ナカムラクリニック

阪神・JR元町駅から徒歩5分の内科クリニックです

2019年7月

美容整形

2019.7.4

「なんで美容に行ったかって?
一応これだけは言っておくけど、金に惹かれたんじゃないよ笑
収入は、まぁ標準的な医者よりはもらってる。でも全然割に合わない。
本当にもうけたいのなら、開業だよ。
もちろん、開業したからってうまくいくとは限らない。大手を向こうに回して成功するには、よほどの何かがないとダメだと思う。専門分野のなかで突出した腕があるとか、宣伝に充分お金をかけられるとか。
僕もできれば開業したいけど、正直それだけの自信がないから、〇〇(某美容クリニック)に勤めてる。

なんぼもらってるかって?えらい切り込んでくるなぁ笑
3と4の間くらいかな。でもはっきり言って、僕なんて全然だよ。美容やってる人の平均って、4と5の間って話だから。
でも君も知ってるように、1千超えたら手取りは大して変わんないよ。この国は累進課税で、稼ぐ奴がいじめられるようにできてるからね。

もうね、お金じゃないよ。本当に割に合わない。
全然労働に見合った収入じゃない。
専門は豊胸術だけど、何でもやってる。二重まぶたから脂肪吸引、植皮、ワキガ、ボトックス、ヒアルロン酸とか、いろいろね。
そうやって、月に25日、クリニックのために何でも屋として働いてる。
QOLは悪いな。家族ともっと一緒に時間を過ごしたいけど、なかなかね。
先月さ、僕の労働がクリニックの収入にどれだけ貢献しているか、ちょっと計算してみたんだよ。
そしたらね、ざっと4000万円だった。
僕の給料は固定プラス歩合で、歩合は売り上げの2%。4000万売り上げたからその2%でプラス80万円。
まぁ、ひどいよね。たったの2%だよ。4000万稼いでも、そのうち98%はクリニックの上前。
搾取されてる感がハンパじゃないよ。

しかしまぁ、聞かれたからこんなふうにグチが出たけど、本当は金のことは別にいい。女房子供を食わせるだけの金は稼いでる。
高級外車とかバカ高い腕時計とか、全然興味ないしさ。必要以上の金は、いらない。
知ってる?美容整形で使う薬とか道具って、オーダーメイドならともかく、ほとんどは二束三文の安物なんだよ。
で、そんな安物を使って、ビックリするような施術料をとる。もちろん、そこには技術料が含まれているわけだけどね。
安いものを高く売る。商売の基本だよね。そこは別に構わない。
ただ、仕事の何が苦痛ってさ、クリニックの方針で、効果がないような施術も売り込まないといけないところ。
たとえば、うちのクリニック、いびきにレーザーを使った治療をやってるんだけど、効かないよ、あんなの。エビデンスはない。でも患者は高い金を払ってる。
正直あんな仕事はやりたくない。

君はさっき、患者を本当に助けたいから栄養療法を始めた、って言ったよね。対症療法で症状をまぎらすだけの医療はやりたくない、毒みたいな薬を処方して威張ってるだけの医者にはなりたくない、って。
良心的だね。プロって、そういうことだと思うよ。
自分で言うのも何だけど、そこは僕も同じだよ。
せっかく仕事をするからには、患者の悩みを解決してあげたい。誇りが持てる仕事をしたい。
若い女性で、いびきに悩む人って意外に多いんだ。そういう人たちが、ネットで探して、レーザー治療を受けにうちに来る。そこの勤務医として「こんなの金のムダですよ」なんて言うわけにはいかない。効果がないとわかっていても、規定の施術をし、規定の料金を頂く。
胸が痛いよ。くだらねえ仕事してるなって思ってさ、自分が嫌になる。

なんで美容に行ったのか、ってことだけど、僕はね、変な話だけど、魔法を使いたいって思ってた。
昔テレビで、美容整形を真っ正面から取り上げた番組をやってた。ビフォーとアフターが激変するんだよ。本当に、生まれ変わったみたいにきれいになって。魔法のようだって思って、すごく憧れた。
僕もあんなふうに、女の子をきれいにする魔法を使って、それでその子の人生が変われば、すばらしいことだなって。
「腫れぼったいような一重まぶたが嫌いで、自分の顔が好きになれない」
「小さな胸がコンプレックスで、女性として誇りが持てない」
そういう人が僕の施術を受けて、自分に自信を持つようになる。そして恋愛に積極的になって、人生がどんどん拓けていく。
僕が自分の仕事にやりがいを感じるのは、自分のかけた魔法が成功したって思える、そういう瞬間なんだな」

