院長ブログ

有機ゲルマニウムと脳障害

2019.6.1

ある薬剤の効果を評価するときには、ダブルブラインドの無作為化比較試験(RCT)をやって、有意差が出せれば一番いい。
エビデンスレベルが高いことが何よりの強みで、薬剤を売り出す際にも、大きなセールスポイントになるだろう。
しかしこの試験の欠点は、手間(金、時間など)がかかることだ。
製薬会社がバックにいれば、豊富な資金力によって、そうした問題はクリアできるだろう。
しかし、たとえばサプリを売り込みたい中小企業にとって、わざわざRCTを行うのはかなり大変なことだ。
in vitro(試験管)での研究や動物相手の研究は比較的簡単にできても、人間相手の研究は何かと倫理的な配慮が必要だし、制約も多い。
そういう面もあって、実は有機ゲルマニウムを使ったRCTはそれほど多くは行われていない。

癌、膠原病、関節痛、高血圧、うつ病など、有機ゲルマニウムの有効性が示唆されている疾病や症状は、多くが症例報告に基づくものだ。
症例報告というのは、無意味では決してないけど、エビデンスレベルとしては一段格下に見られちゃうんだな。
しかし有機ゲルマニウムで癌のRCTをやろうと思ったら、大変なことだ。まず、患者を集め、同意をとらないといけない。
「有機ゲルマニウムは癌に有効だと言われています。参加者の半数に有機ゲルマニウムを、もう半数にはプラセボ(ニセモノの薬)を投与して、有効性を確認させてください」
皆さんが癌患者だったとして、こんな誘いに乗りますか?
「私がそれに参加したとして、自分がちゃんと有機ゲルマニウムを飲ませてもらえるのか、プラセボを飲まされるのか、わからないってことですよね?
私、癌なんですよ。癌が日に日に大きくなったり転移したり、徐々に死に近づいていく病気です。
本物を飲んでいたならまだしも、ニセモノを飲んでて悪化して手遅れになりました、となれば、その責任はどうとってくれるんですか?」
こんなふうに言われたら、患者に強く参加を強いることなんてできない。
患者は実験動物じゃない。尊厳を持った人間だ。だからこそ、RCTを行うことには、困難が伴う。

