ナカムラクリニック

阪神・JR元町駅から徒歩5分の内科クリニックです

2020年1月

コロナウイルス対策

2020.1.28

コロナウイルスが武漢で猛威を振るっているという。
感染源がヘビだとする論文が出て話題になったが、ちょっと信じがたいね。
『臆測呼ぶ「武漢ウイルス研究所」/政界地獄耳』
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202001280000031.html
細菌やウイルスを生物兵器として軍事利用しようという発想は大昔からある。実際、かつて旧日本軍も精力的に研究を行っていた。
軍事的に拡大を続ける中国が、「生物兵器だけは所有しません」なんてことはあり得ない。当然、どこかで研究している。
武漢ウイルス研究所で扱っていたコロナウイルスが何らかのミスで外部に漏れて感染が拡大した、という説のほうが、「感染源ヘビ説」よりもはるかに説得力を感じる。

「軍人だけでなく一般の市民を巻き込んで大惨事を巻き起こす卑劣な生物兵器は、所持するな」と声を上げたって、中国政府は当然聞く耳を持たない。
ならば、一般市民にできることは何か。自衛することである。免疫力をあげ、生物兵器に感染しにくい体にしておくといい。そのために、栄養療法の立場からお勧めできる栄養素は何か?
これをテーマにひとつブログを書こうと思って、感染症について詳しく書かれた本”Curing the Incurable”(Thomas Levy著)なんかを開けてパラパラ見てたときに、すでにソール先生が今回のコロナウイルス騒動に対して、寄稿していたと知る。あえて僕の出る幕でもないようだ。
そこでソール先生が寄稿した文章『オーソモレキュラー医学ニュースサービス』(2020年1月26日)を訳して紹介しよう。

『コロナウイルスにはビタミンCが有効』
http://www.orthomolecular.org/resources/omns/v16n04.shtml
「コロナウイルスによるパンデミックは高用量ビタミンCを「即時に」「できるだけ多くの人に」投与すれば、その勢力を劇的に抑えることが可能だし、あるいは終息させることも可能である。
ビタミンCに抗ウイルス作用があることは、もう数十年も前から実証されている。ウイルス全般に効果があるし特にコロナウイルスにも効果があるが、このことが知られていないのは、ただマスコミがこのアプローチの有効性を報道しないからである。
ウイルスが体内に侵入したときに最も重要なのは、症状を予防および最小化するために、体の抗酸化力と自然免疫力を最大化することである。宿主の体内環境こそが最も重要な意味を持つ。
まず、予防。かからないことである。予防は、いったんかかってしまった重病を治療するよりもはるかに簡単だからである。しかし重病にかかってしまったのであれば、しっかり治療しなければならない。
医療機関にかかることを躊躇してはならない。選択の余地はない。ビタミンCは処方薬と併用してもかまわない。
「これまでのところ、高用量ビタミンCの投与で治らなかったインフルエンザを、私は見たことがない」(ロバートF.キャスカート博士)
『オーソモレキュラー医学ニュースサービス』および『国際オーソモレキュラー医学会』の医師たちは、ウイルス感染症の予防(あるいは被害の最小化)のために、栄養素に基づいた方法を勧めている。
以下に推奨するサプリの量は大人向けのものである。子供に対しては、体重に応じて量を減らすこと。

ビタミンC:3000 ㎎(以上)、複数回に分けて。

ビタミンD3:2000 IU(最初の2週間は5000 IUで開始し、以後2000 IUに減らす)

マグネシウム:1日400 ㎎(クエン酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウム、キレート化マグネシウム、塩化マグネシウムの形で)

亜鉛:1日20 ㎎

セレン:1日100 μg

ビタミンC、ビタミンD、マグネシウム、亜鉛、セレンはウイルスに対する免疫系を強化することが示されている。
ウイルス性疾患の予防および治療に対して高用量ビタミンCが著効した最初の報告は、1940年代、ビタミンCによってポリオを治療した症例にさかのぼる。いまや、ビタミンCがウイルス性疾患に効くことは常識であるから、誰もこれを聞いても驚かない。数十年にわたって様々な臨床エビデンスが積み重ねられ、1980年にはウイルス対策プロトコールが策定されるに至った。