電子レンジ4

2019.7.3

「現在、電子レンジは何ら規制されることなく野放しに使用されている。この責任の一端は我々科学者にある。
我々の責務は、この状況に警鐘を鳴らすことだ。同時に、自然と調和した技術を開発しそれを社会に広めることだ。
技術によって自然と調和した便利な社会を作ることは可能なはずだと、私は思っている」
ハンス・ヘルテル博士の言葉である。
彼は、電子レンジによって加熱した食品が人間の血液および生理にどのような影響を及ぼすかを調べた最初の研究者である。
それは小規模ながら、非常に質の高い研究だった。
「極力多くの変数を減らすために、マクロビオティックの施設で暮らす8人に被験者として協力してもらった。
彼らは厳格なマクロビオティック食を実践していて、酒もタバコもやらない。8週間、私はそういう人たちと同じホテルで過ごした」
電子レンジで加熱したものを食べることで、どのような変化が生じるか。その変化は、非常に微妙なものかもしれない。
変化を敏感に検出するためには、他の変数は極力小さくしたい。
タバコ、酒、ジャンクフード、農薬、ホルモン剤、抗生剤、環境汚染などが影響しては、研究の結果をゆがめてしまうからだ。

採血データの異常は明らかだった。
電子レンジで調理した食品を食べると、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、白血球の値が正常範囲内下限にまで低下した。
「この結果は、貧血傾向を示唆している。8週間の期間中、後半4週間でその傾向は一層顕著になった」とヘルテルは記している。
「そのように低下する項目がある一方で、コレステロール値は上昇していた」

水分子を含む物体にレーダーやマイクロ波を照射すると、その物体の組成が変化する。
それは、水分子(特に酸素分子)に加わった激しい摩擦熱(熱効果)による変化と無熱効果による変化である。
この変化によって生成した物質は、放射性分解化合物(radiolytic compounds)と呼ばれており、自然界に存在しない。
この放射性分解化合物は、電子レンジで加熱した食品中にも当然含まれている。

国の機関や一般の学会では、電子レンジによって生じる放射性分解化合物の量は、普通の加熱方法(煮たり焼いたり)で生じる放射性分解化合物の量よりも多くはない、とされている。
これは明らかに事実と異なる。
しかし不思議なことに、公的機関や一般の学会は実際にこの放射性分解化合物を調べる実験を行わないし、これを食べると採血データや健康状態にどのような異常が生じるかを研究しない。
そうしたなかで、ヘルテルが電子レンジの有害性を明快に示す研究を行い、広く公表したのだった。

1992年電子レンジの販売を担うスイス産業会(FEA)がヘルテルを裁判所に訴えた。
「被告(ヘルテル)の主張は事実無根であり、原告(FEA)は多大な風評被害を被った」というのが訴状の主旨である。
この裁判の結果は、どうなったか。
ヘルテルの主張は科学そのものなんだから、再現性もあれば普遍性もある。裁判に訴えられたところで、負けるわけがない。
そう思うでしょう?
違います。
あろうことか、ヘルテルに裁きの鉄槌が下された。
原告の訴えが通り、ヘルテルには箝口令が命じられた。「その研究結果を口外するな」というお達しである。

「真実を語った人は叩かれる」というのが世の常だ。
ヘルテルもその例外に漏れず、見事にしてやられた。
「科学が人を不幸にすることがあってはならない」という信念のもと電子レンジの危険性を告発した科学者は、巨大企業の圧倒的な資金力を前にして、一瞬で踏みつぶされた。
この姿が、僕にはライナス・ポーリングの姿とダブって見える。
本当に良心的な科学者は、世界中のあちこちに、きっといる。でもその声は、一般大衆の耳に届く前にかき消されてしまう。

そして僕らは今日も、当たり前のように電子レンジを使っている。
その危険性を知れば、加熱完了の「チーン」が、死の暗示、仏壇の前で聞く「チーン」に聞こえるはずなんだけどね。

