院長ブログ

子供の食事

2019.2.3

たかが子供、じゃない。子供は国の未来だ。
心身ともに健全な子供を育てる上で、食事の重要性は強調してもし過ぎることはない。
では、何を食べさせればいいのか。
ネットにこんな記事があった。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190131-00000019-nkgendai-hlth
『子供のIQは朝の米食で変わる』という記事。ソースは日刊ゲンダイ^^;
記事の内容を1行で要約すると、、、
朝食にパンではなくごはんを食べている子供では、脳の灰白質の容量が大きく、かつ、IQも高かった、という話。
農協から依頼されて書いた提灯記事かな、とか邪推してしまう笑
糖質制限が一般にも広く知られるようになった今、米の売り上げが下がって困ってる人がいるのは確かだろうけどね。

記事を一読して思ったのは、灰白質の違い、IQの違いが、本当にごはんとパンの栄養素の違いだけに由来するものか、かなり疑わしい。
夜遅くまで仕事したり晩酌したりして朝の苦手なお母さんだったら、朝食にはごはんよりもパンを食べさせるだろう。ごはんだと前日に米を研いで炊飯器のタイマーをセットしたりするのがめんどくさい。しかもごはんの場合、米を炊いて茶碗に入れて出すだけではダメで、味噌汁なり惣菜なり、何らかのオカズを一緒に供することが暗に求められているところがある。
子供の食事なんてどうでもいいと思っているお母さんにとって、米食は手間のかかることこの上ない。でもパンなら、菓子パンひとつぽんと手渡すだけで終わり。食パンでも、せいぜいジャムやバターを塗る手間だけ。

ごはんとパン、栄養的にはもちろん違いがある。
パンに含まれている小麦グルテンは人によっては腸の炎症を惹起するアレルギー物質だし、粗悪なパンには大量の砂糖はもちろん、トランス脂肪酸や臭素酸カリウムなど、毒物みたいな添加物が含まれている。
パン食の子供でも、食べているのが昔のヨーロッパ人が食べてたような精製度の低い黒パンだったなら、この研究の結果は当然違っていただろう。
そう、ごはんとパン、両者の栄養価の違いは明らかなんだけど、仮にそれを差し引いたとしても、やっぱりごはん群の子供がパン群の子供より有意に優秀、という結果が出たんじゃないかな。
お母さんが子供にどれだけ手をかけているか。これが核心だと思う。
子供に米を食わせているかパンを食わせているか、というのは、母親の子育てに対する根本的な姿勢を試すリトマス紙になっている。子供に食べさせる料理をおろそかにしないお母さんは、多分、その他の面でも手を抜かないお母さんだろう。しっかり者で、知的レベルも高いかもしれない。
一方、料理の手間を嫌がってパンで安易に済ませるお母さんは、子育てにあまりコミットしてなさそうだ。良く言えば放任主義で、子供は案外それでタフに育つものかもしれないけどね。

こんな論文もある。
『ヨーロッパの子供における心理社会的幸福感と健康的な食事習慣の間にある双方向的関連性』
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-017-4920-5
毎日健康的な食事をしている子供は心身ともに健全であり、逆に、心身ともに健全な子供は毎日健康的な食事をしている、という一見当たり前の直感が、きちんと統計的に裏付けられたというのがこの研究の主張だ。
8ヶ国から選んだ2歳から9歳までの子供7675人をコホートとした研究(IDEFICS)から調査した。2007年9月から2008年6月に1回目の調査を行い、2年後にもう一度調査した。心理社会的幸福感は自尊心と親子関係についての質問(KINDL)および感情、交友関係の問題(『子供の強さと困難さアンケート』)によって測定した。
『健康食事習慣スコア』(HDAS)は43項目の食品から食べる頻度を計算し、子供の食事摂取が栄養ガイドラインにどの程度沿っているかを測定した。
よい食習慣を保っている子供ほど、健全な自尊心を持ち、感情が安定していて、問題行動が少なかった。また、健全な自尊心の子供ほど、好ましい食習慣を保っていた。

僕らの食べるものが脳を含め体を作り、脳が心という精神現象を生み出す。
だから、テキトーなものを食べていれば心もテキトーになるし、もっと言えば、人生までテキトーになるよ。
健康な食生活を心がけましょう。