院長ブログ

ポーカー

2020.2.2

大学時代に仲のよかった同級生連中と、ときどき飲み会をする。
みんな仕事やら家庭やらがあって忙しいから、定期的に開催しているわけではない。
誰かがふと、「飲み会をしよう」とライングループでつぶやいて、突発的に決まるのがお決まりの流れだ。平均すると、年に1、2回くらいの頻度でやっている。

そういうわけで、きのう仕事を終えてからすぐに東京に向かい、友人宅で皆と酒を飲みながら近況を話し合った。

学会などで東京に行くとなれば、山手線沿線の、ビルや商業施設が林立して人が猛烈に混み合うようなところに行くことが多いけど、今回お邪魔した友人宅は、井の頭公園駅の近くにあった。
驚いたのは、井の頭公園の自然の多さである。小さな川が流れていて、木々が茂っている。「こんなに静かな、落ち着いた町が、東京にもあったのか」と思った。
大阪で言えば、山手線は環状線、京急沿線は阪急沿線に似ているようだ。都会の喧騒とは距離を置きながらも、しかしその気になれば30分で新宿まで行ける。梅田へのアクセスがいい阪急沿線の駅と同じような感じがした。

そう、関西出身の僕は、東京のことを何も知らない。
飲みながら、こんな話が出た。
「開成中学の社会科の入試問題に、こういうのが出るんだってさ。ネットの記事なんだけどね、問題、読むよ。
『御徒町で地下鉄に乗り、都庁に行くことにしました。そこで大江戸線に乗ることにしました。上野御徒町駅で大江戸線に乗るときについて、次の文のうち正しいものを1つ選び、記号で答えなさい。
ア 都庁前駅に行くためには1番線に乗らなければならない。
イ 都庁前駅に行くためには2番線に乗らなければならない。
ウ 都庁前駅に行くためには1番線・2番線のどちらに乗ってもよい』
さて、どれだと思う?
これさ、正解はウなんだけど、東京出身者ならだいたい解ける。でも、東京出身者ではない人には、多分解けない。つまり、東京出身者には有利で、そうでない人には不利な問題なんだ。なんでこんな問題が出るのか?
それはね、開成中学の先生の、ちょっとした”思い”なんだ。
開成中学を受験するのは、開成に行きたい子供だけじゃない。合格しても全然開成に行く気もないのに受験する子供がたくさんいる。なぜか?塾の実績作りのためだよ。たとえば灘中学を合格したような子は、まず開成にも受かる。塾としては『開成に何人合格』と宣伝できるのは大きなメリットだから、優秀な子供に受験を勧めて、実績作りに貢献させる。
開成の先生だって、そういう子供がいることは百も承知だよ。ただ、あまりいい気持ちはしていない。だから、東京出身者が少しだけ有利になるような、さっきみたいな問題を出す。露骨なひいき、というような大げさなものではないよ。せいぜい2、3点の話であって、合否を左右する問題じゃない。この問題を落としたって、受かる子供は受かる。ただ、『東京出身の人、頑張ってね』という、ちょっとしたメッセージなんだ」
なるほど、しかし灘中学の先生も同じような気持ちを持っているんじゃないかな。
開成中学が本命の子供が、塾の実績作りのために、行く気もない灘中学を受験している。早稲田アカデミー(東京で有名な進学塾)はバス3台も出して、大挙、灘に乗り込む。塾業界のえげつなさは、西も東も変わらんよね。

友人の一人が最近ポーカーにハマっているという。
昼ご飯を一緒に食べながら、あまり熱心にポーカーの魅力を語るものだから、それなら僕もひとつ、と思って、渋谷にあるポーカーバーに行った。
ポーカーといえば、多くの人がまずイメージするのは、クローズド・ポーカーだろう。5枚の手札を配られて、役を作るためにカード交換をして、その後全員がカードをオープンにして勝敗を競う、というスタイル。
今回、ポーカーバーで経験してきたのは、テキサスホールデムというスタイル。
詳しい説明は省略するけど、結論を言うと、もう、むちゃくちゃにおもしろかった。
何がおもしろいといって、完全に”心理戦”なんだ。クローズド・ポーカーしかしたことのなかった僕は、この歳になって初めて、『ポーカーフェイス』という言葉の意味を真に理解した。そう、テキサスホールデムのポーカーでは、ハッタリが超重要だ。
役がワンペアさえなくても(いわゆる”ブタ”)、澄ました顔で高額のチップを張ったりする。その澄ました顔の裏にある感情を読み合うのが、カイジの世界にいるようで^^、本当におもしろかった。
ハッタリだけではなく、頭のよさも当然必要で、特に期待値の計算ができないようでは、安定した勝率をあげることはできない。
数学の参考書を開くと、確率の問題は、サイコロを投げたりトランプをめくったり、バクチみたいなことばかりしているものだけど^^;、これは確率論の発展がそもそもバクチの研究に由来することを考えれば、当然のことだ。

おもしろいと感じたのは、勝ったせいもあるかもしれない。
そう、ビギナーズラックのおかげか、5時間ほどプレーして、僕はボロ勝ちしてしまった。ただ、一円の得もしていない。換金できればいいんだけど、それをやると完全に賭博で、お縄を頂戴することになるからね^^;
勝ちたいと思いながらも、「どうせ勝ったところで、ただのチップやし」と妙に冷静なところがあって、それぐらいの心理状態の方が勝ち運に恵まれるのかもしれない。
ポーカーのおもしろさを知って、すぐにポーカーのアプリをダウンロードした。将棋、バックギャモンに続き、ポーカーも僕の趣味のひとつに加わった格好だ。
仕事そっちのけにならないよう、気を付けなくては^^;