2018.6.17
今日は点滴療法研究会に参加するため、東京に行った。
こういう勉強会のために東京に行くことはしょっちゅうで、昔東京に来て感じていたようなワクワク感はもはやない。
今日も日帰りで、勉強会が終われば別段どこに寄り道するでもなく、すぐに帰りの新幹線に乗るだろう。
東京で生まれ育った人でいいなと思うのは、都会への妙な憧れがないところだ。
いい意味で枯れたようなところがあって、話していて、ずいぶん老成してるなぁという印象を受ける。
都市生活のいいところも悪いところも皆肌で知っていて、彼ら、都会に過剰に期待することがないんだな。
地方で生まれ育つとこういう恬淡とした境地にはなかなかなれなくて、「自分の不遇はこんな田舎に閉じ込められているせいだ」とか「都会でこそ自分の才能は花開くに違いない」とか、妄想に近いような憧れを東京に持ったりする。
全然そんなことないんだよね。
都会にそれなりのよさがあるように、地方にもそれなりのよさがある。
憧れの東京に来て、挫折なり失敗なりして、人生の苦味を感じてから、ようやくそういうことに気付くんだな。
「土地じゃない。人間なんだ」
そう気付いて、さて、どうするかは、人それぞれで、それでも都会にこだわる人もいれば、地元に帰る人もいる。
大学の同級生に東京出身の人がいた。
地下鉄サリン事件があったときは中学生で、地下鉄構内がパニック状態になっているのを目の当たりにしたという。
中学生の僕がテレビの向こうの他人事として見ていた事件を、自分の体験として語れる人がすぐそばにいるということに、何だか意外な感じがした。
彼、東京に戻ることなく、とある地方の病院で働いている。
彼いわく、「どこで働くか、よりは、そこで必要とされるかどうか、なんだよね」
本当にその通りやんね。
点滴療法研究会、という名前から想像されるように、当然点滴についての勉強会なわけだけど、単なる輸液の基礎知識、みたいな話ではなく、栄養療法に関連した意味での点滴だ。
具体的にいうと、たとえば今日のテーマは、高濃度ビタミンC点滴、マイヤーズカクテル、グルタチオン点滴だった。
すでに僕のクリニックでも実践している点滴だから、正直、今日の講演から新たに学んだ知識はそれほど多くはなかった。
たとえば今日配布された資料に、アメリカのリオルダンクリニックで行われている高濃度ビタミンC点滴の実施プロトコルの日本語訳があったけど、こういうのはクリニックの開業前に、英語文献で自分で読んでいた。
栄養療法についての本も翻訳しているぐらいだし、他にも関連文献や書籍を原著で読んでるわけだから、未知の知識が少なくなってきて当然だろう。それだけの勉強はしていると自負している。
この勉強会は、英語が読める人には自分で海外サイトで仕入れられるような知識を、英語のできない人のために紹介する場、という側面もあるから、そういう意味では僕にとって新味はなかった。
そのことは、実は、参加する前から大体予想がついていた。
でも、僕はあえて参加した。
本当はこの日、別に仕事があったんだけど、その見込み収入犠牲にしてまで、それどころか、けっこう高額な参加費払ってまで、参加した。
(参加費、いくらしたと思います?5万円です。゚(゚´Д`゚)゚
なぜそこまでして参加するのか。
講演で10の知識が提示されたとすると、8はとっくに知っている知識なんだけど、でも残り2は、独学ではどうやっても身に付かない知識だったりするんだな。
それはちょっとした技術的な話だったり、先生の個人的な感想だったりするんだけど、その2は、ネットのどこにも落ちてない情報だ。
その2のために、5万円払ったんです。
そして、今日の勉強会にも、それだけの価値があったと思う。
そしてもうひとつ。
あの勉強会には、志を同じくする仲間がいることだ。
