ナカムラクリニック

阪神・JR元町駅から徒歩5分の内科クリニックです

2019年12月22日

バイオフィルム3

2019.12.22

ペータ・コーエン博士の発見について紹介した。
博士の説をおおざっぱにまとめると、

ワクチン接種など→体内に重金属流入→腸内でバイオフィルム形成→慢性感染症→各種神経疾患

という流れで、自閉症を始め様々な病気の背景にバイオフィルムがある、というのが主張の骨子。
一見すると、バイオフィルムを形成する細菌がたいへんな悪役のように見えるけど、必ずしもそうではないと思う。ワクチン接種などで体内に不必要に水銀を入れる愚行であったり、重金属を体内に取り込む生活習慣(食生活など)こそが根本的な原因だろう。
体内に重金属が入ってくることは、体にとって一大事である。それが心臓や脳の細胞に直接取り込まれたら、致死的な事態にもなりかねない。宿主に死なれることは、寄生している細菌たちにとっても困るんだ。そこで細菌たちは、それらの重金属をバイオフィルムの構成材料として取り込む。こうすることで重金属の拡散を少しでもとどめようとする。慢性的な感染症として自閉症や統合失調症になってしまうかもしれないが、宿主に急死されるよりはマシである。こういうふうに考えれば、バイオフィルムの形成は、むしろ細菌の慈悲深い献身だとさえ解釈できる。

だから、根本は、そもそも重金属を取り込まない生活習慣を意識することである。
バイオフィルムが形成され、不幸にも何らかの症状が出たら、コーエン博士が提唱するバイオフィルム溶解プログラムに取り組めばいい。
ナットウキナーゼやルンブロキナーゼ(個人的には、ここにさらにセラペプターゼをたすともっと効くと感じている)でバイオフィルムのセメント(フィブリン塊)を溶かし、さらに、コーエン博士オススメの”抗菌ブレンド”を追加する。
秘伝として独占すれば一儲けできただろうに、ブレンドの手の内をすべて明かしてくれるのだから、まったく博士には頭が下がる。
ざっと再掲しよう。
「ベルベリン(黄檗や黄蓮に含まれる成分)、アルテミシニン(よもぎに含まれる成分)、柑橘類種子抽出物、黒クルミの外皮、よもぎ、エキナセア、ゴールデンシール(ヒドラスチスの成分)、ゲンチアナ(リンドウ)、ティーツリーオイル、カラクサケマン、ガルバナムオイル、オレガノオイル、ニーム」
さらに、”吸収剤”として、
「キトサン、柑橘類ペクチン、特製の重炭酸塩、有機ゲルマニウム、クロレラ」

これら、挙げられている個々の成分は、生理学的にはそれぞれの作用機序があるだろう。
ベルベリンは漢方薬(オウバク、オウレン)の成分として古代中国の時代から用いられてきたし、よもぎは日本で民間療法として、エキナセアは北米インディアンが、ティーツリーはオーストラリアのアボリジニーが、伝統的に使ってきた。どの成分一つとっても、単純に、「体にいい」と言われているものである。
しかしこうした成分の共通項として、腸内でバイオフィルムの溶解を促進する作用があるというのは、切り口としておもしろい。
古来から使われてきた様々なハーブに加えて、最近の科学者の努力が生み出した成分(美原博士のルンブロキナーゼ、須見博士のナットウキナーゼ、浅井博士の有機ゲルマニウムなど)をも合わせて、つまり、古今の人類の知恵の集大成で以て、バイオフィルムとの総力戦に立ち向かっているようだ。

