院長ブログ

フレイ効果

2020.3.22

「頭の中で声が聞こえるんです。米軍か防衛省の関係者が僕を嫌がらせるために、レーダーを使って夜な夜な攻撃してくるんです。変な音を聞かせたり、僕宛てのメッセージを送ってきたり、ということもあります。本当ですよ。ある日、耐え難くなって、部屋の窓をいきなり開けたんです。そうすると、道路の向かいに止まっていた不審なバンが、僕に目撃されたことに気づいて、急発進で逃げて行きました」
こういう患者が来院したら、主訴を聞きながら医者が考えることは、だいたいこんなところである。
「思考吹入、か。主症状は幻聴だが、リアルな幻覚もある。意思疎通は保たれている。発症初期のようだから、エビリファイあたりで様子を見ようか」
そう、典型的な統合失調症の症状である。こういう患者の話をまともにとりあってはいけない。ことさら否定するでもなく、あまり強く肯定するでもない。どの抗精神病薬が適切か、淡々と見極めるのみである。

 

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