仲間っていったって、別に親しくしゃべるわけじゃないけど、僕と同じように、現代医学に行き詰まりを感じて、これでは患者は救えない、と感じた人が、そこに集まっているわけ。
そういう仲間の存在を感じることは、僕にはとても大きいことだ。
何だか救いのようにさえ感じられるぐらいなんだ。
たとえば数日前、こんな診療情報提供書を受け取った。
「当院の患者が、貴院で、スタチンの処方を中止してもらうよう言われた、と言っています。スタチンが記憶障害の原因だということですが、私が調べた限り、そのような事実はありません。一体どのような根拠で言われたのか、ご教示願いたいものです」
言葉は丁寧だけど、意訳も交えて要約すると、
「デタラメ言うなよ。不必要に患者を不安がらせて、こっちの商売の邪魔するのやめてくれ」
といったところだろう。
こういうとき、僕は、何となく泣きたいような気分になる。
もちろん実際に泣かないんだけど、それは僕が大人で、一応社会的マナーなるものを身につけたからであって、純粋無垢な子供だったら泣いてるんじゃないかな。
自分の道は間違ってるんじゃないか、という不安。
自分一人が異端者で、孤軍奮闘してるような徒労感。
ため息ついて、しばらく動けなくなる。
でも、こんなことでへこんでいるわけにはいかない。
患者を本当に思う道を進もうとすると、摩擦は避けられないものだ、よし、と心強く持って、返書をしたためる。
「貴院にてこの患者にスタチンを投与されたことは、コレステロールを下げ、動脈硬化の進行を遅らせようとの意図だと推察します。これは貴科的に極めて適切な処置だと考えます。ただ、当院での主訴が認知症であったため、まずは薬剤性を疑い、主治医にスタチンを中止してもらうよう指示しました。その根拠としては、以下のような論文があります。URLを検索されるか、あるいは、google scholarで「statin adverse effect」などで検索されると、複数の学術論文がヒットしますので、ご確認ください。もしスタチンが原因薬剤だとすれば、数週間で記憶障害の改善が見られる(中央値は2.5週)可能性がありますので、せめてその間だけ投薬を中止して頂きたく存じます。数週経って全く改善の兆しがないようであれば、貴科的な方針のもと、スタチンを再開して頂ければ、と思います。本来このような話は私の方からお手紙を差し上げ、中止をお願いするのが本筋のところ、事後的にこのような釈明の形のお手紙となってしまい、大変申し訳ございません」
スタチンの添付文書見たら、副作用の欄に「健忘症」ってあるでしょ、一過性全般性健忘はFDAも公式に認めてますよ、なんて言うと角が立つので、そういう点はあえて触れない。
添付したURLは全部英語文献だけど、英語のできる人だろうか、という懸念もあるが、仮に英語ができる人だとしても、まともに読んでくれるかどうか。
平身低頭。
ただ低く頭を垂れて、嵐の過ぎるのを祈るような思いで待つ。
患者を守るために自分が壁になっているような気持ちになって、やはり思うのは自分の孤独さ。
そういう孤独の身には、同じ志を持った人たちが一堂に会する勉強会の場は、言葉にできないような励ましを与えてくれて、こういう場は、今の自分にはここしかないのです。
2018.6.16
この仕事をしていて時々はっと思わされるのは、母親の我が子を思う気持ちの強さだ。
我が子にとってベストは何か、お母さんは常に考えている。
ママ友同士で話したりするんだろうね。
「うちの子、ワクチンを打った直後に、何だか急に自閉症みたいになってしまって、、、」
みたいなお母さんを目の当たりにすると、そりゃ当然悩むよね。我が子にワクチンを打たせていいものかどうか、と。
まさか、ワクチンの接種推奨というのは、国の方針でしょう?
