『安心』という雑誌がある。
「くらしと健康に役立つ実用情報を提供する」ことを社是とするマキノ出版から出ている月刊誌だ。全国の書店で販売されているから、目にしたことがある人もいるだろう。
先月、この『安心』の編集者から直筆の手紙を頂いた。
「先生のブログを拝見し、なんておもしろいんだろう、なんて大切なことが、たくさん書いてあるんだろうと思いました。ぜひ一度お会いできないものか、連載をお願いできないだろうかと思い、ご連絡しました」
僕は机に突っ伏して、しばらく身動きができなかった。
ブログを書く僕の胸中は、矛盾した感情がせめぎ合っている。「僕の言ってることなんかどうせ誰もわからへんやろう」というニヒルと「僕の情報で救われる人がいるかもしれない」という希望。膨大な情報が行き交うネット空間に、ひとつ、僕の文章を投げ込んだところで、世界は何も変わらないだろうという諦念と、いや、そんなことはない、分かる人には分かるはず、という祈りにも似た思い。
僕はこの手紙を読んで、震えた。僕のメッセージが届いている、どころじゃない。「先生のメッセージをもっと多くの人に届けませんか」とオファーしてくれた格好で、僕としてはこんなに光栄なことはない。そして同時に、責任の重みも感じる。全国の書店で販売されているというのは、いわばメガホンである。多くの人に僕の声が届いて、それだけ救われる人も多いだろうが、なかには曲解したり反発したりする人もいるだろう。
今日、『安心』の編集者さんが東京から当院に来られ、お話した。
「先生のブログを参考にして、私もサプリを飲み始めました。ビタミンE、ナイアシンアミド、CBDオイルを試しましたが、とても調子がいいです。
子供を産んで以来、眠りがずっと浅かったのですが、CBDオイルを飲みだしてから深く寝れるようになりました。数日飲み続けてから、その後飲んでないのですが、体が眠り方を思い出したのか、飲まなくてもぐっすり寝れるようになっています」とサプリの効果をご自身で実感されたという。
「内因性カンナビノイド欠乏があって、そのせいで眠りの質が悪化していたところ、それが補充されたことで、改善したのだと思います」
「弊誌は高齢者を中心読者層とした健康雑誌で、セルフケアを中心にご紹介しています。先生のほうで、読者の皆さんにお勧めしたい健康法などあれば、ぜひお願いします。
できれば、あまりお金のかからない健康法が好ましいです。スーパーで普通に売っている食材にこういう効能がある、といった話でもいいですね。
弊誌は全国の書店で取り扱いがありますから、田舎を含め全国に読者がいます。田舎の高齢者の方々というのは、ネットで情報を仕入れるよりは、今でも弊誌のような雑誌媒体が主要な情報源ということが多いんです。
最近は薬の危険性ということが広く言われるようになり、田舎の高齢者の方々にも「症状を薬で治すのではなく、食事などの生活習慣の改善で治したい」という人が増えています。弊誌はそういう人たちの希望に沿った情報を提供したい、という思いもあります。
先生、ご存知ですか。田舎の高齢者が薬をやめるというのは、大変な覚悟がいることなんです。「医者が一人しかいない村」は全国にたくさんあります。そんな村で、医者の意向に反して「この薬は体に悪いって聞いたんだけど、やめれませんか」なんて、とても言えません。都会なら簡単に言えると思います。いろんなスタイルの先生がいて、それこそ、オーソモレキュラー医学をしている先生もたくさんいるでしょうから。しかし田舎で、主治医の不興を買うリスクを冒してまで「薬をやめたい」というのは、生半可な覚悟では言えないんです」
なるほど、おもしろい話だ。全国にはいろんな状況の人がいて、いろんな需要があるのだな。
しかし、高齢者ウケするネタとなれば、どうだろう。今までいろいろな情報をブログで発信してきたけど、特に高齢者を意識したものではなかった。
何がウケるかはわからない。しかし少なくとも、何がウケないか、となれば、性的な悩みは高齢者とは縁遠いものだろう。
と思いきや、『安心』掲載記事に、こんなのがあった。
AV男優のしみけんが寄稿しているという^^そっち系の情報もありなんだな。
そう、「高齢者の性」って世間的には何となくタブー視されてるけど、人間である限り、性欲は切っても切れないもので、そういう情報も当然大事だよね。