院長ブログ

筋トレ

2018.9.27

ジムに通い始めて3カ月が経った。仕事などでどうしても無理な日を除けば、だいたい毎日行っている。
ただ、行ってもそんなに長時間トレーニングをやりこむわけではない。いくつかのマシンを使った筋トレをして、最後に柔軟体操をして、それで終わり。
時間にして、せいぜい30分といったところ。

それでも、継続は力だね。体格が目に見えて変わってきた。
飲み屋で初めて会う人なんかに、「何か運動やってる?」とよく聞かれる。
「お仕事、当てて見せましょうか。スポーツのインストラクターでしょ?」
日焼けで肌が黒いこともあって、まさか医者だと思う人はいない笑

ジムに行く前に65kgだった体重は、一か月ほどで63kgまで減り、その後、64kg台にまで増えてきた。
むくみや脂肪が落ちて、今度は筋肉がつき始めたのだと思う。
別段筋肉に特化した食事をしているわけじゃない。
プロテインを飲みだしたとか卵の白身や鳥のささみばかり食べているとか、そんなのは全然していない。
ただ、食欲は増えた。食べようと思えば、いつもの倍量食べられるだろう。
ボディビルダーは運動、食事、運動、食事の繰り返しで、バルクアップをはかるという。
別にそういうのを目指しているわけじゃないから、そこまでやりこまないけどね。

ところで、プロテインを飲んでも筋肥大にはつながらない、という論文を見つけたよ。
(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22806076)
運動習慣のない若年成人を対象にした研究。彼らをホエイプロテインを摂取してもらう群、プラセボ(トウモロコシでんぷんのマルトデキストリン、ショ糖)摂取群の二群に分けて、レジスタンス・エクササイズ(要するに筋トレ)の前後にそれを飲んでもらう。彼らに、週に4日の筋トレを8週間続けてもらった。
8週間後、肘や膝の屈筋、伸筋、足の背屈筋、足底屈筋のサイズをエコーで計測し、筋肉の容量をX線吸収測定法で調べ、チェスト・プレスの限界回数で筋力を調べた。
結果、研究開始前と後とで、筋肉の大きさ、筋肉の容量、筋力、いずれも有意に増加していたが、その増加に両群で有意差はなかった。
つまり、プロテイン飲んでても砂糖飲んでても、筋肉のつき方に違いはなかったということだ。

そもそも、ホエイプロテインは製造のプロセスで加熱されて、粉末になって、さらに加熱されて、アミノ酸がかなり変性しているだろう。
体に悪いものではないのかもしれないけど、少なくともバルクアップをはかる上で全くプラスになっていないことが、この実験で証明されてしまったわけだ。
ジムの更衣室で、シェイカーに入れたプロテインを飲んでいる人をよく見るけど、プラセボ以上の効果はないということなんだな。
トップクラスの自転車選手に練習中にプロテイン(あるいはプラセボ)を飲んでもらって、そのパフォーマンスを比較した、っていう研究もあるよ。
(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4779585/)
ここでも有意差は出なかった。
プロテインに頼るぐらいなら、普通に肉とか卵食べてるほうがよっぽど効くんじゃないかな。

「よく続いてるなぁ。三日坊主で終わるかと思った。頑張り屋だね」と友人が言う。
いや、別に「頑張っている」という意識じゃない。
もはや日課になっていて、「やらないと不快だから」というのが実感に近い。
通い始めの頃は、運動ということ自体が久しぶりで、まずは体を運動になじませる、という感じだった。
だんだん余裕ができてきて、筋肉を限界までいじめる苦しさのなかに、ある種の喜びを感じるようになってきた。
そう、筋トレは、「快感」なんだ。
これは比喩的な意味じゃなくて、文字通りの意味だ。
脳の報酬系が刺激されて、ドーパミンなどの快楽ホルモンが出ている。ニコチン、性的絶頂、食事、ギャンブルなんかがもたらす快感と、生理的には違いはない。
マラソンで40㎞も走るなんて、運動習慣のない人から見れば狂気の沙汰に思えるけど、走ってる本人は苦痛一色というわけでは決してなくて、ランナーズハイで恍惚としてるものなんだ。
運動がもたらすこの精神的快楽は、肉体的にも好ましい影響を与える。
file:///C:/Users/user/Downloads/520258.pdf
この論文、ざっとかいつまんで説明すると、、、
インスリン抵抗性、動脈硬化、神経変性、癌など、様々な病気の背景には、慢性的な炎症がある。定期的に運動をすることによって、2型糖尿病、心血管系疾患、大腸癌、乳癌、認知症を予防することができる。この理由は、定期的な運動には抗炎症作用があるからだ、というのがエビデンスの示すところである。
その抗炎症作用は、内臓脂肪の減少を介してか、あるいは、運動に応じて生じる抗炎症作用を持った何らかの物質によるものではないか、と我々は考えている。
我々の理論では、その抗炎症作用は、筋肉に由来するペプチド、いわゆる「マイオカイン」の影響である可能性がある。
骨格筋の収縮によってマイオカインが分泌され、直接的に抗炎症作用を発揮し、あるいは内臓脂肪に特異的に作用しているのかもしれない。また、脂肪酸の酸化やグルコースの取り込みに際して、マイオカインが役割を果たしている可能性もある。マイオカインはTNF(腫瘍壊死因子)によるインスリン抵抗性に対しても改善効果があるようだ。運動することによって分泌されるマイオカインは、局所的な炎症のみならず全身的な炎症にも、抑制効果があるだろう。

運動がうつ病にも効くというエビデンスは多い。(https://journals.lww.com/psychosomaticmedicine/Abstract/2000/09000/Exercise_Treatment_for_Major_Depression_.6.aspx)
抗うつ薬飲むぐらいなら、運動すればいい、というのがエビデンスの示すところだ。
投薬群、運動群、いずれも改善したが、長期的には投薬群では再発のリスクがあるが、運動群ではそのリスクが低かった。
当然だけど、運動には、薬のような副作用がない。というか、メリットしかない。
ボディビルダーでうつ病の人って、絶対いないものな。経験的には明らかだったことが、研究で裏付けられた形だ。
これはもう、うつ病の人は運動をやらない手はないでしょう。