国がそんな妙な副作用が起こるかもしれないものを推奨しているなんて、そんなバカな話があるだろうか。
そういう「常識」の一方、インターネットで調べてみると、ワクチンの副作用で我が子が豹変してしまった例も無数にある。
どうすればいいか。
任意接種は拒否するのは当然として、さて、定期接種をどうしたものか。
悩み始めたということは、自分の足で歩き始めた証拠で、それ自体は好ましいことだと思う。
国の施策を素直に信じられないような国に住んでいることは不幸なことだけど、そこは言っても仕方がない。
まず、諸外国の動向を紹介すると、イタリアでは9歳児の自閉症の原因が三種混合ワクチン(風疹、おたふくかぜ、麻疹)の接種だと裁判で認められ、イタリア保健省に対して賠償金の支払いが命じられている。
同様の訴訟はアメリカでも増えていて、イタリアやアメリカでは子供にワクチンを打たせない親が増えてきている。
でも、日本ではこういう動きは一般的ではない。
仮にお母さんが役所からのお知らせ(『ワクチンを受けさせてください』)を無視したとすると、下手をすると児童虐待だと言われる可能性さえある。
「病気を予防させるための医学的処置を子供に受けさせないのは、ある種の養育の放棄、ネグレクトにあたる」といった主張だ。
我が子の健康を誰より願うお母さんが、児童虐待だと非難される。すごい国だよね。
これは、医者(および役所)の考えとお母さんの考えがまったく違うがために起こったすれ違いなんだな。
医者のほうは、ワクチンの副作用について学んでいない。いかにワクチンがすばらしいか、ということを教育されている。
ワクチンのよくない面、たとえばMRワクチンを受けた健康な小児424例中168例(39.6%)で副作用が見られた、ということは実は添付文書にも書いてあるんだけど、そんなの読んでる医者なんてまずいない。
いや、ワクチンの有害性を意識してる先生もいるにはいるのかな。
でも、少なくとも言えるのは、そういう先生も、現場で声を大にして「ワクチンは危険だ」なんて絶対に言わない(言えない)ということです。
自閉症と三種混合ワクチンの関係性を最初に指摘したのはアンドリュー・ウェークフィールドという医者で、彼はそのことを1988年に医学誌『ランセット』に報告した。
でも彼はそのことで医師免許をはく奪され、病院を解雇された。
医学会や製薬会社にたてついたらこうなるんですね。
統計的には有効性が否定されているのに、ワクチンの接種が延々行われている背景には、当然利権が絡んでいます。
ワクチン接種という慣行が医学界や製薬会社にもたらす利益は莫大ですから。
彼らにとって不都合な真実を言う人は、消されます。
悲しいことだけど、これが現実なんだな。
どうしてもワクチンを打たなければならない、となれば、ワクチンの害を軽減するせめてもの抵抗策として、二つあります。
ひとつには、接種の日時を極力遅くすることです。たとえばMRワクチンを1歳から2歳までのあいだに接種するように、というハガキが来たら、接種はぎりぎりまで待って、2歳になる直前くらいにする。
ハガキには「極力早めに打ちましょう」なんて書いてあるかもしれませんが、それは嘘です。
子供の未熟な免疫系に牛の血清とか豚の膵臓とかその他わけのわからないものを注入し、混乱させ、ダメージを与える。それがワクチンです。
体内にそういう異物を入れず、自前の免疫系が整うまでの時間を少しでも多く稼ぐ、というのが接種を遅らせる狙いです。
だいたいね、そもそもおかしいと思いませんか。
諸説ありますけど、人類が発生して500万年とか経つわけです。そのあいだ、人類が生きながらえてきたのって、ワクチンのおかげですか。ワクチンがなければ人類滅んでいましたか。
ワクチン接種が国家レベルで本格的になったのはここ50年ほどの話で、500万年引く50年の間、人類はワクチンなしに健康に生きてきたわけ。
というか、今でも途上国ではワクチンなんて打ってないし、かつ、先進国みたいに妙なアレルギー疾患は少ない。
