周期表ではケイ素の下に、ゲルマニウムがある。
ゲルマニウムについては以前のブログで何度も紹介したが、これも健康のためにオススメしたい元素だ。
化学的にケイ素とゲルマニウムがくっついたシリコン-ゲルマニウム合金は、IC(集積回路)に使われるなど、工学的に重要だ。
ゲルマニウムについても、RDIは確立していない。しかし、以下にあげる論文のように、ある種の骨の疾患にかかる人では、ゲルマニウムの血中濃度が低いことがわかっている。
『カシン・ベック病患者におけるセレン、ホウ素、ゲルマニウムについて』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11204461
カシン・ベック病(KBD)に罹患した幼児の毛髪、KBD頻発地域に住む健常児の毛髪、非KBD頻発地域に住む健常児の毛髪を採取し、そこに含まれるセレン、ホウ素、ゲルマニウムの濃度を測定した。
KBD 罹患児の毛髪中では、セレン、ホウ素、ゲルマニウムの平均濃度が低かった。
KBD頻発地域に住む健常児の毛髪では、セレン濃度は正常だったが、ホウ素とゲルマニウムが、KBDのない地域の健常児の毛髪よりも低かった。
毛髪中のホウ素、ゲルマニウムの濃度は、セレンのサプリを摂取しても影響しなかった。KBD発症の病因として、ホウ素とゲルマニウムの不足が関連している可能性がある。
マウスの食事にホウ素を入れるか入れないかで、骨の強度が全然違ってくる、という研究もある。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27908411
骨の健康には、ホウ素やゲルマニウムも意識して摂るといいだろう。
ゲルマニウムの下の元素はスズ(tin)だ。
スズは、個人的には何となく有害ミネラルのイメージだったが、意外にも、これもやはり生体にとって必要なトレースミネラルだという。
https://www.healthknot.com/tin.html
副腎の働きをサポートしていることが知られていて、スズが不足すると副腎機能が低下し、結果、心機能が低下する。その他にも、喘息などの呼吸困難、疲労、うつ病との関連が指摘されている。
なんと、スズのサプリメントまで売られている。これには驚いたな。
https://phpure.com/angstrom-minerals-tin-100ppm-8-fl-oz
スズの下は、重金属として悪名高い鉛だ。
周期表を見てもらえばわかるように、鉛の近隣には水銀とかタリウムとか、いかにも毒っぽい金属がずらりと並んでいる。
鉛の毒性で有名なのは、知的障害だろう。鉛の曝露量が多いほど、IQが低いことがわかっている。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1367853/
鉛はヘモグロビン合成を阻害する。赤血球の産生が停滞し、貧血の原因になる。
一般に、血流と神経はワンセットだ。この点は、水道管と電線が家の基本的インフラであるのと似ている。
血の巡りが悪いと、神経系も不調になるし、逆もまたしかりだ。
鉛の影響で知能が低下する背景には、鉛の血液毒性によるものだと考えても間違いではないだろう。
逆に、有機ゲルマニウムによって知的障害が改善することを以前のブログで紹介した。
これは、ひとつには、有機ゲルマニウムの造血促進作用による。古い赤血球を壊して、新しい赤血球を生み出す代謝プロセスが促進され、血流がよくなる。
もうひとつは、同族元素の競合による作用。ゲルマニウムは鉛と同じ14属元素である。ゲルマニウムの摂取によって、鉛が追い出されることになる。同様の作用はケイ素にもあり得るだろう。