ナカムラクリニック

阪神・JR元町駅から徒歩5分の内科クリニックです

2019年

ワクチン

2019.1.13

ワクチンにはアジュバントが入っている。
アジュバントというのは、抗原性補強剤のこと。抗原を注射するだけでは充分に免疫がつかないから、抗原性を高めるために含まれている。
アジュバントとして使われることが最も多いのは、アルミニウムだ。

アルミは単独で投与しても、マウスに関節炎や脳脊髄炎を起こす。
というか、関節炎や脳脊髄炎のモデルマウスを作るためにアルミを投与しているぐらいだから、これは研究者にとっては常識的な知識だ。
単独投与でも毒性のあるアルミに加えて、ワクチンには他にも様々な化学物質がチャンポンされている。
「病気を予防するため」という名目のワクチンに、別の病気の原因になりかねない物質が含まれているわけで、実に、本末転倒とはこのことだ。
そんなワクチンを、たくさんの人が、わざわざ自分で進んで病院に受けに行く。倒錯もここに極まれり、だな。
もうちょっと、自前の免疫力というものを信用したほうがいいよ。
そもそも体には白血球がいて、感染症にならないように防御してくれている。ワクチンなんて打たなくても、人類は種として500万年生存してきた。
それなのに、なぜ、いまさら、病気予防のためと称して、ワクチンが国から推奨されているのだろうか。
ここ百年弱のあいだに、人類は免疫が急激に弱って、ワクチンなしでは生存できないようになってしまった、とでもいうのだろうか。
そもそも現代西洋医学は、人間の体というものをバカだと思っている。自然治癒力なんて信じていない。手術や薬で病気を強制的に取り除いてやらねば、回復しない。
そういう前提からスタートしている。前提から破綻している論理というものは、どんな御託を並べたところで、好ましい結果には結びつかないものだよ。

ワクチンという異物を注入された体は、何とかしてその異物を排除し、恒常性を保とうとする。その排除の際の悪戦苦闘が、症状という形で出現する。
ワクチンの副作用と言われるもので、「副作用」などというと、さも意外、想定外の事態、といった印象を受けるけど、むしろ体の正常な拒絶反応だ。

ワクチンの意外な副作用の現れ方として、ナルコレプシー(眠り病)が挙げられる。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24721530
論文のタイトルは、『アジュバントに含まれるαトコフェロールが、Nrf2の調節を経て、試験管内でヒポクレチン(オレキシン)の発現および代謝回転を引き起こし、ナルコレプシー発症の引き金となる』。
要約をざっと訳すと、、
H1N1型豚インフルエンザのワクチンを打ちましょうというキャンペーンの後、小児および思春期のナルコレプシー症例の増加がスカンディナビア地域で観察され、後に同様の増加はヨーロッパ諸国でも見られた。これはAS03アジュバントインフルエンザワクチン(パンデムリックス)の接種と関連している。
ナルコレプシーとは慢性的な睡眠障害であり、脳脊髄液中のヒポクレチン(オレキシン)が減少していることが特徴である。この減少は、脳弓周囲から視床下部のヒポクレチン産生ニューロンが選択的に破壊されているためである。
99%以上のナルコレプシー症例において、HLAサブタイプ(DQB1*602)が関係しており、このため自己免疫系に異常が生じると考えられている。スクアレンをベースにしたアジュバントでは、これまでのところナルコレプシーの報告はないが、AS03にはさらにαトコフェロールが含まれている。
最近、αトコフェロールは転写因子Nrf2を活性化することが観察された。Nrf2は、抗酸化剤応答配列(ARE)に結合することで、細胞防御遺伝子(タンパク分解酵素の触媒活性のあるサブユニット)の発現を引き起こす。
結果
αトコフェロールは、Nrf2の活性化を経て、ヒポクレチンの発現および代謝回転に影響を及ぼし、DQB1*602に結合するヒポクレチンα特異的断片が増加する。
αトコフェロールは、試験管内において神経細胞のNrf2を活性化する。プロモーター分析により、ヒポクレチンプロモーターにARE配列があることが明らかになった。αトコフェロールは、Nrf2の活性化により、ヒポクレチンの発現を増加させる。並行して、αトコフェロール依存性のNrf2の導入は、タンパク分解酵素の触媒性サブユニットの発現を増大させ、ヒポクレチンの分解を促進する。さらに、Nrf2の活性化は、NFκβ活性の減少と関連しており、このためにアポトーシスを起こす刺激に敏感に反応するようになる。
結論
遺伝的傾向 (DQB1*602) のある症例では、αトコフェロールは、Nrf2の活性化を通じて、ヒポクレチン由来の断片産生を促進し、ナルコレプシーを引き起こす。この断片を発現する細胞は免疫系に認識され、また、そのアポトーシス刺激への過敏性もあいまって、破壊され、こうしてヒポクレチン欠乏状態になる。