「うちの子はワクチン打ったけど、何の問題もないよ」というお母さんもいるだろう。というか、そういうお母さんがほとんどだろう。でも、勘違いしてはいけない。
そういう子供は、ワクチンを打ってるから健康、なんじゃない。ワクチンを打っているにもかかわらず健康、なんだ。
打たずに済むならそれに越したことはないんだ。
さて、ワクチンのダメージを減らすもう一つの方法、それは栄養療法的なアプローチです。
具体的には、ビタミンCの摂取と糖質制限です。
ワクチンを打つ数日前から、子供さんにビタミンCをたくさん飲ませてください。子供がまだ母乳栄養ならば、お母さんがビタミンCを飲みましょう。
母乳というのは、白い血液です。子供は、いわば、お母さんの血を飲んで育つわけです。
だからお母さんの食べているものがそのまま子供の口に入る、と思ってください。
そこで、お母さんがビタミンCを多めに摂取し(たとえば1錠1000㎎のビタミンCを朝昼夕各3錠とか。もっと飲んでもいいよ)、血中ビタミンC濃度を高めて、母乳のビタミンC濃度も高めてやる。
子供の体内でビタミンCの血中濃度が高まると、異物の流入に対して排出する作用が強くなります。
逆に糖質を過剰に摂取しているような子供だと、異物の流入に対する排泄能力が弱く、毒物の影響を受けやすくなります。
ワクチン接種前にはビタミンCの接種と、糖質を極力避ける。これを意識するだけで、ワクチンによる副作用の可能性は大分下がるはずです。
ワクチンとビタミンCの関係については、Thomas Levy先生の主張(https://www.peakenergy.com/articles/nh20130728/Vitamin-C-With-Vaccinations/)を参考にしました。
ネットとか使ってちゃんと情報を調べるお母さんの子供は無事健康的に育って、そういうネットスキルのない情報弱者のお母さんの子供は、ワクチンはじめ医療の害をもろに受ける、みたいな状況って、正直健全じゃないんだろうけどね。
国の言うことを素直に信じて、それに従っていれば誰しもが幸せで健康的になれる、ってなればいいんだけど、事実はそうじゃない。
我が身我が子を守るには、やっぱり知識しかない。悲しいけど、もうそういう時代なんだね。
2018.6.16
先週、天皇皇后両陛下が被災地を訪問したことがニュースになっていたけど、天皇陛下は3.11後、被災地に10回以上行っている。
最初の訪問は、震災発生から2ヶ月後のこと。ヘリコプターで現地入りしている。
すごいことだと思う。
当然、お付きの人は止めたはずだ。
「陛下、今被災地に行っては被曝の恐れがあります。どうか控えて下さい」と。
いや、俺が行くことで励まされる人があるなら今こそ行かねばならない、と、侍従の制止を振り切って、あえて訪問した。
ポーズだけのつもりなら、一回でいい。それで充分、形作りにはなっているから。
でも10回以上も行ったんだ。被災した人たちに対して、本当に心を痛めているからこそだろう。
実際に訪問した場所も、南相馬とか川内村とか、放射能レベルとしては一番危ない地域に、防護服もなしに普通に行っている。
陛下の真心は被災地の人たちに充分伝わったと思う。
ただ、僕としては陛下の体が心配だ。
真心はわかる。でもやっぱり無謀だ。
仮に行くにしても、ノーガードで行ってはいけない。
陛下の被災地入りに際して、侍医は事前にビタミンCの服用をすすめただろうか。恐らくしていないだろう。
ビタミンCに放射線からの防御作用があることは、栄養療法をやっている医師には常識的な知識だけど、一般的な医師は知らない。少なくとも、医学部で学ぶ知識ではない。
だから皇室の侍医も知らないだろう。
2012年2月、陛下は冠動脈のバイパス手術を受けた。
放射能と心疾患の因果関係をつい想像してしまうのは、僕の職業病かもしれない。
冠動脈の狭窄は、栄養療法の非常に得意とする分野で、ビタミンEやセレン、ビタミンC、ナイアシンの服用で狭窄はきれいに改善する。
皇室で栄養療法が採用されていたならば、冠動脈の手術なんて事態にはそもそもなっていないはずで、ということは、陛下はビタミンなんて飲んでいないんだろうな、と想像がつく。
