院長ブログ

電子レンジ2

2019.6.30

電子レンジの何がよくないのか。
マイクロ波照射によって自然界には存在しない物質が食品中に発生し、それを食べる危険性。もう一つには、電子レンジから漏れる電磁波(マイクロ波)の影響だ。
後者については、高圧電線の近くにいたり車(特にハイブリッド車)や新幹線に乗っても被曝するし、電子レンジ以外の電化製品(テレビ、携帯電話、ファンヒーター、IH調理器など)も強い電磁波を放つ。
簡単な電磁波測定器がネットで4千円くらいで買える。いいのなら3万円くらいするけど、安いのでもけっこう精度が高い。小さなお子さんがいる親御さんは、一度家庭内のあちこちの電磁波を測ってみるといい。あるいは小学生の子供には、理科の自由研究なんかにうってつけのテーマだろう。
稼働中の電子レンジのそばに電磁波測定器をかざしてみよう。「フタをきちんと閉めて使えば、電子レンジから電磁波が漏れることはない」というメーカー側の説明がウソだということが、すぐに確認できるだろう。

以下もう少し具体的に、電子レンジがなぜ、どのように悪いのか、掘り下げてみよう。
たとえば、こんな文献がある。
リタ・リー博士の論文から(ランセット1989.12.9)
「赤ちゃん用のミルクを電子レンジにかけると、ミルク中のトランスアミノ酸が合成のシス異性体に変換された。合成の異性体は、シス型アミノ酸であれトランス型脂肪酸であれ、生物学的な活性を持たない。
さらに電子レンジによって、アミノ酸のひとつであるLプロリンがD型の異性体に変換されたが、これには神経毒性と腎毒性があることが知られている。
多くの赤ちゃんが母乳ではなくニセのミルクを与えられていることは憂慮すべきことだが、今や電子レンジによって事態はますますひどいことになっている」

電子レンジがもとで起こった医療事故がある。
輸血の際、冷蔵保存した血液を、冷たいままで患者に入れることは当然できない。適温(30〜37度)に戻すことが必要だ。本来なら、恒温槽を使ったりお湯に浸けて温めるべきところ、あるナースが、いつもと違うやり方で血液を温めた。電子レンジを使ったのである。
手術自体は、ごく一般的な股関節置換術だった。しかし術中、この「チン」をした血液を輸血された患者ノーマ・レビットさんは、死亡した。この医療行為、輸血用血液を電子レンジで温めたことと患者の死亡の因果関係をめぐって、1991年に裁判が行われた。

「電子レンジで温めることは、他の方法で温めることと何ら違いはない」というのがメーカー側の言い分だが、この主張にはずいぶん無理がある。
物体にマイクロ波を照射することによる加熱は、他の加熱方法と一体何が違うのだろうか。
マイクロ波自体は自然界にも存在するものだ。たとえば太陽や月の光もマイクロ波を放っている。しかしこれらのマイクロ波は直流だが、電子レンジやレーダーによる人工的なマイクロ波は交流で、これは自然界に存在しない。
交流マイクロ波の照射を受けた物体は、その物体を構成する原子、分子、細胞が1秒間に10億〜1000億回の「揺さぶり」を受ける。水分子を含む物質には極性(プラスとマイナス)があって、マイクロ波照射によってそのプラスとマイナスが行ったり来たりして、激しい摩擦が生じるわけだ。
どんな原子、分子、細胞も、こんなに激しいエネルギーに耐えることはできない。家庭用の電子レンジは数百ワットだが、ミリワット単位のエネルギー照射でさえ物質の変性を起こす。

分子構造が引き裂かれ、分子が強制的に変形して、構造異性体を生じる。これはもともとあった分子とまったく異質なものだ。従来の加熱方法は、熱力学の法則に基づいた単なる熱の移動だから、加熱部分から徐々に温まっていくし、こんな妙な物質は生じない。
逆に、マイクロ波の照射は、物体をその内部から温めていく。電子レンジに入れた食べ物は熱くなっても、それを入れている容器はそんなに熱くならないでしょう?それは、マイクロ波が食品中の水分子に作用して摩擦熱が起こっているからだ。陶器の茶碗には水っ気がないから、温まらない(食品から容器に熱が移動して熱くなることは当然ある)。