高用量ビタミンCによる呼吸器感染症の予防および治療は充分に確立していることを知っておくことは重要である。
「ビタミンCに一定の効果があることは認めよう。でも高用量でいってもムダだし、むしろ有害ではないか」みたいなことをいう人は、自分で元論文にあたって、ちゃんと読むように。
「大昔の医者の仕事じゃないか」と彼らの仕事を見ないことは、もっと大きな問題を放置することになる。つまり、「そんなに効果のある治療法なら、なぜ、政府が一般大衆に向けてビタミンCを推奨していないのか。しかもウイルスパンデミックの真っ最中だというのに」」

最後を皮肉でしめているところがソールらしい文章で、さすがという感じがする。アメリカ人にも、オチ、という感覚があるんだね^^
そう、ソールの言う通りで、僕らオーソモレキュラーをやってる医者なら皆、ビタミンCが感染症予防に超重要だということを知っている。でも、一般の医者は全然そういう認識はないし、政府もそう。こういうパンデミックに際してさえ、「武漢在住の日本人に日本政府がビタミンCを無料配布した」という話は聞こえてこない。
でもね、効くんだよ。一般の医者は認めないし、政府も認めない。でも、効くんだ。
こういう緊急時だから、ビタミン反対派の人も、ひとまずソール先生の言うとおりにサプリを飲んで、命拾いをしておくことだ。
パンデミックで死んでしまっては、ビタミン批判もできなくなるよ^^;

あと、オーソモレキュラー学会関係の話のついでに言うと、今日、JSOM(日本オーソモレキュラー医学会)のホームページに、僕の翻訳した『オーソモレキュラー医学入門』の紹介記事がアップされました。
よかったら見てみてください^^
https://isom-japan.org/article/article_page?uid=CydE91580126926

元素転換2

2020.1.28

石油は、化学的には、ほとんどが炭化水素である。
理科は中学までしかやっていないという人でも、炭化水素という字面を見れば、「炭素と水素から成るんだろうな」と当たりがつく。
化学の世界では、炭素Cを含む化合物を有機物と呼ぶ。つまり、石油は有機物、ということだ。

さて、石油はどのようにしてできたのか?
これには有機起源説と無機起源説がある。
有機起源説は石油のなかにポルフィリン構造を持つ物質が含まれていることが、主張の根拠のひとつになっている。ポルフィリンとは動物の血液中のヘモグロビンや植物の葉緑素などを構成している生物体を通して飲み合成される複雑な化学物質であることから、石油は動物や植物の死骸からできたに違いない、という説。
一方、無機起源説は、生物が出現する以前の地質時代にまでさかのぼって、炭酸ガス、水などが地殻中のアルカリ金属に高温・高圧下で反応したり、カーバイトと水からできた炭化水素が地殻内に蓄えられて石油に変化した、という説。

以前のブログでプラウティ大佐の言葉を引用したが、有機起源説では有機物の存在しないはずの地下深くから石油が生成している理由が説明できない。
学校教育では「石油の埋蔵量には限りがある」と教えられる。1972年ローマクラブは「石油資源はあと30年で枯渇する」と表明し、世界に警告を発した。また、有限であることから、世界中の戦争の大きな要因になってきた。
しかし現実を見てみるといい。埋蔵量が限られているはずの石油なのに、なくなる気配がない。それどころか、油田が新たに次々と採掘され、世界の石油埋蔵量は増え続けている。

もういい加減、賢くならないといけない。
「エネルギーを制する者は世界を制する」石油は国際政治の舞台における重要な武器であることを考えれば、石油メジャーにとって、有機起源説、無機起源説、どちらが好都合かは明らかだろう。
限りある資源だからこそ、需要と供給のバランスが崩れれば、希少価値が高まるし、意図的に石油危機のようなパニックを演出して大儲けすることもできる。
「オレオレ詐欺?あんなバカな詐欺に引っかからないよ」と言っている人も、この”もうすぐ石油なくなる詐欺”には見事に引っかかっているわけだ。

そもそも、石油の無機起源説は、周期表の考案者メンデレーエフが1870年代に提唱した。
さらに、20世紀に入って、自然界における元素転換を説いたケルブランは、結晶片岩が石油に変化すると説明した。岩石を構成するシリカやマグネシウムなどが石油になると考えることで、地質学的に謎とされている現象の多くがクリアに説明できる。彼の説によって、石油層がいつも片岩中に平行して存在することの説明もつく。ケルブランは、この元素転換の際に必要なエネルギーは、大地の圧力だと説いている。