個人的には、EDTAといえば何となく点滴のイメージがあるが、サプリメントとしても利用できるから、興味のある人は検索してみるといい。

医者にとってのきつい記憶は、自分を頼ってきてくれたのに、治せなかった患者のことである。
ある強迫性障害の男性が来院した。持てる限りの知恵をしぼって、様々なビタミンやミネラルを試した。症状はほとんど軽快せず、数回来院した後、失望して来なくなった。
オーソモレキュラー栄養療法は、万能ではない。メガビタミンをいれても、糖質制限をしても、高タンパク食をしても、効かない人には効かない。「打率10割。どんな患者でも治します」なんて栄養療法実践医は、いないんじゃないかな。
強迫性障害の背景に腸内でのバイオフィルム形成があって、そのせいでどんな栄養素をいれても効かなかったのではないか?まず行うべきは、バイオフィルムを意識した治療プログラムではなかったか?
去って行った患者は僕の心に苦みを残していくが、「次同じような主訴の患者が来たときには、今度こそ」の教訓もくれる。
結局、苦い経験を次に生かしていくしかないんだよね。

バイオフィルム2

2019.12.22

質問:バイオフィルムの分解によって子供たちの体内から有害金属が出てきたのはなぜでしょうか?

コーエン:こう考えてみてください。これらの有害ミネラルは皆カチオンで、正の電荷を帯びています。EDTAがこれらをキレートできたのは、これが理由です。水銀、銅、その他の重金属も正に帯電しています。なぜ細菌はカルシウムやマグネシウムを好んでバイオフィルムに利用するのでしょうか。使おうと思えば、正に帯電している金属なら何でも使えるはずなのに。この点こそが、私の長らく取り組んできたバイオフィルムに関する仕事の最もおもしろいところです。バイオフィルムの基質を分解し、細菌がフリーになると、有機酸の血中濃度が高くなる(ある子供では400にまで達しました)ばかりではありません。金属を腸に排出し始めるのです。

質問:ということは、金属も細菌も腸にいたということですか?

コーエン:その通り。去年5月にシカゴで行われた自閉症学会で、ある研究者が脳組織中のプロトン(陽子)を解析した結果をプレゼンしました。彼は自閉症児の脳に水銀があることを証明しようとしましたが、見つけられませんでした。しかし彼は、重金属曝露の結果として、ミクログリア(微小膠細胞;中枢神経系の免疫系で主に働くグリア細胞の一種)が活性化する証拠を発見しました。では、どこにこの重金属があるのでしょうか。それは、細菌とともにバイオフィルムのなかにあり、しかもそれは腸のなかにある、と私は主張しているのです。
逆に、バイオフィルムが一般的なミネラルとともに、重金属でできていないとすれば、なぜ突然、便のなかに大量の金属が検出されたのでしょうか?

質問:先生の治療法は具体的にどんな感じでしょうか?また、どんな手順で進めていくかも教えてください。

コーエン:まずはナットウキナーゼやルンブロキナーゼあたりの酵素から始めます。もっと強くフィブリン溶解効果を得るために、他の粘膜溶解酵素を併用することもあります。
ウスマン先生はレンサ球菌のバイオフィルムを分解するためにはナットウキナーゼが特に効くと感じておられます。レンサ球菌はバイオフィルムによって子供の健康に悪影響を与えていることが非常に多い印象を私は持っています。というのも、レンサ球菌の滴定を行うと、その値が高いことが頻繁にあるのです。
そして、こういう子供たちでは(もちろん大人でも、ですが)、レンサ球菌が神経症状の原因になっています。強迫性障害の傾向がしばしば見受けられ、ときにはほとんど精神病として出現することもあります。明らかな症状を伴った急性発症、という形で出現することはありません。

質問:何をどれくらい摂取するよう勧めますか?