「日中に、急に異常なほどの眠気に襲われるようになった」という主訴を聞いて、「ひょっとして、最近ワクチン打ちませんでしたか」と聞ける医者がどれくらいいるだろう。ほぼ皆無だと思う。

同様に、筋膜炎を見て「ワクチンの副作用」を鑑別に挙げるなんて、知っていないと絶対にできない。
https://academic.oup.com/brain/article/124/9/1821/303280
タイトルは、『マクロファージ性筋膜炎は、ワクチン由来の水酸化アルミニウムが筋肉内に長期間残存している現れである』。
要約すると、、
マクロファージ性筋膜炎は、びまん性の筋・関節痛および疲労感を訴える患者に見られる原因不明の症状で、PAS染色陽性のマクロファージとリンパ球が筋肉に浸潤していることが特徴である。一部の患者では、マクロファージの内部に細胞質内封入体が観察される。
40症例に対し、電子顕微鏡と化学分析(微量分析および原子吸光分光法)で調べた。
封入体が常に検出され、これは水酸化アルミニウム(ワクチンのアジュバントとしてしばしば用いられる免疫刺激性化合物)に対応して出現していた。マクロファージ性筋膜炎の病変部には常にリンパ球が観察された。血液検査は、水酸化アルミニウムへの曝露を示していた。
ワクチンの接種歴を分析すると、50人中50人でワクチンを接種しており、そのうちB型肝炎ワクチンは86%、A型肝炎は19%、破傷風毒素は58%であり、生検を行う前の3ヶ月から96ヶ月前(中央値は36ヶ月)にワクチン接種を受けていた。
びまん性の筋痛症はマクロファージ性筋膜炎のある患者では、そうでない患者に比べて、より高頻度で見られた。(P<0.0001)94%の患者で、筋痛症の発症はワクチン接種の後(中央値は11ヶ月後)に起こっていた。マクロファージ性筋膜炎をラットで実験的に再現することもできた。 我々の結論はこうである。マクロファージ性筋膜炎は水酸化アルミニウムの筋肉内注射によって生じ、水酸化アルミニウムの長期的残存および継続する局所的免疫反応が存在することを示すものである。 「ワクチン接種からしばらくして、筋肉や関節が妙に痛くなった。病院に行くと、膠原病と診断されて、ストロイドとか抗リウマチ薬を飲み始めた」みたいな経過の人は世の中にたくさんいると思う。 膠原病の診断基準に当てはまったとしても、これは誤診と言うべきで、投薬治療なんて始めちゃいけなかった。薬のせいで、いよいよ本物の病気になってしまうから。 整体マッサージに通うとか、断食をする、栄養療法を始めるとか、他のベターな選択肢があったのにね。 病院が、病気を作っている。 嘘みたいな本当の話。 悲しい世の中だね。

