、精神異常やけいれんが起こることもある。妊婦では子宮血流が低下して流産を起こす。
『毒は薬で、薬は毒』である。子だくさんで、もうこれ以上生まれては困る貧困女性が堕胎のために麦角(ergot)を飲むことは古くから行われてきたし、出産後の止血に用いられたこともあった。麦角菌の成分を利用した頭痛薬エルゴタミン(ergotamine)は現在でも使われている。幻覚剤のLSDは麦角成分のリゼルグ酸の誘導体である。

頭痛持ちの人にはエルゴタミンはなじみの薬だろう。しかし、薬の危険性をきちんと理解している人は少ない。そもそも医者自身、エルゴタミンがカビ毒から作った薬であることを知らないし、この薬が血管疾患を引き起こすことを知らない。頭痛持ちの人はそうでない人と比べて脳卒中と心筋梗塞のリスクが3倍高いという統計があるが、医者はこれを頭痛が原因だと考える。薬のせいで発症リスクが上がっているとは考えない。
真菌中毒症という疾患概念自体が頭にないし、自分の処方している薬がカビ毒だと知らないわけだから、薬剤性真菌中毒症という診断なんて、到底下せない。


この図をご覧あれ。
左側半分は有名な”セントラルドグマ”。高校で生物を履修した人は習っただろう。遺伝情報DNAがRNAポリメラーゼによって転写されてメッセンジャーRNAができて、転写されたRNAがリボソームに結合して翻訳されて、タンパク質が合成されるという、原核生物から真核生物まで、すべての生命体が共通する根本原理だ。
右側半分が、この図の真骨頂。どのカビ毒がどの代謝プロセスに干渉するか、を表している。

リダクターゼなどの酵素は、核内にある遺伝情報(DNAやRNA)から作られて、三大栄養素(脂肪、タンパク質、炭水化物)の代謝をコントロールしているが、カビ毒はDNAやRNAの機能を破綻させ、三大栄養素の代謝を狂わせる。たとえば具体的には、脂質代謝が停止して、コレステロール産生がストップする。
要するに、カビ毒の作用は、細胞の変性(degeneration)、分解(decomposition)、腐敗(decay)である。

カビ毒に曝露しないために、どのように気をつければいいだろうか。それにはまず、カビ毒の拡散経路を知っておくことである。
人類が真菌中毒症に罹患するようになったのは、穀物食が一般化して以降のことである。穀物(ナッツも含めて)は栽培、収穫、保存のどの段階においても、カビ毒に汚染する可能性がある。環境中にどれくらいカビがいるか、昆虫がいるかどうか、また、温度や湿度もカビ毒汚染を左右する条件である。傷がついていたんでいる穀物や、暑くて湿度が高く風通しの悪いサイロで保存した穀物は、カビが生えやすい。

肉や乳製品がカビ毒に汚染されているのは、これらを産する肉牛、乳牛自身がカビ毒を含む穀物を食べているためである。
獣医は職業上、家畜用穀物にカビ毒がしばしば混入していることを知っているし、家畜に日常的に真菌中毒症の診断を下しているものである。

カビ毒→カビ毒に汚染された穀物→カビ毒に汚染された穀物を食べた家畜=カビ毒に汚染された家畜

つまり、人がカビ毒に曝露する経路としては、空気中からのカビ毒の直接曝露はもちろん、カビ毒由来の薬、カビ毒に汚染された食物(穀物、ナッツ、畜肉、乳製品)があり得る。
得体の知れない産地の妙に安い食材を見れば、飛びつくのではなく、「本当に大丈夫?」とひとまず疑う姿勢が大事だ。

参考
“Proof for the cancer-fungus connection”(James Yoseph著)

真菌、コレステロール、癌7

2020.2.13

スタチンの投与によって、ヒトを含めた動物には様々な症状が生じる。
真菌は進化のなかで、いかにして有機物を破壊し自らの養分とするか、を追求してきた。そうして獲得した方法が、各種のマイコトキシン(カビ毒)である。
1960年にアフラトキシンが発見されて以来、現在およそ400種類ものカビ毒が同定されているが、その数は毎年増えている。
カビ毒の研究が進む背景には、科学者の純粋な好奇心ももちろんあるだろう。しかしそれよりはるかに大きいのは、製薬会社の経済的野心である。抗生剤、免疫抑制剤、コレステロール降下薬など、カビ毒の研究から多くのブロックバスター(ボロ儲けできる薬)が生まれた。つまり製薬会社にとって、カビ毒は宝の山である。ここに多額の研究予算をつぎ込むのは、当然それ相応のリターンを見込んでのことである。