以前のブログで倉田大嗣氏の業績について紹介した。倉田氏は廃プラスチックから石油を作ることに成功した。ゴミの山を宝の山に変える、まさに錬金術であり、無資源国家日本を資源大国に変貌させる一大技術だった。この技術を広く日本中に、そして世界へ広めていこう。公害のない世界を作ろう。それが倉田氏の夢だったが、石油メジャーにとってはこんな技術が普及してはかなわない。あえなく潰され、倉田氏は不遇のうちに死去した。
その倉田氏は、石油の生成プロセスについて、著書のなかでこのように述べている。
「多くの学者が、どう考えているかは知りません。私自身は地殻内にある種のゼオライト(沸石)という触媒があれば石油になり、なければメタンガスになると考えています。ゼオライト触媒がどのくらいあるかによって、軽質油になるか、重質油になるかが決まると見ています。(中略)石油の採れている場所を見てみると、例えばアメリカ大陸の中央部分の、地球の誕生以来、一度も海の底になったことのない地層から石油が出ています。無機起源説であれば、埋蔵量が増え続けることも、その昔海ではなかった陸地からも発見されていることも説明がつきます」

学者の頭が、もっと柔軟になってくれれば、と思う。
多くの現象を矛盾なく説明する理論こそ、優れた理論でしょう?
当局への配慮から、優れた理論を放棄して、当局にとって都合のいい理論を信奉し続けるというのは、学問の自殺行為だろう。でもこんなデタラメが、本当に起こっている。
化学界も医学界も、ケルブランの元素転換を認め、学校教育でも教えるようになれば、学問はきっと、もっとすばらしい方向に進歩するに違いない。

しかし、天才は倉田氏の他にもいるものである。
大政龍晋氏は水を振動撹拌することでガスを生み出したり、低エネルギーで元素転換を起こす技術を発明した。
動画では、塩化銅から金を生成する実験を示している。文字通りの錬金術である。従来の化学ではまったく説明のつかない”奇跡”であるが、当の大政氏自身は実に淡々としている。
こんな動画を公開してしまって、どこかの誰かから殺されませんか?^^;

純水を、パラジウムでメッキした羽根で6時間ほど振動撹拌すると、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛が生成する。それもごく微量の痕跡量とかではなく、1リットルあたりmg単位で生成する。
試験管のなかで起こるこの現象は、地球の歴史の草創期に起こったことの縮図である。月の引力で水の満ち干が生まれ、それによって水が振動撹拌された。それを何億年も続けることで、様々なミネラルが生起し、生命の出現する舞台が準備された。ゆるやかな、長い年月をかけた元素転換である。
さらに、福島の原子力発電所から今なお漏出を続ける放射性物質(セシウムなど)も、この技術を使えばプラチナに変換できるという。

僕は元素転換のアイデアを、医療に生かせたらな、と漠然と考えている。
鉄のサプリは、活性酸素を生じてしまい様々な慢性疾患の原因になりかねないから、たとえば他のハーブを投与することで生体内で元素転換が起こり、鉄がいい感じに生成し、鉄欠乏性貧血が改善する、みたいなことが理論化できるといいな。

学校教育は正直、変わらないと思う。でもネットで何でも学べる時代なのだから、さっさと真実に触れて、その真実の力で現場から変革していく。
世の中を変えるには結局それが一番早いんじゃないかな。

参考
『水を燃やす技術~資源化装置で地球を救う』(倉田大嗣著)
『地球を変える男~放射性セシウムをプラチナに』(大政龍晋著)

元素転換1

2020.1.28

フレッチャー・プラウティ大佐は軍の高官で、国防長官を務めたほどの人物だから、ペンタゴンの内情に精通しているのは当然として、彼が独特なのは、リエゾン・オフィサー(連絡将校)としてCIAの内部にも詳しかったことである。ペンタゴンとCIA、両方の重要機密を知る立場にあった人物は、彼をおいて他にいない。
CIAがどのように組織され成長してきたかを実際に見てきた生き証人であり、米ソ冷戦やベトナム戦争の背景にあった思惑、ケネディ大統領暗殺の真相、アメリカ政府と地球外生命体との交渉などについても当然把握していた。ロックフェラーなどのグローバルエリートが、どのように世界を動かすかを間近に見てきた彼が、なんと、暴露本を出してしまった。
著書”The Secret Team: The CIA and Its Allies in Control of the United States and the World”は、出版直後、”その筋”からの力が働いて全米の書店から回収されたが、結局情報の拡散を止めることの不可能を悟ったのか、この本、今でもネットで普通に買えます。僕も買ったけど、初版が1973年と50年近く前の本だけど、内容が全然古びてない。表に見える事件の背後にはグローバルエリートとその手先のCIAの暗躍がある、という構造が、現代でもまったく変わっていないからだと思う。