ゴーン

2019.1.12

ゴーンが特別背任容疑で再逮捕されたとか、拘置所で高熱出して接見できないとか、ゴーン関連のニュースがメディアをにぎわせている。
日産自動車の前社長でルノー自動車のCEOという、超VIPが逮捕されたということで、ニュースバリューがあるんだろうけど、実際のところどういう人なのか。
何をした人で、どう偉い人なのか。
簡単に言うと、日産の社長に就任して以後、彼は従来の日本人社長と真逆のことをした。
ゴーンが日産の社長に就任した1999年、日産の経営状態は最悪だった。
これまでの社長が、株価への配慮などから、経営状態を糊塗しようと必死だったところ、彼は逆に、その最悪ぶりを白日の下にさらけ出した。
今まで隠していた赤字を全部洗い出して、もうこれ以上悪くなりようがないという状況を世間に知らしめた上で、改革を始めた。
わずかな改善で、「さすがゴーンだ」と評価される下地を作った。
日産には優秀なエンジニアがいて、技術力も高い。全国に販売網があり、営業能力もある。
魅力的な商品を作り、その販売を軌道に乗せることができれば、経営状態は必ず改善するはずだ。
自身の強いリーダーシップのもと、機能不全に陥った日産の各部門に喝を入れ、様々な改善に取り組んだ。
こうして倒産寸前だった日産を奇跡のV字回復に導いたということで、一躍その名を知られるようになった。
つまり、ゴーンがやったことは、既存の体制にメスを入れ改善したということであって、彼がゼロから何かを作ったわけではないんだ。
それだけのことなんだけれど、従来の社長には「それだけのこと」もできなかったわけで、そこはやはり、ゴーンのカリスマ性のなせる技かもしれない。
従来の社長が日本人特有の忖度とかめんどくさい根回しとかにとらわれて身動きできなかったところ、そういうのを一切気にしないで独断で采配をふるえたっていうのも、外人ならではの強みだったと思う。

彼の「独裁」が見事に奏功した例としては、GT-Rの成功が挙げられる。
ゴーンは日産復活のために『新たな顔』を作ろうとして、「プリメーラ、スカイライン、フェアレディZに次ぐ、新たなフラッグシップを作れ」と命じた。
こうしてGT-Rの開発プロジェクトが動き始めた。
GT-Rの開発に際して、社内では既存のFR-Lプラットフォームをベースにしようという意見が多くを占めていたが、エンジニアの水野和敏はそれに反対していた。
「それでは日産のフラッグシップたり得ない。PMプラットフォームを採用すべきだ」と主張した。
水野はどちらのプラットフォームの開発にも携わっていて、彼はその強みも弱みもすべて把握していた。
過去にはプリメーラやスカイラインの車両パッケージの設計を担当するなど、車のデザインセンスに図抜けた才能があり、また、耐久レースのチーム監督として何度も優勝するなど、社内から一目置かれている人物だった。
ただ、職人気質で我が強く、意見が衝突しても自分を曲げない頑固さがあって、上層部からは時に煙たがられる存在でもあった。
水野は、実績を残しているとはいえ、社内ではエンジニアの一人に過ぎない。上層部の誰も彼の意見を真剣に汲み入れようとはしなかった。
しかし、ゴーンが来て以後、風向きが変わった。
ゴーンを前にしても、ものおじせずに堂々と自分の意見を言う。通訳を介しながらではあるが、ゴーンの目を見て、はっきりと自分の考えを語る。
ゴーンはこの職人がひどく気に入った。
「GT-Rの開発はお前にすべて任せる。必要なことがあれば、何でも言ってくれ」
これは極めて異例のスタイルだった。
ゴーンは1車種の開発に際して3トップ制(車両開発主管、商品企画立案責任者、販売目標責任者)を基本とするよう命じていた。
しかしGT-Rの開発にだけは、例外的に水野にすべての権限が集約する1トップ制とし、社長直轄プロジェクトとしてゴーンと水野が直接つながる人事体制となった。
こうして水野に、エンジニアとして最高のパフォーマンスを発揮できる機会が与えられ、彼はその期待に見事に応えた。
2007年の発表からわずか1年半で、GT-Rは世界のトップブランドになった。