電子レンジ3

2019.7.2

食品を電子レンジにかけると、自然界に存在しない物質が生成する。
一般に、こういう人工的な物質を体内に入れると(消化管経由であれ静脈経由であれ)、体はその代謝に四苦八苦する。
毒物の代謝といえば、肝臓の出番だ。
体はこの「電子レンジ毒」の流入に対して、肝臓に蓄えたグルタチオンやらビタミンCやらを総動員して、何とか毒性を丸め込もうとする、というのが以下の論文。
https://www.researchgate.net/publication/303589584_Impact_of_microwave_heated_food_on_health_Journal_Journal_of_Advances_in_Biology
要約
本研究の目的は、電子レンジで加熱した食餌をマウスに与えて、血液や臓器にどのような生物学的影響があるかを調べることである。
オスのスイスアルビノマウス(1か月齢と3か月齢)に同食餌を与えたところ、血中総タンパク質濃度が低下する一方、アルブミンやビリルビンが上昇した。
グルタチオンペルオキシダーゼやSOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)が減少し、同時にマロンジアルデヒド(酸化ストレスのマーカー。生理学的異常の原因)が増加した。
本研究の結果は、電子レンジによるマイクロ波の照射によって肝機能に悪影響が生じ、組織学的障害や生理学的障害が起こり得ることを示唆している。

上記論文の本文(5.Discussion)にも興味深い記述があるので、抜き書きして紹介しよう。
Veneman et al(2004)によると、電子レンジで加熱した食餌を食べたマウスのみならず、電磁場に曝露したマウスでも肝細胞の損傷が起き、アルブミンとビリルビンが増加していた。
同様の研究はLohmann et al(2000)にもあり、ここでは50Hzの磁場にさらすことでマウスの血中アルブミン、ビリルビン、AST、ALTが増加することが報告されている。
本研究と同じ結果であるMoussa(2009)では、マウスを3.5GHzの磁場にさらすことでアルブミンとビリルビンの増加が確認されている。
処置をしたマウスにおいて、肝酵素のマーカー(AST、ALT)、アルブミン、ビリルビン、総タンパクで増加が見られる(Clark et al.2003)
本研究はBurgert et al(2006)と一致しており、ここではアルブミンとビリルビンの増加のみならず、肝細胞の損傷に起因するALP(アルカリフォスファターゼ)の増加を報告している。
本研究では血中総タンパク濃度は減少したが、これと同様の結果はBohr(2000)でも報告がある。これは、電磁波によるタンパク質の変性についての研究である。
Moussa(2009)の結果は、これとは逆で、マイクロ波に曝露させたマウスで血中タンパク濃度がむしろ増加していた。
本研究では肝酵素の変化を評価しているが、電子レンジで加熱した食餌を8週間食べ続けたマウスと同様、電子レンジから照射される2.45GHzのマイクロ波に照射されたマウスでも血中のALP、ALT、ASTの上昇が見られた。
本研究がPashovkina and Akoev(2001)と一致しているのは、肝細胞の細胞膜の透過性が変化しALPが有意に増加する、ということである。電子レンジ照射群で見られたALP活性の上昇は、肝細胞の損傷を示すものである。
Dufour et al(2000)は血中マーカーとして肝酵素(ALP、ALT、AST)を測定することは、肝細胞の損傷や壊死のみならず、肝機能不全を検出する上でも有用だと指摘している。
Abdel-Aziz et al(2010)は、ラットを電磁場に2週間さらしたところ、AST活性が有意に増加したことを報告した
Oh et al(2006)は、血中ALT濃度と非アルコール性脂肪肝(NAFLD)、心血管疾患の間には相関があることを報告した。Claek et al(2003)はALT増多の原因で最も多いのはNAFLDだと指摘している。
電子レンジで加熱した食餌を与えた後のAST、ALPの増加は、肝損傷の指標となるばかりではなく、その他の組織の損傷マーカーでもある。(Hajimehdipoor et al.2006)
本研究の結果は、実験群マウスでの血中ALT増加を示しているが、これはMaria and Stuchly(1995)とも一致している。

日本で、電子レンジがない家庭はほとんどないだろう。普及率は、ほぼ100%に近いに違いない。
しかし電子レンジで調理することで、食品中に毒性物質が生じることを知る人はほとんどいない。
人々の健康を守るべき医者でさえ、電子レンジが原因で病気になり得ることを知らない。
だから医者は患者の異常な採血結果を見ても、その原因が電子レンジの過剰使用によるものだなんて、疑うことさえできない。
でも実際の臨床現場では、電子レンジに起因する病気の患者が必ずいるはずだ。
電子レンジの普及率を考えれば、いないはずがないんだ。

「総蛋白もアルブミンも高くて、いいですね。しっかりタンパク質が食べれてて、肝臓が元気な証拠ですよ」
「ALPが高めで、いいですね。ALPの活性中心には亜鉛がありますから、これは亜鉛がちゃんと摂れてる証拠なんですね」
自戒を込めて言うんだけど、毎日電子レンジで加熱した食事をしているような患者を相手に、僕はこんなふうに説明していた。
知識がなかったら、的外れな読み方をしてしまう。
生かせないデータなら、とったところで意味がない。