コーエン:注意しておいて欲しいのは、こうした患者はごくごく子供だということです。なかにはほんの3、4歳という子供もいます。だから私は、カプセルの半量分を、1日2回服用するように勧めています。これは、ナットウキナーゼなら50mgカプセル1錠、ルンブロキナーゼなら20mgカプセル1錠です。
最初はこれらの酵素をEDTAと一緒に摂り、それから30分後に、”抗菌ブレンド”を投与します。
この抗菌ブレンドには、ベルベリン(黄檗や黄蓮に含まれる成分)、アルテミシニン(よもぎに含まれる成分)、柑橘類種子抽出物、黒クルミの外皮、よもぎ、エキナセア、ゴールデンシール(ヒドラスチスの成分)、ゲンチアナ(リンドウ)、ティーツリーオイル、カラクサケマン、ガルバナムオイル、オレガノオイル、ニームが含まれています。さらに、必要に応じて、バンコマイシン、ジフルカン、ゲンタマイシンなどの抗生剤も使います。毎日違うものを使います。それから1時間後、はがれたバイオフィルムや死菌などの残骸を掃除します。そこで使うのが、”吸収剤”です。具体的には、キトサン、柑橘類ペクチン、特製の重炭酸塩、有機ゲルマニウム、クロレラなどです。”緩衝剤”として徐放型ビタミンCなども使います。体内で細菌が破壊されると体液が酸性に傾くので、その影響を緩和するためです。ミネラル濃度を測り、必要があれば補わないといけません。経過を追うために、採血、尿検査、便検査を2か月ごとに行います。

質問:酵素、EDTA、抗菌ブレンド、吸収剤、緩衝剤を使うわけですね。効果のほどはどうでしょう?

コーエン:すばらしく効きます。バイオフィルムに対するアプローチこそが、ミッシング・リンクでした。
ある自閉症の少年がいました。彼の腸内はバイオフィルムまみれでしたが、いまやすっかり回復しています。当初は銅の血中濃度が極めて高く、毛髪の銅濃度は、銅そのもの、と言いたいくらいでした。回復後、毛髪の銅濃度はごく微量でした。この少年は毛髪に銅を排出することで回復したのではありません。ぶ厚いバイオフィルムを溶かしたことで銅が飛び散り、何か月もかけて便中に排泄されたのです。この男の子の場合は銅でしたが、水銀の排出に取り組んでいる子もいます。

質問:お話を聞いていると、このアプローチは慢性感染症がからんでいるどのような慢性症状にも効くような気がします。

コーエン:おっしゃる通りです。SLE、ライム病、多発性硬化症、その他、どのようなタイプの自己免疫疾患であれ、バイオフィルムによる慢性感染こそが、その背景にあると私は考えています。
注目すべきことは、なぜ免疫系が機能せずにこうした状態が持続しているのか、ということであり、また、どのようにして本来異物として認識されるはずの細菌が生き延びているのか、ということです。免疫系が機能不全に陥っているのか、あるいは、細菌が自身を変形させて免疫系の攻撃を回避しているのか、このどちらかです。答えは明らかでしょう。これがバイオフィルムの本質です。今日医学が取り組んでいる最大の問題のひとつであり、すでに解決法は見つかったものと考えています。

次回に続く。

バイオフィルム1

2019.12.22

アメリカではかつて自閉症は数万人に1人という極めてまれな疾患だったが、今や数十人に1人、つまり、学校の1クラスに一人二人いても珍しくないくらいの頻度の疾患になった。
子供は国の未来そのものである。その子供たちに、何か大変なことが起こっている。これはほとんど国家的な危機である。
トランプ大統領も当然危機意識を持っている。彼にはわかっている。「ワクチンが原因だ」と。

「健康な子供が医者の所に行く→ワクチンを打つ→気分が悪くなる→ガラリと変わる。自閉症のできあがり。こんな事例の何と多いこと!」


「自閉症患者の増加が天井知らずだ。なぜオバマ政権はこの医療が作った自閉症に対して何もしなかったのか。失うものは何もないだろうに」

さて、ワクチンが原因だとしても、治療はどうすればいいのか?また、ワクチンが自閉症を引き起こす機序は?
そのヒントになる記事がある。ここに引用しよう。長い引用になるので、複数回に分けて紹介します。

