院長ブログ

ショウガ

2020.2.3

『安心』3月号が全国の書店で販売中です。

小医の寄稿した文章も掲載されております。興味のある方はご一読くださいm(._.)m

安心の編集者さんが僕に一冊献本して頂いたおかげで、購入の労が省けた格好だけど、僕としては初めての全国誌デビューである。うれしいので、自腹でもう二冊購入しました^^
ぱらぱらと本を開いて、他の記事も読んでみる。様々な健康法、健康食材が挙げられている。
エビデンスがどうのこうの、という話になれば、強い根拠があるわけではないだろう。しかし、少なくとも、どれも害のないものである。全国のおじいちゃんおばあちゃんが安心して試せるものである。
西洋薬を見よ。有効とするエビデンスはある。しかし実際に飲めば、健康になるどころか、むしろ副作用で様々な病気になるだろう。
「何よりもまず、害をなすなかれ」が医聖ヒポクラテスの教えるところである。何らかの不調を感じたら、西洋薬に頼る前に、まず『安心』を読みましょう^^

ショウガについて特集されていて、おもしろいと思った。
だいたい、ショウガ科の植物が体にいいことは古くから知られている。生姜は、ショウキョウとして漢方薬に用いられるのはもちろん、調味料として当たり前に用いられているし、今や二日酔い対策の定番となったウコンもショウガ科の植物だ。
薬味として僕の大好きなミョウガもショウガ科だし、「スパイスの女王」として有名なカルダモンもショウガ科である。

ショウガ、ウコン、ミョウガ、カルダモン。
どれも風味が強くて、大量摂取には向いていない。単体で食べるというよりは、他のメイン食材の引き立て役、という感じだ。
どれもショウガ科であり、どれも健康効果があるのだから、ショウガ科植物は、実に偉大だ。この素晴らしい植物を、生活に使わない手はない。

具体的にどういうふうに体にいいのだろうか。
それは今月号の『安心』のメインテーマだから、ここでは詳しく話しません^^
ここでは、『安心」で全然触れられていなかった効果、つわりに対する有効性について、論文を紹介しよう。
『妊娠悪阻に対するショウガの効果』
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/002822439190202V
「30人の女性を対象として、妊娠悪阻に対するショウガ(Zingiber officinale)粉末とプラセボを用いた無作為化クロスオーバー二重盲検を行った。
クロスオーバーというのは、実薬群とプラセボ群を、観察期間中に入れ替える操作をかます研究で、単なる二重盲検より、エビデンスレベルが高くなるよ。
観察期間の前半4日間、参加者は1日250㎎のショウガ粉末を含んだカプセルを飲むか、あるいは乳糖の粉入りのカプセルを飲んだ。で、2日間のウォッシュアウト期間(ショウガもプラセボも飲まない期間)をおいて、後半4日間は、飲むカプセルをこっそり入れ替えた。観察期間中つわりの症状の重症度(および軽快度)を二通りのスコア(主観的評価、客観的評価)で評価し、そのスコアを統計的に解析した。
結果、主観的な評価として、19人(70.4%)がショウガ粉末投与中に症状の軽快を感じた(P = 0.003)。客観的な評価でも、ショウガ投与後にはつわりの症状がプラセボ群に比べて有意に軽快していた。
副作用は観察されなかった。
結論:ショウガ粉末の投与は妊娠悪阻の症状の消失および軽快に対して、プラセボよりも有効である」

非常にきれいな、クリアカットな結果だね。
妊娠中、つわりに悩む人は多い。こういう人は病院に行って、メトクロプラミドとかプロクロルペラジンなどの処方を受ける。これ、どういう薬だと思いますか?
どちらもドーパミン受容体拮抗薬です。
と言っても、一般の人はピンと来ないでしょう。だからもっとはっきり言うと、ずばり、統合失調症の薬です。
つわりで気分の悪くなった妊婦さんに、統合失調症の薬を投与している。これが現在、産婦人科病棟で行われている治療です。

不気味ですよね。「妊娠中にこんな薬飲んで、大丈夫?」って思いますよね。
でも一般には安全とされている(だからこそ、妊婦にも遠慮なく処方されている)。
『妊娠時におけるメトクロプラミドと先天性奇形および胎児死亡のリスク』
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/1752754
結論:大丈夫、有意差は出なかったよ。
という論文だけど、、、
こんな不気味な薬飲むより、自分でショウガをすりおろして水に溶いて飲んでいるほうがリスクがないし、効果も多分、ショウガの方があるんじゃないかな。
少なくとも、僕に嫁がいるとして、妊娠したとして、つわりに苦しんでいるとしたら、妙な薬よりショウガを勧めたいな。