今回の福島訪問中、皇后が発熱した、というニュースも気になった。現地入りする前に発熱していればさすがに公務は中止になったはずで、やはり現地入りして以後、症状が出たということだろう。
高校で化学を履修した人なら、周期表で縦に並ぶ元素は、化学的におおよそ似たような振る舞いをする、というのを習っただろう。
放射性物質として悪名高いセシウムは一族元素で、ナトリウムやカリウムと同族。もし内部被曝して体内にセシウムが入ると、最も影響が出やすいのは心臓だ。
活発にナトリウム・カリウムポンプが動いているところにセシウムがあると、間違えて心筋に取り込まれてしまう。セシウムを取り込んだ心筋細胞は、DNAが破壊されてしまう。
心臓の酸化が進んで、悪くすれば突然死もあり得る。
ストロンチウムは二族元素で、これはマグネシウムやカルシウムと同族。たとえば骨芽細胞が成長する際、血中のカルシウムを取り込むところで、ストロンチウムがあれば、細胞内にストロンチウムが取り込まれる。
取り込まれたストロンチウムは骨の中で、人体に影響の大きいベータ線を放出し続け、長期的な内部被曝をすることになる。
もんじゅや常陽は今のところ停止中だけど、高速増殖炉の近辺に住む人は体内のベリリウム濃度が高い、という話を聞いたことがある。
ベリリウム自体、中性子を放出する中性子線源だが、原子炉で中性子の反射材や減速材として用いられている。
被曝予防のためにヨード剤を、というのを震災後のニュースで見たことがある人もいるだろう。あれは要するに、放射性ヨウ素から身を守るために、非放射性ヨウ素の血中濃度を高めておこう、という発想だ。
ヨウ素は主に甲状腺で取り込まれるけど、甲状腺が非放射性ヨウ素で満たされていれば、放射性ヨウ素の取り込みが減る、という具合。
Thomas Levyの著書”Curing the Incurable”に、放射能に対してビタミンCおよびその他の抗酸化物質(ビタミンE、ベータカロチン、ビタミンB群、グルタチオンなど)がいかに効果的か、詳しい記述がある(p271-278)。
多くの研究論文が詳しく紹介されているが、乱暴に要約すると、
「放射線は細胞内のDNAを破壊し、活性酸素を発生させ、遺伝子変異、癌などの原因となるが、ビタミンCがフリーラジカルのスカベンジャーとして作用する。その用量は多ければ多いほど効果的である」といったところ。
別に難しい話じゃない。ビタミンCのサプリ多めに飲んどく。これだけで放射線対策できちゃう、って言ってるわけ。
やらなきゃ損でしょ。特に東日本に住んでる人とか、西日本在住の人でも、家の近くに原発のある人とかは、日々の健康管理のためにビタミンC飲んでおくといいよ。
1錠1000㎎の錠剤を毎日1錠でもいい。余裕があるなら、朝昼夕に各1錠とか。
わずか数百mg程度の摂取でも、全くとらない人に比べて、全般的死亡率が有意に低下したっていう統計があるよ。
皇室には、アルコール依存症をこじらせて亡くなった人もいる。ナイアシンなどの栄養療法をやれば、助けてあげられたのにな、と思う。
皇室は病院に関しては基本、東大びいきで、東大医学部の教授も陛下を含め皇室の健康管理を任されていることを誇りに思っている。
陛下の冠動脈手術をしたのは東大以外の先生だったけど、これは東大医学部にとっては屈辱的なことだったらしい。
それでも、栄養療法などという、彼らからすれば得体の知れない妙な健康法で陛下が健康を回復するよりは、まだしもマシだっただろう。
陛下を救ったのは、わけのわからないサプリではなく、全身麻酔下のオンビート手術という西洋医学の粋を結集したような技術だったわけで、彼らの面目はまだしも保たれたと思う。
別に医者のプライドがどうのこうのとか、全然医療の本質じゃないんだけどね。
患者にとってどういう治療がベストかって話なわけでさ。
周囲のいろんな人の思惑やプライドなんかも絡んでて、陛下のお耳に栄養療法なんて言葉が届くことはないだろう。
僕は国民の象徴じゃなくてよかったよかった^^;
2018.6.15
