『奇跡のリンゴ』で有名な木村秋則さんは、これまで不可能と考えられていたリンゴの有機栽培(無農薬、無肥料栽培)に世界で初めて成功した。
きっかけは、リンゴに散布する農薬によって妻の体調が悪化することだった。「人の体をこんなにダメにする農薬を撒いたリンゴが、果たして健康的と言えるのか」
そこから、リンゴの有機栽培目指す木村さんの挑戦が始まった。
数年間あらゆることを試みたが、しかし、何をやってもうまくいかない。
憔悴しきった木村さんは、真剣に自殺を考えて、地元の山に登った。
首をくくるのに手頃な太さの木を探しているとき、ふと、立派なリンゴを実らせる木が目についた。
奇妙だ。山奥の、誰も世話をしていない木である。農薬は肥料はもちろん、下草さえ刈っていない。それなのに、なぜ虫に食われないのだろう。
そこで木村さん、ハタとひらめいた。
「誰も世話をしていないのに、ではない。誰も世話をしないおかげで、農薬もなしにこんなに育つんだ」
結局、人為の卑小さこそ、すべての元凶だった。
収穫量を上げるために、化学肥料をまく。なるほど数年のうちは、それでうまく行くだろう。しかし結局土は瘦せ衰え、もはや肥料なしでは立ち行かなくなる。肥料の”毒”を吸った果実は、病害虫にも弱い。結果、大量の農薬が必要になる。
そう、まず根本は、土からだ。
土の回復を待つこと数年。ついに、リンゴの有機栽培に成功した。
この話は極めて示唆に富む。何もリンゴ栽培に限ったことではないだろう。
よく実る健康的なリンゴの木を育てることと、生き生きと健康的な体を育むことは、相似図形のような照応がある。
リンゴに散布する農薬や化学肥料は、人間でいうところの、抗菌薬などの様々な薬剤である。どちらも対症療法に過ぎず、根本的な原因に何らアプローチしていない。
勤務医時代の先輩のことを思い出す。娘がひどいアトピーで、同じ病院の皮膚科に通わせていた。ステロイド、プロトピック、ヒルドイドなど、何を塗っても全然よくならない。内服のステロイド、抗ヒスタミン薬も飲むが、効かない。皮膚を一日中搔きむしる。寝ているときさえ、掻いている。学校なんてとても行けない。
「ステロイドなんて塗ってても一生治らないですよ」と、言ってあげるべきだっただろうか。しかし、そんな”本当のこと”を言って、西洋医学の誇りを不用意に傷つけるのもはばかられる。他ならぬ自分の娘から、自分の実践する医療の矛盾を突きつけられることを、彼はどう受け止めるだろう。
結局、僕は無視を決め込んだ。わざわざ言うてあげるほど、優しくないんよね。
何をやってもリンゴが虫に食われる木村さんと、何をやっても娘のアトピーが治らない僕の先輩の姿は、似通っている。
人為の浅はかさに気づき、自然の力を信じることが、まず第一歩である。
西洋医学は、人間の自然治癒力を信じない。体を「救いようのないバカ」と考える。ステロイドで痒みを抑えてやらなくてはいけない。抗菌薬で細菌を殺してやらねばならない。糖尿病薬で血糖を、降圧薬で血圧を、スタチンでコレステロールを、下げてやらなくてはならない。
こういうアプローチでは、健康という果実は永遠に実らないだろう。
そう、木村さんはリンゴの有機栽培に成功した。この成功は書籍化され、映画化され、一応世間にも知られている。しかし、恐らく世間一般の人の認識は「ふーん、すごいね」程度だろう。
木村さんの成し遂げた功績の偉大さを一番認識しているのは、ロックフェラーである。彼らは木村さんの提唱する農業スタイルが普及することを、大げさではなく脅威だと思っている。
農業への介入。それこそが、彼らの世界支配のとっかかりである。農薬のみならず、医薬をはじめとする石油製品が不要であることが露見しては、彼らの計画が頓挫しかねない。木村さんの提唱する自然農法は、手法としても、また、その思想としても、彼らにとって看過するわけにはいかない。
さて、ロックフェラーが危険視する当の木村さんは、実に、飾らない人柄である。別段偉ぶるわけでもない、自然体の人である。
嘘のない人だから、自分の経験したことは素直に、さらりと言う。
高校生のとき、時間が止まり、巨大な龍が現れ、その龍と会話を交わした。
しょっちゅうUFOを目撃し、そればかりか、宇宙人にUFOの中へ連れて行かれ、そこで宇宙人から、UFOの動力源のこと(ボブ・ラザーの証言と一致する)や、もうすぐ世界が終わることなど、様々なことを聞いた。
自然農法に成功し、その普及を目指す人である。その木村さんが、そういう”トンデモ”系の話をすることには、メリットがない。それどころか、下手をすれば、自然農法の評判自体にも傷がつきかねない。「リンゴの有機栽培に成功した人って、頭おかしい人らしいじゃない」と。
木村さんはUFOのなかで、カレンダーの整理をしている人(人というか、神かもしれない)を見た。そのカレンダーは、1年あたり畳一枚ほどの大きさで、木村さんはその整理作業を手伝った。ふと、ある年代以降のカレンダーがないことに気付いた。「これ以降のカレンダーはないんですか?」と尋ねると、「ああ、もう必要ないからね。人類が終わるから」
あけすけに何でも語る木村さんだが、この終末年、カレンダーがいつ終わるのかについては、決して語らない。「2、3年ということはない。ただ、決して遠い先というわけでもない」と言葉を濁すのみである。
柔らかい人柄の木村さんだが、芯の強さは常人離れしている。言わないと決めたことは、どんな脅しをかけられたって絶対言わない。
ところが最近、高野誠鮮さんらと一緒に酒を飲んでいるときに、酔った勢いでポロッと言ってしまったという(ちょっと!木村さん!^^;)。
残り12年。
干支が一周するほどの時間である。
農業肥料による亜酸化窒素が気球温暖化を推し進め、結果、各地で異常気象が続発し、食料をめぐって紛争が勃発する。
自然農法は日本生まれである。岡田茂吉に始まり、福岡正信が継承し、木村秋則が再度復活させた。龍の国日本が、今こそ立ち上がらないといけない。
「もう時間がない」木村さんもそういう危機感があって、あえて意図的にポロッと漏らしたのかな。
『地球カレンダーの残りの枚数 温暖化の本当の原因 』