それでも、有機ゲルマニウムに関して、こんな研究報告がある。
(背景)
横浜市立大学名誉教授の梅沢先生は「のうけん療育会」を主催し、そこの会員(脳障害児)に、ドーマン訓練法による治療を行っていた。
これはパターニング、マスキング、でんぐり返りなどを主体とし、そこに視覚、聴覚、触覚などの知覚面での刺激訓練から構成されている。
たまたま浅井ゲルマニウムGe-132の存在を知り、ある小児に投与したところ、難治性の脳障害が劇的に回復したのを見て、先生は感服した。
「ドーマン訓練法は末梢的後遺症状にのみ捕らわれていて、障害の根源である脳にはほとんど目を向けていない。そのせいでほとんど効果のない障害児も多い。
しかし、Ge-132はその生理的な作用により、脳細胞に直接作用しているようだ。これは多くの患者の希望になるに違いない」
先生はそう確信し、RCTの実施を思い立った。
しかし、同意をとるのは困難だった。
「のうけん療育会」の会員は、もともとドーマン訓練法に回復への希望を持って入会してきた子供たちなので、Ge-132の有効性を確認するために、一時的にドーマン訓練法を中止してもらうわけにはいかなかった。
半数に実薬を、半数にプラセボを、ということは、さらにできなかった。ドーマン訓練法、Ge-132投与を併用せざるを得ず、しかも患児の両親の承諾を得なければならなかった。
こんな具合に、臨床で厳密なRCTを行うことはとても難しいことだ。
(研究対象)
本会会員1歳から10歳までの脳障害児95人
(研究方法)
脳障害児とひとくちにいっても、その障害の程度および部位によって、その呈する症状は様々であり、しかもその症状がまったく同じ患者は一人としていない。
そこで、症状を以下の4群に大別した。
中枢性運動機能障害(Cp)、てんかん症候群(Ep)、知恵遅れ群(MR)、自閉症群(Aut)
(Ge-132の投与方法)
顆粒およびカプセルの内服。
投与量は児の年齢、体重、症状によって一様ではないが、おおよそ体重1kgあたり20から30mgを1日三回に分けて、食前または食間に服用。
(評価方法)
一般状態への影響として、食欲、睡眠、便通、寝起を、精神機能への影響として、意欲(積極性、自己主張)、集中力、記憶力および表情を取り上げた。
その影響の有無の判定は、両親の観察・判断に基づいて行った。大いに改善(++;3~4点)、改善(+;1~2点)、変化なし(±)、悪化(-)とした。
また、ドーマン・デラカトの成長プロフィールにより、頭脳年齢/暦年齢=成長率を評価した。
この値が1以上ならば普通児あるいは優良児であり、1以下の場合は脳障害児あるいは脳神経発育不良児である。
(結果)
研究対象95例中、Ge-132投与および訓練期間が12カ月未満のものを除いた67症例(その内訳は、Cp群28例、Ep群11例、MR群14例、Aut群14例)を評価した。
Ge投与によって、2,3の症例を除いたすべての例において、一般状態および精神機能面での向上が認められた。特にMRおよびAut群でこの傾向が著しかった。
(考察)
まず、Ge-132の投与により、患児らの健康増進効果が示された。ほとんどの症例において、食欲、睡眠、便通および寝起で改善が認められた。
その査証として、ほとんどの児がGe-132服用以後風邪をひかなくなったり、ひいたとしても発熱が低く、罹患期間が短くかつ元気であるといった点など、母親が等しく認めている。
次に、記憶力の増強、表情の豊かさ、意欲、集中力の増強といった精神機能面での向上が認められた。なかでも意欲の高揚は感覚、運動といった脳神経機能面の発達に大きな影響を与える。
具体的な症例を供覧しよう。
第1例
(M.T)男児。診断はCp、推定原因は1400gの未熟児。ドーマン訓練法を施行すると同時にGe-132を1年間、総量324gを服用した。
初診時(暦齢86カ月)の成長率は60%で終診時(98カ月)のそれは85%。Ge服用後は精神機能の発達がめざましく、集中力が高まり、算数の勉強やピアノの練習などそれぞれ1時間くらい続けてやるようになった。
たまたま一時Geの服用を中止したところ、その途端に算数やピアノをなまけるようになった。あわててGeの服用を再開すると、また熱心に取り組むようになった。
第2例
(T.K)男児。診断はMR、推定原因は不明。Ge服用量は二年間で525g。初診時の暦齢は93カ月、成長率値81%、終診時の暦齢は117カ月、成長率は87%。母親によると、Ge服用により表情、気力が全く変わったという。
第3例
(A.M)女児。診断はMR、推定原因は仮死。初診時(67カ月)の成長率値は53%、終診時(103カ月)の成長率値は92%。Ge服用量は306gである。
Ge服用後の精神面の進歩発達は顕著で、何でも一人でやるようになった。しかしGe服用を中止すると、体の調子が悪く気力も衰えるが、再び服用すると途端に回復した。
第4例
(S.T)男児。診断はCp(アテトーゼ)、推定原因は母児血液型不適合。Ge服用量は2年間で72g。Ge服用後、風邪をひきにくくなり、熟睡するようになった。また、睡眠時間が短くても済むようになった。
便秘がなくなり、食欲が極めて良好となった。アテトーゼが軽減し、手の機能が改善した。しかしGe服用を忘れるとアテトーゼが増強した。なおアテトーゼの軽減はこれまで一度も見られなかったことである。
書字が正確になり、漢字などの細かい字も書けるようになった。長年ドーマン訓練法をやってきてもこうした変化は見られなかったことである。
また食事もほとんど自分ひとりでできるようになった。足の運びも大幅に改善した。
言語、構音がよくなり、発音が聞き取りやすくなった。かなり長い文章を話せるようになり、学校でも進んで発言するようになった。
理解力、記憶力がよくなり、記憶力のよさは周囲も驚くほどである。学校での成績は体育を除いて優秀で、クラス委員に選ばれるようにさえなった。

すばらしい報告だと思う。
一応、世の中的には、エビデンスレベルとして、RCT>症例報告、ということになっている。
しかし、大手製薬会社の降圧薬の有効性が不正に改ざんされていたことがニュースになったように、RCTで有効と認められたからといって、それが間違いないかといったら、全然そんなことない。むしろ、n数は少なくても、上記のような報告のほうがはるかに信頼できるんじゃないかな。
上記報告は、母親が観察した子供の変化に基づいている。こんなのは正式な論文としては、ほとんど相手にされない可能性がある。「客観性として、まったく科学の体をなしていない」と。しかし、母親ほど子供の変化に敏感な存在はいないというのも、また事実だろう。

自閉症、知的障害などは、一般には回復困難とされている。しかし上記の報告は、有機ゲルマニウムの服用によって、劇的に回復したことを示している。
患者を子供に持つ親御さんにとって、回復への希望がないよりもあるほうが絶対にいい。
一般の製薬会社の薬と違って別段の副作用もないのだから、有機ゲルマニウムを試してみないのは損だと思う。

ちなみに、特に脳障害のない普通児が飲んでも知的発育に好ましい効果がある。
・ぜんそくにいいから、ということで有機ゲルマニウムを飲み始めた14歳男子。思いがけず、急に数学の成績がよくなった。あまりにも急激によくなったせいで、教師からカンニングを疑われた。
・健康にいいらしい、ということで有機ゲルマニウムを飲み始めた中年男性。囲碁が趣味だったが、手が深く読めるようになった。まったく期待していない効果だった。
こういう例が浅井一彦著『ゲルマニウムと私』に出てくる。
生徒に有機ゲルマニウムの服用を勧め、多くの生徒を大学合格に導いた井藤正勝さんという河合塾の講師もいる。
成績が伸び悩んでる受験生が飲んでも、おまじない以上の効果が期待できるはずだ。