僕ら医者は、常に最悪の事態を想定して動きます。
そういうふうに教育されてきましたから。
たとえば、咳が2週間続いているなら、肺癌や結核を疑う。
背中の痛みを訴える人には、膵臓癌も考慮する。
もちろん、ほとんどの場合は杞憂です。
たいていは単なる風邪であったり、ただの腰痛です。
でも、最悪の事態を念頭に置いて患者を見る。
これが医者の基本スタイルです。
そうでなくてはいけないんです。
福島県で心筋梗塞や小児の甲状腺癌が多発しています。
様々な疫学調査が行われ、統計的に有意に増加していることが示されています。
当然、放射能による影響を疑わなくてはなりません。
チェルノブイリの原発事故のデータもありますから、これは想定外の事態ではなく、充分に予想のつくことではありました。
しかし、国はこれらの疾患の増加と放射能の因果関係を頑なに認めていません。
国は医学部教育において、常に最悪の事態を想定して診察せよ、という原則を僕らに教育してくれました。
しかし、こと原発事故に関しては、疾患に対する放射能の影響は無視せよ、と言わんばかりです。
放射能による疾患の増加は、僕ら医者の間でも半ばタブーのような格好です。
いつまで目をそらし続けないといけないのでしょうか。
国が、データとしてここまで明確な統計を突きつけられてなお、放射線が原因である可能性を否定し続けるのはなぜでしょうか。
我々はフクシマを経験しました。
普通の国家であれば、すっかり懲りて、『原発は割に合わない、もうやめよう』となるに違いありません。
それなのに、フクシマ以後も、新たに原発を建設しようとしている。
狂っている。
まともな人間の発想じゃない。
そう思いませんか。
要するに、政治なのだと思います。
日本はアメリカの植民地で、日本人はアメリカの奴隷なのだということが、この原発の一件からよく見えてきます。
日本はアメリカの意向に対して、NOと言えない。
今福島で増加している疾患が放射線の影響だと公式に認めては、原発を広めたいアメリカの思惑を阻害してしまう。
おそらくそれだけの話なのだと思います。
日本の政治家は、国民の健康を優先するよりも、宗主国のご機嫌伺いをしないといけない。
悲しいことですが、日本はそういう国なんです。
国は皆さんを守ってくれません。
皆さんは自分で自分を守らないといけません。
その守り方のひとつを、ここに供覧します。
福島で地震が起こる1年前、防衛医科大学および自衛隊が、こんな論文を発表しました。
『アスコルビン酸の事前投与は、大量放射線被曝したマウスの致死的消化管障害を防ぐ』
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jrr/advpub/0/advpub_09078/_article/-char/en)
「放射線照射を受けたマウスについて、事前にビタミンC投与しておけば生存率が向上したが、事後的投与では全例死亡した」といった内容です。
本文には、「もし原発事故や放射能テロが発生し、放射線汚染地域にいる被害者を救出する際には、出動する隊員に直ちにビタミンCを経口投与させることが重要である」との記載があります。
偶然にも、フクシマの1年前に防医と自衛隊の共同研究が行われ、放射能に対するビタミンCの効用が確認されていたわけです。
そして、実際、その後被災地に駆けつけた自衛隊員は、この研究を踏まえ、ビタミンCを飲んでいました。隊員は無事に任務をこなすことができました。
しかし、、、本当に偶然でしょうか。
地震の1年前に、たまたま偶然、放射能対策の研究をしていたのでしょうか。
日本の諜報機関が事前に米軍の動向を察知し、近いうちに何らかの放射能攻撃の可能性がある、という情報を掴んでいたとすれば?
地震兵器(気象兵器をはじめ、以前は日本のマスコミでも普通に報じられていたのに、情報統制を敷かれたのか、今やその存在自体がマスコミで一切報道されなくなった)によって原発近辺で人工地震が引き起こされ、その放射能により国家的非常事態になることを想定していたとすれば?
