院長ブログ

休校

2020.3.4

フェイスブックで広くシェアされている記事。
後追いのようだけど、僕もシェアしたい。

子供からすれば、2,3日くらいの休みなら、「ラッキー」ってなもんだが、こんなにがっつり長期の”休校”となっては、「ちょっと待ってよ」という感じだろう。
特に、それぞれの学校の最終学年(小学6年生、中学3年生、高校3年生)は、もうすぐ卒業する学校で過ごす最後の日々だった。それがいきなり「明日から学校は休み」となって、そのまま卒業となる。

残り少なくなったお菓子は、いとおしみながら食べるものである。
生徒たちも、終わりが見えてきた学校生活を、どうやって楽しもうかと思いながら過ごしていた。
「普段あまりしゃべったことのない同級生。もうすぐ卒業となれば、一生会うこともないかもしれない。でも魅力的な奴だと思っていて、卒業の前に、機会があればもう少し親しく話しておきたい」
「内心密かに好意を寄せていた異性。卒業後は、お互い違う進路に行くことになる。同じ教室で過ごす最後の日々。愛の告白、なんていう大げさなことはしない。でも、もう少し話してみたい」
そういう思いは、すべて断たれた。
休校である。「学校を休んでもいい」ではない。むしろ、「学校に行くな」である。
下級生はまだいい。4月以降、恐らく学校生活が再び始まるだろう。しかし最終学年は、「もう終わり」である。

こんなふうに学校生活が終わる、というのはどういう感じだろうか。
野球で言えば、急遽、8回で終了。サッカーで言えば、後半30分時点で終了、という感じだろうか。
なるほど、多くの試合は大勢が決しているだろう。しかし最後まで分からないのが試合であり、しかもドラマは、しばしば最後に起こるものである。
2時間ものの推理ドラマを最初の90分だけ見て、残りのどんでん返し30分が映像の不具合で見れないとなればどうなるか?残るのは、不完全燃焼の思いだけだろう。

学校が休校だということは、塾業界が繁盛する、と予想していた。学校で学ぶことができない子供たちは、塾に行って勉強するだろう、と。
しかし塾関係者の話によると、塾でも授業ができないようなんだ。
「子供をコロナウイルスに感染させないための休校なのに、塾がそういう国の意向を無視して、子供たちを集めて授業をやっていては、もしもそこでウイルス感染なんかが蔓延したときには、塾としては責任が取れない」
別に法律的な強制ではないようで、あくまで塾側の自粛、ということのようだ。
むしろ、進学塾に子供を通わせている父兄としては「通常通り授業をして欲しい」という要望も根強い。
高い授業料を払っている。家にいたらゲームばかりして勉強できない子供だから、塾まで休校にされてはかなわない。
そういう親の気持ちもわかるが、塾側としては万が一ウイルス感染が発生したときのリスクが怖く、結局自粛、という傾向が強いようだ。

混乱したのは学校の生徒ばかりではない。先生のほうも同じである。
大学時代の同級生のお母さんが小学校の先生をしているが、今年度で定年が決まっていた。
最終学年の生徒たちが残りの学校生活を噛みしめて過ごすように、この先生もまた、長い教師生活の最後を、いとおしむように過ごしていた。
それが休校という形で、突然の終了である。
「児童の感染リスクを避けるため」という理屈は、頭ではわかっている。
しかし、である。こういう形の終わり方しか、他になかったものか。そういう思いが拭えない。

ウイルスの流行ということで、外出を自粛する向きが多いようだ。
僕がよく行くバーのマスターも「コロナのせいで、最近の客入りはさっぱりです。ちなみに、完全にとばっちりですけど、コロナビールの売り上げも落ちてます」と笑っていた。
当院の患者来院数もいつもより少ない。
「病院に行くことはウイルス感染の最大のリスク」と考えるべきで、そう思うと客足の鈍りは歓迎すべきことである。
さりとて、僕も一応商売なので、ずっとこの傾向が続くのもなぁ。。。