しかしカビ毒の研究から、細胞の代謝機構について多くの貴重な知見が得られたことも事実である。
スタチンが細胞の癌化を促進することについては以前のブログで書いた。しかしそれ以外にも、様々な疾患を引き起こす。列挙すると、
ALS(筋萎縮性側索硬化症)、SLE(エリテマトーデス)、多発性硬化症、ギランバレー症候群、各種筋疾患(筋ジストロフィー、重症筋無力症など)、糖尿病、慢性疲労症候群などである。
これらの疾患のなかには、発症メカニズムが不明で難病指定されているものもある。
しかしスタチンによって、これらの疾患に意図的に罹患させることができるとすれば、どうなるか?
1.モデル動物の作成が可能となり、様々な研究が進展する。
2.病態の発症機序の解明によって、治療や予防のために有用な知見が生まれる。
3.生物兵器にも応用可能である。
(3.は実際に行われているのですが、えぐい話なのでここでは触れません^^;)

問題は、スタチン研究によって得られた重要な知識が、薬の開発に応用されているだけで、実臨床にまったく生かされていないことである。
このあたりから、製薬会社の本質が透けて見えるだろう。人類の健康福祉なんてどうでもいい。コレステロールの高い健康な人は、むしろ彼らの”資産”である。カビ毒を利用する彼らの存在自体が、まるで社会をむしばむカビのようになっているのは、興味深い相似形である。

以前のブログで、HPVワクチン接種を受けた女性が診断された病名を列挙したが、上記、スタチンによって起こる疾患とずいぶん似ていると思いませんか。
ワクチンに含まれるアジュバントが免疫系を低下させ、結果、カビ毒の影響を受けやすくなったのではないか、というのがすぐ思いつく仮説だけど、それだけかな。
ガーダシルにしてサーバリックスにしても、人への安全性が確認されていなかった。安全性が未確認のものを定期接種に昇格させるなんて、厚労省の役人にも一応の良心があるはずで、普通はあり得ない事態でしょ。それでも、こんなデタラメが通ったというのは、よほどの”大きな圧力”があった、と考えないといけない。メルクやグラクソ・スミスクラインは民間の製薬会社ではあるけど、巨大グローバル企業で政府とのつながりも太い。
日本は、”仕掛けられた”んじゃないかな。子宮頸癌予防、という反対しようのない大義のもと、微量のカビ毒を混入させたワクチンの接種を義務付け、日本人女性の不妊化計画を飲まされた。
というのは、あくまで僕の妄想です^^;

ただ、この一件に限らず様々な経済分野で、グローバル企業のデタラメな要求に対して日本はもはやノーと言うことができなくなっている。国が、自国民を守れないんだから、もう終わりだよね^^;
あれだけの被害をもたらしたHPVワクチンも、再び定期接種へ昇格するために着々と動きが進んでいて、早晩そうなるだろう。
それでも、それでもなお、抵抗したい。
「あきらめたらそこで試合終了ですよ」と誰かが言っていた。あきらめるのではなく、知識で武装することを、僕は提言したい。
以前のブログで柳澤先生の論文を紹介したが、ワクチン接種の副作用に対して、事後的にであれ、各種ビタミンの静注や経口投与が有効だったということは、事前に服用しておけば相当な副作用の軽減が見込めるだろう。
自分の娘が、学校の強制のもとHPVワクチンを受けるとなれば、事前に”体作り”をさせておくことだ。接種の1週間前からは大好きなお菓子をやめさせ、サプリを飲ましておく。それだけで、副作用が出現するリスクは格段に減るだろう。
そう、サプリは使い方を誤れば”代替療法原病”の原因になり得るとしても、それでも、オーソモレキュラー栄養療法は困ったときの味方になってくれる。国が守ってくれないんだから、我が身は自分で守るしかない。

参考
“Proof for the cancer-fungus connection”(James Yoseph著)