さて、そのプラウティ大佐が、石油についてこんなことを言っている。
ざっと訳してみました。
『石油貴族へのわいろ』(Greasing the Palms of the Oil Barons)
http://www.prouty.org/coment13.html
「そもそも、石油とは何でしょうか?85%が炭素、13%が水素、0.5%が酸素、あとは硫黄や窒素が混じったこの石油という物質は、一体何なのでしょう?
たいていの御用学者(石油産業からお金をもらっています)は、石油は有機物の分解物に由来すると主張しています。有機物というのは、つまり、かつては生物であったということですから、量的には非常に限られたものであり、従って、石油の供給可能量は有限である、と学者たちは言っています。

石油はよく、”化石燃料”と言われます。「化石」という言葉を使えば、いかにも、かつては生きた有機物だった、という感じがしますね。石油の採掘油田が地殻の化石層にあるのなら、これはもっともらしく聞こえると思います。でもご存知ですか、今日採掘される石油の大部分は、どのような化石も存在しない、はるか深い地下層から汲み上げられています。
おかしな話ですね。石油はかつて生命体であった有機物由来ということになっているのに、化石の見つかる地層よりもはるか地底、岩石しかないところに石油が存在するというのは、どういうことでしょうか。
答えは簡単です。石油が有機物由来だという前提自体が、ちゃんちゃらおかしい話なのです!

もっと言うなら、仮に、かつてこの地球に生存したすべての植物、昆虫、動物をすべて絞り出して、巨大な泥状物質にまとめたとしても、今日産出されるほどの莫大な石油量になるはずがないのです。
さらに、これまでに採掘された油田は、いわゆる科学的な方法で発見され、採掘されたことになっていますが、実のところ、テキトーに、ランダムに掘ったとしても、同じだけの量を採掘できたのです。御用学者にしつこくこの点を問いただせば、彼らもしぶしぶこれが事実であることを認めるでしょう。要するに、地下には大量の石油があるのです。ほとんどあらゆる地下に、です。ただひたすら、掘ればいい。当たらなければ、もっと深く。それだけでいいのです。

なぜ、我々はこのような間違った知識を持っているのでしょうか。答えは一つしかありません。
石油産業を支配する人が、独占したいからです。そして、その独占によって、ガソリン1ガロンの値段をどれくらいにするか、好きなように決めることができますし、毎年数千億ドルの利益をあげています。
彼らとしては「今の石油の使用量のペースでいけば、石油を使い切るまでに、恐らくあと20~30年ほどしか持たない」と私たちに思わせたいのです。このように思わせるためには、「石油は有機物の分解物である」という化石燃料神話が、非常に好都合なのです。

1956年から1971年にかけて、巨大油田の数は二倍以上になりました。採掘の深度が上がって、古生代とかあるいはもっと深くの地層まで掘るようになったのです。今日、実際には石油は供給過多なのです。しかし石油を支配している人々は、生産を抑制して価格を高く保つために、もう、ありとあらゆることをやっています。各国の政府を動かすことさえ、やっています。

ウィリアム J.ケイシーがCIAの長官になる直前に、アメリカ法曹協会でスピーチをしました。そこで彼は、「産出量のリザーブを確立し、価格を維持するための国際協定」が必要だと主張しました。これは石油権益を支配する人に有利は政策です。その同じ会の場で、CIAでケイシーの直属部下となる一人のハンス・ハイマンが「我々の所有する莫大な石油の在庫積み増し」のことについて言及し、さらに「国際市場に影響力を持つ人々が極めて簡単にその影響力を行使できるための制度体系や行動規範が、CIAには備わっている」と述べました。
国際市場に影響力を持つ人々、とは誰のことでしょうか。もちろん、石油利権を握る人々のことです。彼らが我々から毎年数千億ドルもの大金を吸い上げているのです。それも、ほとんどすべての西側政府を動かすことによって。」

