会社の検診なんかでコレステロール高値を指摘され、病院受診を勧められた。
素直に病院に行き、コレステロール降下薬(スタチン)を処方された。以来、毎日飲み続けている。
みたいな経過で、スタチンを飲み始める人は多いと思う。
現代医学ではコレステロールは悪者ということになっているが、細胞膜やホルモン、ビタミンDなど構成材料であり、健康維持には不可欠だ。
生体は、食事に含まれているコレステロールを利用するのはもちろんだけど、それだけでは不十分で、自前でコレステロールを産生するメカニズムさえ備えている。コレステロール不足を何とか回避しようとしているのが、僕らの体なんだ。
ところが、現代医学の誤った前提に基づいて、コレステロールを薬で無理に下げるとどうなるか。
当然、様々な悪影響が現れることになる。神経系(気分、認知能力を含む)に対する影響については、以前にもブログで書いたことがあるから、今回は代謝系への影響について書こう。
『非糖尿病者の空腹時血糖に対するスタチンの影響』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6280428/
【背景】ますます多くのエビデンスが、スタチンの服用により糖尿病を発症することを示している。どのスタチン製剤を使うかによって、グルコース代謝に及ぼす影響は異なる可能性がある。国民健康スクリーニングデータを用いて、スタチンの服用が非糖尿病者の空腹時血糖をどのような影響を与えるか、経時的変化を調べた。
【結論】非糖尿病者において、スタチンを怠薬せずにきちんと飲んでいる人ほど、また、高用量で飲んでいる人ほど、空腹時血糖が有意に増加していた。
特にどのスタチンの影響が大きいか個別に分析したところ、アトルバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチンの服用は空腹時血糖の増加と有意に相関していた。プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチンは空腹時血糖の増加に対して有意な傾向を示さなかった。本研究により、どのスタチンを用いるかで高血糖をもたらす影響が異なることが示された。
スタチンが糖尿病のリスク因子であることは、近年エビデンスがどんどん増えていて、もはや疑いの余地はない。
今や研究はもっと各論に、たとえば上記の論文のように、「具体的にどのスタチン製剤が血糖値への影響が大きいか」といった問題に進んでいる。
しかしスタチンが血糖値に影響を与えることを知らない医者はいまだに多い。
医者は無知で、患者は無邪気だ。
医者の言いつけをよく守る患者ほど(こういうのを、僕らは「コンプライアンスのいい患者」と言います)、スタチンを休まずしっかり飲み続け、結果、血糖値が高くなっている、というのが上記研究の示すところである。
で、こういう真面目な患者は、次に医者から「血糖値が高いですね。糖尿病のお薬も始めましょう」となれば、また律儀に薬を飲むだろう。
血糖値を薬によって調整するようになると、自前の血糖調節機能が障害されて、当初の薬剤性糖尿病がいよいよ本物の糖尿病になる。
「糖尿病は万病のもと」というのは一般の人もご存知だろう。
癌にもなりやすくなるし認知症にもなりやすくなる(スタチン自体、認知症のリスク因子でもある)。
最初は「コレステロールが高い」という、ただそれだけだった。十分な健康体で、何も問題はなかった。
それが、こんなふうに、薬が病気を作り、さらに薬が増えて、また新たな病気を作り、という悪循環に陥った。
健康が徹底的に損なわれ、本物の病人になってしまった。
患者はまさか、自分の「病気」を治してくれるはずの薬が、あらゆる病気の原因だったとは、思いもしない。
怖い話でしょう?
この暑い時期、下手な怪談よりはるかにゾッとさせてくれる話だと思う。
でも悲しいことに、「治療」と称するこんなデタラメが堂々と行われているのが、今の医療現場なんだね。