院長ブログ

熱傷

2018.7.3

森毅先生、授業の始めにいきなり学生の一人を指差して、「数学において数とはいくらまで勘定できたら偉いか答えよ」
「えーと、自分は無量大数という位まで知ってます」
「アホウ、死ぬまで勘定しとれ。君が言うてるのは算数。数学における数というのは3つでええ。0、1、ぎょうさん、この3つや」

0か1か。つまり、有るのか無いのか。あるとしたら、単数か複数か。「ぎょうさん」という関西弁は便利で、無限大のニュアンスもある。
0と1とぎょうさん。この三つの概念さえ与えられれば、数学を構築できるのだ、という指摘。おもしろいね。

森先生の本は何冊か読んだことがあるけど、実際にお会いしたことはもちろんない。
でも、京大数学科出身で森先生の講義を受講していた人の話によると、教壇の上で横になったり、学生からの要望にこたえて三味線を披露して見せたり、型破りなスタイルの授業をする人気教授だった。

森先生、晩年は気の毒で、料理中に服にコンロの火が引火して、全身に大やけどを負った。
生死の境を長らくさまよって、翌年に亡くなられた。

栄養療法を実践している身として非常に気になるのは、重度の熱傷に対して、きちんとビタミンEによる治療が行われたかどうか、ということ。
でも、日本熱傷学会の熱傷に対するガイドラインを見ても、「ビタミンE」という言葉自体が出てこないぐらいだから、恐らくビタミンEは用いられなかったと思う。
皮膚の熱傷とか気道熱傷で血中ビタミンE濃度が減ることも、ビタミンEの内服や患部への塗布が熱傷の治癒に有効だということも、十分に分かっている。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0891584907000846
それでも、標準治療になっていない。信じられない話だけど、効くとわかっているものが、使われていないんだ。
何ともやるせないものを感じる。
ソール先生も同じ思いを抱いてて、「救急病院の備品に、ビタミンEの局所塗布スプレーの一本さえも置いていない。オーソモレキュラー医学がいかに軽く見られているのかの証拠だよ」と嘆いている。
何もこういうデタラメはビタミンEに限ったことじゃなくて、一般医療では、風邪にビタミンCが処方されることはないし、統合失調症にナイアシンが処方されることもない。
もう一度言うけれど、「効くとわかっているのに、使われていない」んだ。
栄養療法的な救急対応を受けていれば、僕の敬愛する先生も亡くならずに済んだのではないかと思うと、本当に悔やまれる。

あともう一つ、著名人がこういう亡くなり方をすると、テレビのコメンテーターが「ほら、やっぱりガスの調理器具は危険でしょ。IHを使いましょう」みたいなことを言うんだけど、この発言には同調できない。
森先生は気の毒だったとは思うけど、ガスコンロが悪いんだ、というのは話が違う。
IH調理器具、あるいはもっと言えば、オール電化の住宅が、どれほど強烈な電磁波を発するか、一般の人は知らなさすぎだと思う。
今僕の手元には、『Cross Currents』(Robert O. Becker著)という本があるんだけど、電磁波がなぜ、どのように体に悪いのか、非常にわかりやすく書かれている。
本の内容をものすごく大雑把に要約すると、「人間の体とは電気のカタマリであって、電気の流れに異常が起こると、病気になる」ということなんだけど、これって、Thomas Levy先生の言ってることと似てて、Levy先生は「体内では常に電子の奪い合い、つまり酸化と還元のせめぎ合いが起こっていて、酸化に傾くと病気になる。ビタミンCが健康にいいのは、体に電子を与える、つまり還元することによって、体の電気の流れを整えるからだ」と言っている。
このBeckerの本、英語だと2000円ぐらいで買えるんだけど、翻訳本は、なんと、アマゾンで14万4千円!
出品者は、「これぐらいの高値を付けても売れる」と踏んでるからこそ、強気の値段設定なんだろうね。
確かにそれだけの価値のある内容だとは思うけど、それにしても高いなぁ。でも買う人は「この値段で健康を健康を買えるとなれば安いものだ」という思いで買うのだと思う。
みなさん、僕の『院長ブログ』は14万円ぐらいの価値のある情報を発信していると自負していますけど、なんと、タダですよ笑