すばらしい性能のスポーツカーを作ったとしても、それが世界のトップブランドとして認知されるとは限らない。
しかし彼はそれを成し遂げた。どのように?
『バカになれ!カリスマエンジニア「ゼロからの発想術」』(水野和敏著)に、彼の方法が余すところなく公開されているので、そのさわりの部分だけ紹介しよう(僕が多少加筆した引用です)。
「ゴーンから「日産のフラッグシップとなるスーパーカーを作り、世界のトップブランドにしろ」と言われたとき、エンジニアとして自分自身を徹底的に造り込んできた俺には、その構想がすでにあった。
車のメカニズム、ハードウェアに関しては即座にイメージがわいた。問題は、「世界のトップブランド」にするにはどうするかである。
普通の人が考えるのは、大々的に広告を打つことだろう。しかし俺に言わせれば、それは最もやってはいけないことだ。
ダメな新商品をマスコミに金を払って宣伝させている、と思われかねないからだ。実は、GT-Rの宣伝費は、ゼロだ。
大事なのはブランドというものの本質を創ることだ。
ブランドとは、自分たちが「これは最高級品です」と言ってなれるもんじゃない。世界中の上流貴族や富裕層から認められ、彼らがこぞって手に入れたいと思うものがブランドになっていくのだ。
今現在、世界で最もセレブリティの称号を持っていて、しかもトップブランドを買っているマーケットリーダーは誰か?
アラブの王族だ。ハリウッドセレブや金融関係者など、しょせん成金。王族のブランド力にはかなわない。しかも没落した欧州貴族よりアラブ王族は断然パワーがある。
「アラブの王族が金に糸目をつけずに買いたいと思っている車がある」
そんな噂が世界に広まった途端、その製品は最高のブランドとして認知される。
では、アラブの王族に欲しいと思わせるにはどうすればいいのか?(以下、略)」
実に、読ませる本だ。
GT-Rの開発秘話、ゴーンのこと、エンジニアとしての創造性、人生観など、水野氏のエッセー集のようになっていて、ストーリーテラーとしても巧みだと思う。
この本の出版は2014年なんだけど、文中、ゴーンの先行きを不安視する記述があって、まるで現在の状況を予見していたようにも思える。
「一緒に仕事をしていた頃のゴーンの決断力と実行力は大したものだと思う。でも最近は昔のようなオーラや輝きが感じられない。
孤独な王様のようだ。提言する人間がいないのか?ゴーンというリーダーの今の唯一の問題はそこにあると思う。
「私はこうしたい」というブレーンが不在で、「こうしましょうか?」というご機嫌取りに囲まれているようだ。
むろんゴーンのような人間に提言するのは並大抵のことじゃない。半端なことを言えばすぐ話を打ち切られる。ビジョンと存在を認められていなかったら、文字通り、話にならない。
日産に来た当初はゴーンに提言できる人材は何人もいた。昔からの同志であるパトリック・ペラタやコリン・ドッジなどはその代表だ。
俺から見ても本当に優秀なサポート役だった。ところが経営の苦しいルノーを立て直すためにペラタをCOOにしたあたりからバランスが崩れ始めた。
結局信頼の厚かったペラタが情報漏洩問題でルノーを辞めざるを得なくなり、提言できる人間がまた一人いなくなった。
ゴーンのカリスマだけに頼り切っているように見える。
強すぎるカリスマのもとでは、本当にものを言えるブレーンが育たないということがしばしば起こる。
戦国武将でも武田家のように、イエスマンばかりになって滅亡した例は腐るほどある」
エンジニアでありながら同時に人間通でもあって、水野氏にはゴーンの孤独が見え透いていた。
水野氏を手放すなんて、日産はもったいないことをしたね。

