ナカムラクリニック

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2018年6月29日

歯医者

2018.6.29

「いったん歯医者にかかって歯を削ると、ますます虫歯にかかりやすくなる。これは、データがはっきり示しているところだよ。
小学校の歯科検診なんかで虫歯を指摘されたら、歯医者に行って見てもらうよう指導される。
初期虫歯なんて放っておけば再石灰化して治るものを、不必要に削って埋めて、ってするものだから、その子はますます虫歯になりやすくなる。
学校も歯科医もよかれと思って行っている学校検診だが、実は虫歯を増やすことにしか役立っていない。
泣きを見るのは、実は検診を受けた当の子供たち。
こんな茶番がまかり通っているんだよ。

もちろん僕ら歯科医は善意で治療している。
患者の苦しみを軽減するための治療をしているつもりだし、歯学部でもそのための技術を学んできた。
でも、有害無益、とまでは言わないが、治療のつもりでやっているのに、むしろ長期的には患者のメリットを損ねる処置があることも、認めざるを得ない事実だ。

そもそもね、歯医者の世話になってしまってはダメなんだ。
3歳から4歳までに腸内細菌叢や口腔内細菌叢がおおよそ定まって、いったん定着すれば、その後大きく変化することはない。その時点で良質な菌叢が形成されれば、将来虫歯になりにくいことがわかっている。
だから、乳幼児期の食生活はその子の将来にとって極めて重要。
親の責任はすごく大きいってことだよ」

薄いサングラスに短い角刈りで、ワイシャツの首元にはネックレスがのぞいている。
街ですれ違ったとしたら、僕の方からすぐに目をそらす容姿、つまり、「怖い仕事」の人かと思うような見た目をしているんだけど、なんと、職業は歯医者さん。
年齢は70歳だというが、見えない。
もっと若く見える。

「美容にいいって言われてることは何でも試してるよ。
一番効いたのは冬虫夏草だな。ほら、僕のここ、左の頬に、10年ぐらい前からシミが出てきて、何をやってもとれなかったんだけど、冬虫夏草を飲みだしてから見事にきれいに治った。
それ以来、冬虫夏草のファンになってね、うちの患者にもすすめている。
先生のクリニックでも、ビタミンやハーブを積極的に使っていると聞いてるけど、具体的にどういうのを使ってるの?何かオススメはある?」

共通の友人に紹介されて知り合った。
いわゆる一般的な歯医者ではなく、歯を極力削らず、栄養の重要性を強調する歯科医院をされている。必要に応じて、自費診療で栄養点滴を行なったりもする。
友人から僕のことを聞き、栄養を重視する点に相通じるものを感じて、僕に興味を持ってくれたのだった。
見た目は怖いけど、ハートは非常に熱い人で、患者の真の健康を思うからこそ、今のスタイルに行き着いたのだろう。

ハーブについて尋ねられたので、ロディオラとアシュワガンダのことをかいつまんで説明した。
「へえ、それは体に良さそうだね。
僕もそれ欲しいな。先生のとこ、受診してもいい?」
もちろんです。ぜひ来てください。
「ところで、僕の母がね、もう90歳を超えて生きてるんだけど、かかりつけ医から、こういう薬もらってる。
ずいぶんたくさん飲んでるんだけど、こんなに飲まないとダメなものかな。
飲んでて調子がいいんならともかく、最近明らかに元気がない。
元気がないからと、抗うつ薬まで飲み出して。
さすがにこれはまずいんじゃないかと僕も思い始めてね。」
処方箋を見る。
降圧薬、コレステロール降下薬、抗骨粗鬆症薬、抗不整脈薬、抗うつ薬。睡眠薬。
典型的な多種多剤投与。
高齢者でこういう薬のチャンポンを飲んでる人は珍しくない。勤務医をしている頃はしょっちゅう見かけた処方だ。
「冬虫夏草も飲ませてるんだけどね、いまいち効果が出なくて、困ってるんだ」

酸化を促進する薬をこれだけ飲んでいては、抗酸化作用のあるハーブ(アダプトゲン)をとったところで、効果を実感するまでには至らないだろう。
中止すべき薬や減量可能な薬について説明した。

薬は病気の人が飲むことを意図して作られているが、現代医学において、その「病気」の定義は恣意的である。
ガイドラインひとつでいくらでも病人を量産できる。
最近はそれがあまりにも露骨だ。高血圧の基準が140に引き下げられたのには、驚くというか、あきれたな。製薬会社もなりふり構うのやめたみたいだ。
この基準でいえば、140を越えれば、高血圧症という「病気」ということになる。
総コレステロールが220を越えれば脂質異常症という「病気」。
こういう基準に従って、「治療」と称する投薬が始まるわけだけど、こんな具合にたくさんの薬を飲んでいれば、本来投薬なんて必要なかった健康な人も、今度は本当の意味で病気になるよ。
健康な人が、薬で病気になる。
これって全然珍しいことじゃなくて、それどころかザラにあることだと思う。

