院長ブログ

関空

2018.9.30

「台風の影響で、9月初旬に関空が運休したけど、それに続いて今日も関空は止まってる。前の台風では高潮による被害もあって、滑走路が冠水して復旧するのに大変だったけど、今回は大丈夫かな。
関空の建設前からずっと言われてたことなんだけど、あの空港、立地としてはかなりやばいんだ。地盤の脆弱さとか、津波の危険性とかね。
そもそも知ってるかな。関空って、陸の孤島なんだ。
泉州沖の、海岸から5キロのところに作られた人工島。
前回の台風では、本土と島を結ぶ唯一の連絡橋がダメになったせいで、600人以上の人が空港に取り残されて、何日もそこで過ごすことになった。
こういうことがあると思い出すよね。やっぱりあそこは陸の孤島なんだと。

大がかりな建設工事ならどの工事もそうだけど、着工前に地質調査をする。で、その調査で分かったことは、泉州沖一帯は、柔らかい泥が長年積み重なってできた地質なんだ。
こういう粘土層の上に、人工島という巨大な建築物を作ればどうなるか。
圧密っていう現象なんだけどね、地盤の上に荷重がかかって、粘土質のなかの間隙水が絞り出され、土の体積が収縮していく。
つまり、時間の経過とともに、どんどん地盤沈下していくってことだよ。実際、関空の周辺をちょっと散歩してみると、アスファルトのあちこちに亀裂が見られる。あの島は、本当に、沈みつつあるんだ。
様々なコンピューターのシミュレーションでも、そのことは示唆されている。今のスパコンのシミュレーションって、けっこう精度高いんだよ。
(ごうちゃん、えらい詳しいやんか)
そりゃ、俺はもともと工学系の仕事をしてたからね。地質調査やシミュレーションはお手のものだ。あつしのお手伝いだけが俺の仕事じゃないよ笑。

建設工事のずさんさも指摘されている。
工事期間が短かったけど、開港予定日(1994年9月4日)に間に合わせるために、ずいぶんひどいこともやった。たとえば、マンパワーが圧倒的に不足しているから、刑務所の受刑者をそこで働かせることさえした。陸の孤島だからね、逃亡の心配がないから、そういうことが可能なんだね。無理な労働のストレスのせいか、血の気が多い犯罪傾向のある人を労働力に使ったせいか、工事途中で殺人事件さえ起こった。
都市伝説だと思う?いや、俺、この話は関空の建設工事に直接携わった人から聞いたよ。俺が昔働いてたラーメン屋の店長なんだけど、その人、空港の建設工事で働いている人のためのレストラン街で働いていた。殺人とかさ、物騒なことが起これば嫌でも噂が聞こえてくるよね。
関空の問題点をあげれば他にもいっぱいある。たとえば関空から梅田まで行くのに1時間もかかる。不便すぎるでしょ。伊丹空港なら梅田まで30分。伊丹を上回るメリットがない、とかね。
しかしまぁ、今回の台風によって、前みたいにひどいことが起こらないことを願うばかりだよ」