MSG

2019.1.11

「無添加がいい、化学調味料なんてもってのほかだ、とか急に健康オタクになった夫が言い出してさ。味の素がいかによくないか、電子レンジがどれだけ体に悪いか、みたいなのを力説するわけ。
今まで散々そういう文明の利器に頼っておいて、いきなり何だよ、って思うんだよね。
手間がかかるけど、これまで味の素を一振り入れて味付けしてたのをやめて、昆布やかつお節をわざわざ煮出してダシをとるんだけどさ、化学調味料の強い味付けに慣れちゃってるもんだから、薄いとか味気ないって文句を言う。
もうね、お前が自分で料理しろよ、っていう。
仕方ないから、これ、旦那には言ってないけど、今でも味の素使ってる。ただし、量は減らしてね。
『うん、うまい。やっぱり天然の味はいいなぁ』なんて言ってて、本当、バカ舌なんだよ」
話を合わせて一緒に笑っておいたけど、怖い妻やなぁ笑
そう、化学調味料の発明は実に偉大で、いまや外食産業はこれなしでは成り立たないだろう。
どんな粗悪な食材でも、おいしくしてしまう魔法の粉。ダンボール肉まんというのがあったように、その気になれば食べ物ではないものさえ、おいしくできてしまう。
しかしこのおいしさには、リスクが潜んでいる。

肝毒性をテーマにした論文があったから、紹介しよう。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0896841107001400
表題は、『グルタミン酸ナトリウム:肝臓の炎症および異形成を促進する悪役』
タイトルにvillain(悪役)なんていう、比較的感情的な言葉があるのは珍しい。小説には出てきても、論文には使われる語彙じゃないからね。
内容は、、
自己免疫疾患を含め様々な病気の経過において、慢性的な炎症こそ、共通のテーマである。慢性炎症の経過は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を見ればよくわかる。
NASHは西洋化した社会で患者数が急増している。西洋式のライフスタイル、特に食事が直接的な影響を与えている。
懸念すべきことは、NASHが悪化すれば、最終的に肝細胞肉腫になる可能性があることだ。
我々は以前、ICRマウスにMSG(グルタミン酸ナトリウム)を注入すると炎症が起こり、中枢性肥満や2型糖尿病になることを報告した。炎症に対してMSGが長期的にどのような結果を及ぼすかを調べるために、MSG注入マウスの、特に肝病理に注目して、継続的な分析を行った。
6ヶ月齢および12ヶ月齢までに、すべてのMSG注入マウスでNAFLDかつNASH様の組織像を呈した。特に、12ヶ月齢のマウスの脂肪肝炎像は、人間のNASH像と見分けがつかないほど類似していた。 さらに、繊維化した肝組織内に異形成結節病変が見られる個体があった。
MSG注入マウスでは、人間のNAFLD、NASH(前癌病変)とよく似た脂肪変性および脂肪肝炎が起こっており、肥満と糖尿病を呈することを我々は観察した。
これらの結果は、日常生活でMSGが広く用いられていることを考えると、非常に重要である。我々としては、MSGの安全プロフィールが再検討され、食品市場からその使用が禁止されることを提案する。

肝臓の病理像に変化が見られたということは、MSGは肝臓で代謝されて、その際に肝臓に負荷を与えるということだろう。
うまみ調味料であって、砂糖みたいに甘いわけではないMSGが、肥満や糖尿病の原因になり得るというのは、意外なことだ。
ただ、あくまで動物実験であって、MSGを体内に注入するという、人間の日常生活ではあり得ない状況での結果だということも気にとめておきたい。
だから、健康オタクの旦那さんが、天然の昆布ダシだと思いながら毎日MSGを盛られていたとしても、少量なら大きな問題はないだろうけど、この夫婦は、信頼関係とか、もっと根本的なところでやばいと思う^^;