石油は化石燃料ではない、とプラウティ大佐は言っている。
学校で教わったことやマスコミが言っていることと、とずいぶん違うと思いませんか?
そもそも、石油はどのように生成するのか?石油は、何から、どのようにしてできるのか?
実はこれには有機起源説と無機起源説があって、論争が続いている。いや、正確には、有機起源説には相当無理があって、学説としてそもそも破綻しているんだけど、これを認めてしまえば石油が化石燃料だという論理が崩れてしまうので、石油産業側としては何が何でも有機起源説を推したい。さらに、無機起源説を認めてしまうと、ケルブランの元素転換を認めることになってしまう。
長文になりそうなので、この点については次回に。

肉と癌

2020.1.27

古くはアトキンス・ダイエット、最近ではケトジェニック・ダイエット、パレオダイエットなど、食事法には様々なブームがあるが、これらのダイエットにおおよそ共通するのは、”低糖質高タンパク”である。
低糖質食に関しては、おおむね同意する。砂糖などの精製糖質や小麦製品の摂取量は、一生ゼロでもいいと思う。ただ、米から適度な炭水化物を摂るのはかまわないと思うし、「野菜にも糖分が含まれている」として根菜類(人参、ゴボウなど)やかぼちゃまでダメ、とするのはさすがにやりすぎじゃないかな。
高タンパク食についての個人的な考えは、「保留」ということにしている。
「肉や卵をたっぷり食べて、プロテインも飲んで、不調が改善しました」という患者の声を実際に聞く。タンパク不足が不調の背景にあれば、効く人もいるだろう。
ただ、だからといって、「高タンパク食万歳!」とは思わない。
原住民の食事の研究からプライス博士は肉食の効用を説いたが、現代の畜肉と原住民が食べている天然の肉では、同じ「肉」と言っても意味合いが全く違うだろう。
以前のブログで、生の羊肉だけを10年食べ続けて健康を維持している人を紹介したけど、ああいう肉なら体にいいとしても、一般の日本人にはあんな食事法は真似できないだろう。
それに、個人的には牛乳は体に悪いと思っているから、そこから精製したプロテイン(ホエイプロテイン)が体にいいと考える理屈がない。
「低糖質高タンパク食で体調がよくなりました」と言っている人は、案外、高タンパクというか低糖質のおかげで元気になったんじゃないかな?現代病の大半は、砂糖と小麦をやめるだけで治っちゃうものだよ。砂糖や小麦をやめることで腸の炎症がなくなって、消化吸収能力が改善して、結果、各種栄養素(タンパク質も含め)の吸収も高まるから。
もともと肉が好きでもないのに無理やり食べて体調を崩している人を臨床で見ていることもあって、安易に高タンパク食を勧める気持ちになれないんだな。

はたして、肉は体にいいのか悪いのか。科学的研究は、一体どのように言っているのだろうか。
いくつかの論文を紹介しよう。

『赤身肉、加工肉の摂取と癌リスクの関係性についての前向き研究』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18076279
「赤身肉と加工肉はいくつかの部位での腫瘍発生に関与しているが、これらの肉の摂取と癌の悪性度を調べた前向き研究は存在しない。そこで、赤身肉、加工肉の摂取が体の様々な部位で癌リスクを上昇させるかどうかを調べた。
50歳~71歳の男女50万人を8.2年間追跡したところ、53396件の癌が確認された。赤身肉の摂取量が最も多い群と最も少ない群を比較すると、食道癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌に関して、統計的に有意な癌リスクの上昇(20%~60%)が見られた。また、加工肉の摂取に関して、摂取量が最も多い群では、大腸癌のリスクが20%、肺癌のリスクが16%増加していた。
【結論】赤身肉、加工肉の摂取のいずれも、大腸癌と肺癌のリスクと正の相関がある。さらに、赤身肉は食道癌と肝臓癌のリスク上昇とも関係している」

これだけ見ると、「もう肉を口にするのはやめておこう」と思っちゃうかもしれない^^;
でも、こういう研究もある。
『肉と癌』
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0309174009001764
「ますます多くの研究が、肉の摂取量(特に赤身肉と加工肉)と癌リスク(特に大腸癌)の上昇の関連性を示している。
しかし、この癌リスク上昇は、肉それ自体のせいというよりは、肉の摂取に伴う高脂肪摂取の影響、かつ(または)、様々な調理方法による発癌物質の生成の影響が、関係している可能性がある。また、癌リスクにはある種の遺伝子型が関係しているかもしれない。肉の摂取量との相関が見られる癌は、肉の調理時(あるいは摂食時)に抗癌作用のある食品と一緒に食べたり、調理法に一工夫して、発生率が減少する可能性がある。
また、そもそも、肉には抗癌作用物質(オメガ3系多寡不飽和脂肪酸、共役リノール酸など)が含まれているものである。特に赤身肉は、抗癌作用のある微量栄養素(セレン、ビタミンB6、B12、Dなど)の重要な供給源である。肉を食べる際には、他の食品との食べ合わせや肉の調理法の工夫によって、潜在的な癌リスクから身を守ることが重要である」