マイクロ波を照射する影響は、摩擦による分子の破壊(熱効果)だけではなく、無熱効果というのもある。現在の技術では無熱効果を測定することはできないが、この効果も分子構造を歪ませ、質の変性をもたらす。
この無熱効果は、たとえば遺伝子組換技術の分野で実際に用いられている。マイクロ波によって細胞膜が弱体化する。細胞機能が破綻し、電気ポテンシャルが中性になる(生きた細胞は通常細胞膜の内側がマイナス、外側がプラスに帯電していて、この電位差こそが細胞の命そのもの)と、細胞はウィルスや細菌に容易に感染する。細胞の修復機能も抑制されているため、細胞は何とかこの状況を生き抜こうとして、好気呼吸から嫌気呼吸に切り替える。水や二酸化炭素を排出するのではなく、過酸化水素や一酸化炭素などの毒性物質を排出するようになる。
マイクロ波を照射された物質に上記のような変化が起こるが、同様の変化は、マイクロ波の照射を受けた我々人間の体内でも起こる。

以下は、ロシアの研究による。
・肉を電子レンジにかけると、dニトロソジエタノールアミン(発癌物質として有名)が生成した。
・牛乳とシリアルを電子レンジにかけると、食品中のいくつかのアミノ酸が発癌物質に変化した。
・冷凍したフルーツを解凍するときに電子レンジを使うと、グルコシドやガラクトシドが発癌物質に変化する。
・野菜(生野菜であれ調理済みの野菜であれ冷凍野菜であれ)をごく短時間電子レンジにかけるだけで、植物アルカロイドが発癌物質に変化した。
・電子レンジにかけた植物では、発癌作用のあるフリーラジカルが生成した(特に根野菜で顕著だった)。
・電子レンジによる分子構造の変化のため、調べた食品すべてにおいて、栄養価が60〜90%低下していた。また、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、必須ミネラル、脂溶性栄養分の生物学的利用能が低下していた。

つまり、食品を電子レンジにかけるということは、含まれる栄養が壊れるだけでなく、発癌物質など体に好ましくない成分が生じるということだ。
このことは、義務教育で子供たちに教えるべきだろう。
個人的には、昔のロシアみたいに、国策として電子レンジを廃止するのが一番早いと思う。それだけで、世間にあふれる病気の半分は自然に治るんじゃないかな。
でも、電子レンジが各家庭や外食産業に不可欠なくらいに浸透している現状もわかる。なくせないなら、せめて選べるようにすべきだろう。まず、電子レンジによる調理が体に悪いことを周知徹底する。その上で、使用するしないは個人の判断に任せるといい。
「体に悪いならできるだけ使わないでおこう」と思う人もいるだろうし、「いや、昼休憩のときに弁当を温めるのに欠かせないから」などと、使い続ける人もいるだろう。利便性と健康のトレードオフで、どちらを優先するかは個人の自由だ。
タバコの害は充分知られている。喫煙者は肺癌のリスクを承知の上で、タバコを楽しんでいるわけだ。好きにすればいい。電子レンジについても、同様のスタンスで考えるべきだ。
しかし危険性についての知識がないと、拒否しようとさえ思わない。

たとえば、働いているお母さんがいる。まだ乳離れしていない数ヶ月の子供のために、お母さんは朝、仕事に行く前に、毎日おっぱいを哺乳瓶に搾って冷蔵庫に保管し、お手伝いさんにことづけている。「お昼や夕方に、この母乳を電子レンジで温めて、この子に飲ませてやってくれ」と。
子を思う美しい母心だと思う。
しかし医者としては、このような母子を見て感傷に浸っているわけにはいかない。恐らくこの乳児は、後年小児癌を含め様々な病気にかかりやすくなるだろう。
電子レンジは無害、ということになっている。この前提に立てば、すばやく温めるために輸血用血液をチンした人を責めることはできないし、子供に温かいミルクを飲ませるためにチンする愛情も否定できない。
しかしこんな前提はとっくに崩壊している。愛ゆえの行動が、子供の人生を奪いかねないなんて、こんなデタラメは絶対にあってはいけないんだ。

参考
https://pdfs.semanticscholar.org/53a1/d37f97fb2115db9fbe449793fd6897235cc5.pdf