瞑想

2019.1.10

進化的に見ると、脳は建て増しに次ぐ建て増しを経て作られてきた。
まず視床下部は、脳というビルの地階にあって、いわば、空調や電気、ガス、水道などの調整をしている。
具体的には、体温、浸透圧の調整、摂食行動、性行動など、生きるための基本となる機能を担当していて、自律神経の中枢だといえる。
ここがダメにになっては、生存にモロに影響する。
だから、視床下部にできる脳腫瘍って、脳外科医泣かせなんだ。すごく難しいから、外科医もできればこの辺りはいじりたくない。
ビルのさらに上には、大脳辺縁系があり、これは感情の中枢だ。情動(喜怒哀楽、好きか嫌いか、快か不快か)、意欲、記憶などを司っている。
ビルのそれなりに高いところにあるから、仮にここがダメになっても(たとえばうつ病やアルツハイマー病)、死に直結するようなダメージがあるわけではない。
ビルの最上階、最も見通しの良い部屋が、大脳皮質だ。理性、その人らしい思考や行動など、いわゆる脳の高次機能はここが担当している。
人間が他の生物との生存競争に抜きんでることができたのは、大脳皮質のおかげだ。
簡単にまとめると、視床下部「体」、大脳辺縁系「感情」、大脳皮質「考え」ということで、「か」の頭韻でうまくまとまりました笑

これら三つのパートが脳を形作っているわけだけど、これらは相互に影響し合っている。
「わかっちゃいるけどやめられない」というのは、大脳皮質と大脳辺縁系のつなひきの結果、大脳辺縁系が勝ったということ。
座禅を組んで呼吸に意識を集中すれば、心のもやもやがとれて冷静になる。これは大脳皮質が大脳辺縁系や視床下部の暴走をしっかり制御したということだ。
そう、禅による瞑想は極めて人間的な行為だ。
瞑想している犬や猫って見たことないでしょう?これは人間以外の動物では、大脳皮質の形成が乏しいためだ。
豊富な大脳皮質は、人間の特権だ。
「人間らしく生きる」とはどういうことか。哲学的な問いだから、答えは百人百様だろう。
しかし脳科学的には、「大脳皮質の機能を活用して、原始的な脳(視床下部、大脳辺縁系)に左右されないで生きること」と言えるかもしれない。
人間は迷走しがちなものだけど、瞑想で以って迷走から脱却できるのです笑

「わかっちゃいるけどやめられない」という生き方も、ある意味人間らしいと思うんだよね。
でも、自分の本能や欲求の声に負けてばかりの人は、多分、社会的に成功できない。
スティーブ・ジョブズが禅の愛好者だったという話は有名だけど、いわゆる成功者のなかには習慣的に瞑想を行っている人が多い。
瞑想の実践者が言っている。「自分の体さえ思うようにならない人が、自分の人生を思うように切り開けるわけがない」と。

瞑想では呼吸を意識する。
吸う息を何秒、息を止めて何秒、そして何秒かけて吐く、みたいな感じで、何秒かけるかはそれぞれの瞑想の流儀によってまちまちだろうけど、呼吸を意識しない瞑想はあり得ない。
考えてみれば、肺というのは不思議な器官だ。
大きな臓器のなかで、唯一随意的なコントロールがきく。
肝臓や腸だとこうはいかない。
「二日酔いでしんどいから、肝臓の代謝能を高めよう」とか「腸の蠕動を高めて、今のうちにうんこしておこう」とか、できない。
でも肺は非常に特殊で、呼吸のペースを自分で調整することができる。
体をコントロールする秘訣はここにあって、それは人生をコントロールする極意にも通じているのだから、おもしろい。

コントロールできるのは人生だけではない。健康さえもコントロールできる、という論文がある。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2048830/
表題は、『慢性心疾患(CHF)を持つアフリカ系アメリカ人の心機能およびQOLに対する瞑想の効用』。
ざっと訳してみよう。
CHFを持つアフリカ系アメリカ人に対し、瞑想によるストレス軽減プログラムを行い、無作為化対照試験でその有効性を調べた。
ニューヨーク分類でクラス2あるいは3であり、心駆出率が0.4未満のCHFで最近まで入院していた23人のアフリカ系アメリカ人(55歳以上)を選んだ。
参加者は瞑想群と健康教育群に振り分けられた。
結果の測定は、6分間の歩行テスト、QOL、幸福度、ストレス度、うつ病評価尺度(CES-D)、再入院率、脳性神経利尿ペプチド、コルチゾルで行った。
治療して3か月後および6カ月後のスコアを最初のベースラインのスコアと比較し、変化を評価した。
結果、治療後6カ月で、瞑想群は健康教育群に比べて、6分間歩行テストはじめ、その他各種の検査項目で有意に改善していた。