この辺りは推測の域を出ません。
ただ、自衛隊員にビタミンCを飲ませる指示は極めて適切なものでした。
みなさんが放射能から自分を守る方法を、ここでもっと詳しく紹介しましょう。
『点滴療法研究会の公式声明』
内部被曝もしくは外部被曝の可能性のあるすべての人は、体内の抗酸化予備能を最大化するために、直ちに抗酸化栄養素を摂取すべきである。
ビタミンC 1-3g 1日3-4回
アルファリポ酸 100-200mg 1日2回
セレン 50-200μg 1日2回
ビタミンE 100-200mg 1日2回
上記に加え、基本的なビタミン、ミネラルも併用する。
福島で増加傾向にある疾患は心筋梗塞や小児甲状腺癌だけではないし、これらの疾患が増加しているのは福島県だけではありません。
茨城はじめ関東全体で増加しています。
国が放射能の影響を認めない以上、放射能に対しては自衛するしかありません。
今日の話が少しでもみなさんの役に立てば幸いです。
(参考:2018年4月29日国際オーソモレキュラー学会東京大会での柳澤厚生先生の講演)
2018.6.14
秀吉は尾張中村の生まれで、もう下層も下層、どん百姓の家で育ったんだけど、見事に天下人にまで成り上がった。
信長や家康はもともとの生まれも裕福で、いわばサラブレッドとして育ったわけだから、彼らが天下をとったってそれほど不思議じゃない。
でも群雄割拠の戦国時代に天下統一を果たしたのは、下層民出身の秀吉だった。
上司に取り入るのがうまかったとか、戦でいくつも功績をあげたからとか、運だけじゃなくてそれ相応に才能があったからこそ、それだけの出世ができたんだろうけど、それにしたって、どん底からトップに登りつめたっていう、こんなサクセスストーリーは前代未聞だろう。
しかし、天下人になったからとて、芸術に対する感性や教養のなさは、俗物そのもの。
そういうのって育ちがどうしても反映されるものだから。
たとえば当時は、絵画といえば水墨画に代表されるようなワビ、サビの恬淡とした趣きが尊ばれたところ、秀吉は金箔を張りまくる派手な屏風を描かせて、大坂城の内部を飾った。
茶道では、洗練された利休の茶室に真っ向から対抗して、内部に金箔をびっしり張り詰めた茶室を作ったりした。
信長は神仏を拝まず、逆に人々に自分を拝ませようとしたが、秀吉もこの例にならい、自分を神格化しようとした。
無知や傲慢もここまで振り切ればひとつの才能なのかもしれない。
利休は大坂船場の大豪商の家に生まれ育った。
裕福な家庭で、当時でき得る限りの様々な学問を修めた。無数の古今の書籍を学び、やがて当代一流の知識人に成長した。
一方、利休は、家業の手伝い通じて、金がいかに人を狂わせ、その欲望のために身を滅ぼすか、無数の実例を見てきた。
金にできること、できないことの違いがわかっていたし、そして金のもたらす快楽がいかにはかないものであるか、その虚しさを知り抜いていた。
利休の考案した茶室を見たことがありますか。
すごく狭い入り口で、腰を屈めて、赤ちゃんがハイハイするようなかっこうにならないと、入れない。
つまり、どんな権力者だって、利休の茶室に入るには、そういう不恰好な姿勢をとらざるを得ない。
「みんな同じ人間じゃないか。妙なおごりは捨てようよ」
入り口の構造からすでに、彼の思想、人間観が、メッセージとしてにじみ出てるんだな。
さて、人間のはかなさを知り尽くす利休が、どうした運命の巡り合わせか、浮世の栄華の頂点を極めた秀吉に仕えることになった。
内面世界を悟った賢者と、卑しさを寄せ集めたような俗物。
こんなに相容れない人間性があるだろうか、というぐらいに対極的な性格の二人である。
この二人が交わったとき、どういう化学反応が起こるのか、興味あると思いませんか。
最終的には、利休は秀吉に切腹を命じられ、それに従った。
利休の首は一条堀川沿いでさらし首にされた。
秀吉は利休に対峙すると、何とも言えない不安を感じるのだった。
こいつにはすべて見透かされている気がする。俺のつまらなさも、卑しさも。
