院長ブログ

ナイアシン

2019.1.7

仕事始めで、あけましておめでとうございます、とか紋切り型のあいさつをして、事務員と雑談しているときに、こんな質問を受けた。
「先生、ナイアシンってアレルギーにもいいんですよね。
私の兄がアレルギーで、ナイアシンに興味持ってるんです。でも痛風もあって、お薬飲んでます。
で、ネットで調べてみたら、ナイアシンは痛風にはあまりよくないって書いてあるんですけど、先生、どう思いますか。ナイアシン、飲んでも問題ないですか」
結論から言うと、問題ない。飲んでもらってオッケー。ただ、尿酸値は上がるよ。
「どういうことですか。尿酸を下げるための薬を飲んでるのに、尿酸が上がったらよくないんじゃないですか」

当然の疑問だろう。
これに対しては、大御所ホッファー先生の言葉をお借りして答えよう。
http://orthomolecular.org/library/jom/2003/pdf/2003-v18n0304-p144.pdf
この論文は、ホッファーがナイアシンの副作用に真正面から向き合ったものだ。
ホッファーは誰もが認めるナイアシンの第一人者である。ナイアシンが統合失調症、アルコール依存症にいかに効果的であるかをエビデンスで以って証明し、また、なぜ効果的なのかそのメカニズムを解き明かした人だ。
その彼が、ナイアシンの副作用をメインテーマに据えて書いた論文である。
栄養療法を実践する人なら、まず読んでおきたい論文だろう。
この論文のなかに、ナイアシンと痛風の関係性についての一項目がある。
ざっと要約しよう。
「痛風に対するナイアシンの効用
ナイアシンによって尿酸値が軽度の上昇を示すことは分かっていたが、これがためにナイアシン療法を忌避すべきではない、ということもはっきりしている。
疫学研究(the Coronary Drug Project)では、この介入研究に入る前の尿酸値は平均6.75だったが、ナイアシンを5年継続した後では平均6.80だった。
ナイアシンを服用した人々では、8.0を超える尿酸値だった。
しかしこれは、痛風の症状(尿酸結石の増加、急性痛風関節炎)がまったく増加していないことを考えれば、大したことではない。これは私の結論でもある。
私はナイアシンを痛風の危険因子とは考えていない。私の義父は関節炎と痛風の両方に罹患していたが、それらの疾患の間に関連性はなかった。
ナイアシンを摂るようになると、彼の関節炎は消失したものの、痛風発作には以前と変わらず苦しんでいた。
ナイアシンは、痛風エピソードを増やしも減らしもしない。
血中尿酸値の軽度上昇は、好ましい副作用だとさえ言えるかもしれない。
McCrackenによると、尿酸は中枢に対する刺激物質であり、尿酸の活性化(2000万年前に起こった遺伝子変異による)はこの点でむしろ有益だった。
大学教授(知的職業に従事する人)では、そうではない対照群と比べて、尿酸値が高い。
尿酸は抗酸化物質でもあり、これは体にとって、当然、非常に有益である。
従って、痛風が怖いからといって、ナイアシンの使用を控えるというのはナンセンスである。
万が一痛風が発症したとしても、その治療は極めて簡単である」

そもそも尿酸値は、現代医学では悪者ということになっている。
それは痛風発作、痛風結石を引き起こす憎むべき悪であり、数字が高ければすぐに下げねばならない、と。
コレステロールや血圧と同じ扱いだ。
コレステロールが高い?危険だ!動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞になるぞ。すぐに下げろ!
高血圧?危険だ!心血管系への負担が極めて大きく、やはり脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクが上がるだろう。すぐに下げろ!
なぜ、コレステロールが血中にあるのか、なぜ血圧が高いのか。その必要性には一切目もくれず、とにかく下げろ下げろの大合唱。
もういい加減、こういう医療はやめときなよ。
クリニックをやり始めてからつくづく分かったんだけど、薬の売り上げって、経営的にすごく大きいんだよね。
医者も商売、やっぱりお客さんが欲しいから、「とりあえず薬を出しますね」、ということになりがちだ。
実際、一般的な内科の先生にとって、薬を出す以外にやってあげられることって、実質何もないんだよね。
医者であるからには、何かやってあげたい、と思う。
患者も、何かしてもらおう、という気持ちで来院している。
両者の思惑が合致して、一生続く投薬治療が始まる、というのが、病院の日常風景だ。
尿酸もそういうヒール役を引き受けていて、「高ければ下げろ!」的な立ち位置に置かれている。

ホッファーの論文にあるように、尿酸は本来抗酸化物質だ。
ビタミンCの体内合成ができなくなった人間にとっての、抗酸化力を保つ代替手段。それが尿酸だった。
だから、ナイアシンの服用によって尿酸が上がるということは、抗酸化力の上昇ということであり(ナイアシン自体、抗酸化ビタミンである)、本当は歓迎すべきこと、喜ぶべきことであるはず。
ところが事態はあべこべなんだ。
「尿酸が高いことは悪いこと」だと医者は学校で学んで信じているし、患者もしっかり洗脳されている。
でも、事実は違う。
単に尿酸が高いだけでは痛風発作の原因にはならない。
本当の原因は、もっと別のところにある。
そのあたりの真相をお見せしましょう。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yoken1952/24/5/24_5_271/_pdf
1971年と古い論文だけど、いまだに説得力を失っていない。
要約部分をざっと訳すと、、、
MSG(グルタミン酸ナトリウム。要するに、味の素のこと)のナトリウム毒性を証明するために、塩化ナトリウムへの感受性が高いことで知られるヒヨコを実験動物として選んだ。
MSG、塩化ナトリウム、グルタミン酸カリウム(それぞれ、ほぼ等張液)を飲み水の唯一の供給源として、ヒヨコに自由に飲ませた。
MSGを与えられた二日齢のヒヨコは痛風のため数日後に死んだ。生理食塩水を与えられたヒヨコよりも高い死亡率を示し、病変部の症状が重かった。
一方、グルタミン酸カリウムを与えたヒヨコでは死亡や衰弱する個体はなかった。
MSGを与えたことによる二つの主な特徴は、腎臓病の急性発症と大量の尿酸塩の蓄積であり、主な組織学的変化としては、腎尿細管の変性と集合管の結石による閉塞だった。
半分の濃度で実験しても、MSGの投与によって、腎葉の萎縮が見られ、痛風で死亡する個体もあった。
ナトリウム毒性のみならず、グルタミン酸も尿酸形成に何らかの影響を及ぼしていると思われる。

プリン体を避けるよりも、まずは味の素を避ける。
このほうがはるかに実際的で効果的だと思う。
そのためには、外食も極力控えたほうがいい。食事は、加工食品ではなく、自分で作って食べよう。
家で使っている調味料とかも案外盲点で、まず、裏の原材料表示を見よう。
「調味料(アミノ酸等)」というのは、要するに、「毒が入っています」というのの婉曲表現だよ笑
味の素社も、もっと自社商品に自信があるのなら、こんな遠回しな表現をやめて、しっかり「味の素」って表記すればいい。
なぜそれができないか。
自社商品が体に悪いってことは、とっくの昔から彼らにも分かってるんだよね。