昔から、「病は気から」という。
気の乱れが病を引き起こすということを、昔の人は知っていたということだ。
逆に、瞑想することで気の流れを整えれば、病気が遠ざかる。
上記の論文では、動脈硬化にはビタミンEがいいとかトランス脂肪酸は避けるべきとか、慢性心疾患に対する栄養的な面への言及は全くない。
瞑想によって心身が研ぎ澄まされれば、自分がどういう食べ物を口にすべきか、自然とわかるんだと思う。

長寿

2019.1.8

去年(といっても、2週間ほど前のことだけど)、アメリカで最高齢の男性が亡くなった。
リチャード・オーバトンという112歳の退役軍人。
この人が109歳のときに、以下のようなショートフィルムが作られた。

ここで述べられている彼の食生活、ライフスタイルが興味深い。
タバコは吸うし、毎朝のコーヒーは欠かさない。コーヒーは多いときには朝だけで4杯も飲む。ときには朝からウィスキーさえ飲む。
牛乳が好きで、「生まれてからずっと飲んでいる」という。
スープが好きだというんだけど、映像を見れば明らかなように、キャンベル社のスープで、添加物がてんこ盛りの缶詰。
さらに、毎晩アイスクリーム(バター・ピーカン)まで食べる。
日々健康に気を使って、食べたいものも我慢している人からすれば、卒倒するような食生活だろう。
食事と長寿の関係を調べる学者の努力を、あざ笑うかのような実例だ。

ただ、1日12本のタバコを吸っているとはいっても、映像を見れば分かる通り、一般的な紙巻きタバコではなく葉巻(シガー)を吸っている。
それに、「吸っている」とはいっても、肺まで入れているのではなく、ふかしているだけだ。
「なぜ吸うの?って聞かれるけど、気分がよくなるからだ。
でも、ふかしているだけだよ。肺まで入れたってまずいし、咳きこんじゃうからね」

「タバコは体に悪い」ということは、世間一般の常識になっているけど、これはちょっと不正確だと思う。
正しくは、「タバコに含まれている添加物が体に悪い」というべきだろう。
かつてネイティブアメリカンにとって、タバコは薬であり、また、儀式に不可欠なハーブだった。
タバコの葉を煮詰めた汁を飲む部族さえ存在した。https://www.nicotianarustica.org/blog/2015/9/8/magico-religious-use-of-tobacco-among-south-american-indians
幼児がタバコを誤嚥したとなれば一大事で、吐かせたり中和したり、救急対応が必要なんだけど、実は危険なのはタバコというより、タバコに含まれている添加物なんだ。
だから、この人が吸っているのが大量の化学物質が添加されている紙巻きタバコだったなら、果たして112歳の長寿を保ち得たか、けっこう微妙だと思う。
吸っていたのがシガーだということがポイントじゃないかな。あと、ふかしてるだけで、肺まではいれないっていうのも。

動画で直接的な言及はないけど、きっとこの人、少食だろう。
大食らいで長生きの人はいない。食事量の制限によって寿命が伸びるということは、動物実験でも示されている。
人は高齢になるにつれ、解糖系よりもミトコンドリア系が優位になる。つまり、エネルギー産生の能率が高まるから、少ない食事量でやっていけるようになる。
こういう老化の自然な流れに反して暴飲暴食するような生活だと、長生きなんてできない。
アイスクリームとか添加物満載のスープとかを毎日食べているとしても、少量であれば、肝臓がきちんとデトックスしてくれて、悪影響は少ない、ということだろう。

あと、他の百歳越えの長寿者と共通してることだけど、この人もしっかり、毎日の生活を楽しんでいた。
運転することを楽しんでいるし、猫を見ることを楽しんでいる。
アイスクリームを遠慮なく楽しんでいるし、教会で人と交流したり歌ったりすることを楽しんでいる。
ただ、人生を楽しむこと。
これに勝る健康長寿の秘訣はないのかもしれないな。