なるほど、形の上では俺に恭順の意を示し、うやうやしく頭を下げたりする。
でも、内心では俺のことを見下しているに違いないんだ。『この成金の猿が』と。
「おい、利休」と秀吉が呼ぶ。「ちょっとこっち来い」
「はい、何でございましょうか」と、利休、低頭して答える。
「お前、俺のことどう思ってるんや?」
「太閤秀吉様にございます」
「そんなことは分かっとるわい!」大声出して、萎縮させて、再び尋ねる。
「で、お前は、俺のことをどう思ってるんや?」
利休、言葉につまって、沈黙するしかない。
困惑する利休を見て、秀吉、「もうええわ、あっち行け」
権威をかさにきて、そういうふうにいじめても、秀吉の気持ちは晴れない。
それどころか、秀吉はますます不快になるのだった。
利休は腰が低いだけの物言えぬ部下では決してなかった。
ここぞというときには、秀吉相手にも毅然として自分の意見を述べた。
天下統一を成し遂げた秀吉が、次に計画していたのが朝鮮出兵で、秀吉の周囲の武将は皆、太閤の意を察して何も言えなかったところ、利休は、「現時点で朝鮮に攻め込むことは得策ではありません」と秀吉に進言した。
その指摘がことごとく適切なものだから、秀吉としては聞き入れざるを得ない。それが一層秀吉を不愉快にさせるのだった。
利休は武将からの人望も厚かった。
保身を思って秀吉に諫言できない自分たちをさしおいて、一介の茶人である利休が天下人を恐れずズバッと自分の意見を言うのである。武将たちは利休の胆力に敬服した。
細川忠興(明智光秀の娘細川ガラシャの夫)なんかは利休をすごく尊敬していて、それをいぶかった福島正則が「たかが茶人に何を入れあげているんだ」とバカにしていたんだけど、忠興に誘われて利休の茶会に参加して、利休に恐れ入った。
「俺はこれまで、無数の戦で戦ってきたが、いかなる強敵にも怯んだことがない。だが、茶会で利休と対峙したとき、初めて恐怖のようなものを感じた」
秀吉に切腹を命じられたときには、前田利家や細川忠興らの大名が何とか利休の命を救おうと奔走したが、かなわなかった。
自分に媚びへつらう周囲の武将が、本当の意味で慕っているのは利休であることには、秀吉自身も充分気付いていた。
人望だけではない。芸術センスにおいても当代一流の利休に並ぶ者はなく、利休が認めた茶器には何万両という値段がつくのだった。
俺がどの茶器をほめたとて、土の塊以上の値段はつかないだろう。周囲からの人望、風流を愛でる心、豊かな教養、権力に物怖じしない胆力。
こいつは、俺の持ち合わせないものをすべて持っているかのようだ。
許せない。こいつだけは、許せない。
利休斬首の原因については諸説あって、定説はない。
でも、僕としては、秀吉の利休に対する嫉妬こそが背景であって、秀吉としては、いけ好かない利休に難癖つけて一発かますきっかけさえあれば、何でもよかったんじゃないかな。
利休を処罰した後、秀吉を諌める者はいなくなった。
朝鮮出兵を決行するも、失敗に終わった。
豊臣家の没落は、利休のような賢臣を殺してしまったことにあると思う。
ところで、利休の大成した茶道なんだけど、どんなお茶を使うか知っていますか。
番茶?ほうじ茶?違います。
抹茶です。
matchaといえば、今や外国でも通じるぐらいにメジャーになってきたけど、その成分が科学的に分析され、その効用についての研究が進んだのは比較的最近のことだ。
四月末の東京で行われたオーソモレキュラー医学会で、緑茶成分のテアニンについて研究している功刀浩先生が講演していて、興味深く聞いた。
テアニンには抗うつ作用、意欲改善作用のほか、統合失調症に対する有効性もある、とのことだった。
功刀先生いわく、
「マウス実験において、L-theaninの抗うつ作用および意欲改善作用については、有意差が出た。しかし、不安様行動を評価する試験においては、生理食塩水投与群と有意差がなかったことから、L-theaninに抗不安作用は認められなかった。」
茶をよく飲んだ秀吉ではあるが、利休に対する不安の念はくすぶり続けた。
抹茶に抗不安作用があれば、日本史は変わっていたかもしれないね。