たとえば精神科で使われている薬でいうと、クロルプロマジンとかハロペリドールとかって、1950年代に開発されて以来、統合失調症患者を病院から解放することに貢献したすばらしい薬だって言われてるけど、これ、健康な人に投与したらどうなると思いますか。
旧ソ連とか東欧で、政治犯に大量に投与した人体実験がある。
政治犯には、時の政権に不都合な思想や言説を広める知識人が多くて、こういう人たちは、権力者から言わせれば、「妙な思想にとらわれた妄想病」だから、投薬によって治療してあげないといけないわけ。で、当時開発されて間もないメジャートランキライザーが彼らに大量投与された。実際にはもちろん、精神病どころか、彼ら、普通の人よりはるかにIQの高い人たちなんだけどね。大量投与を続けると、本当に幻覚妄想症状が見られるようになった。
クスリはリスク。
使い方を誤ると、リスク一辺倒になってしまうのが薬の怖いところだな。

頭痛

2018.6.29

頭痛は最もコモンな症状で、医者をやっている限り、必ず診療現場で遭遇する。
でも、医者がやっていることは、別段大したことじゃない。
くも膜下出血とか髄膜炎とか、命に関わる可能性がある頭痛だけはきちんと除外する。
それ以外なら?
「じゃ、ロキソニンでも出しとけ」
ぐらいなもので、対症療法で抑えることしかやっていない、というのがほとんどの医者のスタイルだと思う。

栄養療法では、必ず患者の食生活にメスを入れる。
コーヒーとか乳製品とか、何らかの食餌性の要因が遅発型アレルギーを引き起こしている可能性はけっこう高くて、もしこのタイプだった場合、その原因を除去すれば見事に頭痛は消失する。
引き算で治るならそれがベストだ。
あえて何らかのサプリメントを投与する必要もないし、患者の財布にも優しい。

頭痛の分類法として、片頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛といった分け方があるが、大して意味ないと思う。
どれに分類されたところで、治療としては鎮痛薬の投与のほぼ一択だから。
西洋医学って、こういうパターン多いんだよね。
CTとか大がかりな検査をして、症状をやたら細かく分類して、診断するものの、治療としては結局ステロイドしかない、とか。
貧相な治療法しかないくせに、診断名だけは妙に細分化されているというパターン。
こんなの患者の利益にまったくつながってなくて、医者の自己満足に過ぎないと思う。

栄養療法的にアプローチするならば、実はこれらの頭痛には、どれもマグネシウムが一撃必殺級に効くことが多い。
副作用の多い鎮痛薬を投与するぐらいなら、無害なマグネシウムが好ましいことは明らかだろう。
今現在頭痛を感じている患者なら、硫酸マグネシウムか、マグネシウムを含むマイヤーズカクテルを静注すると、てきめんに効果がある。
数年間、他に何をやっても治らなかったという頭痛患者が、マグネシウムの注射でようやく救われた、という話もある。

なぜマグネシウムが効くのか。
生理的なメカニズムも分かっている。
血管拍動性であれ筋緊張性であれ、マグネシウムによって血管平滑筋や筋肉が弛緩して、それで頭痛が治まるという、実に単純な話。
なぜ一般の医療現場でルーチンにならないのか、不思議だ。

個人的な実感だが、頭痛が主訴の患者を問診していて、頭痛の原因としてかなり多いのは、アスパルテームではないかと思う。

アスパルテームとは人工甘味料で、清涼飲料水やガム、アメなどの菓子類、薬などにしばしば含まれている。砂糖以外の甘味料で、カロリーゼロ、しかも砂糖の何倍も甘いという、お菓子業界にとっては非常にありがたい甘味料だ。
しかし、体への害は、実は砂糖よりはるかに大きい。
頭痛、癌、糖尿病、肥満、ひきつけ、失明、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、ADHD、不妊症、精子奇形など、健康に悪影響を与えることは、科学的に明らかに示されていた。
新たに食品添加物が開発された場合、その許認可を行うのはFDA(アメリカ食品医薬品局)なわけだが、1980年まではアスパルテームの使用を認めていなかった。
健康への悪影響は明らかなのだから、当然の判断だ。
しかし、1981年レーガン大統領になり、FDAの長官が変更されるとすぐに、アスパルテームの使用が許可された。
アメリカの動きには何でも追随するのが日本だから、日本でもアスパルテームの使用はすぐに許可された。

「国が認めてる添加物なんだから、大丈夫だろう」という考えは、ちょっと無邪気すぎるよ。
国民の健康を考えるなら絶対認めちゃいけない添加物が、政権の交代と同時に認められた、という流れは知っておくべきだと思う。
悲しいことだけど、政府は人々の健康を第一には考えていないんだな。

実は僕自身、アスペルテーム入りの清涼飲料水やお菓子を食べると、2,3時間後に頭痛が出る。左の後頭部がズキズキと痛む。
その日の夜は、妙に神経が高ぶって眠れない。ラーメンとか、グルタミン酸ナトリウムを多く含んだ食品を食べても同じような症状が出る。
もし、僕がこの症状を訴えて一般の病院を受診したとすれば、「片頭痛ですね、お薬出しておきますね」で終わりだろう。
「アスパルテーム誘発性頭痛」あるいは「グルタミン酸ナトリウム誘発性頭痛」とでも名付けるべき頭痛であり、一般の医者も知っておくべきだと思うんだけどなぁ。