『フィブリン溶解酵素でバイオフィルムを溶解する自閉症治療』
https://www.clinicaleducation.org/resources/reviews/dissolve-biofilms-with-fibrinolytic-enzymes-autism-support/
~自閉症スペクトラム障害における慢性感染症に対する新たなアプローチ~
ペータ・コーエン博士は小児自閉症の専門家で、栄養療法的なアプローチを研究している。

質問:先生は慢性的な細菌感染症やバイオフィルムに対して、極めて有効な治療戦略を考案されました。その治療戦略にはナットウキナーゼやルンブロキナーゼなどのフィブリン溶解酵素も含まれているといいます。

コーエン:数えきれないほどの子供の尿と便を分析し、治療効果を検証しました。ナットウキナーゼやルンブロキナーゼでおもしろいのは、そもそも「バイオフィルム感染とは何なのか」という本質が浮かび上がってきたことです。バイオフィルム、血小板凝集、フィブリノゲン、フィブリンについて、MEDLINEで検索してごらんなさい。すぐわかるでしょう。まず、細菌が複数集まってバイオフィルムを形成します。それから、自身の周囲のこの防御ネットを急速に増大させます。これは重合体基質で、糊のようにべたべたしています。内側にフィブリンを含んでいて、そのフィブリンのおかげで無傷な構造を保っています。細菌はフィブリノゲンを集めてフィブリンを作り、基質の一部に利用しているのです。この時点で、細菌のカタマリたちはフィブリンのガードで身を固めているため、自身の外膜を脱ぐことができます。細菌自身の外膜には抗原として認識されるタンパク質があって、免疫系のミサイルの標的になるからです。しかし、今や、彼らは守られています。宿主の免疫系の攻撃をかいくぐり隠れて生きる術を見事に作り出したのです。

質問:なぜ細菌たちは自分たちをそのように守るのでしょう?また、そういう細菌が私たちの健康にどのような影響を与えますか?

コーエン:確かに、この細菌たちは、急性期の活性化した感染に比べれば、代謝は低いといえます。しかし彼らはこの基質の防壁を作ることによって、まだ生きているし、発酵し、代謝しています。そして産生された毒物が血流に漏出します。産生したバイオフィルムのために、彼らは感染に対抗する因子や免疫系からの攻撃を逃れることができます。さらにいうと、このバイオフィルムは医者にとっても厄介で、便培養をしても、便中に感染を示す証拠が出てきません。有機酸検査や短鎖脂肪酸、患児の分泌する代謝物から、患児たちがこうした細菌に感染していることが分かりますが、便培養をしても、菌体そのものを見つけることはできませんでした。

質問:バイオフィルムを溶解すれば、菌体が出てきましたか?

コーエン:ええ、もちろん!しかしそれだけではありません。誰もが予期しなかったおもしろいものを見つけました。バイオフィルムが何からできているかを思い出してください。バイオフィルムの基質は立体の織物で、いわば水平の糸と垂直の糸から成ります。バイオフィルムはカルシウム、マグネシウム、鉄を捕まえて、その基質を作る材料にします。ミネラルがこのバイオフィルムに強度を与えているわけです。たとえば壁を作るときのことを考えてみてください。レンガだけで事足りますか?セメントも要りますよね?バイオフィルムも同様です。ミネラルのレンガとフィブリンのセメントで強固な壁ができているのです。
さて、この壁を壊すには、まずフィブリンを溶かすためにフィブリン分解酵素を使います。さらに、ミネラルを排出するために、EDTAを使います。ここからが問題です。この溶解したバイオフィルムから、何が見つかったと思いますか?
大量の有害金属です。なぜでしょうか?これに対する答えは、何か非常に大きいものを示唆していると思います。自閉症だけでなく、ライム病、多発性硬化症、SLE、さらには癌の治療に対するヒントもここにあると思います。

次回に続く。