肉を食べるほど癌になりやすい、というのが疫学の示すところだけど、この論文はそういう事実を踏まえた上で「肉食ったら癌になるぞ!」と脅すのではなく、調理法や付け合わせ次第で肉の癌リスクは軽減するはず、としている。理性的な、いい論文だね。
以前のブログで、ネギ科植物(ニンニクやタマネギなど)に抗癌作用があることを紹介したけど、ステーキの付け合わせにニンニクを添えたり、すき焼きにネギやタマネギのスライスを一緒に入れるのは、結果的に肉の発癌性を打ち消す格好になっている。食文化の知恵が、科学的にも理にかなった食べ方になっているというのは、おもしろい偶然だね。

Dr.Sebiは「肉の過食は体を酸性にして癌のできやすい体質にするが、野菜は体をアルカリ性にして癌のできにくい体質にする」と言っている。
西洋医学的には、肉=酸性とか野菜=アルカリ性といっても、何を言っているのか意味不明でお互い分かり合えないようだけど、結論は共通していて、どちらも「肉の過食は癌の可能性を高める」と言っている。
人間の本来の食性は、多分、雑食だから、何事もあまり極端に走らないのがいいと思うよ。

重曹、ニンニク

2020.1.26

『腹膜播種の除去に炭酸水素ナトリウム溶液が有用であった腹膜偽粘液腫の1例』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/77/12/77_3015/_pdf
日本語論文だから、みなさん読めます。
シモンチーニ博士が40年前からやっていた手技(重曹による癌治療)を、いまさら鬼の首をとったかのように論文にされても、日本の医療の後進性をアピールするだけだよね^^;
しかも、この論文はあくまで「腹腔内のゼリー状物質(腹膜偽粘液腫)の除去に炭酸水素ナトリウムが有効だった」ということの発見だけで、それが癌の除去にも有効であることに気付いていない。
シモンチーニ風にいえば、腹腔内のゼリー状物質はカンジダの産生する酸(あるいはカンジダの菌体そのもの)なので、ここに炭酸水素ナトリウム(アルカリ)を入れることできれいに洗浄できたわけだ。
考察部分にこうある。「粘液(ムチン)は炭水化物に富む糖タンパクを含む分泌液であり、アルカリで溶解し酸で沈殿する性質がある。炭酸水素ナトリウムにはアルカリ化による局所的な粘液溶解作用があり、腹膜偽粘液腫の粘液物質溶解にも作用したものと思われる。(中略)血圧低下が見られたが、機序としてはHCO3-が生体内でCO2になりPaCO2を上昇させ、血管を拡張させたものと考えられる」
そう、「万病は体の酸性化から起こる」というが、体をアルカリにすることで、たとえば高血圧も治る。
重曹で高血圧が治る機序としては論文に記載のある通りで、もう少し詳しく化学式を書くとこんな感じ。
HCO3- + H2O→H3O + CO2
血中の二酸化炭素濃度が上昇して血管拡張が起こる結果、血圧が下がる。
メイロンがめまいに効くのも同様の機序で、血管拡張によって内耳の血流が増加するおかげでめまい症状が軽減する。

重曹を飲む、などと聞くと、重曹になじみのない人にはちょっと抵抗があるかもしれない。
でも、日々の健康維持のために重曹を飲んでいる人や、重曹をクエン酸と混ぜて水にいれると簡単に炭酸水ができるので、これで自家製ハイボールを作る飲兵衛もいる^^
掃除にも使えて、変な合成洗剤で掃除するよりよほどきれいに落ちるし健康的だ。

