院長ブログ

頭痛とCBDオイル

2019.9.6

頭痛を訴える患者。
問診で、毎日コーヒーを飲んでいることがわかった。
「コーヒーをやめてみませんか」と勧めた。
鎮痛薬や頭痛薬の処方よりは、そちらが根本だろう。足し算よりも引き算で治るのなら、それに越したことはない。
「いやぁ、正直それは難しいですね。仕事の合間のコーヒーが、すっかり習慣になっていますので。それに、コーヒーを飲めば頭痛がラクになる感じもありますし」

そう、『カフェインは頭痛の原因か、治療薬か』という問題は、研究者の間でも議論がある。
カフェインは、それ自体に痛みを抑える作用があるし、市販の鎮痛薬と併用すれば鎮痛作用が相乗的に高まる可能性が示唆されている。
カフェインが効くのは緊張性頭痛と片頭痛であって、それ以外のタイプの頭痛に効くエビデンスはない、ともある。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29067618

一方、カフェインこそ頭痛の原因だ、とする説もある。
たとえば、メイヨークリニックのこんな研究。
https://www.mayoclinic.org/healthy-lifestyle/nutrition-and-healthy-eating/in-depth/caffeine/art-20045678
カフェインの過剰摂取(400mg以上。だいたいコーヒー4杯くらい)によって頭痛が起こる可能性を指摘している。
頭痛の発生機序には不明な点も多いが、カフェインの利尿作用が関係している可能性がある。つまり、コーヒーを飲めば脱水が促され、脱水のせいで頭痛が起こっているのではないか、ということだ。

さらに、カフェインの離脱症状によって頭痛が起こることも指摘されている。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0213485315000158?via%3Dihub
カフェインで頭痛を抑えている人が、カフェインをやめれば頭痛に苦しむことになるというのは、ある意味当然の話だろう。

困ったな。
カフェインは頭痛の味方なのか敵なのか、学者の間でも意見が割れている。
目の前の患者に、どうアドバイスしたものだろう。
こういう場合は、ゼロか百かではなく、とりあえず穏当に「完全にコーヒー断ちすることはないですけど、控えめでいきましょう。1日2杯までにしときましょうか」
鎮痛薬や頭痛薬も必要なら使えばいい。でも、痛み止めはあくまでその場しのぎであって根本治療ではないことも併せて伝えておく。
「あと、コーヒーを我慢するというか、別の飲み物、たとえばハーブティーに切り替える、というのも手かもしれません。フィバーフュー(ナツシロギク)のお茶なんて頭痛にすごくいいですよ」

さて、痛みに対するアプローチとして、個人的に注目しているのは有機ゲルマニウムとCBDオイルだ。
虫歯やヤケドなどの局所的な痛みなら、そこに有機ゲルマニウムを直接塗布するといい。
癌性疼痛に対しては、CBDオイルが効く。アセトアミノフェンでは全然効かないが、かといってモルヒネは便秘などの副作用が厄介だ。そういうとき、CBDオイルが非常に使い勝手がいい。ほとんど副作用がないから安心して使えるし、それどころか、抗癌作用、食欲改善作用などのプラスの効果さえ期待できる。

CBDオイルは頭痛に対しても有効だ。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30883435
痛みという現象は脳で知覚されるわけだが、このプロセスには脳内の内因性カンナビノイド受容体が関与している。
アナンダマイド(内因性カンナビノイドのひとつ)は、トリプタン製剤(頭痛薬)と同じ痛覚伝達経路に作用して、抗炎症・鎮痛作用を発揮することが示されている。

頭痛薬と同じような作用機序で効くのなら、CBDオイルを使えばいい。副作用の多い頭痛薬をあえて使う理由はない。
そこで、患者にCBDオイルの併用を勧めた。

後日、来院した患者がいう。
「効きました。頭痛のせいで眠れなかったり、寝ても頭痛で起きてしまうぐらいなんだけど、寝る前にCBDオイルを5滴くらい飲むようにしたら、そういうことがなくなりました。
あと、不眠が改善しました。
以前、先生に勧められてアシュワガンダを飲んでて、よく眠れてたんですけど、飲みきって以後、飲むのをやめてたんです。
すると頭痛がひどくなって、眠れなくなりました。アシュワガンダが頭痛を抑えてくれてたのかな。
アシュワガンダは飲み始めて15分くらいで効き始めて、マイルドに眠りに落ちる感じです。
CBDオイルは、飲んですぐ、1、2分で効き始めます。急激に寝落ちする感じです」

頭痛を訴える患者のなかには、『内因性カンナビノイド欠乏性頭痛』とでも呼ぶべき患者がいて、そういう人にはCBDオイルが著効するのかもしれない。
さらに、コーヒーは何らかの機序で内因性カンナビノイドを消耗させるのかもしれない。
患者の体験談は、教科書や文献よりも多くのことを教えてくれるものだね。