シモンチーニ氏は外科医で、多くの癌患者の手術を行ってきた。自分の目で実際に癌腫を見ていくなかで彼が感じたのは、「癌は例外なく白く、まるで菌による感染症のようだ」ということだった。
この感想を単なる感想のまま終わらせなかったのが彼のすごいところで、乾癬や水虫に高濃度の食塩水を繰り返し塗布することで治した経験のあった彼は、癌治療に塩を使うことを考えた。「塩には強力な殺菌作用がある。癌が菌による感染症だとすると、塩による消毒が効くのではないか」
しかし実際にやってみたところ、うまくいかない。塩は体内にすぐに吸収されてしまって癌腫に届かない。また、皮膚などの体表への塗布は有効だったが、内臓の粘膜には刺激が強すぎて組織そのものを痛めてしまう。これでは治療に使えない。酢が水虫に有効であった経験から酢も試してみたが、失敗。様々な試行錯誤の末、ついに見つけた答えが、重曹だった。

個人的には、「重曹が、最終的にして唯一の絶対的解答」とまでは思わない。
シモンチーニ氏の仮説で含みがあるのは、「癌は真菌感染症ではないか」というところだ。だとすれば、真菌感染に効く他のハーブなども癌に効くかもしれない。
たとえばニンニク。
以前ブログに書いたけど、僕の父の話。
長年水虫に悩んでいた。市販の薬を様々に試したが、何をやっても効果は微妙。症状は一進一退、という感じだった。あるとき、ニンニクをしばらく酢に漬け、その酢が水虫によく効くとどこかで聞いて、試してみたところ、劇的に効いた。長年の症状がウソのように治ってしまった。
水虫は白癬菌つまりカビによる感染症であることが分かっている。ニンニクがカビに効いたということは、癌がカビによる感染症だとすると、ニンニクは癌にも効くのでは?

この可能性を念頭に論文を検索すると、さすが、世界は広くて、同じことを考える学者がすでにいるんだね。
こういう研究があった。
『ニンニクとタマネギ~その癌予防効果』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4366009/
「ネギ属にはニンニク、タマネギ、エシャロット、ニラネギ、チャイブ(アサツキ)などがある。これらの野菜は食材として世界中で使われており、また、医学的な効用のために珍重されている。
ネギ科植物の消費量を正確に評価していない難点はあるものの、疫学研究ではネギ科植物の摂取と癌(特に消化管の癌)リスクの減少には相関があることが示されている。この相関は介入研究によっても示されている。
ネギ科植物による癌予防効果を支持するエビデンスの大部分は、反応機構研究(mechanistic studies)で見出されたものである。これらの研究では、これらネギ科植物の抽出物や硫黄含有化合物がどのような作用機序で効能を発揮するかに焦点を当てている。具体的な機序としては、発癌物質の生物活性の低下、抗菌作用、酸化還元反応への関与などが示されている。ネギ科植物およびその化合物は、腫瘍発生の各段階に作用し、癌リスクに関係する多くの生物学的プロセスに影響している。本レビューではネギ科植物(特にニンニクとタマネギ)の癌予防効果と硫黄化合物の生物活性について議論している」

癌と診断されて以後、タマネギを生で食べるようにしたら、それだけで癌が治った、という話もある。
ネギ科植物に秘められたポテンシャルを、最近の科学は解き明かしつつあるようだ。

さらに、もっとズバリ、「ニンニクはカンジダに効くよ」と示した論文もある。
『生ニンニク抽出物がカンジダ・アルビカンスのバイオフィルムに対する効果』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4366009/
「生ニンニク抽出物がカンジダ属に効果があることはin vitroで示されており、この効果はアリシン(硫黄含有化合物)の作用によると考えられている。アリシンは生のニンニク一片につき約3~5 mg/gの濃度で含まれている。バイオフィルムを形成し付着するカンジダ・アルビカンスは、一般的な抗真菌薬に対して耐性を示す。
そこで我々は、生ニンニク抽出物がカンジダ・アルビカンス(バイオフィルム形成あり・なし)に対して有効かどうかを調べた。(中略)
【結論】:すごく効きました」

人間が科学の力で作り出した抗生剤に対しては、耐性菌ができてしまう。それならば、と新しい作用機序を持った抗生剤を作っても、その努力をあざ笑うかのようにまたすぐに耐性菌が現れる。菌とまともにやり合っても、人間はまったく敵わないんだ。
しかし、生ニンニクを潰して水に溶いただけの液体に対しては、こんなにタフなカンジダ菌があっさり死滅する。
人知の浅はかさ、そして、自然の抗菌薬のすばらしさ。こんなに明瞭な対比ってなかなかない。

癌で人生が終わるくらいなら、生ニンニクを食べて職場の同僚から「口がくさい」っていう陰口に耐えるほうが、まだマシではないですか^^